やはり趣味を極めるのは間違っていないはずだ 作:hideo99777
あれから2,3日だろうか、僕はノートpcを持ち込み、悠々自適にゲームを楽しんでいた。
たまに、比企谷も興味を見せていた。インディーズゲームもそこそこやったことがあるらしく、結構話が合った。
まあ、今はお互い会話もしていないが。
今は、こっそり持ってきていた地獄の黙示録を視聴中だ。
静寂に包まれた部室に、弱弱しいノックの音が響く。
「し、失礼します…」
上ずった声が聞こえてきた。緊張しているのだろう。
「平塚先生に言われて来たんですけど…」
やはりな、こんなところに人が来るのは珍しいだろう。
「な、何でヒッキーがここにいんの!?みっくんも!?」
誰だ。それと変な呼び方をするな。
「…いや一応ここの部員だから…」
「2年F組 由比ヶ浜 結衣さんね。とにかく座って」
雪ノ下が椅子を出し、座るように促す。
僕は、思いっきり無視して、originのプレゼントを確認する。シムシティまだかな。
彼らはやり取りをしているだろうが、関係は無い。このまま無難に終わればいい。
そんなことを思っていた時期が僕にもあった。何の因果か、家庭科室へ、聞けば彼女のクッキーを味見しろとのことだ。
うん、ここに来るってことは、相当な腕なんだろう。もちろん悪いほうの意味で。
十分ほど目をそらしながら待つ。嫌なものは見たくないからだ。
「なぜ、あれだけミスを重ねられるのかしら…」
「ホムセンで売ってる木炭みたいだな。もはや毒見だ」
「…」
「みんなひどい!?後なんか言ってよ!?みっくん!?」
酷いものだと予想はしていたが、さすがにここまでとも思わなかった。
ジュネットもびっくり。
「そういや、食うのは誰だ?」
「…」
「…食えと?」
無理だ。困難食ったら死ぬ。マジで地獄だ。ヴェルタースオリジナルのほうが良い
いやもう、地獄からの使者に、胃を粉砕される。
とりあえず、比企谷との小声での会議をする。
「ふざけないでくれ、冗談だよな?」
「…」
「マジかよ…こんなもの食えるか」
「やるしかないだろ…」
「わかったよ…あ、そうだ、俺が食う代わりに、uccの缶コーヒーを頼む」
「ああ…」
とりあえず、クッキーとして生を受けられなかった哀しい負の遺産を手に取る。
「でもやっぱ少しはましな方かも―駄目だちょっとトイレ」
何だこりゃ…ジャリジャリして、苦くて、塩っ辛い。
とりあえず、トイレに駆け込む。
あ、今朝の人参だわ。
千鳥足で戻り椅子に座る。
「感想は?」
雪ノ下が聞いてくる。
「ああ、遺書を書いたら食える」
「ひどい!?」
そして俺は時計を見ると、もう約束の時間だった。
「ああごめんもう帰らせてもらうよ…用事があるんでね…」
「待ちなさい…」
「だめだ」
雪ノ下が睨み付ける。
「用事って何なんだよ…」
「友人と家で集合なんだ…済まない」
そう言い残し、足早に出ていく。
周りの音をシャットダウンするため、ウォー○マンでMike Oldfieldのnuclearを聴く。
そう、あのゲームのE3トレーラーの曲だ。
サイレントヒルの続編開発中止で見切りをつけたはずだが、この縁は切っても切れないようだ。
さて、今日くらいはバカ騒ぎしたいもんだ。
帰ろう。
「ふぅ…」
デスクトップpcの前に座り、スマホを取り出し、友人に連絡を取る。
「もしもし、ああ、俺だ」
「どうした、疲れてるようだな」
「仕方ないさ、年増の職権濫用だよ」
「職権濫用はきついな」
「ああ、さらば、ありふれたあの頃の自由と豊楽の日々よってとこだな」
「これから行くのか?」
「そうだ」
「分かったよ」
「よろしく頼む」
その後、電源を切り、地獄の黙示録をもう一度見直しておく。
悲痛な叫びと、銃声をバックコーラスにワルキューレの騎行が静寂に包まれていた部屋に響き渡る。
これこそ最高な僕の日常だ。
だが、壊れた。
頭をよぎる悲しさを強引に拭い去りる。
だが、もうそんな気分じゃなかった。
色々考えても駄目なので不貞腐れて寝てしまった。