やはり趣味を極めるのは間違っていないはずだ   作:hideo99777

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テニスコートからの脱出

けたたましいアラーム音が耳をつんざく。

そして新しく買った目覚まし時計がアグレッシブな動きで僕の顔に命中する。

 

「おぅふ」

 

起き上がり、岩のように固まった腰を強引にひねる。

なんかパキパキ言ってるが気にせずリビングに向かう。

当たり前のように誰もいない。そりゃ一人暮らしだ。これほど気楽なものはない。

そしてまた、いつものように飯食って、歯を磨いて、出すものを出して、遅刻ギリギリまでPCとにらめっこだ。

 

楽しい。この一言に尽きる。

あ、やばいもう時間だ。

やだなぁ。テロリストでも襲ってこないかなぁ。

まあ無理だろうけど。

 

その後、自転車、またの名を地獄までの護送車にまたがり、漕ぐ。

 

 

 

意外と早く着いた。仕方なく、PS vitaを早速起動する。

 

「おおおおおお!マジ?これ何?スゲェカッケー!」

 

何だ。チャラいチンピラが騒いでるだけか

 

「マジすげぇって!」

「どうした?」

「ちょっと借りていい?」

「あ…うん…」

 

男子生徒は弱弱しい声で答える。

ご愁傷さまだな。まあ、僕にはもう一台予備がある。

そして、バックアップも取ってある。

 

そういや、比企谷も、由比ヶ浜も同じクラスか、知ろうともしてなかった。

 

 

 

おろ、雨だ。外で食えねぇ。彼も居場所が無いようである。

やだなぁ。リア充もわめいてるし。

ひとまず、タッパーに入れた、玉こんにゃくを口に放り込み、飲み物を買おうと立ち上がる。

だが、それよりも先に彼が立ち上がる。

 

「おいその辺で…」

「うっさい」

「そ、その辺で飲み物でも買ってこようかなー…でも止めとこうかな…」

 

彼は選択を誤ったようだ。

まあとにかくジョセフもびっくりの逃亡テクニックを駆使する。

その後、彼が出てきた。

 

「出るのが遅かったな、あれくらいの判断ならできると思ってたんだがな」

「うっせ」

「はいはい」

「あ、そうだ。前の依頼はどうなったんだ?」

「まあ、納得はしたようだった」

「ならよかった。後、今日部活には行けないからな」

「ああ」

 

その後は目まぐるしいほどに時間が過ぎていく。

気づけば帰宅後だ。もうすぐに死ぬんじゃねぇかな。

不謹慎なことを考えながら、また映画を見る。

戦場からの脱出とかいう映画だ。ベトナム戦争ものらしい。

ほんとに、映画の趣味が変わっている。

小学生の頃も同じような趣味だった。

 

 

 

二日後、久しぶりに部活に顔を出す。

雪ノ下と比企谷が話しているようだった。

 

「無理ね」

「いや無理って…お前さ…」

「無理なものは無理よ」

「いや、要は俺がテニス部のカンフル剤になればいい訳で…」

 

ああテニス部関連か。

 

「あなたに集団活動ができるとでも?あなたみたいな生き物、受け入れて貰えるはずないでしょ」

「もっとも、あなたという共通の敵を経て、部員が一致団結することはある子も知れないわね」

「けれど、排除するための努力をするだけで、自身の向上に向けられることはないわ。だから解決にはならないわ。ソースは私」

「なるほどな…え?ソース?」

「私、帰国子女なの。中学の時編入したのだけれど、学校中の女子が私を排除しようと躍起になったわ」

「でも誰一人として、私に負けないように自分を高める人間はいなかった。あの低能共」

「戸塚のためにも何とかならんもんかね…」

「誰かの心配するような人だったかしら?」

「いや…ほら…誰かに相談されるのは初めてだったんでつい…な…」

「なんでも聞いて力を貸すばかりがいいとは限らないわ」

「お前ならどうするんだ?」

「そうね…全員、死ぬまで走らせて、死ぬまで素振り、死ぬまで練習かしらね」

 

アーハイハイ、オモシロイナー

 

「やっはろー!今日は依頼人を連れてきたよ!」

由比ヶ浜に続いて、女子が入って来る。

「比企谷君…」

「戸塚…」

「あれ?どうしてここに?」

「いや、俺は部活だけど、お前は何で…」

「いやーほらーあたしも奉仕部の一員じゃん?だから、ちょっと働こうと思ってさ。」

 

あれ?この人部員だったっけ?

 

「そしたらさ、彩ちゃんが困ってる風だから連れてきてあげた!」

「由比ヶ浜さん」

「ゆきのん、お礼とかそういうの全然いいから、ほら、部員として当たり前のことをしただけだし。」

「由比ヶ浜さん、別にあなたは部員ではないのだけれど」

「違うんだ!?」

「ええ、入部届をもらっていないし、顧問の承認もないから、部員ではないわね」

「書くよ!入部届くらい何枚でも書くよ!」

「で、戸塚 彩花君だったかしら、いいでしょう、依頼を受けるわ。あなたの技術向上を助ければいいのね?」

 

え、君付け!?てことは、男子!?

 

「はい、僕がうまくなれば、みんな一緒に頑張ってくれる…と思う」

「で、どうやんだよ」

 

比企谷が不愛想に聞く

 

「さっき言ったでしょう?」

 

雪ノ下が不敵な笑みを浮かべる

 

「おい、まさかアレ本気で…」

 

 

 

その後、テニスコートへ移動した。

とりあえず、壁をよじ登る蟻がつらそうなので、紙でスロープを作ってやる。

しかもちゃんと利用しており、スロープの踊り場が一時食料置き場になっていた。

 

 

 

そんなこんなで、テニス(地獄)は第二フェイズに移る。

ちなみに、僕は今、テニスコートの壁の隅っこでスロープ工事の補強をしている。

 

「あー!テニスじゃん!」

うわぁ…あのイケメン野郎の女除けだよ畜生…

「あーしらもここで遊んでいい?」

「三浦さん…別に遊んでいるわけじゃ…」

「え?何?聞こえないんだけど?」

「あー…ここは戸塚が許可を取って使っているものだから、ほかの人は無理なんだ」

「はぁ?あんたも使ってんじゃん」

「いや…俺は練習に付き合ってて、業務委託っつーか、アウトソーシングなんだよ」

 

僕は小声で話し掛ける。

 

「おい、あんな脳筋にそんな言葉通じねぇと思うが」

「だよな…俺も不安なんだよ」

「はぁ?何意味わかんないこと言ってんの?キモイんだけど」

「ほらやっぱこうなった」

「はぁ…」

「まぁまぁ、喧嘩腰になるなって、みんなでやったほうが楽しいしさ」

 

ふざけてんのか、何の許可なく出しゃばってきたのはお前らだ。

なのに"みんなでやったら楽しい"とか言うふざけたリア充理論でねじ伏せようとしてるだけだ。

「"皆"って誰だよ?母ちゃんに"皆持ってるよー"って物ねだる時に言うみんなかよ」

「誰だよ、そいつら。友達いねーからそんな言い訳使えたことねーよ」

「そういうつもりで言ったわけじゃないんだ。なんかごめんな?悩んでるなら相談に乗るからさ…」

 

あーゲロ吐きそうだわ、今すぐ車用のシュレッダーに車ごとぶち込みてぇー

 

「葉山、お前のやさしさは嬉しい。性格がいいのもよく分かった。」

「サッカー部のエースで、その上お顔までよろしいじゃないですか。さぞや女性におモテになられるんでしょうなぁ」

「いきなりなんだよ…」

「そんないろいろと持ってるお前が、何も持ってない俺からテニスコートまで奪うの?人として恥ずかしいと思わないの?」

 

中二が参加しているので、僕も言っておこう。

 

「それ以前にお前ら関係ないだろ。こっちは許可とってんだよ。分かる?お前らはただ便乗しようとしてんだよ。最低だよクソ野郎」

孤立無援だ。一人で戦って、耐え抜いて、やってのけてきた。なのに、なぜ否定されなければならないのか。それがどうしても疑問だった。

言い終わると同時に、テニスボールが飛んでくる

 

「ねー隼人ぉ、あーしいい加減テニスしたいんだけどぉ」

 

馬鹿か、このアマ。元々やりてぇって言ってきたのそっちじゃねぇか。テメェのスポンジ脳みそでもわからないなら、精神科にでも行ったらどうだ。

 

「じゃあこうしよう。部外者同士、俺と、ヒキタニ君で勝負する。勝ったほうが、今後休みはここを使えるってことで」

 

馬鹿か。部外者じゃないって言ってんだろ。知り合いの精神科医を紹介してやらねば。

 

「もちろん、練習にも付き合う。強い奴と練習した方が。戸塚のためにもなるし、いいかな」

 

比企谷が無言でうなずく。まじかよ。

 

「何それ、面白そう!じゃあいっそ混合ダブルスにすりゃいいじゃん!」

「嘘、ヤダ、あたし頭いいんだけどー」

「まずいぞ、ボッチ野郎にてを貸してくれる女子など皆無!どうする…?」

「三上…お前は?」

「無理だ、こいつらの視界に入りたくない」

「そうか…」

「あたし…やるよ」

「いやー、あたしも奉仕部入ったし、なら、やるでしょ普通」

「馬鹿、やめとけっつーの。三浦お前の事ガン見してるぞ」

「え!?嘘、マジ!?」

「結衣、あんたさ、やるって、あーしとやる事になるけど、そういうことでいいわけ?」

「そういう訳ってことでもないけど…あたし、部活も大事だから」

 

そして観戦もせず、途中まで見た、戦場からの脱出を見ておく。

家に帰ったら、博士の異常な愛情でも見るかな。いや2001年宇宙の旅も良い

 

上の空でボールのラリーを見つめる。

終わったころには、まさに"試合に勝って、勝負に負けた"という感じだ。

まあ、彼も納得しているし、よかったんだろう。

その後、比企谷とともに部室に戻る。

 

「なあ…戸塚が…」

 

続きを言おうとしたが途中で途切れた。

 

「どうした?」

「もぉ!!本当に死ねぇ!!」

 

ラケットが彼の額にクリーンヒットし、倒れこむ。

 

「比企谷君…大丈夫?」

「たぶん駄目だろうな」

 

もう面倒なので放って帰ることにした。

家に帰り、適当にやることやっておく。

確か博士の異常な愛情か、2001年宇宙の旅のどちらかを見ようと迷っていたが、結局は、博士の異常な愛情を見ることになった。

その後、痛む体の節々からの悲鳴を無視し、毛布に潜り込み、眠った。

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