れいむとシロ   作:ねっぷう

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第66話 「ミツルギ」

月の民は、地上の妖怪やましてや人間などとは比べ物にならない程の戦闘力を誇っている。

これは実際にあるかぐや姫の物語にも、かぐや姫を迎えにやってくる月の軍隊を地上の人間の軍が迎え撃とうとするが全く相手にならなかったというシーンからも良くわかるだろう。

月の民そのものの戦闘能力の他に、我々の住む外の世界よりもはるかに秀でた科学力も優れている。

木造りの古臭い戸は触れずとも自動で開き、本の文字は拡大縮小自由自在、果てには森を素粒子レベルで分解する風を起こす扇子など、想像もできないようなものがあるようだ。

 

そして月の都の軍には、そのような科学に頼らず己が造り上げた元始的な武器と極めて高い身体能力を持つ精鋭の戦士たちが居る。

月の三剣士、『ミツルギ』である。

 

 

「地上の妖怪だ、浄化してやる!」

 

相変わらず戦艦から排出される玉兎たちが3人に襲い掛かる。

玉兎の放った銃弾がシロの身体に突き刺さった。

 

藍「シロ殿、大丈夫ですか!」

 

シロ「…良い、こんな様に…」

 

シロは9本の尾を目いっぱい広げ、近くの玉兎を全て薙ぎ払い地上に落としていく。

 

シロ「叩き落とせばいいのだ!」

 

「馬鹿め、こっちは銃!」

 

「そうだ、全方位から同時に撃たれて無事でいられるか?」

 

シロの周りに群がった銃を構えた玉兎がそう言う。

それと同時に、弾丸がマシンガンの如くシロに向かう。

 

シロ「け…」

 

バリィ

 

とら「やいやいてめぇら!わしを忘れんじゃねぇ!!」

 

とらの放った雷撃が銃弾の威力を殺し、銃弾はパラパラと粉のように砕け散る。

さらにオロオロしている玉兎たちの頭を掴み、次々に互いに衝突させていく。

 

「信じられない…私たちの銃が…!」

 

藍「敵はまだ来ます!」

 

 

─飛空戦艦内部

 

グルカ「見苦しいな。我が月の兵士が、普通に戦っておる…」

森羅万象(しんらばんしょう)()双剣(そうけん)、ミツルギの一人「倶琉花(グルカ)」。

 

ムジカ「それとも、奴らに何か特別な力があるのか」

 

有頂天外(うちょうてんがい)(ひび)舞拳(ぶけん)、ミツルギの一人「夢時嘉(ムジカ)」。

 

ダイト「特に、あの雷の妖怪と白い妖怪…」

 

鎧袖一触(がいしゅういっしょく)()凶刀(きょうとう)、ミツルギの一人「内屠(ダイト)」。

 

グルカ「では、照射してみるか?地上の者の力を奪う、我らの光を」

 

我らの光…そう、春に命蓮寺にこのミツルギの一人が現れた時、その顔から月の光を放ち神子を初めとして面々の力を奪い動きを止めた、あの光だ。

そしてこの戦艦からその光を照射させた。

 

 

カッ

 

戦艦の大きく広げた翼から、当たった者の力を奪う月の光が放たれる。

この光は下級兵に使う事は許されない、少なくともミツルギより位の高い者でないと扱うことのできない。

 

藍「あの光は…力が抜けるようだ…」

 

光に触れた藍が空中でぐったりと倒れ込む。

 

「よし、今のうちに消してしまえ!」

 

勿論、月出身の者に光は効果が無い。

藍が動けなくなったのを見て玉兎たちが一斉に銃を構える。

が…

 

とら「わからん奴らだな、わしにはその光はどういう訳だか効かねぇのよ!」

 

やはりとらにはその月の光も効かなかったようだ。

 

シロ「何だか分からぬか、その不思議な光も我には効かぬぞ」

 

それはシロも同様だった。

この光は一般的な地上の民は先刻の豊聡耳神子たちや命蓮寺の妖怪のように瞬く間に力を奪われるが、穢れ、つまり生命力や死穢の匂いが強すぎる者には効果を示さない。

藍が言ったように化身を生み出し、沢山の生き物を殺してきたシロと、かつてその身にシロを宿していて不死身と化しているとらには光が効かないのだ。

 

「何だ、アイツらは普通の地上の妖怪ではないのか…!?」

 

シロは玉兎らに向けて火炎を放つ。

戦艦に乗っている月の民も光は無駄だと悟ったのか、光の照射を止めた。

それと同時に、いよいよ戦艦が戦いに赴くのか、カラカラという音と共にこちらへ向かってくる。

 

 

 

─妖怪の山

 

山の湖に設置された月の民の湖面前線基地。

清蘭から基地の場所を聞き出し、ここへたどり着いたようだ。

 

鈴瑚「くそう、強すぎるなぁ…」

 

霊夢「どう?これで諦めた?」

 

その玉兎、鈴瑚はイーグルラヴィとよばれる地上調査部隊のいわゆる情報管理職という閑職を担っている。

4人はとりあえず基地より現れた部隊の代表を倒した。

 

鈴瑚「ああ、地上にもずいぶんと強い奴がいたもんね。食べ物も色々あるし私も地上に生まれたかったわぁ」

 

空中に浮かびながら頭の後ろで手を組み、逆さまになる。

 

霊夢「えーと、今ってどういう状況?」

 

鈴瑚「まぁ、負けたんだから色々教えてあげる。今、月の都に行くことのできる道は2つある。一つは私たち調査部隊が通って来た槐安通路、そして普段は開いていない月の通路。でも月の通路は危険だよ、何でも実力派の軍隊が通路を通っているとか何とか。私としては槐安通路をおススメするね」

 

魔理沙「月の連中が、機械を使って幻想郷を浄化して侵略しようとしてるんじゃないのか?」

 

魔理沙が尋ねる。

 

鈴瑚「半分正解。本当の事を知りたければ、やっぱり槐安通路に入るのをおススメするよ。それだけ強いのなら行ってみるといいわ、ルナティックキングダムへ!」

 

 

 

とら「なんだか、スゲェ事になってきたな…」

 

向かってくる玉兎や機械兵をあらかた片づけた三人。

 

藍「では、あの戦艦に紫様が居るはずだ、行きましょう!」

 

藍を筆頭に浮かぶ巨大な戦艦に向かって行く。

が、現実の艦で言えば艦橋に当たる本体の細まった先端から、何かが猛スピードでこちらへ向かってきた。

 

シロ「おい、あそこから──」

 

シロがそういう間もなく、文字通り一瞬でこちらへ向かって来た3つの人影。

とらとシロには見覚えのある、ぶかぶかの厚ぼったいマントとフードを羽織った月の民が3人だった。

 

とら「おめぇらは…!」

 

一人は自分の身の丈の半分以上もある長さの太刀をシロに叩きつけ、それをシロが鉄の尾で受け止める。

 

シロ「け…何という重い一撃…!」

 

が、あまりの威力に地上に向けて叩き落とされてしまう。

次のもう一人は拳から肘まで包み込んでいる銀色の鉛のようなグローブをはめた両腕で藍を上から殴りつける。

 

藍「うお…!」

 

間一髪で両腕で受け止めるが、やはりシロと同じく下へ叩きつけられた。

 

とら「おい、大丈夫か!?」

 

「心配してる場合か?」

 

とら「くっ…」

 

3人が叩き落とされたのは、迷いの竹林の中のどこかだった。

丁度竹の少ない広い場所だ。

3人がようやく体勢を立て直し、立ち上がる。

 

シロ「奴らめ、中々強いな。我の鉄の尾に大きなヒビが…」

 

シロは先ほど攻撃を受け止めた鉄の尾を自分の前へ持ってくる。

シロの言った通り、鉄の尾は大きな亀裂が走っていた。

 

藍「私は…腕が…」

 

藍の左腕はいつもの2倍ほど赤く腫れあがっていた。

 

とら「折れたのか?」

 

藍「いや、折れてはいない…」

 

シロ「そういうお前は無傷なのだな」

 

とら「髪の毛がバッサリやられちまったけどな」

 

髪の毛を高質化させ、ミツルギの一人の攻撃を受け止めたのだが受けた髪の毛がばっさり斬りおとされてしまったようだ。

その時、先ほどのフードの3人が前に降り立った。

 

とら「おい、コイツらの内の誰かだぜ、おめぇを滅ぼすようにあの尼公に吹き込んだのはよ」

 

とらはヒソヒソとシロに耳打ちする。

それを聞いたシロは目を細めて3人をじっと睨みつける。

 

「八雲紫を預かっている、という手紙は見たな?」

 

藍「…ああ」

 

「では、その白い獣の命をこちらへ渡せ。あの戦艦の地上を浄化する砲撃で、一瞬で消してやろう」

 

藍「断る。そもそも、何故シロ殿を消そうとする?こっちの事など軽んじるお前達月の民が、いくらシロ殿がお前らの言う穢れの強いからといってこだわるのか分からん」

 

とら「そうだぜ。しかも、寺であった時にゃ都を脅かすとか言ってたな?ずっとこっちに居たコイツが、どうやって月なんかに行けるってんだよ?」

 

「では、我らと戦うのを選ぶという事だな?我らに勝つことができれば、それも全て教えてやろう」

 

「まぁ、下賎で穢れた地上の民に負ける訳はないんだがな」

 

とら「面白れぇ、やってやるよ!全員でかかってこいや!」

 

 




森羅万象を裂くグルカ、有頂天外に響くムジカ、鎧袖一触に断つダイト。
知ってる人は分かると思います。

やはり投稿してしばらくしてから誤字やミスを見つけるとすごく恥ずかしい
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