れいむとシロ   作:ねっぷう

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また一波乱始まります


第52話 「白面の者滅殺計画」

人間の里の外れに建つ「命蓮寺」。

幻想郷には長い間、人のいる寺院は存在しなかった。それが魔界に封印されていた仏教徒、聖白蓮の復活と共に幻想郷の寺事情ひいては宗教事情が大きく動くことになる。

魔界から帰還した聖輦船は、しばらくの日数浮遊し続けていたが、人間の里近くに着陸し元の穀倉に戻った後、人(ほとんど妖怪やら神様やらだが)の手によって改装され、寺へと姿を変えた。

 

聖白蓮「これ程言っても分からないのですか…豊聡耳神子」

 

その命蓮寺の住職、聖白蓮は寺の中で豊聡耳神子との対談の場を設けていた。

 

豊聡耳神子「私にはそのような事は出来ない」

 

聖白蓮「何故ですか?」

 

神子「私も以前より白面の者については遣隋使を通じて知っていた。単身で幾つもの国を滅ぼし、そこに住まう人間も妖も全て殺す凶悪な大妖怪、と」

 

白蓮「それを知っているのなら、私の意にも理はあると思いますが」

 

神子「何故海底に封じられたという白面の者が今この地で復活したのか。それは白面を誰かが必要としているからと考える。私には何か大きな事が迫っている気がする、なので私はそれに賛同することはできない」

 

白蓮「残念ですね…貴方とは本気の争いは起こしたくなかったのですが…」

 

物部布都「何だと!太子様が穏便に接しておれば調子に乗って…!」

 

神子「やめないか、布都」

 

神子の横に控えていた物部布都が怒りに声を荒げる。

だがそれを神子が制し、何かをしようと腰を上げた白蓮に身構える。

 

白蓮「仕方がないですね、私たちが計画を遂行するまで見ていてもらいましょう!」

 

神子「何…お前、何かおかしいぞ!!」

 

その時、部屋に入り込んで来ていた煙が神子の腕を掴んだ。

煙は徐々に濃くなり、ついには大きな厳つい顔と成る。

 

神子「に…入道か…!」

 

神子も剣を抜き、自分を掴む雲を斬るがやはり効果が無い。

 

布都「太子様!」

 

布都も神子を助けようと力を発揮するが、突如自分を囲い始めた光のレーザーが結界のように布都を閉じ込める。

そのレーザーが床や壁に当たった箇所から宝石の柱が突き出す。

 

白蓮「よくやったわ…」

 

寅丸星「…」

 

細い煙を出している毘沙門天の宝塔を片手に持っている。

先ほどのレーザーや宝石の柱も宝塔の力だろう。

 

布都「貴様ら…」

 

神子「…逃げろ」

 

布都「何と…太子様を置いては行けませぬ!」

 

神子「良い、私は大丈夫だから…お前は行って伝えるんだ、博麗の巫女と白面の者に…!」

 

布都「…御意!」

 

布都は自分を檻のように囲っていた宝石柱を一気に破壊するとそこを抜け出し、寺を出ていく。

それを待ち構えていたように飛び出した寺の妖怪たちが襲い掛かる。

 

白蓮「そうは行かないわ、どちらが先に博麗のもとへ付けるか…競争でもしてみますか?」

 

飛び去って行った布都を追うように、白蓮も飛び立っていった。

 

 

 

博麗神社──

 

既に春が訪れ、神社の近くには桜が咲き乱れている。

いつもならばここで騒いでいる頃であろうが、今年は事情が違う。

そう、近いうちに幻想郷を覆っている2枚の結界の間に封じられている八頭龍が復活するのだ。

そしてその時こそ八頭龍を討ち倒すための決戦を始めなければならない。

花見をしている余裕などないのだ。

 

霊夢「…」ブツブツ

 

シロ「珍しく鍛錬をしておるな」

 

霊夢「うるさいわね、集中してるの。流石にあの八頭龍は今までのようには行かないわ。アンタこそ、今のままで大丈夫なの?」

 

シロ「この忌々しい結界さえ無ければ、今からでも八頭龍なんぞ一捻りだ」

 

霊夢「それならその結界を破るために力でも付ければ?」

 

シロ「ふん…」

 

霊夢「ああそうだ!」

 

唐突に霊夢が声を上げて神社の中に入る。

しばらくして上着を着て帽子を被った霊夢が飛び出してきた。

 

霊夢「私、今日魔理沙のとこ行かなきゃいけないの忘れてたわ。どうする?」

 

シロ「…我は良い」

 

霊夢「そう、じゃあ待っててね!」

 

今日は珍しく霊夢が普通に出かけて行った。

飛ばずに、下に伸びる獣道を走って。

 

 

シロ「…」

 

人間状態のまま屋根の上で身体を丸めてうたた寝していたシロの側に何か鉄の塊が降って来た。

鉄の塊は屋根の瓦を割ってそこに突き刺さる。

降ってきたそれは法力の込められた独鈷という両端に刃のついた仏具だった。

さらにそれはシロ目がけて何本も降り注ぎ、シロはそれを避けて見せる。

 

シロ「そこか!」

 

上でかすかに何者かの気配を感じたのでそこに向かって火炎を吐きつける。

愚かにも悪意ありで奇襲をかけて来たそいつを、シロが穏やかに対応するわけはない。

 

シロ「…!」

 

しかしその何者かに炎を当ててもあまり効いていないようだ。

自分の炎が効かない者と言えば妹紅が居たが、明らかに彼女ではない。

炎をいったん止めると、そこに居たのは金髪に紫のグラデーションが入った長い髪に、白黒の服を着た女だった。

 

シロ「人間…いや、違うな。何者だ?」

 

白蓮「流石は白面の者。今まで話でしか聞いたことはありませんでしたが、してみるとやはりとてつもない気。今日は貴方を捕え、私の寺で滅殺するために参りましたわ」

 

シロ「かかか、馬鹿め!滅殺するだと?できるなら…やってみろよ!」

 

その時、周りに現れた10匹ほどの妖怪がシロを取り押さえようと襲い掛かる。

だがシロはそれを見て少し笑って見せると、向かってきた一匹を尾で真っ二つに引き裂いてやった。

 

「ひぃ…!」

 

白蓮「白面を恐れてはいけません」

 

そう言うと白蓮は魔人経巻を広げ、呪文を唱え始める。

するとシロの周囲に結界が発生する。

 

シロ「この程度か、かつて海底で我を押し込んでいた結界に比べれば…塵に等しい」

 

結界に指を突っ込みそこからこじ開けようとする。

その間にも結界の外から妖怪たちが攻撃を仕掛けるが、シロの炎がそれを相殺する。

 

しかしその時、屋根の上、シロの近くに刺さっていた独鈷から法力が放たれシロの頭に衝撃が響く。

 

シロ「け…!」

 

シロは口元から炎を出したままその場に膝をつく。

その法力はかつて味わった事のないほどの強大な威力だったのだ。

白蓮は再び呪文を唱え始める。

 

シロ「貴様ァ!」

 

白蓮「御出でください…」

 

シロの目の前に巨大なお釈迦様の手が出現し、結界によって逃げ場のないシロを正面から平手で押しつぶした。

衝撃で剥がれた瓦に埋もれたまま動かないシロを、正方形の結界ごと移動させて白蓮と妖怪たちは消えていった。

 

 

 

霊夢「ふ~ん♪」

 

呑気に鼻歌を歌いながら神社の鳥居を抜けて帰って来た霊夢。

しかし霊夢は目の前を光景を見て唖然とした。

 

霊夢「…何が有ったの…?」

 

地面は所々抉れており、神社の屋根も少し崩れて瓦が吹き飛んでいる。

霊夢は飛んで屋根の上に立つ。

 

霊夢「これは…独鈷?」

 

その時、神社の側に誰かがよろよろと入って来た。

 

布都「はぁ…間に合わなかったか…」

 

霊夢「アンタは確か…!」

 

布都「白面の者は…居るか?」

 

霊夢「そういえば…居ないわね。何か知っているの?」

 

布都「聖白蓮だ…恐らく奴がここに来て、白面の者を攫って行った…。お主に伝えなければならない…奴の考えていることを…!」

 

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