能力について色々試したがこの世界を出るということ以外はなんでもできそうだ。これは凄まじいチートだな……何か制限があるのかな。
そんなことを考え森を抜けていくと一軒の家が木々の間から見え、あれが地図にあった家のことだろうとそこへ向かって進んでいった。
抜けた先には茶色い屋根に白い壁そして屋根に付けられた看板『霧雨魔法店』であった。
とりあえず戸を叩いてみると
「はーい、誰だぜー」
という女性の声と共に戸が開かれた。そこには白黒の服を服に金髪で三つ編みを垂らしている黄色い瞳の少女、霧雨魔理沙であった。
「本物だ」
私は感嘆の声をあげてしまった。まさか本物の魔理沙を見ることができるとは。肌は非常にきめ細かく、顔立ちも良くまさに美少女というべき者だと思った。街を歩けば100人中100人が振り向くであろう容姿端麗なスーパー美少女。
「なんだぜ?」
魔理沙は不思議な顔でこちらを見つめている、なにか、なにか言わなければ。
「こ、こんにちは」
私は人と話すのが昔から苦手で目を見ることすらままならない、美少女ならなおさらだ。言う言葉もしどろもどろにってしまって顔が焼けそうな程熱くなってしまった。
「お、おい!だいじょうぶか!」
そう言って魔理沙は私に近寄るとおでこを触ってきた。それに私の脳は対応が追いつかずそのまま意識を手放した。
ーーーーーーーーーー
眼が覚めるといつもとは昨日とは違いベッドの上で眠っていた、あれ、どうしてここにいるんだろう。寝ぼけたままベッドに横になっていたのだが段々と思い出してきた。そうだ、魔理沙に興奮しすぎて倒れちゃったのか、そんなこともあるんだなと思いながら起き上がると扉が開き魔理沙が入ってきた。
「よお、おきたか」
魔理沙はそう言うと私に紅茶を持ってきてくれた。うん、いい香りだ、二つの意味で。
「突然倒れたからびっくりしたぜー。なんでいきなり倒れるんだぜー」
魔理沙は笑いながら言ってきた。言えない、魔理沙に興奮したから倒れたなんて言えない。私は苦笑いをしながら話を茶化した。
「た、助けてくれて……あ、ありがとうございます」
私は緊張と恥ずかしさを堪えながら小声ながらもお礼の言葉を言った。上手く言おうと思っても上手く声がでにくい、これがインドア派の末路か。
「まぁまぁ、いいんだぜ」
魔理沙は笑いながら返答をしてくれた、なんだこの天使の微笑みは。私はお礼をしなければと思い口を開いた。
「わ、私の名前、は、夢野あ、秋です……」
「ふーん、夢野秋って言うのか。私は霧雨魔理沙だぜ!」
「あ、あの……お礼をし、したいのです……が」
私はカクカクになりながらも勇気を振り絞って声を出した、これでも私としてはよくしゃべった方だ。
「いやいや、お礼なんてそんな大げさだぜー」
魔理沙は遠慮しているが何かお礼をしなければ気が済まない、こんなことを思ったのは初めてだ。
「い、や、受け取ってくださ……い」
「うーぬ、しょうがないぜー貰えるもんは貰っとけって言うしな」
と言いながらも魔理沙は満更嫌でもないようだ。喜んでくれると嬉しいのだが……魔理沙は魔法の研究に熱心だから魔法関連がいいかな。
「でも秋は手ぶらじゃないのか?別にそんな無理しなくてもいいんだぜ?」
私のことを心配してくれているようだ。大丈夫、私には能力がある。
『空中に干渉、魔法大辞典を出現させろ』
そう私の手のひらに向けて念じると想像どうりの茶色い表紙の分厚い辞典が5冊出てきた。私の腕に物凄い負担が掛かって本の下に挟まれている。それを横に引き抜きなんとか私の隣に辞典5冊を置くことができた、はぁ、重かった。
この大辞典は私の想像どうりであれば5000ページの巨大な辞典の中にびっしりと道具、材料、製法、魔法など恐ろしい数の知識が詰め込まれているはずだ、それが5冊もあるのだから沢山だね。
「……」
魔理沙はその辞典を見て驚いてしまったのであろう、こんな魔法辞典なんて世の中に存在しないからな、私が作ったから。
「ど、どう……ぞ」
私は心の中で少し優越感を感じながらカチカチで魔理沙に言った。魔理沙はその辞典に釘付けになっている、喜んでくれただろうか。
「……能力か?」
魔理沙は私を疑うような目でこちらは見てきた。私は首を縦に振り肯定した。
その後魔理沙は何か考えるかのようにしていたが納得したのかこちらを向いて本当に貰っていいのか?という目でこちらを見つめてきた。もちろん、私は出来る最大限の笑顔で応答したが少し魔理沙の顔が引き気味だった。
とりあえず、お礼もしたしどこか行こうかな。
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今日は変な来客があった、ここら辺じゃ見ないような変な服を着た女だった。
その女は私を見た瞬間「本物だ」と言って顔を真っ赤にした。本物だってなんだ。それでどこかおかしいのかと思って近寄って額に手を当てたら更に顔が赤くなって倒れてしまった。
仕方ないので私の部屋のベッドに寝かせておいたら太陽が少し隠れた頃女は起きた。
紅茶を持っていってやったら何故かニヤニヤしながら紅茶の匂いを嗅いでいた。変な女だ。
どうして倒れたんだと聞いても女は茶化したように笑いを浮かべていた。ますます変な女だ。
その女は夢野秋という名前らしい。聞いたことがないけれどきっと人里から来たのだろうが何故こんな服装なのだろうか。
秋の受け答え方はしどろもどろで小さく一部聞き取れないところもあったのだが、なんとか聞き取れたのは私にお礼をしたいらしい。お礼は貰って嬉しいが、流石に欲張るものでもないので遠慮気味に大袈裟と言ったのだが女は受け取ってくれと言う。
まあ、貰えるもんは貰ってやろうと思ったのだが秋は手ぶらであるものと言えば服か……!そんな無理をしなくていいと言ったその時、秋の目の前に巨大な本が5冊積まれ秋の腕が挟まれていた。この本は……辞典か?茶色い表紙の上に日本語で黒く『魔法大辞典』と書かれていた。
しかし何故突然辞典が目の前に現れたのか、能力かと聞くと首を縦に振り肯定を示した。…………収納?そうだ、収納か!
読みたい、この辞典を読んでみたい。心の奥底でワクワクしている、本当に貰っていいのか。
すると秋はこの辞典をあげると言ってくれた、しかしその時の顔はとても不気味な笑みを浮かべていた。
それから秋が出て行くと私はすぐにその辞典を開いた。目次のページには道具、材料、製法、魔法、魔方陣、その中にも火の魔法、水の魔法とかありえないほどの情報が詰まっていた。これならと思い研究でわからない製法を調べてみると……あった、それも何百種類も、しかも解説まで。一体これはどこで手に入れたのだろうか、あの秋という女は何者なのだろうか。
怪しいところもあるからパチュリーのところへ一冊を持って行くことにした。
紅魔館に着くと門番の上を通り過ぎメイド長に洗礼を受けながら図書館に侵入した。
「よう、パチュリー」
「魔理沙ね、今は忙しいの帰って頂戴」
「いつも本しか読んでないくせに」
「本を読むのに忙しいのよ」
パチュリーは私を見向きもせずあしらった。
「まあいいぜ、今日は本を持ってきたぜ」
私は話題を切り出すとパチュリーはようやく興味を示したようにこちらに目を向けた。
「あら、ようやく本を返してくれるの?」
パチュリーは私が本を返すと思っているようだが今日は違う用だ。
「いいや、違うぜ。この辞典を見てくれパチュリー、こいつをどう思う」
「あら、すごく……大きいわね。それでどうしたの?こんな辞典盗まれた覚えはないわよ」
「私は盗んでないぜ、自分死ぬまで借りてるだけだぜ」
「それを盗むって言うのよ」
パチュリーは呆れたいうに言った。私は本題を切り出す。
「パチュリー、この辞典の内容を見てくれ」
「ええ、いいわよ……」
パチュリーはそう言うと持っていた本を机に置き辞典の茶色い表紙に手をかけ開いた。
「……随分新しい辞典じゃない、どうしたのよ」
「なんか助けたらお礼に貰ったんだぜ」
「ふーん」
パチュリーは相槌を打ちページをパラパラとめくっていった。するとみるみるうちにパチュリーの顔が変わってきてページをめくる速度も遅くなってきた、段々と驚いた表情になり口を開きながら辞典を読んでいた。
「魔理沙」
パチュリーは辞典を読みながら私に話しかけてきた。
「なんだぜ」
「これはまずい代物だわ、早く処分しなければ大変なことになるわ!」
何故慌てているのだろうか、そんなにまずいことが書いてあるのだろうか。
「どこがそんなにまずいんだぜ」
「博麗大結界と、幻と実体の境界の解除、破壊の方法よ!それ以外にもこの幻想郷維持の機密が解説付きで堂々と乗っているのよ!」
「へぇ」
「へぇ、じゃないわよ!これが漏れたら幻想郷が崩壊するかもしれないのよ!」
「なんだって!」
幻想郷の崩壊!?そんなこと聞いたことがないし考えたこともない、じゃあなんでそんなものが載っている辞典を秋は持っていたんだ。
「とにかく、この本はすぐに処分させてもらいます」
そう言うとパチュリーは人差し指を立てるとそこから火を出した。
「おいおい、大丈夫か?図書館に燃え移らないか」
「大丈夫よ、図書館には魔法が敷かれているから燃えることはないわ、余程強くない限りは」
「大丈夫なのか?」
「大丈夫よ」
それなら良かった、ここが燃えてしまったらもう私は本を借りる場所がなくなってしまう。
「あれ?おかしいわね」
パチュリーの表情がおかしい何か変なことが起こったのだろうか。その表情は次第に曇っていく。
「どうしたんだぜ」
「この本……存在していないわ」
「は?」
私は理解することができなかった。
読んでくれて有難うございます