やはり趣味を極めるのは間違っていないはずだ   作:hideo99777

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サマーバケーション・バスターズ

翌日、眠気が残る中、ブラックコーヒーを胃の中に放り込む。

おろ、平塚先生だわ。

 

「三上かこんなに早く起きるとは意外だな」

「あ、どうも。いや、早朝にも獲物があるのでね」

「意外だよ、釣りも趣味だったとは」

「この後の予定は?」

「キャンプファイアの準備に肝試しの準備だ」

「分かりました、朝ごはん、もう食べてますね」

「それにしてもものすごい格好だな」

「平塚先生も同じもんじゃないですか」

「お前のはわけが違う。海兵隊のつもりか」

 

訳もない。UCPのズボンにベージュのブーツ、上は白のTシャツ姿だ。

弾丸ネックレスにドッグタグもつけている。

 

 

 

朝ご飯を食べ終わり、皆が来る前にさっさと自分の分担になっている準備を済ませ川に向かう。

上流あたりまで向かい、キャスティング。

イワナ釣れるかなー。

だが、竿の様子を見る限り当たりもなく、ただ時間のみが過ぎる。

その間、例の少女についての思案に暮れていた。

 

彼女が何かを見限ったことにいつ気づくのか。

そして、まだあきらめきれていない事に気づくのはいつになるのか。

彼らの選択を見届ける。

実際面倒だという理由だけど。簡単な話だ。他人の面倒ごとを背負う趣味はない。

ここは二次元じゃない。いやまぁ一応二次元なんだけど。

 

とにかく、彼女の親は見限ったことに対しては納得していないはずだ。

デジカメをぶら下げていたし、どうせいっぱい写真撮ってきなさい程度だろう。

まぁ関係ない。彼女は助けを求めていない。

彼女なりに無理と判断したのだろう。

もう見捨てたらしいからな。

解決方法はない。解消ならできるだろうが危ない橋を渡ることになる。

周りの人間関係をぶっ壊す事だろう、やるなら肝試しの時だろうか。

 

だが本当に感心もするし軽蔑もする。

ぼっちはぼっちでいるように強要され、目立とうとすれば攻撃材料にされる。

腐りきった子供の王国のルール。

いうならば蛆の王国だ。

 

 

 

キャンプファイアーの前の行事として肝試しがある。

そのため準備をしていた。

だが、安っぽいコスプレしかない。

道具一式があれば特殊メイクくらいやれるだろうが。

 

しばらくして、鶴見のことにシフトチェンジする。

まぁ当然いい案が見つからない。

 

ただ比企谷は違った。

 

「俺に考えがある」

 

話の要約をするとドッキリを仕掛け、人間関係をぶっ壊す。

問題解消ならできる。だが危ない橋を渡ることになるが、僕には関係はない。

そもそも関与はしないと言及していないので関係はない。

とにかく静かに夜を待とう。それが最善の策だ。

 

 

そして今、森の中にいる。

しばらくすると、スマホのバイブレーションが鳴る。

行動開始だ。

考えてみると笑えて来る。

今までは優しい高校生が豹変。恐怖の対象でしかなくなる。

半分残り、半分見逃される。

始まったようなので見てみると、言わずもがな仲間割れを始める。

 

「あの……」

 

鶴見が急に手を挙げると共に、ペギーたちの視線が集まる。

その瞬間フラッシュが光る。

 

鶴見と、その他の少女が走り去っていくのが見えた。

そうか、それでも助けることを選んだのか。

お人よしだな。凄いもんだ。

 

「まったくお人好しなもんだ…」

「三上?」

 

僕の呟きに反応する。

 

「…聞かれてたか」

「三上君、あなた、鶴見さんに何か言ったの?」

「いや、何も」

「そう…」

 

適当に話を終わらせ、足早に去って行く。

これが見届けた結果なのだ。僕の出る幕はない。

 

 

 

戻るとキャンプファイアが始まっていた。

彼女はやはり一人だ。あんなんだもん普通でいられるはずがない。

ふと、隣に気配を感じた。鶴見だ。

さすがにこの沈黙には耐えられないので口を開く。

 

「お前は凄いよ…」

「隆人?…」

「あれがお前の選んだ選択肢か?」

「…うん」

「凄い、お前には敵いそうもないよ…」

 

話した後何も考えずキャンプファイアの揺らめく炎を見つめる。

しばらくして彼女は立ち上がり横を通り過ぎようとした。

 

「……ありがとう」

 

確かに横を通り過ぎる瞬間聞こえた。

 

小学生が去った後、どこからともなく取り出してきた花火で盛り上がっていた。

その光景をあくまでも冷ややかな目で見つめる。

つまらない、こんな花火ではなく、核の花火でも咲かせてやればいい

 

「やぁ三上」

 

平塚先生だ。

 

「今回、君たちは危ない橋を渡ったよ、このやり方はあまり褒められたものではないな」

「…三上…謝るからそんな流れるような動きで土下座をかまさないでくれ」

 

やっべー俺ほどのゲザー(土下座の超上手い奴)になると流れるような動きでゲザ(土下座)っちまったわー。マジで本能になってるわー。

 

そんな思いを胸に疲労と共にフラフラと歩きだす

その時の僕の表情は今までにないほど険しいものだった。

 

 

 

ものすっごい気怠さと共に車を降りる。

 

「は~い 雪乃ちゃ~ん」

 

装飾過剰の笑顔を振りまく女性が黒のリムジンから降りてくる。

 

「雪乃ちゃん家に全然帰ってこないんだもん。心配して迎えに来ちゃった~」

「お、比企谷君だ、デートか?デートなのか?」

 

誰だこの高速肘打ちかけてくる女性は。

その内こちらに助けを求めるような視線を向けてくる。

助けてやった方がいいのかなぁ。

 

「あの、彼に限ってそんなことはないのでは…」

「あなたは…確かめぐりの言ってた気になる人?」

 

彼女は品定めをするような目線でこちらを見つめる。

判定の結果ダメだったらしい。

 

「いや、違います」

 

表情一つ変えず即答する。

 

「僕は彼の部活仲間です」

「そっか、なら納得!」

「そういや、あなたの名前聞いてないんですけど」

「私は雪ノ下 陽乃、雪乃ちゃんのお姉ちゃんだよ」

「僕は三上 隆人です」

「そっか、よろしくねー三上君」

「どうも」

 

僕はこの夏休みに、リアル強化外骨格をありありと目にした。

 

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