れいむとシロ   作:ねっぷう

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第42話 「古びた家の中に」

妖怪の山にたどり着いたシロと霊夢は山の裏側、いつもは見ることのできない場所だ。

霊夢も山の裏側がどうなっているのか見た事もない。

大きく周るように山の後ろ側へ回りる。

そこは斜面が崩れ落ちたような麓から続く谷の先は切り立った崖になっているが、そこ以外はいつも見ているのと変わりない、雪の積もった山だ。

 

霊夢「紫は崩れた崖のどこかに結界で遮断された場所が有って、そこの中に小さな家があるって言ってたけど…」

 

シロ「あそこだな…」

 

霊夢とシロは崖の斜面の出っ張った岩場の上に妖気を感じた。

何も見えないが、恐らくそこには結界で守られたその家があるのだろう。

 

霊夢「…」

 

霊夢は手をかざし、少し力を込めるとその結界は簡単に壊れた。

壊すとやはりそこには木造りのボロ家があった。

シロは人間状態に変化し、2人は中に入っていく。

中は埃だらけで全く整備がされていないような汚れ様だった。

するとソファのような大きな椅子に腰かけた何者かが居る。

長い黒髪に、大きく見開かれた片目はガラスのようにひびが入っており、もう片目は閉じられている。

牙がずらりと並んだ口は乾いたままで、両手足の爪は鋭く尖っている。

 

霊夢「…妖怪の…死体…?」

 

霊夢が恐る恐る近づいた瞬間、その妖怪の死体の片目が突然開く。

 

霊夢「うわっ…!

 

「あ…は、白面の…者…」

 

その妖怪は乾いた口をかすかに動かし、よく聞いていないと聞き取れないような掠れた声で喋る。

 

シロ「…」

 

霊夢「生きてるの…?」

 

「…白面が…復活、したという…事は…八頭龍も復活するという事。私は…白面を生かし続ける為に…永遠にここに座る者…」

 

霊夢「永遠に座る者って…アンタは何者なの?」

 

「500年前の…博麗」ボソ

 

霊夢「…え?」

 

その時、突如何もない空間から見覚えのある手足が現れる。

そのまま姿を現したソイツは、前に霊夢が世話になった時間を旅する謎の妖怪、時逆だった。

 

時逆「よォ、博麗霊夢…久しぶりだなぁ」

 

霊夢「時逆!半年ぐらいぶりかしらね?」

 

時逆「また八雲紫に教えられてきたんだろォ?500年前の八頭龍について見るためによぉ」

 

霊夢「えぇ、また…先に少し500年前の事、教えてくれない?」

 

時逆「そうだなァ…」

 

500年前に八雲紫が妖怪を外から招き入れた時、それを噂で耳にした中国の妖怪たちが群れをつくり、幻想郷に向かった。だがそれを追う2つの龍が居た。ソイツこそが八頭龍の首のうちの2つだった。

その二首は妖怪の群れのあとを付け、ついに幻想郷へたどり着いた。

八頭龍は数ある異界を喰う者…もちろん幻想郷も喰うつもりだ。

だがな、邪魔が有ったのさ。追っていた妖怪の群れが立ち向かい始めた。それに加えいつの間にか群れに交じっていた白面の者と幻想郷の強力な妖怪と巫女までもが参戦し、二首はさすがに逃げていきおった。

それからは長らく楽園というべき日々が続いたが、その380年後くらいに再び八頭龍が幻想郷に現れた。

今度は8つの首と8本の尾を持って全力で幻想郷を滅ぼそうとした。

その時に天が割れんばかりの雷鳴が響き、物凄い豪雨がしばらく起こった。

そこで八雲紫は決めたのだ。新しく幻想郷を覆う結界を作り、既存の結界と新結界の間に八頭龍を閉じ込めてしまおうとな。

八雲紫と妖怪たち、そして当時の博麗の巫女が力を合わせた事でついに八頭龍は2枚の結界の間に封印されることとなった。

 

霊夢「じゃあ、私が教わった博麗大結界は外の世界と幻想郷を遮断するためっていうのは建前で、本当は八頭龍を封じるための結界?」

 

時逆「そういういう訳じゃあ。これだけ聞いてもまだ疑問に思う事があるじゃろうなぁ、それを今からシロと博麗霊夢、お前さんらがあたしと一緒に見に行くのさァ」

 

霊夢「そうよ、そこの妖怪が何者なのかとかね」

 

「…」

 

その謎の妖怪は再び片目だけを閉じ、下を向いて動かなくなる。

 

シロ「いや、我は行かぬ。霊夢だけ連れていくが良い」

 

霊夢「なんで?」

 

シロ「我にも見たくないモノはある…」

 

時逆「…シロよ、お前も随分…変わったなぁ。さぁ博麗、行くぞえ…」

 

時逆と共に、霊夢は去り際にシロにピースをしながら過去へと飛んでいった。

その場にはシロと俯いたままの謎の妖怪だけが残った。

 

シロ「…ふん、我が変わっただと?」

 

 

時間のはざまを遡りながら移動するシロと時逆。

 

霊夢「そうだ、前から聞きたかったんだけど、アンタってどんな妖怪で普段は何をしているの?」

 

時逆「…あたしは時間を旅するだけの影の薄い妖怪だった。時間を旅して面白い事件を見つければただそれを見るだけ…。だけどよ、あるお方があたしの能力は白面を倒すために必要だと言った。長い間そのお方に仕えていたが、そのお方も今はもう居ない…だからあたしはまた好きな所に行って好きな時間に生き好きな事をする…妖怪さ」

 

霊夢「ふぅん…」

 

時逆「さア着いたぞォ…まずは500年前、八頭龍が幻想郷を喰おうとするところから見てみようかい!」

 

霊夢と時逆は500年前、まだ結界で隔離される前の幻想郷へとたどり着いた。

 

 

 

 

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