れいむとシロ   作:ねっぷう

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第63話 「七夕」

霊夢「はぁ~、こりゃ今日も暑くなるわね~」

 

大きめの桶に入った水を、柄杓を使って庭にぶちまける。

いわゆる打ち水というやつだ。

こうも毎日気温が高くては暑すぎて何もやってられない。

 

霊夢「この前貰ったスイカでも切ろうかしら」

 

シロ「…」

 

霊夢「何よ?シロも食べる?」

 

シロ「もう怪我は良いのか?」

 

霊夢「当たり前じゃない、何か月経ったと思ってるの?」

 

霊夢は自分が骨折していた脇腹をさする。

春に聖らと戦った時に負ったものだが、さすがにもう治っているだろう。

 

シロ「…ん、また来たのか」

 

霊夢「またアイツか…遠くでやってよ、も~」

 

縁側で寝転がっていたシロが何者かの来訪を察知して立ち上がる。

そしてふわりと屋根の上まで移動すると、上を見上げる。

すると物凄いスピードでこちらにやってきたのは…。

 

比那名居天子「今日こそはお前を叩きのめしてやる!」

 

天界と呼ばれる雲の上の世界に住む天人という種族の比那名居天子だった。

普通、天人は悟りを開いたり、高い業績によって神霊化した人々が成るものであり、神々と呼んで相違ない存在である。しかし、天子は前述のように「棚からぼた餅」で天人になってしまった存在であるため、周囲から天人としての資格を具えていないとされて「不良天人」、「天人くずれ」などと呼ばれている。

 

シロ「…」フワ

 

シロは天子から逃げるように西へ飛び去っていく。

 

 

さかのぼる事1週間ほど前…

 

天子『お前が噂に聞く白面の者…いえ、シロね!?』

 

神社の屋根の上で眠っていたシロのもとへ突如現れた天子。

 

天子『天界にもお前の事は少し知れ渡っているわ。それで、私は最近退屈だったから…せいぜい私を楽しませてみなさいよ?

 

 

シロ『うるさいな…』

 

一瞬顔を上げたシロだが、すぐにまた腕枕に頭を乗せ尻尾を自分の周りに置きなおす。

今はできるだけ寝させてほしい。そう思いながら軽くあしらおうとした。

 

天子『うるさいって…じゃあすぐにそんな事言ってられないように…』

 

逆にそれが天子の怒りを誘ったのか、若干キレ気味に天子はどこからか刀身が赤く揺らいでいる剣を取り出す。

 

天子『この緋想の剣に…どこまで耐えられるかしらね?』

 

どうやらあの剣は緋想の剣というらしい。

周囲の気質を集めて吸収し力に変換する事が出来る。また気質そのものを切り裂く事も出来る。

相手の気質を放出させ相手の気質の種類を見極めると共に、吸収した気質をコントロールして相手の弱点の気質に変化させ弱点を突く事が可能らしい。

 

天子『えりゃあああ!』

 

天子がシロに斬りかかろうとする。

 

霊夢『こらーッ!』

 

が、そこに乱入してきた霊夢の一喝で2人の動きが止まる。

 

霊夢『アンタまた神社を壊すつもりじゃないでしょうね?』

 

天子『邪魔が入ってしまったわね…気に入ったわ!また来るから!』

 

 

あれ以来、もう一度来たときは上手い事シロに逃げられ、そして今回が3回目の襲撃、という事になる。

 

天子「待ちなさいよ!なんでいつも逃げるのよ!?」

 

シロ「お前はいつも臭いのだよ、だから逃げてもいいであろう?」

 

天子「なっ!?」

 

天子は自分の腕を鼻に押し当てて自らの匂いを嗅ぐ。

仙人は妖怪にとって御馳走となるらしいが、逆に天人の肉は妖怪にとって毒だという。

なので妖怪として最上位に位置するシロには、その匂いが一層きつく感じるのだろう。

 

天子「私のどこが臭いのよ!もうあったまきた…喰らいなさい!」

 

そういうと、天子は剣を一度振るって衝撃波を発生させる。

だがシロは尾の一本を鉄の尾に変じさせ、それで向かってくる衝撃波を全て叩き落として見せる。

 

シロ「お前では勝てぬよ、我にはな」

 

天子「ぐぬぬ…じゃあこれならどう!?」

 

天子はどこからともなく周囲に大量の要石を呼び寄せ、それの尖った方を一斉にシロに向けた。

そのまま要石は一斉にシロに向かって飛んでいく。

しかし、シロもその迫力に臆することなく、9本の尾を使って巧みに要石の軌道をずらし、互いに衝突させ徐々に威力を殺していく。

 

天子「最後よ、この相手の弱点を突く緋想の剣で…!」

 

天子はいよいよ剣を握りなおし、それを肩の後ろへ回し剣を構える。

そして一気にシロとの間合いを詰め、その尾の一本に剣の一撃を叩きこむ。

剣はぐにゃりとシロの尾に包み込まれていく。

 

シロ「…ダメであろ?」

 

天子「この手ごたえは…」

 

案の定、剣は尾にはじき返される。

剣ごとかなり向こうまで吹っ飛ばされていったようだ。

ここまで反射の威力が強いという事は、シロの弱点の気質に変化した緋想の剣もかなり強力であったという事だろう。

 

天子「ヤツは…?」

 

ようやく体勢を立て直した天子だが、既にシロは空から姿を消していた。

 

天子「もう、また上手く逃げられたわ!」

 

 

 

カー カー

 

シロ「…ふぅ」

 

夕方だ。

神社へと戻り、いつものように屋根の上に座り込む。

遠くを数匹で飛んでいるカラスを、なんとなく眺めてみる。

 

シロ「今の我としては、騒がしくせずに静かに…過ごしたいんだがな」

 

霊夢「おーい、なにたそがれちゃってるのよ」

 

シロ「霊夢…」

 

屋根を上って霊夢がやってくる。

肩に担ぐように何やら大きな笹の枝を持っているようだ。

 

シロ「おい、登ってくるなよ…」

 

霊夢「いいじゃないの、別に」

 

シロ「それに、その笹はどうした?」

 

シロは霊夢が持っている笹を指差して言う。

 

霊夢「何よ、アンタ七夕知らないの?じゃあハイ、この短冊に願い事書くのよ」

 

シロ「ああ?願い事だと?何で我が…」

 

霊夢「一人で枯れ果てるよりはマシでしょ、いいからハイ!」

 

霊夢は鉛筆と上の方に小さな穴と紐のついた短冊をシロに渡す。

 

シロ「今日はやけに喋るな。無理しておるだろう」

 

探りを入れるように隣の霊夢に話しかける。

 

霊夢「ありゃ、バレた?…やっぱりね、私だって怖いのよ。こう見えても人間だしさ。今まで色んな妖怪を退治したり、異変を静めたりとかしてたけど、それらもこれから起こる事に比べればちっぽけな事で満足してたにすぎないわ」

 

シロ「…ふん、それでお前は書かないのか?」

 

霊夢「書くわよ、どれ」

 

霊夢も鉛筆と短冊を取り出すと何かを書き始める。

 

霊夢「できた!」

 

願い事を書いた短冊を笹の枝に紐で結び付ける。

 

『いつもの日常に戻りますように』

 

シロ「ほーう、お前にしてはまともだな」

 

霊夢「もっと食べ物とかお金とか欲しいもんはいっぱいあるんだけどねー。でも、そういうのをいくら持ってても、やっぱりいつもみたいな日常じゃないと使ってらんないでしょ?」

 

シロ「…よし、書けたぞ」

 

霊夢「聞いてる?」

 

シロ「ここに結べばよいのか…おや」

 

シロも短冊を笹に付けようとしたとき、他の短冊が目に入る。

魔法をもっと使えるようにするだとか、酒が欲しいだとか目に覚えのある雰囲気の短冊までかかっている。

 

シロ「お前、まさか我が居ない間これを持ってまわっていたのか?」

 

霊夢「そうよ。それは魔理沙でー、それは萃香で…」

 

シロ「言わんでもわかるよ」

 

霊夢「アンタはなんて書いたのよ?どれ…」

 

『霊夢を殺せますように』

 

霊夢「…」

 

シロ「けけけ、それ以外に思いつくかよ!それにさっきいつもの日常がどうとか言ってたが、お前は我が殺すんだからそんなもの戻ってくるわけなかろうに…」

 

その瞬間、霊夢のチョップがシロの脳天に炸裂した。

 

シロ「いてて…」

 

霊夢「呆れた!これ縁側に飾ったらもう中に戻るわ」

 

シロ「…」

 

霊夢は再び笹の枝を持ち直すと、神社の屋根を滑り降りていく。

その時シロはこっそりと笹の枝に、もう一枚書いておいた短冊を引っ掛けた。

 

『霊夢と同じ』

 

 

 

昔から、月の光は人を狂わすという言い伝えがある。

それならばそれならば、月に照らされた者の他に、月そのものが狂ってしまっている、という事はあるだろうか。

月そのものが狂ってしまっているから人を狂わす光を放つ。

もしそうだとすれば、そこに住む者たちはどうなのだろう?

さあ、霊夢とシロ達は招かれざる敵を追い返すことが出来るだろうか。

 




いつものことだけど、結局何が言いたいのかよくわからない話になってしまった…
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