今日は空一面が雲に覆われ太陽を隠していた。外は晴れた日のように明るくなく少し暗いというところだった。
そんな日は風がいつもより冷たく手が凍える、今日は冬に近づき始めた秋。
歩道を歩いていると横を大型のトラックが排気ガスを出しながら私を追い抜いていく。それに続き3台の車が私の横を追い抜いていく。
運転手の顔は無表情でつまらないが一人で笑って運転しているというのもおかしいものだ。
私は高校に向け歩いている。紺色のカバンを右手に持ち眠気が覚めぬまま高校に向け歩いていた。
私の家は高校の近くにあるので寝坊をしたとしても遅刻をすることはない。だからと言って夜更かししてしまった私にも原因はあるのだが。
昨日の夜、つい面白い動画を見つけてしまいそれを見てからというものの、なかなか眠る切っ掛けができずいつの間にか3時になっていた。流石にそんな時間になれば私の脳が疲れ果ててしまったのだろうか、恐ろしい睡魔が襲ってきて歯も磨かずその場で眠りに落ちてしまった。
起きた時には既に8時半を過ぎていたので、まずいと思いどこかのラブコメのように焼いた食パンにジャムを塗りそれを咥え急いで登校するという妄想をしながらリビングに向かったが今日の主食は納豆と白いご飯であった。
それを掻き込むように食べると急いでカバンを手に持ち靴を紐を緩ませることなく履き行ってきますの挨拶もせず家を出た。
眠い、目を擦りながら歩いていると後ろからは同じ高校の奴らの笑う声が聞こえる。こいつらは毎朝毎朝よくもまあ元気でいられるなと毎日のように思う。
しかし奴らの声がいきなり止まったと思ったら
「やばい!にげろ!」「うわぁ!」
と言ったもんだから私は少し驚いてしまい咄嗟に奴らの方を向いてしまった。奴らは背を向け走っていた。
そして私の背後からはいつも横を通る大型のトラックの走る音が近づいてきていた。それは段々と大きくなってきて私が振り向いた時には大文字アルファベット5文字のエンブレムが目の前に迫っていた。
突如時間が引き伸ばされたかのようにゆっくりと迫ってきた。
ああ、死ぬのか。
私は受け入れているような気がしていた。
分からない、何が起こっているのか。
いきなり目の前が真っ暗になった。
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目が醒めるといきなり太陽の日が差してきた。私はそれを遮るように腕で太陽を隠した。
ざわざわと木が風にあたり騒ぐ音が聞こえる。それはさっきまでいたコンクリートの街では感じられないような大自然の香りがする。
起き上がってみるとそこは森であった。目の前には鬱蒼とした森林が続いているようだ。蔦が木に複雑に絡まり、倒れた木の上に木が生えている長年手が手をつけた形跡のないようなところだった、ここはどこだろうか。
辺りを見渡してみると四方八方光が遮られた暗い森に囲まれていた。私が目覚めた場所そんな森とは違い随分と開けた場所で花やそこまで高くない草が生えていた、なんなのだろうか。
すると何か頭の中で引っかかった。
『あらゆるものに干渉する能力』
聞いたことがないのになぜか引っかかっている、いつまでたっても消えないようなそんな記憶が残っていた。なぜだろうか。
私はここに至るまでを思い出してみた。朝起きてご飯食べて高校に行こうとして……うぅん、そこからの記憶が全くない。いつからここにいるのか、なぜここにいるのか。
私はおもむろに立ち上がるとポツリと呟いた。
「とりあえず動くとするか」
私は足を動かし暗い森へと入っていった。
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森の中を草を掻き分け歩いていると横から獣が鳴いているような音が聞こえた、やはり、この森には何かいるのだろう、そう思うとガサガサという音が響いた。
どこからだ、耳を澄ますと左の方から何かが近づいてくるのが分かる。しかし、分かったところで対処のしようがない、元いた場所に戻るか、いや、それでは追いつかれてしまう如何するか、身を隠してみるか。
そう考えるとすぐに近くに落ちていた枯れた大き目の葉を被って隠れることにした。動物は人間よりも何倍も鼻がいいと聞くし、こんなことで隠れられるとは思えない。とにかく隠れなければ、最悪殺されてしまうかもしれない。
私が筋トレを毎日欠かさず行い運動部に入っているようなバリバリ運動系女だったらここから逃げようと思っただろうが、生憎私は帰宅部であり筋トレなんて縁がない。バリバリのインドア派だ。
そうなってしまったら私は隠れるしかない、そうして生きてきたのだ。
近づいてくる、一歩一歩進んでくるのが分かる、心臓が外に響いているのではないかいうほど鳴っている、汗も止まらず臭いでばれてしまうのではないかとビクビクしている。
「うがぁぁぁあああああ!」
獣は私に近づいたと思うといきなり咆哮した。鼓膜が破れそうなほどの大きな声でパニックに陥りそうだ。そう思うと獣は私が被っていた大きい葉っぱを足で蹴飛ばした。
終わった。
その瞬間私は死を覚悟した。威圧が伝わってくるこんな巨大なものは見たことがない、クラスの不良の上本くんの方が何百倍もマシと思えただろう。
こんな時だというのに私はこんな暢気なことを考えてしまった、そうだ、逃げなければ。
私は逃げようと葉っぱを押しのけ逃げようとしたが体に力が入らない。獣の咆哮に私が怯えてしまっているのだろうか、どんなに力を入れようとしても思うように動かない、もうダメだ。
そう思った瞬間である。頭の中に優しい男の声が響いた。
『君には「あらゆるものに干渉する能力」があるだろう、君はこの世界、この宇宙、森羅万象に干渉して改変、発生、消滅させることがが出来るんだ。さあ、考えてみて、何に干渉するのか』
干渉、森羅万象、考える。
あらゆるもの、改変、発生、消滅。
そうだ……獣の存在自体に干渉しよう。
咄嗟に思いついたことを私は必死の思いで『獣の存在を消滅させろ』と念じた、自分の手を握り神に祈るかの如く念じ続けた、消えることを願い念じ続けた。
するとさっきまでいた獣の気配が消えていた、体も自由に動かせるようになっていたので顔を上げ辺りを見回すと。
「あれ?きえている……」
私は助かったと思いホッとしたのだがその後は何か恐怖を感じた、いったいこの能力は何なんだと。
私は暗い森の中でふらふらと立ち上がった。
見てくれてありがとうございました。