魔理沙の家から出て再び森の中へと潜っていった。魔理沙、可愛かったな。また会えたらいいけど流石にこんな性格じゃ嫌われてるに違いないか……。
私は溜息を吐きながら制服のポケットにしまっておいた地図を広げ、現在地を確認した。
「あの家が霧雨魔法店だから……こっちに行けば森を抜けられるかな」
そう呟くと地図をたたみポケットにしまった。
そのまままっすぐ進んでいくとまた開けた空間が広がっていた。今回は随分と大きめだ、霧雨魔法店の敷地と同じくらいではないだろうか。
そこに着くと同時に私はあることを思い出した。
ここは東方の世界なんだから弾幕が使えるのではないかと。そう思い早速
「弾幕でろ!」
と叫んでみたものの何も出ない、何かが足りないのだろうか。
考えていると思い出したことがあった。それは、前に見たネット小説の二次創作作品で弾幕を出すには霊力だかが必要と書いてあったのを思い出した。とりあえず試していることにしてみた。
『自分に干渉、霊力を増加させろ』
と自分の霊力が高くなることをイメージしながら言うと体に神秘的な力が宿ったような気がした、力が溢れてくるような不思議な感覚。
私は手のひらを近くの木に向け弾幕が出るように念じた、なんだか感覚的にできるような気がした。
すると、私の手のひらから視界を覆い隠すような白い光の球が生まれた。それを私は弾くように飛ばすと狙っていた木の一本どころか、木を消しとばしたかと思うとそのまま球は一直線に進んでいき、森の中に一直線の道が出来てしまっていた。
これは流石にまずいかなと思い修復を試みる。
『破壊された森に干渉、五分前に戻れ』
流石にこれは無理かなと内心諦めていたが、目の前には破壊される前と変わらぬ緑と木々が生えていた。とんだチート能力だ。
私は引きつったような笑みを浮かべながら、1分前まで道だった森を見つめていた。
しかしこんなチートが制限なしにあるわけない、前に試した元の世界に戻ろうとしたときだって出来なかったのだから他の制限があるはずだ。
とりあえず霊力を限界まで出してみよう。私は莫大な量の霊力を持つことイメージする。無論、先程よりも大きくだ。
『自分に干渉、霊力を増加しろ』
そう念じた瞬間、私の周りが白く変わっていく、土の色から、木の根、幹、枝、葉、あたりに広がる雑草、空を飛ぶ灰色の鳥、そして空の色も雲さえも白く染まっていった。
辺りからは喜怒哀楽すべてが入り混じったような悲鳴が聞こえ、それはまるで天国と地獄が一度に存在しているかのようだった。
『自分に干渉!霊力を消せ!』
私は必死の思いでそう念じると、先程までの白い世界は何処へやら、色付いた世界が広がっていたが悲鳴は変わらず続いている。
あちゃあ、やりすぎた。まさか、こんな力が出せるだなんて思わなかった。今度からは気をつけよう……。
悲鳴を収めようとイメージして念じようとした瞬間、天地が震えるような咆哮が鳴り響く。鼓膜が破けるかのような音に私は反応すらできず呆然としていた。
すると森の向こう側から灰色の鱗に、とてつも無く長く太い胴体、鋭く研ぎ澄まされたよう爪、そして、全てを見透かしているかの如き赤い瞳を持つ生物が天に体をうねらせ昇っていっている。
龍、龍だ、空想上の生き物である龍が今私の目に映っている。その姿には美しさと恐怖、神聖でさがあり私を圧倒させるには十分であった。
生命的な本能が私に危険だと伝えると同時に、龍は空中で止まったかと思うとこちらに向かってきた。
嫌な汗が出てくる、殺気が近づいてくるのが肌で感じる、来る、来る、来る、落ち着かなければ。
私は考える、何が最善か、何をすればいいか。
そうだ。
『龍に干渉、力を消せ!』
私は龍の力を完全に消すことをイメージした瞬間、目の前まで迫っていた龍は重力に逆らうことができず落下していった。
龍の巨体が地に落ちた時、波のような衝撃が私に伝わっていった。近くで見る龍は顔だけでも私の身長の何十倍も大きかった。その体は魔法の森の外まで続いていることだろうと思った。
龍は目をこちらに向けると口をゆっくりと開いた。
「お主……何者だ」
龍は震えるような重く低い声で聞いてきた。しかしその声に先程までの迫力や、威圧は感じられなかった。
「私は夢野秋っていうの、あなたは?」
人間に話している時と違いカチカチにならず話すことができた、この龍には威圧感も、恐ろしさも感じないので話すことができる。
「そういうことを聞いている訳ではない、何故そんな力を持っている」
龍は悔しそうな声を出しながら質問してきた。まあ仕方ない、先程までの力はもはや存在していない。
「質問を質問で返さないで、あなたの名前は?」
「ぐっ……龍神と呼ばれている……」
「りゅうじん?なによそれ」
りゅうじんなんて幻想郷にいたっけ、聞いたこともない。
「……幻想郷の最高神だ」
「どひぇ」
変な声が出てしまった、最高神?私はそんな存在の力を消してしまったのか、なんだかまずいような気がする。
「で、でもなんで最高神が私のところまで来たの」
「分からんのか、莫大な霊力の元を確かめに来たんだ。そしたらいきなり全ての力を失ってしまった」
私のせいだったか、だいたい予想はしてたけど。
「しかしお前の力は一体なんなのだ、霊力も妖力も神力も感じない、理不尽にも程がある」
龍神は諦めたかのような声で言ってきた、霊力は知っているが妖力とか神力とかなんだ。
「妖力と神力ってなに?」
「お前は変な奴だ、普通なら知っているだろうに」
そうは言われても私は知らないので説明してもらうことにした。
まず【霊力】と言うものから説明してもらった、龍神からは妖力と神力を知らないのなら霊力もよく分かっていないだろうということで、教えてもらうことにした。なんてお人好しなんだ。
まず霊力というのは大抵の人間の持つ肉体的な力以外の力というものらしい。それは、エネルギーのようなもので、固めたり、形作ったり色々なことができるそうで、使うと減るが寝たり食べたりすれば徐々に戻っていくき、増やすには瞑想をしたり運動をしたり毎日使ったりしていれば増えるそうだ。
次に【妖力】全ての妖怪の持つエネルギーのようなもので霊力と同じように固めたり、自由に使え、使えば減るのだが増やすには人や妖怪をを脅かしたり、食べたり、殺したり、しなければ増えることがないそうだ。不便だな。
そして【神力】と言うものは別格でこの世の理を変えることができるそうだ、常識を変えたり、地形を変化させたり霊力や妖力以上にできるらしい。理を変えれば神力も減り、増やすには信仰が必要で、信仰が多ければ増え、信仰が少なくなれば減る。ここは大体前の2つと同じだ。
大体理解できたがそこで、龍神の強さが知りたくなった。
「龍神はどれくらい強いの?」
「今は力が無くなってしまったが、前は軽く外の世界の半分を破壊するだけの力はあった」
「はえぇ、すごいなあ」
最高神だけあるな。
「ところで良いのか、我の反応が消えたとなれば大変なことになるかもしれないぞ」
「あっ、確かに。それは面倒臭いな」
「どうするのだ」
「こうする」
私は龍神の力は消えていないという事をイメージする。
『龍神に干渉、力を消えた事をなかった事にしろ』
すると龍神の力は始めのように戻り、浮き始めていた。迫力も威圧感も全ての力が元どおりなので私が潰されてしまうそうだ。私は全てに耐えられるようにイメージを持つ。
『自分に干渉、全てに耐性をつけろ』
すると自分の中心に透き通ったかのような爽快感を感じた。今まであった恐ろしいこと、嫌なこと、怖いこと、気になることまで全てに耐性がついたようで、解放された気分だ。龍神の力もなにも感じない。
「……恐ろしい力だ」
龍神はそう言うと空高く昇っていった、その姿はとても美しく、並大抵の人間や妖怪では見とれてしまうだろう。私には耐性がついているため感じることはないが。
「自分を見失うな」
そう最後に言い残し、龍神が空に消え見えなくなったと思うと周りからは悲鳴が消えていた。龍神がどうにかしてくれたのだろうか、ありがたい限りである。
「今日は不思議な日だったな」
私は龍神が落ちた後に残った道の上を歩いていった、この道も後で直さなければなと私は1人思った。
よんでくれてありがとう