あれから更に数日がたった
その間にベル君がゴブリンを倒して一喜一憂したり、ヘスティア様が寝坊してバイトに遅れそうになったり、エイナちゃんがベル君に超絶スパルタ講義を実施して終わったあとのベル君がどこぞのボクシング漫画の如く燃え尽きてたり、俺がベル君とヘスティア様のじゃが丸くんに染まった食生活を知り、これは不味いとお裾分けを行なった結果、ヘファイストス様から『通い妻みたいね?』って誂われたり平和な日々を過ごしていた。
うん、実に平和だ。出来ることなら何処ぞの色ボケ女神様はこのままヒッキーを続行するか都市の外に闇派閥の連中を連れて逃避行でもしてくれないだろうか?とか妄想するくらいには平和だ。
「で、ヘファイストス様。一応確認したいんですが俺ってファミリアでも一応…うん。一応幹部の末席に名を連ねてる筈ですよね?」
「ええ、一応どころか副団長候補筆頭ね。ソレもそもそも貴方が
後進の育成補助やファミリアの団員がアビリティ熟練度を上げるために素材集めて来てくれたり、団員の健康管理と実績に関しては貴方の理由を加味しても補って余りあるわ。
今からでもなる?」
「大変光栄な評価は有り難いです。ですが…それなら余計にわからないんですけど?」
副団長は自由人な団長のオモリも兼任することになるので嫌だ
何故俺が次のロキ様のとこの遠征に付き合わないと行けない?
行くメリット無い。現時点でランクアップも可能。残ってる熟練度もこのままソロで稼げるし、隠してる手札も晒したくない…そもそもランクアップしていないのだって鍛冶の発展アビリティが生えるのを期待しているってのがある。
故にわからない…何故俺が
「ロキ様のとこのファミリアの炊事をやりに行く話になるんですか!!」
「そうよねー。そりゃそうなるわよね~。貴方には悪いと思ってるわ。本当よ?けど聞いて頂戴?不幸な事故だったのよ。実はね…」
そう言って話始めるヘファイストスの言い分を聴いた結果
「…つまりロキ様がギルドの受付嬢にセクハラしに行っててローズが同僚に俺から貰ったケーキの話をしてるところに出食わした。
それで興味持ったロキ様がウチに来て、俺がファミリア内で炊事やら団員の健康管理をしていることとかを団長とか他の団員の何人かに聴いて料理が見たことないものばかりで滅茶苦茶美味いことを知り、丁度ファミリア内で作られる料理のレパートリーに飽きてたロキ様がヘファイストス様に駄々っ子よろしく泣きついて来て?余りにしつこい為、
「一応、遠征が終わってからって聴いてるわ。何でも例のスイーツや料理とかで団員を労いたいってことみたいね。いつもやってる『豊穣の女主人』とは別でサプライズしたいらしいわ」
「団員思いのロキ様らしいですね。なら、帰ってきたら詳しい日程調整してきますね」
「本当にごめんね?」
「本当ですよ。いきなり凄く重々しい雰囲気で申し訳無さそうに『近いうちにロキのとこに行ってくれない?』とか言われたんで
「あぁ、そういえばロキから『2大派閥のトップを危険に晒せないって理由でフレイヤの都市外デートに付き合ったんなら今度ウチにもエスコートしてくれん?』って言われたんだけど…貴方、いつ外に出たの?」
「ベル君が来る少し前に発作中のフレイヤ様に偶然遭遇して連行されました。
ちなみに断ったら一人で行くとか言ってて眷属連中にバレたら闇討ちされそうだったんで仕方なく仮面付けて同行してました。
まぁ一週間位ですけど…ヘディン、ヘグニ、オッタル以外は話通じないわ。
糞ネコと四つ子からは5人掛かりで奇襲されて初撃防いて反撃しても数合打ち合ったら片腕もがれて、武器に罅入れられてって具合に散々な目に合いましたね…そんでなんやかんやあって最後は国を救うことになりました」
ちなみに糞ネコと四つ子には最終的に糞ネコから空に打ち上げられて毒撒き散らして一矢は報いたけど、四つ子の連携で空中でコマみたく錐揉みにされて左腕が千切れたと思ったら地面に叩きつけられて糞ネコが止め刺しにきたとこでフレイヤ様の静止が無ければ死んでたりする。
ちなみに後でヘディンから聴いたら襲撃者側からしたらレベルからして軽症過ぎてドン引きしてたらしい。
俺の最後の毒が耐性ブチ抜いて5人全員が麻痺して動きが鈍ってたらしく警戒度爆上がりしたのと糞ネコの奇襲に反応して初撃防いで反撃出来たこと…5人掛かりの奇襲に1分も持ち堪えたこと全てが可笑しいってヘディンから指摘されてたりする。
ヘグニは千切れた腕拾って来てくれた挙げ句エクリサーで治療してくれた良いやつで友達になった。
オッタルは道中相談に乗って愚痴聞いてたら好感持たれてフレイヤファミリアにくるなら何時でも歓迎してくれるって言ってた。
国の救済?フレイヤ様が魅了使ってオッタル達が無双して終わって下手人の神については俺が毒で意識奪って引き渡してフレイヤ様に持っていったらあっさり送還された。
まぁ、そのせいでその国の王女様からフレイヤファミリアじゃないからって理由で勧誘されたりしたけど断って、帰ってからはベル君関連で色々して今に至る。故にフレイヤファミリアに貸しが一つ出来たって話である。
「何やかんやってのが気になるけど、その様子じゃ大変だったみたいね?」
「二度とごめんです。」
あの連中をまとめるとかオッタルには同情しかない…今度飲みにでも誘ってやろうと思う。あと別でヘグニも
ヘディン?アイツはそういうのに興味無いって理由で断られそうだから誘うなら魔法談義とかアイテム関係の話する感じだろうし酒が邪魔になる。飯食べに行く気安い関係ってわけでもない。あと高級ワインとか置いてる格式高いとこしか選べなくなりそうって感じに色々と誘いにくい。
クソ猫と他は論外、残飯でも啜ってろ
更に数日後
「ヘスティアのとこの子が、今日街中を血塗れで走ってたみたいね。何があったの?」
「五階層にミノタウロスが出てきたらしく「ミノタウロス!?」はい。そのミノタウロスに追われて死にそうになったところで剣姫に助けられて返り血浴びたらしいです。」
「ミノタウロスに五階層で遭遇するとは運が無いと見るべきか助けられた事に幸運であったと見るべきか迷うところね」
「まぁそのミノタウロスも剣姫たちロキファミリアが原因らしいんですけどね」
「つまり剣姫は自分たちの失態の後始末をしたってことね」
「そうです。ついでに彼女はベル君の大切なものを奪って行きました」
「え?どういうこと?」
「ベル君、剣姫に惚れたみたいでヘスティア様はそれを知った事で不機嫌って具合でヘファイストス様はおそらく飲みに誘われます。」
「なるほどね。苦労して出来た大事な一人息子を取られたら不機嫌にもなるわ…了解、時間を明けて〈ガチャッ〉「ヘファイストス〜〜〜!!」…ヘスティア。ノックぐらいしなさいよ」
「おおっと、ごめんよヘファイストス!でも聴いてくれよベル君がー「はいはい。わかったから話を聴くからちょっと待ってなさい」」
そこでヘファイストス様の視線が向き
『知ってたわね?』
『勿論』
『責任持って酌しなさいよ?』
『肴何にします?』
『なんでも良いけどある程度お腹に貯まるもの』
『わかりました。後ほどお持ちします』
この間僅か1秒
「では私は少々失礼致します」
「あ、ヒビキ君!後でミアハも来るからミアハの分もお願いしてもいいかい?」
「問題ありません。存分に腕を奮わせて頂きます」
そう言って俺は退出するのであった。
ーーーーヘファイストスsideーーーー
「にしてもヒビキ君は相変わらず良い子だね」
「正直居ないと困る人材ね。私含めてウチの団員は時間を忘れて作品に没頭しがちで栄養バランスとか二の次どころか食事や睡眠を忘れるとかざらだし」
「それはココに居候させてもらってたボクも知ってるけど、彼ヤバすぎないかい?挙げ句料理も美味しいし…心音とかを普段から聴いて体調の変化を把握してるんだろ?」
「まぁね。ついでにアレで戦闘能力は間違い無く第一級冒険者並み…魔法とスキルを考えたら格上も倒せるって理由でロキとか特に五月蝿いわね…幹部待遇で迎え入れるから欲しいって」
「ロキかー、確かに言いそうだね。ヒビキ君アレで実は顔も良いし後輩にもかなり面倒見が良い…よくボクやベル君もお世話になってるし…むしろボクも欲しい」
「やらないわよ」
「解ってるよ。ヒビキ君がヘファイストスの眷属であることを誇りにしてるって言われて前に断られてるし」
「初耳なんだけど?」
「うん、初めて言ったし。そもそもボクも受けてくれると思ってなかったしね。ほら、ボクが色んな人勧誘してた時あっただろ?その時疲れてて優しくされた時つい言っちゃったんだよ」
「なるほどね。アンタ結構ヘコんでたみたいだしね。あの子から聴いてると」
「その件にも感謝してるよ。もしもの時の保険として護衛につけてくれてたんだろ?ありがとう」
「私から言い出したんじゃないから良いわよ気にしないで」
そう、あれはあの子が私がヘスティアを追い出してあれこれ心配してる間に勝手に色々やっていたのだ
ついでに言うと今ヘスティアが住んでる廃教会の家主はあの子だったりする。理由はヒビキ曰く
『ヘスティア様に家が無い?最近家庭菜園に興味があって手頃な土地を探してたら見付けた廃教会に住ませる代わりに管理して貰いましょう。安心して下さい。事前に整備した地下室は直ぐにでも問題無く住めますし、私も利用するので外装も近い内に改築しますので』
って具合で決まったのだ。間違い無く私の行動を先読みして手配していたのは想像に難しく無い。
まぁその翌日には
「ヘファイストス〜〜!!お金が無いんだよ〜〜」って具合に泣きついてきて私がバイト先を手配することになったのだが…
ヘスティアだし仕方ないか…って具合にバイト先を紹介した。
この子の調子がおかしいと私の調子も狂う「ヘファイストス?」
…いけないいけない考え事に夢中になってたわ
「ごめんなさい。ヘスティア、考え事に夢中になってたわ」
「うん、それは良いんだけど何かいい事でもあったのかい?凄く優しい顔で微笑んでたけど」
「ええ、貴方が家やお金が無いって騒いでた時の事を思い出してたわ」
「えー…勘弁してくれよーあの時は色々切羽詰まってて大変だったんだぜ?」
「それは貴女が準備無しで来た自業自得でしょ?そもそも私が面倒見てた期間や追い出してからもヒビキが貴女に支援してたこと考えれば同じ環境でスタートした神よりかなりイージーだったのは貴女も自覚してるでしょ?」
「ゔぅ、ぐぅの音も出ない。」
「まぁそんな時の貴女が眷属を持って明るく過ごしてるのが私は嬉しいのよ」
「〜ッヘファイストス〜!!大好きだよ~!!」
感極まったヘスティアが抱き着いて来た
「えぇ、私もよ」
それを私は優しく抱き止め抱擁する
そうしてしばらくそのままの時間が過ぎた頃
〈コンコン〉
扉を叩く音がし、少しして私達が席に戻った頃、カートを押したヒビキが入ってくる。
その後ろからはミアハも来ていた。
「料理が出来たのとミアハ様がいらっしゃったのでお連れしました」
「いらっしゃい、ミアハ」
「今日はお招き感謝するよ」
そうして神々の小さな宴が開催された。