シャルティア、ぶくぶく茶釜様の謎を暴く!

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せいゆうなる仕事

真っ赤な顔をしたアウラが友人の私室を訪れたのは一時間前のこと。

人払いをし、さらに魔法防御が幾重にも施された部屋で二人は悶絶していた。

アウラの手首のバンドから流れる激しい嬌声が原因である。

 

「……こ、これ程のものとは……さすがは茶釜様でありんすね……」

「でしょでしょ!? 不眠不休のリング・オブ・サステナンスをしていなかったら、絶対あたし夢にまで見てたよ!」

 

偶然アウラが見つけたのは0721→1919の呼び出し音とは異なる幻の隠しボイス。

モモンガでも見つけられなかった、シンデレラ・タイム終了(もうイ…行かなきゃ……)にして兄様が号泣の大人の階段登る2359→1919である。

 

単なる絶頂ボイスなら、一人占めで秘密にしていただろう。

アウラがシャルティアの元へ相談しに来たのは、彼女が茶釜様の弟君であるペロロンチーノ様に創造されたからだ。

 

 

快楽に喘ぐ切なげな茶釜様の声は、どうして『 モモンガお兄ちゃん(・・・・・) 』と呼んでいるのだろうか?

 

 

指摘されてシャルティアも気づいた。

モモンガ様と自身の創造主は兄弟の間柄でなく、友人の域に納まっていたはずだ。

加えて茶釜様のモモンガ様に対する接し方と、ペロロンチーノ様に対するそれとは全く異なっていた。

 

なのに何故、茶釜様はモモンガ様を兄と呼ぶ?

恋慕のように求め、快楽を訴える相手としながら?

 

「モモンガ様は茶釜さま御姉弟とは他人のお言葉遣いでありんした。

なのに茶釜様が密かに『 お兄ちゃん 』と呼ぶ……つまりは、公に出来ない出生の異母兄妹ということでありんしょうか?」

「じゃあ、この御声は道ならぬ禁断の兄妹愛っ!?」

「アインズ様は思慮深い御方でありんす。弟を持つぬしへ同じ轍を踏まぬように、忠告でこの品を賜ったのかも……」

「あたしがマーレに? そんな事は無いって」

 

アウラと会話を続けながら、シャルティアはもう一つの可能性を考慮する。

創造主ペロロンチーノ様の嗜好は性的なもの。他の分野と等しくエッチの知識・技術はレベル差がある。

『 姉より優れた弟などいない 』

在りし日の茶釜様の発言通りなら、アウラの手首から流れる声からして、御方も優れた技量の持ち主だったのではないだろうか?

 

シャルティアは茶釜様の発言を忘れずに覚えている。

せいゆうなる仕事は声を吹き込むことで、魂を与える生命創造系の職業。

 

つまり、せいゆうとは『 性優 』。

耳元で声をささやき、相手を昂ぶらせることで、生命創造すなわち男女が交わる行為を成す最古の職業――娼婦の側面も持つ巫女では?

茶釜様がアインズ・ウール・ゴウンの指揮官役だった点も、神託を操る巫女ならば納得の話だ。

下す声は神命に等しく、偉大なる至高の御方達を率いるに相応しい。

 

自身が信仰系魔法詠唱者だからこそ、シャルティアは茶釜様の存在に改めて身震いした。

そして茶釜様に愛を捧げられた偉大なる主人にも納得する。

 

(わたしやアルベドが寵愛を求めても、アインズ様が微動だにしないのは当然でありんすね。

茶釜様との禁断の愛に比べたら、わたし達など子供を愛でるようなものでありんしょう)

 

後日、アインズは「お兄ちゃんと呼んでもよろしいでありんすか?」と吸血鬼に尋ねられ、動揺を見せて却下した為(ああ、やっぱり)と提案者は完全に納得。

道ならぬ大恋愛に身を焦がしつつ微塵もそんな素振りを見せないと、新たな賞賛と深い敬愛を得たという。




初出は二次元裏@ふたばのオーバーロードスレ。
原作作品でも創造主に対するNPC達の深読みと誤解は大好きです。


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