やはり趣味を極めるのは間違っていないはずだ   作:hideo99777

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ミカミマッドドッグ

目覚ましと共にぼさぼさの髪の毛が荒ぶっている頭を掻く。

大きくあくびをし、ベッドから起き上がる。

今日は休日だ。

 

リビングへ向かい、ロッキーのように生卵をそのまま…という訳ではなく烏龍茶を喉に流し込む。

程よい苦みと、水分が染み渡る。

 

俺はスマホを取り出し、予定を確認する。

あ、高田とモデルガンショップ行くんだったな。

予約と支払いの済んだ商品を持って帰るんだ。

 

寝癖まみれの髪の毛を直す。

そしてよろけながらカーゴパンツを履き、カジュアルシャツの上に革のジャケットを着こむ。

 

 

 

「よお、遅かったじゃねぇか」

 

高田が薄い笑みを浮かべながら言う。

そしてメタルフレームが印象的なメガネを直す。

彼はグレーのニットの上にN-3Bを着込み同じ色あいのカーゴパンツをはいていた。

 

「すまん。寝坊した」

「気をつけろよ」

「あいよ」

 

そうして、俺達は顔なじみの店主がいるモデルガンショップへ向かう。

 

「よお!お二人さん!いらっしゃい!」

 

恰幅のいい店主が威勢の良くこちらを向く。

俺が小学生の頃からお世話になっている。

 

「こんちわ!」

 

俺も笑顔であいさつする。

 

「頼んどいた品、もう届いてる?」

「おう!しっかり輸入してきたぜ!」

 

そう言い、店主は黒く、小さな箱を取り出す。

俺は少し興奮気味に開く。

 

「おお…すげえ…」

 

箱から取り出したEo Techホロサイトをのぞき込む。

どこでもくっきり写っており、とても見やすい。

 

「どうだ…凄いだろ…」

「ああ…すごい」

「あともう一つあるぜ」

「おお!」

 

そして店主はもう一つ今度は少し大きめの箱を取り出す。

そして俺は箱から取り出したMk.23を構える。

LAMのずっしりとした重みが伝わる。

そして、銃口に飾りのサプレッサーを螺子止めする。

 

「俺の分は?」

 

高田が話しかける。

完全に忘れてたわ。ごめん。

 

「あいよ!ちょっと待ってな!」

 

そういい、高田は注文していた商品を受け取る。

MTAR-21らしい。

高田もそこそこ興奮気味だ。

 

そういや、高田はアサルトライフル持ってなかったな。

そんなことを思っていると、デカめの箱を持ってくる。

中身はMk.17ことFN SCAR-Hらしい。

ついでにバーティカルフォアグリップにシュアファイア製のフラッシュライトと可視レーザーサイトもお買い上げのようだ。

 

そうして俺たちは相当の量のモデルガンを受け取り、家に宅配するように手配をした。

そして俺たちは興奮状態のまま店を出た。

 

 

 

興奮もすっかり冷め、疲労が残る中、ショッピングモールに向かった。

そこには見慣れない制服の女子二人と、ペギーに比企谷がいた。

彼は少し距離をとって目立たないようにしているようだ。

 

「なぁ…」

「なんだ?」

「あの制服ってさ、海浜総合高校だよな」

「ああ…そうだな…どうする」

「いいさ、帰ろう」

 

 

 

やがて、俺は高田と別れ、近くにあったカフェに入る。

 

そして俺は適当に注文をして携帯ゲーム機を取り出す。

 

「あれ~?三上君だ」

 

向かいから声がかかる。

 

「雪ノ下さん…?」

 

視線を向けると強化外骨格が笑顔を貼り付け、こちらに手を振っていた。

やがて、こちらの向かいに席を移動してきた。

 

「雪ノ下さんはなぜここに?」

「比企谷君達がデートするもんだから面白そうで来ちゃったんだ!」

「…そうですか…」

 

本人としちゃ迷惑だろうなぁ。

 

「相手は?」

「比企谷君の初恋の相手兼元カノ」

「ぶへっ!げほぇっ!おぁっふ!…おえ…」

「あはは!反応しすぎだよ」

「元カノと2人でデートって…ヨリ戻したんすか?」

「2人じゃないよ」

「二人じゃない?それじゃもはやデートじゃ無いんじゃないですか?」

「細かいことはいいの!」

「そうですか…メンバーは」

「女子二人に、葉山君と比企谷君の四人だよ」

「ああ納得」

 

うん、あのペギーだもん。そうだよね。

あいつは上っ面がいいもんな。

 

 

やがて、やたら騒がしいなと思ったら比企谷達が来たようだったらしい。

そして、強化外骨格が様子を確認する中、俺は相変わらず中断したゲームの続きをやる。

まぁ耳だけ彼らへ意識を向けておく。

耳だけ。

 

「そういうの…あまり好きじゃないな」

「だ、だよねー…あはは…」

「ああ、そうじゃないよ。俺が言ってるのは君たちの事さ」

 

ああ、そんな事言うんだな。

俺はいつの間にか彼らのほうを見つめていた。

 

「…?」

 

気まずい沈黙に囚われる中、俺の視線の先には見慣れた2人がいた。

 

「…ヒッキー…」

 

比企谷は立ち上がる。

その中でもペギーは笑っていた。

 

「俺が呼んだんだ」

 

関係のない出来事だったため、俺は胸を撫で下ろすものの、彼はぶん殴りたい笑顔を浮かべていた。

女子二人も葉山を見る。

 

「比企谷は君達が思っている程度の奴じゃない。ずっと素敵な子達と親しくしている。表面だけで勝手なこと言うのはやめてくれないか」

 

わーお。なんじゃこりゃ。

ジーパンも叫んでるよ。

 

「ごめん、帰るね」

「う、うん…」

 

女子二人は帰って行った。

雪ノ下さんはめちゃくちゃ楽しそうだ。

実を言うと、俺もだ。

俺に関係しない修羅場をはたから見るのも楽しいものだ。

 

「選挙の打ち合わせということで来たのだけれど」

 

生徒会のだろう。

選挙ったって生徒会くらいしかないけど。

 

「あ、あのね、隼人くんに選挙に出てもらえないかって…それで…」

「……そうか」

 

 

 

雪ノ下さんの方を見ると、もういなかった。

彼女はもうすでに彼らへ接近していたのだ。

こっちに気づかなけりゃいいけどなー。

 

「なるほどねぇ、雪乃ちゃんが生徒会長やるんじゃないんだ…てっきりそうすると思ったのに」

 

そろそろつまらなくなってくる。

もう面倒な茶番はお開きにして殴り合いでもしたらどうだ。

 

「そうやって誰かにやらせたり押し付けるの、お母さんそっくり…」

 

まじかよ。

こいつの母親嫌な奴だな。

俺なら本気で嫌うわ。

 

「まぁ、雪乃ちゃんはそれでいいかもねー」

 

いいや、よくない。

押し付けられる側はたまったもんじゃない。

皮をひん剥いてなぶり殺しにしてやろうかとも思うだろう。

そして、雪ノ下さんは雪ノ下のあごに手をやる。

 

「あなたは何やらなくて良いもの。いつも誰かがやってくれるもんね」

 

いいよな。

ならついでに俺の退部手続きもやってもらってくれよ。

そんなことを思っていると、雪ノ下は彼女の手を払いのけた。

 

「そう…そういうこと…」

 

雪ノ下はペギーのほうを見る。

 

「話が無いなら…私は帰るわ」

「待って!私も!」

 

そして、雪ノ下達は帰って行った。

 

 

 

「どうしてあんなことを雪ノ下に」

「いつもの事だよ」

 

何がいつもの事だ。ならあんたは俺より最低な奴だ。

 

「そんなところで縮こまっていないで出てきたら?三上君」

 

心の中で舌打ちをし、しぶしぶ席を立つ。

やだなー関わりたくない。

色々話していたがガン無視する。

 

「そんなに嫌な顔をしなくてもいいんじゃないの?」

 

ああ、ばれてたか。

まぁ顔に出したんだが。

 

「巻き込まないでください。面倒ごとは嫌なので」

「そ、じゃあ私も帰ろうかな」

 

そして、俺と比企谷とペギーの三人が残った。

 

 

 

「余計な気、回してんじゃねぇよ」

「ただ俺がやりたいことをしただけなんだ」

「いいのか?あんなことして」

 

俺はあくまでも軽蔑を含んだ冷たい視線で葉山を見る。

 

「最低の気分だよ。二度としたくない」

「だったらやんなきゃいいだろ」

 

そう答える葉山の顔は、ひどく痛ましいもので、相変わらず吐き気を催すものだった。

 

「ずっと考えていたんだ。俺が壊してしまったものを取り返す方法を」

 

俺と葉山は全く違う。正反対じゃない。別次元だ。

だけど、俺と葉山は同じ事で悩んでいる。

俺はそのことに虫唾が走る。

だけど、本気で取り戻したい。

 

「俺は君に期待していて…だからわかっていたのに頼ってしまった」

 

比企谷は黙って話を聞いていた。

 

「そのせいで…君は…」

「おい」

「君は自分の価値を正しく知るべきだ…君だけじゃない…周りも」

 

俺が彼の価値を正しく知ることなんてありえない。

なぜなら彼は他人で、俺に無益な存在だからだ。

利益にならなきゃ価値はない。

 

「ただそれは難しくて…もっと上手くやれれば良かったんだけどな…俺ができるのはこれ位しか無い」

 

非力だ。

いや、取り戻そうとするものが余りにも大きすぎて、難しいだけだ。

俺の取り戻そうとする物はとてもちっぽけで、大切だ。

 

「もうやめないか?自分を犠牲にするのは」

 

他人までまきこむのが好きな物好きだからこそ言えるセリフだ。

 

「…一緒にするな…犠牲?ふざけんな。当たり前のことなんだ」

 

彼は自己犠牲ではなく、葉山のグループなど、他人の尻拭いを"させられて"いるのだ。

嫌になっても逃げられず、麻痺してしまったのだ。

 

「俺は一人だからな、周囲がどうとかは関係ねぇんだよ」

 

「俺の目の前で起きる出来事は俺の出来事だ。勘違いして割り込んで来んな」

「君が誰かを助けるのは、君が誰かに助けられたいと願っているからじゃないのか?」

「だが彼は自己犠牲ではなく、葉山のグループなど、他人の尻拭いを"させられて"いるのだ。

「ちげぇよ…気持ち悪い同情押し付けて勝手に哀れんでんじゃねぇ」

 

そう言いつつ、彼は出口へ向かって歩き出した。

その後、葉山は俺のほうを向いていた。

 

「君もじゃないのか?」

「……そうだと言えればどんなに良かったかと思うよ」

「……え?」

「俺はあそこにいるのは強制だ。平塚がとても邪魔なんだ」

「…君は、あそこに安らぎを見出したんじゃないのか?」

 

俺は、勝手な言い分に腹が立った。

安らぎなんてあるはずもない。

 

「見てみろ……」

 

そう言いつつ、俺は手のひらを見せる。

 

「う………!」

 

仕方ないだろう。

俺の手のひらには無数の傷跡が刻まれていたからだ。

ストレスが溜まり、手を握りしめる度、掌から血が溢れるほど強く握ってしまう。

そのせいで、俺の手のひらはボロボロだった。

 

「これで、安らぎだなんて言えるか?」

 

勝手なことを言うんじゃねぇよ。

安らぎなんてあの場所にはない。

あるのはストレスだけ。

 

俺は手のひらをまた握る。

痛みと共に、指先に水気を感じる。

 

 

 

「俺は、奉仕部を辞める。あの場所もあの三人も糞食らえだ」

 

俺は怒りを露わにし、言い放つ。

 

「…君は!」

 

葉山が詰め寄り、睨みつけてくる。

 

「君は、あの関係が壊れてもいいのか?」

「いいさ、俺がぶっ壊してやる」

「君は、彼らをこのままにしてもいいと思うのか?」

「ああ、勝手に壊れてくれるんだ。寧ろ好都合だね」

 

俺は不敵に笑う。

 

「逆に訊くが、お前はなんで関係を壊したがらないんだ?あんな糞食らえのものを」

「………」

「答えられないだろ。俺なら壊す理由を答えられるさ」

「……じゃあ何なんだ?」

「俺はあの何もない灰色の日々に戻るには奉仕部が一番邪魔で、俺にとっては最悪なものだからだ!」

 

気が付くと俺は、身震いしていた。

 

「お前がどう思おうと勝手だが、押し付けるのは止してくれ」

 

「…俺は君のことが嫌いだ」

「…そうか…俺はお前を殺してやりたくなるほど嫌いだ」

 

 

 

俺は胸糞悪い気分と共に俺は家へと帰るべく、階段を降りた。

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