やはり趣味を極めるのは間違っていないはずだ 作:hideo99777
前略おふくろ様、私は今、家から遠く離れた(1kmくらい)ファミレスでピザを味わっています。
何でこんな事をするか、簡単だ、アホの子の勉強会に勝手に参加という事になった。
実際は、千葉横断ウルトラクイズだが。
よくこの学校に入れたもんだ、都市伝説になってもいいんじゃないか。
関さん、取り扱ってあげて。
「みっくんは勉強しないの-?」
「まあ、授業聞いてるしな、まあ、7位を意図的に狙ってるし、」
「うー…でもなんで7位なんか…」
「そりゃまぁ、目立たないためだよ」
「由比ヶ浜さん、あまり参考にしないほうがいいと思うのだけれど」
はぁ…めんどいなぁ、あんたらがやろうと言い出したのに…
とりあえずピザをつまんでおく、コーヒーどこだコーヒー。
あった。
エスプレッソの苦みと香りが口の中に広がる。
この感覚が嫌いじゃない。だからいつも飲んでる。
わざわざ嫌いなものを飲む趣味は誰にもない、言わずもがなだ。
軽く咳払いをし、問題を出す
「地理より出題。『千葉県の特産品を2つ答えよ』」
「みそピーに……ゆでピー?」
「落花生しかねぇのか、この県には」
比企谷だ。
あらまあ、いつも通り眼が腐っていらっしゃる
というかアホの子、まさか誘ってないのか。
彼らのやり取りを聞き流しながら、ピザを咀嚼する。
うん、美味い。
ピザの呪縛に取りつかれるがまま時間を過ごしていると、中学生だろうか。
2人近づいてくる。
話を聞く限り、1人は比企谷の妹らしい。
まあ、本人が言っているのだしそうだろう。
アホ毛くらいしか似ているところが全くない。
本音を言えば内心信じちゃいない。
だって似てないし、というか性格が真反対だしな。
思案に暮れているともう一人の男子が挨拶してくる。
彼は、川崎 大志。姉がいるらしく、同じクラスらしい。
らしいよ?たぶんね。えらく他人事な考え方だが。
名前なんてほとんど覚えちゃいない。
比企谷が雪ノ下、それに…えっと…あの、アホの子…なんだっけ…そうだ、由比ヶ浜だ。
後、ペギー葉山。
話の内容を要約すると、最近姉の帰りが遅く、それも朝帰りらしい。
なので、なぜそうなったのかを突き止める事と、もとに戻す事それが依頼だ。
でもまぁ依頼主が中学生だからさぁ…やっぱ活動の範疇に入んないと思うし…。
正直、そっとしておきたいのが一番だけどな。
結果、受けることになった。
やだなぁ…
とりあえず依頼内容を聞かなきゃ始まらないので、軽く説明してもらう。
川崎 沙希。同じクラス、中学、高1までは良かったものの、まさかの不良化。
変わったのは最近。
エンジェルなんたらとかいう店から電話がかかってきたらしい。
ちなみに、間違って、椛島と名前を間違えていたのは秘密だ。
なんかスッキリしないのでググってみたら、KABA.ちゃんの本名だった。
さすが先生、キリストも頼りにするわけだ。VOWに看板が載ってた。
いったん解散し、自転車をこぎながら彼から得た情報を頼りに、予想を立てる。
欲しいものがあるなら、私生活には影響を及ぼさない範疇のうちでも工面はできる。
放課後や休日で十分だ。
そういや、大学に入りたい連中は、そろそろ間変える時期だと言っていた。
まさか進路?いや、弟が塾に通えているという時点で問題はない。
じゃあ何だ。
そうだ。予備校の夏期講習だ。それなら、深夜までバイトするほど金の工面がしにくい。
なら簡単だ。確かスカラシップだのなんだのだ。
だが、今わかってもだめだ、裏付けが必要だ。
でもなぁ、直接聞こうにもなぁ…怖いし。
まぁ仕方ない、なり行きに身を任せよう。
そう強引にあきらめてしまった
家に帰り、PS3を起動すると、甲高い起動音が無機質なコンクリートの壁に無数に反射する。
その音の連なりをガン無視し、朝に淹れておいたエスプレッソをカップに注ぎ、ピザが詰め込まれた胃に放り込む。
ふと、窓を見ると、夕焼けが真っ赤に顔を照り付けてくる。
ゆらゆら揺らめくカーテンに合わせて、複雑に絡み合う光がフローリングに照らし出される。
夜になり、月の光がベッドに直接入ってくる。
少々火照った体に、快適な夜風が吹き付け、優しく頬を撫でる。
その日は、エスプレッソのせいか寝付けなかった。