博麗神社─
冬。12月中旬に入り、シロが復活してから半年が経った。
それからこれまでシロが滅ぼしてきた妖怪は数多し。シロと関わった妖も数多し。
シロ「…」カカカッ
大きな獣の姿で神社の屋根の上に寝転がるシロ。
一応シロにも換毛期があるらしく、既に換毛期の時期は過ぎたが、まだ抜けて来る毛も多い。
婢妖「呼びましたか!御方様!!」
シロ「…呼んでおらぬ」
後ろ足で首を掻いた時に飛んでいった毛すらも婢妖へと変わってしまう。
現在はほんの少しではあるが尾の能力も取り戻しつつあり、今では婢妖を20体ほど生み出せるまでになっていた。
そんな意図せずに出てきてしまう婢妖に戻るように命令すると、婢妖たちはなんだよー等と悪態を付きながら毛に戻り、シロの身体へと帰っていく。
シロ(…気を付けねばいかんな…)
シロ「…ん?」
その時、向こうから何かが飛んでくる。
それは黄金の妖怪、とらだった。
シロ「何だ貴様か」
とら「よォ、暇そうじゃねぇかよ」
シロ「別に暇ではない…貴様こそどうした?」
とら「いんやァ、こっちは暇だったんでおめぇがどうしてるか見ようと思ってよ…」
シロ「ふん…」
シロは体を丸めそのまま寝に入ってしまう。
とらはつまらなさそうにちぇっ、と呟くと霊夢のもとへ降りて行った。
霊夢「~♪」
呑気に縁側でお茶を啜る霊夢。
その霊夢の前にとらが現れる。
とら「おいおい女、あの野郎を見てなくていいのかよ?」
霊夢「あぁ、とらだっけ。いいのよ、もともとこの神社には願ってもないのに色んな妖怪が来るのよね。そのおかげでここには全く参拝客が来ない。そこでシロがこの神社に居てくれれば他の妖怪も寄り付かなくなるって訳」
とら「でもよ、どっちにしろアイツが居れば人間も来ねぇんじゃねぇか?」
霊夢「…あああああ!!」
とら(なんでアイツはこんな馬鹿に憑いてんだ?)
霊夢「ていうかとら、アンタ魔理沙に憑いてるんでしょ?」
とら「ふん、憑りついてるからっていつでも近くに居なきゃダメって訳じゃねぇよ。ソイツだって結構フラフラ出かけたりしてんだろ」
霊夢「確かに…」
とら「それとよ、あの白黒女はいつもあんなんなのかよ?」
霊夢「魔理沙のこと?」
とら「わしが気付かん間にふらっと出てって、よくわからんキノコ採って来たと思ったら何かよくわからん事やり始めるしよ…」
3日前─
魔理沙『うーん、これも失敗か…』
とら『くっせーッ!何だこの匂いはーッ!?』
とら「逆にこっちの気が持たんわい…」
霊夢「魔理沙は前からあんなんよ、気にしたらダメよ」
霊夢「さてと、一悶着終わったし、宴会でも開こうかしら?」
シロ「またか、我はああいうの嫌いなんだがな…」
とら「酒でも飲むのかよ?お前がよ」
シロ「ふん、あんな物飲んでられぬわ」
その時、シロの鼻先に何か冷たいモノが当たる。
ふと目を上に向けると、ぱらぱらと雪が降り始めていた。
シロ「…そういえば氷が降る季節か…これを見るのも、1000年以上ぶりか…」
シロは外の海底にて800年封じられ、そこから目覚めてすぐに倒され幻想郷にたどり着き、そこでさらに500年も眠っていたのだ。
霊夢「アンタね、これは雪って言うのよ」
とら「何だ、おめぇ雪も知らなかったのかよ?」
シロ「何だと貴様ら!!」クワッ
とら「けひひ、こえぇこえぇ!」
その日の夜─
霊夢が催した宴会は博麗神社の中でやることになり、シロの放った婢妖と、夕方に偶々神社にやって来た魔理沙によって皆へ伝えられた。
魔理沙「あぁとら、お前今日は見ないと思ったら神社に居たのかよ。それで、やっとこさ私から離れる気になったのか?」
とら「へっ、いつもビュンビュン飛び回ってるお前に憑いてりゃわしゃ少しは暇しないのよ…だから新しい暇つぶしが見つかるまでだな」
魔理沙(お前こそいつも一人でどっか行くくせに…)
魔理沙「ていうか、とらは酒呑めるのか?」
とら「好きじゃねぇが、一応呑み方くれぇは知ってるぜ」
霊夢「そろそろ皆集まってくると思うからアンタらも手伝いなさいよ」
とら「ちぇっ、何でわしがそんな事…」
シロ「…」
シロは屋根の上で考えていた。
かつては狡猾な策略を多く用い、人間や妖怪を翻弄してきたシロ。しかし頭脳イコール知識であるという訳ではない。
この雪は何故、どのような原理で降るのだろう?雨が凍るからだろうか?
そして…雪も白く、自分も白い身を持つのに何故自分の内側はこんなにも黒く濁っている?
シロ「…」
霊夢「何やってんのよ、アンタも手伝うの!」
だが、その濁りの中にも僅かに光がある。
その光は…
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