あのジジィに一杯くわされた後、すぐに俺たちは所属する(させられる)鎮守府に移動しなければいけなくなった。そりゃ荷物やらなんやら全部送られてんなら家に帰っても意味ねーわな。ということで俺と木曾は学校で俺を拉致しやがった怪しい野郎の車に乗って移動することになった。
「いやぁ、一時はどうなることかと思ったよ。」
「こちとら嵌められた挙げ句勝手に高校退学させられて踏んだり蹴ったりな訳だがそこんとこについてはどう思ってるか聞かせてもらえませんかねぇ?」
「まぁ私がやったわけではないからなぁ。」
「おう、今すぐ車降りろてめぇ。」
こいつはギルティ確定だ。今すぐ奈落の底に落とさなければ今後も被害者は増えるかもしれない。今ここでこいつを抹殺するのは人類にとって少なからず有益なはずだ。
「まぁまぁ、落ち着けって。なっちまったもんは仕方ないさ。な?」
「今回は命拾いしたようだが次はないぞ。」
え?態度変わりすぎ?ばっか何言ってんだ木曾に頼まれたら断れないだろ。
「はははっ。早速仲良くやってるようで結構だ。自己紹介が遅れたね。私の名前は樺口 秀留(かぐち ひでる)だ。よろしくな。」
「何とも読みにくい名前だな。読み仮名なかったら何て読むかわからなかったぜ。」
「おい、あまり文章面のメタ発言は控えろ。」
そんなやりとりをしている間に目的の鎮守府に着いた。
「ひっろいなぁ」
俺の所属する鎮守府についての感想だった。まずデカイ。鎮守府そのものの大きさもあったが敷地などを含めると相当な大きさであった。ここの鎮守府は佐世保鎮守府と呼ばれているらしい。何故ここの鎮守府なのかという理由に関しては「ちょうどここ空いてたからじゃよ。なーに平気じゃよ。…多分の。」だってよ。適当すぎぃ!
とにかく、この糞拾い鎮守府が今日から俺の家になるのである。
「じゃあ僕はここまでだから後は木曾がここの中を案内してやってくれ。」
「おう、わかった。じゃあしゅ…いや、『提督』行こうぜ。」
「お、おう。」
提督と呼ばれるのは少し照れ臭いな。こう実際に言われると提督になっちまったんだなぁっていう実感がわく。
「?どうした?早く行こうぜ。」
やるからにはとりあえず色々勉強しなきゃなぁ…。鎮守府というものについても色々知っていく必要がありそうだ。
「あぁ、今行くよ。」
こうして俺の提督生活という道へ第一歩踏み出したのだった。
こうして、俺は鎮守府内を木曾に案内してもらった。執務室、食堂、風呂場、その他もろもろ。工廠には妖精さんと呼ばれる小さな…小さな…何かがいた。食堂には今は来ていないが明日からは間宮さんという人が食堂の管理をするそうだ。
「んで、ここが提督の私室だな。」
「ここか。」
木製の若干高級感のある扉だった。今までこんな扉の部屋に入ったことないから少し戸惑ってる俺がいる。
「提督の荷物とかも全部ここに送られてるからな。」
「!?それは本当か!?」
「え?あ、あぁ。」
俺は躊躇いもせず、扉を開ける。その部屋にはダンボールが山のように積み上がっていた。この中に…!
「あった!俺の娯楽達よ!!」
PS3に大量のPSP、ノーパソに…あぁ…フィギュア達も!ハードもあるのか!?…バトマスにフルブ、モンハン…その他もろもろ…よし!あるな!マンガも全部揃ってる!アニメのDVDボックスもBlu-rayもあるな!おぉ!プラモも全部ある!
俺が荷物に熱中していると木曾が話しかけてきた。
「そ、それは全部提督のものか…。」
「おう!娯楽というものはすばらしいぞ!」
「まぁ俺はあまりそういうのをやったことないからわからないが…。」
「何だと!?それはいかん。今度一緒にやろう。」
「お、おう。」
そうして俺の部屋の荷物をセッティングしてる間にいつの間にか夜中になり、各自部屋に戻って寝ることにした。忙しそうな毎日だが暇ではなさそうだ。俺は楽しみという感情と不安という感情を俺の中で実らせつつ、瞼を閉じるのであった。