れいむとシロ   作:ねっぷう

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第37話 「見えずとも」

シロ「くはは、桃太郎とやらは我が叩きのめしたぞ。残るはお前だけか?異国の姫よ」

 

シンデレラ「…ふん、桃太郎は土産を残してくれたようだ」

 

霊夢「何を言っているの?」

 

破壊された床から2つの影が現れる。

一つは霊夢に向かい、もう一つはシロに向かう。

 

萃香「…」

 

とら「…」

 

霊夢「やれやれ…こんな…」

 

シロ「…粕妖怪が…」

 

シンデレラ「桃太郎のきびだんごを食べた者は私たちの手先に出来る。行きなさい!」

 

きびだんごの力によってシンデレラに操られた萃香ととらが霊夢とシロに襲い掛かる。

 

シロ「我の相手は貴様か!」

 

萃香「カァッ!!」

 

萃香はシロに殴りかかり、シロは尾でそれらを防ぐ。

鉄の尾を展開し、鱗のように並んだ鉄板を大量に発射する。

 

萃香「…」

 

だが萃香は鉄板の一枚を掴み、それを握って変形させる。

他の鉄板はきびだんごによって強化された萃香の皮膚の前に弾かれてしまう。

 

シロ「…なるほど、妖怪の弱点である鉄の効果すらも打ち消す団子のようだ」

 

とら「ハァァァァ!!」バリ

 

霊夢「うわわわ!!」

 

とらの稲妻が霊夢を狙って容赦なく放たれる。

 

霊夢「とら…可哀想だけど、これでも喰らいなさい!」

 

霊夢はとらの前に御札をかざし、それで稲妻を吸収する。

そして吸収した稲妻を霊撃と共に撃ちだす。

 

とら「ガァァ!」

 

とらはそれを潜り抜け霊夢を突き飛ばす。

 

シンデレラ「今のうちに態勢を…」

 

シロ「態勢を…どうするのだ?」

 

シンデレラ「な!」

 

シロは萃香を尾で巻き込んだまま跳び、大口を開けシンデレラに噛みつこうとする。

 

シンデレラ「ふん、その妖怪を倒したとて私を倒せるとでも!?」

 

ガラスの靴でシロの顔面を蹴る。

 

シロ「ちぃい…!」

 

とら「カァァァァ!!」グア

 

霊夢「いっ…!」

 

とらは霊夢の左腕に噛みつく。

霊夢が振りほどこうとするとさらに力を込め牙を喰い込ませる。

 

シロ「…」

 

霊夢「痛…ッ…」

 

シロ「…」

 

霊夢の腕からボタボタと血が流れ、今にも腕がちぎれんばかりだ。

シロからは霊夢の姿は見えないが、分かる。

とらが霊夢のどこを噛みどれほど力を込め、どれほどの血を流れさせているのかを。

姿は見えずとも、霊夢がどれほど苦しんでいるのか分かるのだ。

 

シロ「…キサマァ!!」

 

シロは目つきを変えながらとらに飛びかかり、とらの上顎と下顎をがっちりと掴む。

そしてそのまま思い切り顎を開こうとする。

 

霊夢「…シロ?」

 

萃香「ウオオオオ!」

 

尾に絡め取られていた萃香が脱出し、シロの目をぶん殴る。

だがそれでもシロはとらの顎をこじ開けようとする。

 

シロ「むん!」

 

ついにとらの口をこじ開け、霊夢はすぐにそこから抜け出す。

鉄の尾で萃香ととらを巻き取り、そのままその鉄の尾を噛み千切ってその場に捨て置いた。

 

シンデレラ「な、何故…見えないハズなのに…」

 

シロ「お前は本当に我に勝てると思っていたのか?お前の敗北は地の自明…当然の結果だというのに」

 

霊夢「本当に身勝手な理由でこういう事されると面倒なのよ!!」

 

シンデレラ「見えない、匂いも分からない、音も聞こえない…なのに、何故…!!」

 

シンデレラ(こんなにも息の合った動きをする!?)

 

シンデレラ「いやああああ~~!!」

 

パキィン

 

シロの爪がガラスの靴を粉々に砕く。

 

霊夢「─夢想封印!!」

 

 

 

とら「…はっ、わしゃ何を…?」

 

萃香「う~ん、おや、お前さん…」

 

とら「おめぇさっきの鬼かよ。なぁんでわしらが白面の尾に巻かれたままなんだ?」

 

萃香「…どうやら、オールオッケーみたいだね」

 

萃香ととらの視線の先には敗北したボロボロの桃太郎とシンデレラ、その横で正座するヘンゼルとグレーテル兄弟にアラジン、霊夢と魔理沙に頭を下げている鬼共が居た。

 

霊夢「ったく、まぁ異変も解決して全て元通りになったから…別にいいけど」

 

シロ「そうだ、面倒臭い手間かけさておって…本当にしばらくは何もせんからな…」

 

一件落着。

霊夢とシロとその他によって今回の異変も無事解決されたのである。

 

 

霊夢「へ~、シンデレラと桃太郎の言った通り一夜のうちに城が綺麗さっぱり無くなっちゃったわね」

 

城があった場所は、以前のように何もない平原に戻っていた。

 

シロ「…」

 

シロ(あのシンデレラとやらが言っておった言葉…気にかかるな…)

 

シンデレラ『仕方がないか、私たちはここを御伽城と共に出よう。明日の朝には綺麗さっぱり無くなってるはずよ』

 

桃太郎『だが、拙者らがここの人間と妖怪に配って回った本は残していいじゃろうか?』

 

霊夢『どうしてよ?』

 

桃太郎『拙者らもいつか…今回の件の償いと言っては何だが、もしこの幻想郷が危機に陥った時、こちらに拙者らの本が有ればそこから自在に移動できるという訳なのだ』

 

霊夢『まぁいいんじゃない?これで妖怪に暇つぶしができたんなら』

 

シンデレラ『有り難い。ですが、シロ…と仰いましたっけ?』

 

シロ『ああ…』

 

シンデレラ『貴方の全身を縛っている結界…強度、性能共にただの結界ではありませんね。恐らく、強大な物の怪が結界に成っているのでしょう』

 

シロ『待て、どういうことだ?』

 

シンデレラ『その強大な物の怪の仲間を…霊夢とシロは知っているハズですわ…』

 

霊夢『ちょっと!!』

 

ヒュポン

 

おとぎ話の住人たちは自分らのお話の本の中に入り、そのまま霊夢とシロがいくら本を探っても出てくることはなかった。

 

 

とら「あーあ、わしゃこんなとこ来るんじゃなかったぜ。何でか知らんが顎とか痛いしよ~」

 

萃香「私も体中に細かい傷が…」

 

霊夢「どうやら、きびだんごとやらで操られてた時の記憶は無いみたいね」ヒソヒソ

 

シロ「ああ…」

 

魔理沙「私ももっと強い魔法覚えなきゃな~。今回は完全に足手まといみたいな感じだったし…」

 

霊夢「さ、帰りましょうか」

 

シロ「…」

 

 

 

 

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