幻想郷の果て、外の世界と幻想郷とを隔てる結界の中にあると言われる八雲亭。
そこには冬の間に1度きり、強大な力を持つ妖怪…俗に言う妖怪の賢者と呼ばれる者たちが集まる。
現在の幻想郷を管理している八雲紫より起こった事件や異変を聞き、それに対する対応を考えるのだ。
紫「皆さま、毎年お集まり頂きありがとうございます」
紫は真っ暗な部屋に座る妖怪たちに丁寧に頭を下げる。
他の妖怪たちも頭を下げる。
紫「では、早速今年起こった異変についてお話させていただきます。白面の者が復活いたしました」
周囲の妖怪たちにざわめきが起こる。
ほとんどの者が白面の者の復活という現実に恐れている。
紫「私も恐ろしい限りです。あの白面の者が一度その気になれば私らもろとも幻想郷は破壊されてしまいまする」
妖怪たちは早く再び封じるべき、と口々に紫に指図する。
紫「ですが私は白面の者を再び封じる気は既にありません。それは、現在の博麗の巫女が白面の者に良い影響を与えているからです」
それを聞いた妖怪たちは静まり返る。
その中で1匹の妖怪が問いかける。
「ではまさか…『彼奴』が再び動き出すのも近いという事か?」
紫「はい。白面の者と博麗霊夢は、恐らく『彼奴』と戦う使命を持つ者。もっとも、2人にその気があればですが」
「他には?」
紫「かの長飛丸も幻想郷に姿を現しました。長飛丸に白面の者…やはり近いうちに『彼奴』と考えていいでしょう」
「我らの仲間の作った、あの特別な結界は無事なの?」
紫「あの結界は無事でございます。今も白面の者の全身を縛り、その能力を大きく封じております」
やがて会合が終わり、妖怪たちはどこかに散り、その場には紫だけが残った。
紫「…」
藍「お疲れ様です、紫様…どうでしたか?」
紫「…やっぱり『彼奴』の復活は近いわ」
藍「?…『彼奴』とは…」
紫「時が来たら、藍にも教えてあげなきゃね…」
藍「?」
『おおおぉぉぉおお…!近い…!恐ろしい白面の者がァアア…!!』
『あの白面の者の憎き面…喰らい千切ってやりてぇよ~…!』
『白面の吐く炎に焼かれ、尾で切り裂かれたこの傷の痛み…おぉ、思い出すだけでも…!!』
『だが安心しろ…ワシらの復活の時も近い…次こそはあの女と共に白面を喰らってやるぞぉ!!』
『うおおおおおぉぉ…待っておれよ、下衆共がァァァアアア!!』
─────
霊夢「あら、アンタどうしたの?」
妹紅「…シロととらという妖怪は居る?」
魔理沙「あん?とらがどうした?」
とら「…呼んだか?」
霊夢「シロなら神社の上に居るけど…どうしたの?」
妹紅「そうか…」
妹紅は霊夢と魔理沙の間をすり抜け、神社の縁側に腰を掛ける。
そのまま下を向き、座ったままじっと動かなくなった。
霊夢「何なの…?」
魔理沙「さぁ?」
それから一時間が経っても、妹紅はその場から動こうとしない。
霊夢「ねぇちょっと、何がしたいのよ?」
妹紅「…来た!」
霊夢「え?」
その時、何もないところから緑色の雷と共に、何者かが姿を現す。
「何か最近字伏の匂いがすると思って来てみたら…」
霊夢「な…シロにそっくりだけど、違う…!」
とら「うお…何だよテメェは!?」
魔理沙「いや、この妖気…とらと似てるぜ…!」
その妖怪は目の周りの隈取の模様と青い髪に、鋭く長い爪と長い3本の指、自分の胴体程の長さの8本の獣の尾を持ち、それらを除けば人間の姿の時のシロとほぼそっくりであった。
そして不気味な青い目がシロを睨む。
シロ「…貴様…何者だ?」
シロ、とら、霊夢、魔理沙が突然の来訪者に驚愕する中、その妖怪を見て笑う女が一人。
妹紅「…くくくっ、やっと…会えたな!!」
─藤原妹紅!