やはり趣味を極めるのは間違っていないはずだ   作:hideo99777

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遥かなる京都へ

文化祭などの俺が血反吐をぶちまけるイベントが終わった。

気温も下がり、涼しいというより寒い。

まぁ、私服に革のコートが追加されるだけしか変化はないが。

 

ともかく、俺は今何も変わらない部室だ。

ああ、もうすぐ修学旅行だな。

京都の何が楽しいのか。

というか、中学の修学旅行で行ったし。

 

雪ノ下がこちらを見やったと思うと、紙コップに紅茶を注ぐ。

 

「紅茶…冷めるわよ」

 

「…ああ、どうも」

 

俺は正直紅茶よりもコーヒーだが。

特にキリマンジャロかな。

 

 

そんな事を思いながらウォークマンでTHE RICE COOKERSの波のゆくさきを聞きながらPCをいじっていた。

できればそんな風に悠々自適に過ごしていたかったが、ノックの音であっけなく望みは消え失せる。

俺は若干の恨めしさを含んだ視線をドアに向ける。

 

「やあ…」

 

うわ…ペギーかよ。あと一人誰だっけ。

あぁ、思い出した、とべっち寿司だ。

どうしても嫌悪感が拭い去れないが、俺の提案は無理に等しいので無理矢理諦めた。

 

「何か御用かしら」

「いや、やっぱいいわ…ヒキタニ君に相談とかないわー」

「頼みに来たのはこっちだろ」

「でもヒキタニ君に相談とかないわー」

「とべっち!そんな言い方なくない?」

「まぁ、比企谷君が悪いのだし、仕方ないわね。悪いけど出て行ってもらえないかしら」

「じゃ、終わったら適当に呼んでくれ」

 

比企谷はそう言いつつ立ち上がろうとした。

 

「待ちなさい、出ていくのは彼らの方よ」

「礼儀も知らない、礼節もわきまえない。そんな輩の依頼を受けるつもりはないわ。」

「早々にお引き取りいただいて結構よ」

「なんかやな感じ!」

「…まぁ…俺たちが悪いよな…戸部…出直そう…俺たちだけで解決すべきだ」

「いや、もう後には退けないでしょ、これ」

「あの…実はオレさ…」

 

 

 

「マジ!?」

 

由比ヶ浜が、妙にキラキラした目でいる。

話を要約すると、彼はあの腐女子が好きで、振られないようサポートしろとのことだ。

 

「はぁ…振られたくないねぇ…」

「そういうのすっごくいいじゃん!応援するよ!」

「…やっぱり…簡単にいかないよな?」

 

発言に違和感を感じるも、無視する。

 

「簡単に言ってるけど…相当難しいよ?」

 

困ったような口ぶりで言う。

実際は面倒ごとは増やしたくはないだけだが。

 

「ええ~?いいじゃん、手伝ってあげようよ」

「俺に言わないでよ…俺にゃ決定権はないんだ」

「ゆきのん、とべっちも困ってることだし…」

「まぁ、そこまで言うなら考えましょう」

 

ちょっと、雪ノ下さん?大丈夫?

最近由比ヶ浜に甘いような気もするし、やっぱ百合なの?

 

「じゃ…やりますか…」

 

根負けしたように比企谷が呟く。

 

 

 

「とりあえず、戸部君のアピールポイントを探してみましょう」

「………隼人クンと友達?」

「早速人頼みだし!」

「ほかになんかないのか?」

「えっと…明るい…とか?]

「…お前な……雪ノ下は?」

「うるさい…いえ、騒がしい…賑やかな所…かしらね」

 

OK、満面の笑みで言われても困ります。

 

「作戦変更だ」

 

早ッ!!

音速じゃねぇか、衝撃波でボロボロだぞ。

 

「戸部のいいところよりも先に海老名さんの好みに合わせていこう」

 

いや、もう腐女子ですからねぇ…

 

「ところで、海老名さんは戸部君のことをどう思っているのかしら?」

「え?どうだろうね~」

 

見る限りじゃ、というかもう旗色悪いの顔に出てるぞ。

比企谷が忠告を出すも、かまわず聞いてくる。

頼む。できれば面倒ごとが起きない方向で。

 

「……いい人…だと思ってるんじゃないかな」

「…それ…プラス査定じゃね?」

 

良かった。

まぁ前にはどうでもが入るんですけどね。

 

ともかく、一抹の不安を残しながらも作戦はできた。

作戦行動の枠組みに対し、不安が募る中、ノックの音が聞こえた。

若干の不安は無理やり喉の奥へ押し込み、視線を向けた。

 

「姫菜じゃん!」

「やっ、結衣~はろはろ~」

 

なんじゃその挨拶は。

こちらにも挨拶してきたので、一応会釈だけしておく。

そして、海老名さんは雪ノ下に促されるまま座る。

 

「あ、あのね…とべっちのことで…ちょっと相談が…」

「とべっち?何何?」

 

ものすごい食いつきようで由比ヶ浜が聞き返す。

 

「とべっち…最近隼人君やヒキタニ君と仲良くしすぎだと思うの!」

 

駄目だ。こいつ予想以上だ。

 

ともかく一連のマシンガントークを終えるまで待つ。

なんじゃこりゃ。SAW?PKM?

古いもんならヒトラーの電ノコかな。

まぁMG4ということにしておこう。

M60はどこかのコマンドーの物だ。

終わらねぇかな、このホモ論議。

誰得だよ。本当に。

 

「つまりどういうことかしら?」

「あのね、今いるグループがちょっと変わっちゃった気がして…」

「でもほら、男子同士でもこう…なんか複雑なこととかあるんじゃないかな」

「…男同士の複雑な関係…結衣…はしたない」

「私なんか変なこと言った?」

「いや大丈夫だ」

「今までとは違うのは確かで…これまで通り、仲良くやりたいの」

 

おいしいのを期待していると言った彼女の表情はいつになく真剣に見えた。

 

 

 

 

 

 

 

修学旅行当日、PCなどの機材を全部詰め込み、結構な重さになっているキャリーバッグを引きずる。

俺は適当に窓側を占領し、さっそくPCを起動する。

適当に歌詞をつまみながら、窓を見つめなおし、また、ディスプレイに目を移す。

戸塚はすでに眠ったようだ。

 

「いやー、難しいもんだね」

「なんかあったのか?」

「それがさー、とべっちは川崎さんにずっとビビってて全然会話が弾まない感じで」

「姫菜も姫菜でいつもよりすごいし」

 

ほんとだ。

ヒトラーの電ノコからアヴェンジャーになってる。

牛乳瓶サイズの薬莢はどこから出んだろうな。

まさかケースレス弾薬だったりして。

まぁどっちにしろG11の二の舞を踏むだろうが。

 

俺は、あの光景を見て、あきらめた。

 

 

 

最終的に目的地に着いた。ちょっと疲れた。

皆についてゆくように入ってゆく。

 

暗い。

予想以上だ。

 

あまり前が見えない、まぁ暗視に携わる桿状体細胞は目の中央には少ない。

後、暗所では標的が上にそれがちになるので、グリップを前のほうに握るか、場数を踏むしか修正はできない。

 

目的地の石についたので一応回すも重い。

 

「ぐ…」

 

何とか回し終え、手を合わせる。

 

可能ならば、あの日常が戻ってほしい。

どんな願いは届かないのはわかっていた。

神頼みじゃない。

俺がやるしかない。

 

俺は、男をほしがるアラサーに目もくれず、ベンチへまっしぐらだ。

まぁ、うまくやれてるみたいだが。

 

 

 

風呂も終わり、コーヒーで一息ついていると、高田がいかにも疲れたように隣へ腰かけた。

 

「そういやさ…」

「何だ?」

「ここら辺にうまそうなラーメン屋があったんだけど」

「そういうことは早く言え」

 

そう言いながら、財布を用意しリビングに向かおうとした。

 

「はええよ、ていうかお前食えるのか?」

「あぁ、肉まんなら20個いけるほど腹減ってる」

「よし、行くか」

 

高田はずれた眼鏡を戻し、意地悪い微笑を浮かべた。

 

その後、俺たちはこってりとしたラーメンを存分に味わった。

そこで、俺は悟った。

 

ラーメンはハズレがない。

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