れいむとシロ   作:ねっぷう

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第29話 「敗北」

とら「あぁ、おめぇ今何て言った?わざと生かした人間だと?」

 

シロ「昔、中国の倭の都で一度お前と対峙したな」

 

とら「あぁ…」

 

シロ「その1000年ほど後、我はある都を焼いた。その時にたまたま目についた人間の女を憎しみに狂わせようとわざと生かした…」

 

とら「それがこの字伏だってのかよ?じゃあ全部テメェの責任じゃねぇか!!」

 

シロ「ぐぬぬ…」

 

 

青藍「誰だよお前は?」

 

妹紅「お前に名乗る名は無いわ。ただ私は…お前をこの手で殺すのみ!」

 

青藍「私を殺す…?くはは、できるかな…!」ボオオオ

 

青藍は妹紅に向けて青い火炎を吐きつける。

それを妹紅は避けもせずにもろに受ける。

 

青藍「あはは、このまま丸焦げに…!?」

 

妹紅とシロが初めて戦った時にもシロの火炎が妹紅に効果が無かったのと同じにやはり青藍の火炎も妹紅の体の前には弾かれてしまう。

 

妹紅「…」ニヤ

 

青藍「お前、笑っているのか?」

 

妹紅「当然さ…死ぬほど会いたかった奴と…ようやく会えたんだからな!!」

 

妹紅は青藍に向けて飛びかかり、その髪を掴む。

そのまま青藍の背後に回り、髪を引っ張り青藍を張り倒す。

 

青藍「ぬげぇぇ…!」

 

妹紅「…『禁』!」

 

妹紅はポケットから札を取り出し、それに火をつけ青藍の胸に押し付ける。

 

ドシュ

 

青藍「くっ!」ビシュ

 

だが青藍も負けじと妹紅を押しのけ、爪を振りかざす。

爪が妹紅のシャツを引き裂き、サラシを巻いた上半身が露わになる。

 

青藍「…お前のその背中の傷は…おお、思い出したわ!あの時殺したはずの人間ね!?」

 

妹紅「…」

 

青藍「ふふふ、あの獣人は元気?」

 

妹紅「…」

 

青藍「生きてるのね。本当はあの獣人を生かして、お前を殺してそれを見たあの獣人が狂う様を見てみようと思ったんだけど…しくっちゃったみたいね…。まさかお前が生きてて、お前が狂うなんて思ってなかったよ」

 

妹紅「…」ニヤニヤ

 

青藍「面白いわよ、獣になってから手に入れたこの爪はね…妖怪だろうと人間だろうと何でもスパスパ切れるのよ!」

 

青藍は両手の爪を舐める。

何百体何千体という生き物を切り裂いてきたであろう爪は垂れる青藍の唾液によってギラリと光る。

そして妹紅を睨みつける。

 

青藍「斬っても殺せなかったのは…お前だけだよ!!」

 

妹紅「あははははははは!!ザマァミロや!!」

 

青藍「この!」

 

青藍は再び妹紅を切り裂こうと爪を振る。

だがその腕をとり、ひじの部分に札を押し付けるとそこに思い切り蹴りをくらわす。

札に込められた霊力と物理的威力を同時に受けた青藍の肘は雷を放ちながら折れ曲がる。

 

青藍「ぬぐぇぇぇ…!」

 

さらに顎を蹴り上げ、喉元に向けて細い火炎を放つ。

 

妹紅「くたばれぇ!!」

 

だが青藍が寸ででかざした爪に火炎は呆気なく弾かれてしまう。

 

青藍「いってぇ…!」

 

青藍の雷をも札で防ぎ、優勢を取る妹紅。

 

とら「けけけ、いいぞ女!やっちまえや!」

 

魔理沙「強いな、妹紅…アイツあんなに強かったんかよ…?」

 

妹紅(この20年…私は何をしてきた!?)

 

 

妹紅『おぉ、目が覚めたかい…』

 

慧音『ここは…あ!あの子たちは…!!』

 

妹紅『…残念だけど、全員…』

 

慧音『…そうか。あの時、私がもっと早くに寺子屋に着いていれば…』

 

妹紅『違う、悪いのはあの妖怪だよ…慧音の所為じゃない。待っててよ、いつか必ず…私がこの手で倒して見せるから…!だから慧音は静かに暮らしてほしい…』

 

それから私はそれきりに没頭するようになった。

表では案内人、蓬莱山との喧嘩相手…だけどな、本当の私はただ復讐の為に妖怪を探し続ける業を背負いし人間よ!

 

 

青藍「くくく、お前は強いわ…認めるよ。だけどよ、お前じゃ私には勝てないよなぁ!」

 

バリバリ

 

妹紅「これは…雷の結界か!?」

 

青藍の全身から発せられる雷が妹紅と青藍の周囲を囲う。

 

青藍「喰らいな!」

 

その結界は瞬時に縮まり、緑色の雷が妹紅に直撃する。

 

妹紅「ぐおっ…!」バリィ

 

青藍「さらによ、こんなこともできるのよ…」

 

青藍は両手を掲げ、そこから出した雷が竜巻のように渦を巻きながら地面ごと妹紅を撥ね飛ばした。

空中に打ち上げられた妹紅は受け身も取らずに地面へと大きな音を立てて落下する。

 

妹紅「くそ…」

 

流石は蓬莱人と言ったところか、ふらふらではあるがすぐに立ち上がり再び青藍を睨む。

 

青藍「ちっ、お前は不死身だったんだっけ…。いいか、今日は見逃してやる。だが次は必ずお前を丸ごと生きたまま喰らってやるからな…」

 

青藍はジャンプし、そのまま飛び去ろうとする。

だが何かに気付いたように再び妹紅に近づくと、顔を近づけ笑みを浮かべる。

 

青藍「ああそうだ、これも言っておかなくっちゃな…あの時の子供は骨まで…美味かったよ…」

 

妹紅「…」ニヤニヤ

 

青藍「その気味悪い笑いもじきにできなくなるさ…」

 

青藍はここへ来た時のように雷の穴に入りそのまま消えてしまった。

 

 

霊夢「…どうするの?」

 

妹紅「決まってる…次は確実に滅ぼす…」

 

霊夢「最初に言っておくけど、私は里とかに実害が出たりとかアンタ以外の奴から依頼が来たりでもしない限り動かないからね」

 

というのは霊夢なりの励ましで、つまりは妹紅は妹紅自身の因縁に決着を付けなさいという事である。

当然だ、ここで霊夢が余計なおせっかいを入れてしまえば妹紅の20年分の苦労が意味をなさなくなってしまう。

 

シロ「…我を憎まぬのか?お前は知っているのだろう?あの字伏が我の所為で生み出された事…」

 

妹紅「別にいいよ、シロが青藍を生み出したことと青藍が子供たちを喰ったのは関係ないんだから」

 

シロ「…」

 

魔理沙「何かよくわからないけど、まぁ無理はすんなよ…」

 

とら「けっ、やっぱり分からねぇぜ。全員で叩き潰しに行きゃ楽に勝てるのに、なんでお前みたいなのは自分一人だけで貧乏くじ引こうとするんだよ?」

 

妹紅「ごめん…」

 

とら「そういや居たよお前みたいな奴が!自分以外の全てを捨てて復讐に燃える男がよ」

 

妹紅「その男は…強かったか?」

 

とら「あぁ、おめぇなんて目じゃねぇ程にな」

 

妹紅「…」

 

ついに20年の因縁の終わりを見た妹紅。

次は負けない、次に現れた時がお前の最期だ…その時が来るのを、まだ私は待とう。

奴に2撃も3撃も攻撃をぶち込めたことで少しだけ自分の中の重りが外れたような気がした。

 

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