れいむとシロ   作:ねっぷう

55 / 101
第55話 「尖撃」

ガチャ

 

白蓮「さぁ、準備が出来ました」

 

星「これより白面の者、お前を処刑します」

 

シロ、神子、青娥、ナズーリンの4人が幽閉されていた部屋の扉を聖と星が開ける。

準備、つまり先ほどナズーリンが話したシロを封殺するための粘土やらの準備ができたのだろう。

しかし、2人の後ろにもう一人の誰かが控えていた。

神子たちは少し頭をずらしてそれが誰なのか確認しようとするが、その者は全身が隠れるほどのマントに顔が真っ暗になるほど大きなフードを被っていて良く見えない。

 

シロ「…」

 

シロは黙ったままフラフラと両手を差し出して星に近づく。

 

ナズーリン「駄目だ!君は行ってはならない!太子の言う通り、君は必要とされている!」

 

ナズーリンは立ち上がってゆっくりと歩くシロを止めにかかる。

だがシロは下から聖らを睨んだまま。そして今度は聖と星に駆け寄る。

 

ナズーリン「聖もご主人もどうかしている!不殺生を掲げていたはずなのに何故殺しができる!?」

 

白蓮「…」

 

ナズーリン「それじゃまるで…!ッ…!?」

 

星の胸ぐらを掴みながらそう諭す。

しかし、星はそんなナズーリンを殴って無理やり引きはがす。

 

星「もうお前は私の弟子などではない。敵だ。黙って白面が砕かれるのを見ていろ」

 

ナズーリン「ッ…!」

 

そう冷静に言い放った星を膝をつきながら見るだけのナズーリンには、その目の内に秘めた狂ったような色がとても恐ろしく見えた。

その時、ナズーリンの背後からとてつもない気が押し寄せる。

驚いて後ろを振り向くと、そこには凛とした顔でピンと立ち上がった神子と青娥が居た。

 

ナズーリン「君たち…さっきまであんなに衰弱したように見えていたが…?」

 

神子「何、私もかつては王とまで呼ばれた者だ、弱ったふりをしていただけだよ」

 

青娥「つまり、奴らの出方を見ていたのです。私たちは捕らえられた時より力を温存していたのです」

 

神子「隙を見ていたが、どうやらその時が来たようですね。特にそこの妖よ、お前の行動に流石の私も怒りを覚えた。かつての仲間をそのような言い分で手を上げるなど…許せるものか!」

 

ナズーリン「という事は…?」

 

ナズーリンが先ほどまでおとなしかったシロの方を向く。

そして目に飛び込んできた思った通りの展開に、思わずおおっ、と歓声を上げた。

 

メキッ…

 

白蓮「ぶ…!」

 

シロが勢いよく振り下ろした拳が聖の顔面を捉えていた。

そのまま勢い良く殴り抜け、聖の身体が音を立てて床に激突する。

 

シロ「さっきの御返しだ…よくも我を愚像の手で殴ってくれたな…!」

 

シロの尾の一本が倒れ込んだ聖をさらに上から叩きつける。

 

神子「さぁ、ナズーリン君と青娥は逃げて布都たちと合流するんだ」

 

青娥「かしこまりましたわ」

 

青娥はナズーリンを抱えると倒れた聖と星の隙間を抜けてその部屋を出ようとする。

が、その前に宝塔を掲げた星が立ちはだかる。

 

星「待て、逃がすか!」

 

神子「お前こそ逃がすものか。言ったろう、許せるものかと!」

 

神子は両手を合わせ、そして離すと右手には輝く剣が握られていた。

そしてそれを振るい、星の持っていた宝塔を叩き落とす。

 

星「く…コイツ…!」

 

神子「さぁ行け!そして霊夢らがこの聖を打ち破ったら聞いてくれ…何がお前を今回のような奇行に走らせた?お前に何が有ったのだ、と!」

 

神子の剣が星の身体を真っ二つに斬り抜ける。

傷こそないものの、何かがこと切れたように星は目を閉じ、気を失った。

 

白蓮「くくく…流石は…白面の者。予め肉体強化を施していなければ粉々に砕け散っていたでしょう」

 

シロ「…!」

 

白蓮「まさかここに来てこうなるとは思っていませんでした。ですが、貴方たちは知らないことがあった…」

 

聖は天井を指差して法力を放ち、天井の壁を崩す。

 

白蓮「ちょうどこの上が白面の者の処刑場なのです」

 

神子「…」

 

白蓮「白面の一撃でも何ともない私を超えられるのなら…逃げて見なさいな」

 

 

 

廊下の床の隙間から水がしみ出し、それが時間が経つにつれ増えついには霊夢の腰辺りまで届く。

その水が霊夢の脚を固定し飛ぶことを許さない。

通路を完全にふさぐほどの雲山を超える事も雲山に隠れている一輪を狙う事が出来ず苦戦を強いられていた。

 

霊夢「うおおお!」

 

霊夢は何度も霊撃を放つが、村紗の方から無尽蔵に押し寄せる水の波に無効化される。

 

布都「さっきも申したであろう!そのように分散した攻撃ではダメだ…」

 

その時、雲山の巨大な拳が布都を殴り飛ばす。

 

布都「ぐえ…」

 

霊夢「分散とか鋭くとか言われても…分からないっての…!」

 

村紗「このまま水かさが増えればお前は溺れ死んでしまうだろうねぇ…早く抜けた方がいいんじゃない?」

 

まさに悪霊、地縛霊のような残酷な笑みを浮かべる村紗。

 

一輪「最も、雲山と村紗が集めた水からは逃げられないだろうがな!」

 

布都「くそう…」

 

殴り飛ばされた布都が立ち上がりながら言う。

 

屠自古「…『尖撃』だ!」

 

雲山に雷撃を食らわしながら屠自古が霊夢に叫びかける。

 

霊夢「尖撃?」

 

布都「そうか!尖撃とは仙術の心得の一つだ。攻撃を一つ処に当てながらも他所への攻撃にも気を配る…つまり真ん中の一本だけ針の長い剣山で殴る様をイメージするのだ…」

 

霊夢「って言われても…」

 

その時、霊夢の腰までつかるほどの水がシャボン玉のように霊夢を包んだ。

瞬間、その水が霊夢の口や鼻に入り込もうとするので霊夢はあわてて口を固く閉じ鼻をつまんだ。

 

村紗「いつまでそうしていられるかしらね?」

 

その水玉の中に水流が発生し霊夢の身体が水玉の中でグルグル回る。

 

霊夢(むぐぐ…一本だけ針の長い剣山…)

 

一輪「助けないのか?」

 

布都「助けたくても…この入道が邪魔をするのだ!」

 

屠自古「さっきからいい加減にしろよ…!」

 

怒りを秘めた表情で雲山と一輪を睨みつける屠自古。

そして雲山の目の前まで迫ると周囲に思い切り放電をかます。

 

一輪「ゲ…!」

 

雷は文字通り雲のような体の雲山の体内を駆け巡り、雲山は無数の小さな煙の塊に分かれてしまう。

 

一輪「雲山!」

 

布都「よそ見は禁物だぞ?」

 

布都が一輪に放った皿が彼女の顔面に命中する。

 

一輪「やったなァ~!!」

 

霊夢(…)

 

村紗「諦めたのか?そろそろお前の息も続かなくなる頃かな?」

 

霊夢(分かる…集中すると息が苦しいのも気にならない。目はつむっていても敵の気は完璧にとらえているし体中で周りを感じられる。心を尖らして撃を放つ…)

 

村紗「では溺れ死んでしまえ!」

 

村紗は周りの水も水玉と合体させ、水玉の水圧を高めていく。

 

霊夢(…夢想封印・尖!!)

 

霊夢の放った夢想封印の初撃は巨大な杭のように一直線に水玉を突き破って飛んでいく。

それは村紗の胸に直撃し、村紗は杭に押される形で吹き飛び壁に激突する。

 

村紗「ぎゃあ…」

 

さらに放たれた色とりどりの霊撃が水玉を内から破壊しながら村紗に止めを刺さんとぶつかっていき、炸裂した。

村紗はガクリと床に落下し、気を失った。

 

霊夢「はー、はー…ようし…!」

 

布都「見事じゃ!我らはもうしばらくここで踏ん張るのでお主は先に…!」

 

霊夢「分かってるわ!!」

 

一輪「くそ、待て!」

 

霊夢は一輪の攻撃を振り切ってシロの気を感じる場所へと向かって行った。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。