れいむとシロ   作:ねっぷう

30 / 101
第30話 「岩耳」

博麗神社の収入はハッキリ言って少ない。

なので博麗の巫女は妖怪退治の仕事も引き受ける。

だけども今回依頼された妖怪を追い、退治しに行くのは…

天下無敵の大妖怪…─だ。

 

シロ「めんどくさいのう…」

 

霊夢「いいからいいから。アンタなら楽勝よ、ホラ行ってきなさい!」

 

 

岩耳「オメェ…明日のオラの朝飯じゃろ?」

 

ミナエ「え…?ち、違います…」

 

ミナエ(まさかこの人…妖怪…!?)

 

ミナエ「ご、ごめんなさい!」ダッ

 

岩耳「あっ、逃げるなよォ。まぁいいか、この『岩耳』からは逃げられねぇからよ」

 

岩のように硬い大きな耳を持つ人型の妖怪、岩耳。

岩耳は里で暮らすミナエという少女を明日の朝飯と言って喰う事にした。

 

 

霊夢「大体ねぇ、アンタも昔は日本中に名を轟かせた大妖怪なんでしょ?そんなにアイツの事気にする事ないじゃない。一度はアイツに勝ってるんでしょ?」

 

とら「気にしてねぇよ!ただカンに触るだけだぜ」

 

霊夢「それを気にしてるって言うのよ」

 

とら「大体アイツはなー!」

 

 

ミナエ「な、何かの罰ですか、神サマ…」

 

私は里で暮らす普通の人間で、2年前に寺子屋を卒業して勉強もまぁまぁで…今は家を手伝いをしながら普通に暮らしてるだけなのに…

 

岩耳『これからオメェはどこにでも逃げればええ。オラが追っかけるからよ、オメェがオラに捕まったら…オメはオラの飯になりな~』

 

ちょっとお寺の方に用があって、その帰りだったのに…きっとこの墓地にも来るんだわ…

 

岩耳「よォ、そこのスズメ共よ。ここを髪を短くしたアマッコが通らんかったか?」

 

スズメ(通った通った!そこを曲がっていったよ)

 

岩耳「そこの蛇よぉ、そのアマッコが向かった先には何がある?とっとと答えねーとお前も焼いておかずにしちまうぞ」

 

蛇(お寺の墓地が…ある…)

 

岩耳「近道はねぇのかよ、臭い獣共」

 

狸(あっちあるよ)

 

岩耳「くくく、わははは!オラのこの喋らねぇ者の声も聴ける岩の耳がありゃあ、道に迷った人間から土に埋まった大根までわからねぇ事なんてねぇや!」

 

岩耳は墓地の柵を飛び越える。

 

ミナエ(来た…どうしよう!)

 

岩耳「よぉ、お前の近くに居るんだろォ?小汚い大木よ…」

 

木(ああ…)

 

ミナエ「…」バクンバクン

 

岩耳「見つけたぁぁ」

 

岩耳は大きな墓石の裏に隠れたミナエを見つけると、腕を掴んで引きずる。

ミナエは恐怖の叫び声をあげ、その様子を動物たちが見る。

 

ああかわいそうに、せめて居場所を黙っててやることはできなかったのか?

無理だよ、草や木はあまり深く考えられないんだもの

妖怪にあんなふうに大きな声で聴かれたら答えちゃうよね

うん

気の毒だなぁ、あの女の子

せめて痛い目にあいませんように

 

ミナエ「はなして!」

 

岩耳「ええい、捕まったんやからおとなしくせんかい!ッコルァ!」

 

ゴキャ

 

あ、やった

ひどい

ひでぇ

悪い奴

アイツは悪い奴だ

痛そう

赤く腫れてる

かわいそう

人間でもないくせに人間を叩いてる

馬鹿じゃねぇの

もうだめだ、あの子に抵抗する気がなくなったもの

そんなのわからないじゃないか

ほら見ろよ、1発の暴力でもうあきらめてしまったよ

だから妖怪って嫌いなんだよね、人間よりも愚かなくせに人間を下に見てる

 

岩耳「思い知ったか、へへ…」

 

シーン…

 

冷たい風の音も、さっきまで囁き合っていた動物たちも急に静まり返ってしまう。

まるで何かの来訪を察知したように。

 

 

 

とら「大体な、そこらの妖怪共にアイツの名を口にした瞬間、妖怪共が静かになるのが気に入らねぇ。寒そうな面して口をモゴモゴ…マジでムカつくぜ。そんな大層な奴じゃねぇよ!」

 

霊夢「どうどう」

 

 

 

岩耳「なんで急に静かになったんだ?」

 

ミナエ「え…?」

 

なんか来たよ

 

岩耳「何が来るんだよ?」

 

強い奴、怖い奴

 

岩耳「怖いだと!?オラは何も怖くねぇ!」

 

あれはこわいよね、そうとも、すごく怖い

 

岩耳「うわ、だから何が来るんだ!?」

 

博麗神社に住んでる白い妖怪だよ

 

岩耳「けっ、それがどうした?オラは無敵なんだ…負けるかよ…」

 

 

 

とら「それにアイツはすぐに人を怒らせる。ま、あんな顔だし生意気だしな」

 

霊夢「面はアンタも言えたもんじゃないけどね」

 

とら「あ!?何だと女!」

 

 

博麗神社のなんたらは知らんけど、オレは500年封印されてた大妖怪って聞いたよ

えー、アタイは500年前龍と戦った最強の妖怪って聞いたよ

 

岩耳「もうそれはいいって!どいつはどっから来るんだよ?」

 

右から来るよ

左からさ

右が東なら西から来ると思うよ

南からだと思うけど

 

岩耳「う、うるさい…一匹ずつ喋れ…うるさい!」

 

ミナエ(今のうちに…)

 

岩耳「おっと、逃がすかよ。オラの大事な朝飯をよ!」

 

岩耳はミナエの首を掴み、そのまま片手で締め上げる。

 

ミナエ(誰か…助け…)

 

 

 

霊夢「…でもねぇ、私が一番カンに触るのは…アイツってばあんな顔して滅茶苦茶に強いのよねぇ」

 

 

 

ミナエ「…あ」

 

岩耳「だ、誰だ…オメェ…」

 

岩耳の顔面に太い白い尾がぶち当たる。

その白い毛並みを持つしなやかに曲がる尾は楽に岩耳の身体を巻き取り、それを投げつける。

 

「「「「「「「「「「「「「シロだ」」」」」」」」」」」」」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。