霊夢「まあいいわ、アンタもすぐにぶっ飛ばしてあげる!」
霊夢は周囲に光の玉を展開し、お祓い棒を振りかざしマミゾウに飛びかかる。
しかし、マミゾウは大きな尻尾を自分の前に伸ばし、霊夢の一撃を跳ね返す。
霊夢「な…!」
布都「ああ!そんな出鱈目に一撃を放ってはいかん!もっと鋭く…」
マミゾウ「そこの奴の言う通りじゃ!そんな分散した攻撃なんぞ吹き飛ばすのは簡単じゃ!」
確かに霊夢の並々ならぬ攻撃はそこらの妖怪ならばまとめて吹き飛ばせるほど強い。
しかし、同時に欠点もあり、その欠点とは威力にまかせて攻撃をしてしまう事で範囲が拡散し、実質的に相手に喰らわすダメージが分散してしまうのだ。
詰まる所、板の平らな面で叩くよりも板の角で殴った方が痛いという事である。
布都「むん!」
布都は気で強化した皿を無数に放つ。
マミゾウ「ほう、確かに鋭い。しかし、そのような単調な攻撃では儂は退けないぞい!!」
マミゾウは両手から衝撃波のようなものを放ち、布都を攻撃する。
しかし屠自古も負けじとその間に入り、雷撃を放つ。
屠自古「退けぇ!寺の中に太子様が居るのだろう!?」
屠自古が少し怒り気味にマミゾウにそう聞いた時。
マミゾウの背後から腰の後ろで手を組んだ、聖白蓮本人が姿を現す。
霊夢「アンタ…少し早いお出ましじゃない?」
布都「そうだ!さっさと太子様を開放し、こんな事止めるが可し!」
3人はマミゾウの背後に居る聖に向かって飛びかかる。
マミゾウ「しばし待っておれ聖どの。今に儂がコイツらをとっちめてやる」
「そうですか…じゃあテメェもとっちめてあげましょうか」
そう言ったとたん、聖はマミゾウの頭を後ろから掴み、そのまま持ち上げると地面に叩きつける。
石畳を割ってマミゾウの頭を押さえ込む聖に、3人は驚いて口を開けたままその光景を見つめる。
霊夢「え…!?」
マミゾウ「な、何じゃあ!?」
ガバッと顔を上げるが、すぐに聖に腕を掴まれ頬に拳を喰らう。
霊夢「まさか…!」
その時、その聖の腕が太い毛の生えた剛腕に変わる。
ずらりと鋭い牙の並んだ口から真っ赤な炎をチラつかせる。
霊夢「とらァ!!」
とら「どうだ、尼公のマネ上手かっただろ?」
布都「何だこの物の怪は!?」
とら「この前外でくつろいでたら何か訳の分からん連中が喧嘩吹っ掛けて来たからよ、相手してたらいつの間にか尼公に掴まっちまってよ…今逃げてきたところだ」
良く見るととらの手足に独鈷が突き刺さっている。
先ほどまでどこかに縫い付けられていたのだろうか。変化していた時に手を後ろに回していたのもこれを隠すためだったのだろう。
マミゾウ「な、長飛丸か…!」
赤くなった顔を手で押さえながらマミゾウが呟く。
とら「くくっ、佐渡の化け狸かよ。懐かしいなぁ?でもここじゃわしも居るんだ…デカい顔なんてさせねぇぜ」
変化していた体を破ってとらが姿を現す。
とら「テメェらは行きな、この狸はわしにまかせろ」
屠自古「ええ!」
霊夢「とら、サンキュ!」
マミゾウ「あ、こら!待つのじゃ!!」
3人を追おうとするマミゾウ。
しかしとらはマミゾウの腕を掴み、そのまま後ろに投げる。
3人は無事に寺の壁を壊して中に入っていった。
マミゾウ「しかし、長飛丸よ、お主までもここに来ていたとは驚きじゃ。20年前くらいだったかのう、あの時儂らは確かに白面の者を倒した…しかし、何故今白面がこの幻想郷におるのじゃ?」
とら「わしが知るかよ。それよりどうだ?わしの変化の方が狸野郎よりも上手かっただろ?狸は尻尾とか耳を隠すのに苦労するそうじゃねぇか」
マミゾウ「な、舐めおって…!」
とら「いいぜ、来いよ。前から狸はいけ好かなかったんだ!」
とらは身体に電気を纏わせながら挑発する。
マミゾウ「やはりあの白面を野放しにはしておけぬ!20年前の儂らの頑張りは何だったのじゃ…お主もそうじゃろう!?お主も一度死にかけながら戦ったはずじゃ…その白面許すというのか!?」
とら「るせぇサンピン!」
口から巨大な炎を吐きつける。
しかしマミゾウも自分の前にばら撒いた葉っぱを鉄片に変化させそれで火炎を防ぐ。
マミゾウ「お主の炎でアツアツに熱した鉄の刃はどうじゃ!?」
とら「…」
硬質化させた髪を前方へ突き出して鉄片を防ぐ。が、そのうちの何枚かは髪の間をすり抜け体に突き刺さる。
しかし直後、とらは体中から物凄い勢いで雷を放出する。
雷は弧を描くように空中を走り、とらとマミゾウの間に着弾していく。
マミゾウ「ゲ…!」
丁度マミゾウが広げていた鉄片に雷が当たり、そこからさらに雷が矢のように発射される。
それは竜巻のように回転しながら的確にマミゾウに命中した。
マミゾウ(そうじゃ…かつて白面を退けたこの妖に…儂が勝てるはずは無かったのじゃな…)
パリパリと音を立てて身体から電気を発したままマミゾウは後ろに倒れ込んだ。
とら「ふぅ~、さてと…」
そのころ、寺の中に入り込んだ霊夢、布都、屠自古の3名。
霊夢「あれぇ?前に来たときはこんなに入り組んでたかしら?」
屠自古「恐らく向こうの誰かが常に寺の内装を変化させているんだろう」
村紗水蜜「その通り。元は私の聖輦船、自由にいじくるのは簡単よ」
霊夢「アンタ…」
千年前から聖白蓮を慕う者の一人で、彼女の聖輦船がこの場所に着陸しそれが命蓮寺となったのだ。
さらに3人の前に突如煙が巻き込み、その煙が厳ついおっさんの顔と成る。
布都「あ!この者は太子様を掴んだ…!」
雲居一輪「雲山よ。残念ながらもうすぐ白面の者の封殺が行われる…その場に行かせるわけにはいかないの」
霊夢「シロの気は感じられる…今の大体の位置もわかる。あとはそこに行くだけなんだけど…面倒臭いわね」
屠自古「そうか、あの入道が太子様を捕えたんだな?ならば私と布都で入道の相手をする、お前はあの幽霊を頼む!」
霊夢「分かったわ!」