すずかお嬢様のお風呂事情   作:酒呑

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すずかお嬢様のお風呂事情 番外

 海鳴市の辺縁部、山に程近い場所のとある温泉宿の露天風呂に三名の男性たちが入浴していた。時期をやや外しているということもあってか、客は非常に少なく露天風呂はこの三人の貸切状態となっている。

 温泉に浸かってからの数分、各々が無言で湯の心地や露天風呂から見える夕暮れの景観を楽しんでいると、男性達の内の一人が徐に右腕を動かす。露天風呂を構成する岩の上に置いてあった木桶へと手を伸ばしたのだ。

 木桶の中には砕いた氷がこれでもかと詰め込まれており、その中で冷やされている瓶と盃が彼の目的であった。彼は木桶を一旦湯面に浮かべ、氷を左右へと退かしながら目的の物を取り出すと、生来の人好きのする笑顔を浮かべながら隣に座って温泉を楽しんでいるもう一人の男性へと声をかけるのであった。

 

 

 

―――――――――――

 野郎どもの男湯事情

―――――――――――

 

 

 

「一献、どうだい?」

「かたじけない」

 

 とく、とく、と鮮やかな青色の酒瓶の注ぎ口が緩やかな音を奏でる。今時分では中々に珍品である朱塗りの盃に注がれていく酒精を、三人の入浴客の一人であるユーノ・スクライアはなんとなしに呆と眺めていた。少しずつ杯に酒が溜まって行くその様は、未だ飲酒の出来る年齢では無いユーノをして何処か趣のある物だと感じさせる物であった。

 

 盃に酒を注ぐ壮年の人物の名は、高町士郎と言う。男臭い精悍な顔付に、短く切った黒髪を無造作にしている男性である。

 そして、注がれる酒を無言で受けている青年の名はザフィーラ。士郎よりも短い蒼銀の髪を携える、これまた男臭い精悍な顔付をした男性だ。

 

 眺めていたとは言うものの、実際には目を奪われていたと言う方が正しかった。酒精が酒器を満たすまでのたったの数秒ではあったが、常日頃からユーノが尊敬し、己も将来あんな風になれたら、と漠然とした憧れを抱く二名が目の前で酒――"酒"と言う物はユーノにとって未だに触れられない、ある種の大人の世界を意味する物であった――を酌み交わそうとしているのだ。ユーノの目が自然にそちらに惹きつけられるのも、仕方のない事と言えた。

 

 士郎が注ぐ為に傾けていた右手を下ろすと、ザフィーラは盃を持っていた左手を少しだけ高く掲げ、士郎に向けてほんの僅かに頭を下げる。そののち、ザフィーラは盃に口を付けてなみなみと注がれた酒を一息に呷った。それを間近で見ていた士郎は先程から浮かべていた笑みを一層深め、呵々と笑いながら良い呑みっぷりだね、と賞賛を送る。

 

 盃を空けたザフィーラは数秒ほど余韻を楽しむと、一つ大きな息を吐いて手に持った盃を士郎に返盃する。士郎が盃を受け取ると、今度はザフィーラが氷の中へと戻されていた酒瓶を手に取って口を開いた。

 

「士郎殿も一献」

「ありがたく頂戴するよ」

 

 酒瓶の傾け方が悪いのか、時折り勢い良く中身が注がれる。その度に士郎が上手いこと盃を動かして酒を溢さない様にして対処する。慣れていないからか、ザフィーラの手付きは士郎と比べて拙い物であった。しかし、二人はそれらも楽しんでいるかの様に口角を上げながら笑んでいた。

 盃に酒精がなみなみと注がれると、士郎はザフィーラに礼を示してから同じ様に一息で酒を呷る。自分よりも早く飲み干した士郎の姿を見ていたザフィーラは見事、と一言だけ発し、笑みを深めてくつくつと笑った。

 

 呵々と笑う士郎と、静かに笑うザフィーラ。

 両極端な楽しさの表現だった。しかしそこには互いに共通する確かな“愉快さ”があったのだろう。十数秒程笑った後、二人はどちらからともなく会話を始める。

 

「士郎殿、この酒は香りが――」

「あぁ、こいつは北雪と言う銘柄で――」

 

 ――格好良いなぁ。

 

 並んで座り、楽しげに呑み交わしながら酒の話をするそんな二人の様子を、ユーノはそんな事を想いながら眺め続けていた。そして同時に羨ましさも感じていた。士郎は別として、普段滅多な事では笑顔を浮かべないザフィーラがこうも楽しげに笑っているのだ。ユーノは自分が未だ酒の飲めない年齢である事を少し悔しく思った。

 

 そういえば一族(かぞく)大人たち(みんな)も発掘が終わる度に大勢で酒を飲んで騒いでいたなぁ。まぁあの頃は酒を飲むことを羨んだりしていなかったんだけど……とユーノが一人郷愁にかられていると、それに気付いた士郎がユーノへと声をかけた。

 

「ユーノ君、そんな離れた所にいないでこっちに来ないかい?」

「えっ、あっ、はい」

「なぁに、今ならちょっとくらい呑んだって大丈夫さ。さっきからこっちを見ていたみたいだしね」

「士郎殿、流石にそれはいかがなものか」

「はっはっは、なぁに気にするな」

 

 右手で酒瓶を掲げながら未成年への飲酒を勧める士郎をザフィーラが宥める。しかし士郎はそれをカラカラと大笑しながら笑い飛ばした。その様子を見たザフィーラはやや肩を落としながらも、どこか楽しげな表情で諦めた様に軽く溜息を吐いている。

 

 士郎の手招きに応じ、ユーノは一度立ち上がって己が股間をタオルでそれとなく隠しながら士郎とザフィーラの近くまで移動した。手を伸ばせば触れられる程の距離まで歩くと、ユーノは股間を隠していたタオルを適度な高さの岩の上に乗せて再び肩まで湯に浸かる。ユーノが座ったのを確認した所で士郎が盃を渡そうとしたが、それはザフィーラが横から回収する事で冷静に阻止していた。

 

 そんないけずな対応をするザフィーラにやいのやいのとじゃれつく士郎の姿を横目に眺めつつ、ユーノは近くに寄ったことでより鮮明に見えるようになった彼らの肉体と自分の身体とを見比べる。口から出てくるのは溜息ばかりだった。

 

 身長も体格も二人と比べるのもおこがましく感じる薄い身体。

 色白で線が細く、見様によっては少女然とした己の綺麗な身体と、至る所に刻まれた傷跡が目を引く筋肉質な体躯。戦闘において大切な人を護ることで刻まれたのであろうその傷跡は、ユーノの目には勲章の様にも映った。

 

 ネガティブな思考を追い払おうと、ユーノは両手で湯を掬って顔を何度か洗う。気持ちが落ち着いたところで顔を上げると、隣に並んでいる二人はまだいちゃついていた。これも酒の魔力かなぁ、と目を逸らして景色を眺めつつ内心でユーノがそんなことを考えていると、数分後に一段落ついたのか士郎が大人しくなった。

 

 ちらりと視線を向けると、ザフィーラがその大きな掌で士郎の顔を抑えていた。顔を掴んでいない(アイアンクローじゃない)ところを見るに、ただの張り手で士郎の顔を遠ざけているだけの様だ。流石のザフィーラも大人の対応を続けるには鬱陶しかったのだろうな、とユーノがうむうむと頷いていた。その動作にやけに実感が籠っているのはひとえに彼も似たような経験を――とは言ってもユーノの場合は漢に絡まれたザフィーラと違い、美少女たちに揉みくちゃにされるというある種男性の理想の具現の様な経験だったのだが――したことがあるからだろう。

 

 突き放されたことで素直にザフィーラとの密着状態を解除した士郎が抑えられていた頬を擦っていると、ユーノがそういえば、と口を開いた。

 

「前から思っていたんですけど」

「む?」

「どうかしたかい、ユーノ君」

 

 ユーノの方に顔を向けて話を促す二人。何を聞いてくるのだろうか、と言う期待が込められた視線に込められている気がしたが、しっかりと自分の疑問を聞いてくれる体勢になってくれた大人達に感謝しながらユーノは続きを話した。

 

「お二人って、すごく声似てますよね」

 

 もっと別のことを聞かれるのかと思っていた士郎とザフィーラは意外そうな表情で顔を見合わせ、今度は二人揃って声を上げながら笑った。

 

 □ □ □ □

 

「全く、あんなに笑って父さんは一体何をしているんだか……」

「僕からしてみればザフィーラがあんなにも楽しげにしていることの方が気になるんですがね」

 

 同じ温泉宿の大浴場で、二人の男性が露天風呂で騒ぐ三人組を眺めながらそんな会話を交えていた。

 

 露天風呂で楽しそうに笑っている高町士郎に良く似た外見の人物。士郎の息子である彼の名前は高町恭也と言う。男臭い顔つきの士郎と比べ、少しだけ爽やかな顔つきの青年だ。

 もう一人の方の、彼と会話を交えていた紺青の短髪の青年の名はクロノ・ハラオウン。恭也とどこか似た雰囲気の青年で、更にいえば顔つきもどことなく似ている。

 そんな似た者同士の二人組だ。

 

「まぁ、他のお客さんがいないことが救いですかね」

「そうだな……」

 

 クロノが周囲を確認しながらそう言うと、恭也は同意を示しながら内風呂の浴槽に背を凭れさせながら呆れた様に息を吐いた。自分も母やエイミィの悪ノリを見ている時に同じような反応をする為か、クロノは苦笑しながらその様子を見守っていた。

 

 気分を変える為か、恭也は頭を軽く左右に振るう。その後、クロノにも聞こえる程度の大きさでよし、と言うと突然立ち上がった。そのまま浴槽の縁に置いてあったタオルを手に取ると、未だに湯船に浸かっているクロノに向かって声をかけた。

 

「クロノ君、サウナにでも行かないか?」

 

 そう声をかける恭也の顔には、どこか挑発的な笑みが浮かんでいる。その顔を見上げていたクロノも同種の笑顔を浮かべて立ち上がると、タオルを手に取って返事をした。

 

「もちろん」

 

 □ □ □ □

 

 ――熱い。

 

 その感情が、二人を支配していた。だが同時に、その熱さの中に存在する確かな心地良さもまた感じていた。頭、胸、脚といった全身の至る所から玉の様な大粒の汗を滝の様に流しながら、しかし両者共微動だにせず黙々と座り込んでその熱を味わっていた。

 

 そんな中、職務上で鍛え上げられて力強さと同時にどこか美しさを感じさせるクロノのうなじを、汗がつぅ、と流れ落ちて行った。流れた汗はそのまま鎖骨を辿り、隆起する程に鍛え上げられた左右の大胸筋の谷間を潜り抜け、最終的に股間を申し訳程度に隠しているタオルへと到達して吸収され消える。

 

 首元を流れる汗を切欠にしたのか、黙々とサウナを楽しんでいたクロノが会話を切り出した。

 

「恭也さんは」

「……?」

 

 クロノの呼び掛けに反応し、瞑目しながら熱を楽しんでいた恭也が目を開く。

 視線をクロノの方へと動かした恭也だったが、クロノが正面を向いていることを確認すると再び瞑目して言葉の続きを待った。

 

「"こちら"では月村さんと付き合っていらっしゃるんですね」

「そういう君こそ、"こちら"ではなのはとではなくエイミィさん、と……?」

「どうかしまし……た?」

 

 あまり意識しないで互いの言葉に返事を返したクロノと恭也だったが、奇妙な違和感を覚えた為に言葉尻が途切れ途切れになった。

 何かがおかしい。クロノも恭也もそう感じていた。知らない筈なのに、何故か互いが互いの女性関係に付いて軽口を叩いている。

 クロノはなのはと付き合ったことなどないし、恭也も今の恋人以外に付きあったことなど無い。しかし、両者共にそれらを"知っている"物として先程会話した。

 

「「……"こちら"?」」

 

 同時に違和感の答えに辿り着いたのか、二人の呟きが重なってサウナ室に響く。互いの声に反応したのか、クロノと恭也は顔を見合わせた。奇しくも、それは露天風呂で士郎とザフィーラがユーノの質問を受けて顔を見合わせているタイミングと同じだった。

 

「恭也さんもですか?」

「あぁ。……しかしそうか、なのはとクロノ君が結ばれる未来もあったのか」

 

 恭也が何処か含みのある笑みを浮かべながらクロノを見遣る。面白い物を見たと言う様なその視線に、実際に思い当たる節があった――出会った頃に彼女の笑顔に魅了されそうになったことがある――クロノは肩を竦めることで応じた。

 

「随分と落ち着いていますね」

「なのはや君達みたいな魔法使いがいるんだ。そういう事もあるだろうさ」

「それも確かに」

 

 仮にも魔法を使っている僕が言うことではなかったな、と苦笑しながらクロノが頷く。恭也もそうだろう? と疑問形でクロノに続きながら微笑んだ。

 

 一頻り二人が静かに笑っていると、クロノが再び会話を切り出した。

 

「僕がなのはと結ばれる可能性があったというのはさておいて」

「うん?」

「恭也さんもなかなか“あちら”ではプレイボーイだったようで」

「ぐっ」

 

 クロノの言葉に、痛いところを突かれたと言わんばかりに恭也が短く苦悶の声を上げた。つい先ほどまでからかっていた相手からの手痛い反撃に、つい空中に視線を彷徨わせる恭也であった。

 

「世界の歌姫さんに地元の巫女さん、活発で修行大好きな一人目の妹分に家庭的でのんびりやの二人目の妹分。良家のお嬢様とそのお付きのメイドさん、果てには銀髪ロリっ子の美人医師に美由紀さんまで……」

「むぐぐぐ……」

 

 更なる追撃に唸る恭也。クロノは自分から視線を外し、苦し気な声を発しながらどこか居辛そうにする恭也をしたり顔で見ていた。先程の意趣返しに成功したからだろうか、普段の冷静で落ち着いた表情からかけ離れた悪戯っ子の様な表情で笑っている。

 

「いやぁ、実におモテになっていたようで」

「……クロノ君、これ以上この話題を続けるのはやめよう。ほら、父さん達も露天から出てくる様だ。そろそろ合流しよう」

 

 露骨に、そして無理やりに話題を変更しようとする恭也の姿を見てクロノは声を上げて笑いながらサウナを後にするのであった。

 

 ■ ■ ■ ■

 

 ――かこん。

 

 インテリアとして何故か備え付けられたシシオドシが、心地よい音を大浴場へと響かせる。一説によると温泉宿の支配人が『温泉らしい温泉』を目指した結果、真っ先に取り付けられたのがこのシシオドシであるそうだ。この温泉宿の支配人は一体何処を目指しているのだろうかと問いたくなる気持ちをそこそこに、ユーノは近くにある竹で出来た装置に興味を向けた。尤も、未だに酒を呑みかわしながらいちゃついている士郎とザフィーラから目を逸らす意味も込められていたが。

 

 カケヒと呼ばれる装置からシシオドシの竹筒へと注がれる水を目で追いかけ、シシオドシがゆるりと傾きだせばその一瞬の分水嶺に注目し、竹筒の底と石桶の淵が奏でる音を耳で楽しむ。木材と石材が奏でる、なんとも味わい深いこの音を現地の人達は趣があると表現するのだろう。

 

 以前読んだ本から得た知識を記憶の底から引っ張り出しながらユーノがそんなことを考えていると、水風呂で涼んでいたクロノと恭也が揃ってユーノの近くへと移動して来た。クロノは特に何も言わずにユーノの右隣で浴槽の中に腰を落ち着けると、どこか熱っぽい息を零しながら手足を伸ばしてゆったりと湯を楽しみ始める。恭也はクロノの更に隣でいつの間にか座していた。

 

 シシオドシから目を離し、ユーノは視線を戻す。その際ちらりと自身の左側の様子を窺うと、先程よりも酔いが進んだ様子の士郎が今もなおザフィーラにじゃれついている。内心でお疲れさま、とザフィーラに向けて唱えると、自分は巻き込まれないように少しだけクロノの方へと移動するユーノであった。

 

「ユーノ君。そっちはそっちで楽しそうだったけれど、父さん達と一体どんな話をしていたんだ?」

「士郎さんはともかくとして、ザフィーラがあぁも楽しそうにしていたのは僕も気になったな」

 

 そそくさと移動しているそんな時、恭也からユーノへと声がかかった。

 先程から湯の中でゆったりと弛緩しきっているクロノもそれに便乗したのか、疑問を重ねて来た。

 

 しかし、そんな風に聞かれても実のある話など何一つない。三人で話したのは酒の話と士郎とザフィーラの声が似ているという雑談だけである。

 二人が期待している様な答えは返せないんだけどなぁ、とユーノは指で頬をぽりぽりと掻きながら答えを返す。

 

「うーん、お酒の話と……あとは士郎さんとザフィーラの声がすごく似ているよねっていう話かなぁ」

「あぁ……」

「言われてみれば確かに」

 

 ユーノのその答えに恭也は深い同意を、クロノは言われて見れば、と少し驚いた様子で頷いた。同意を示していた恭也が何かを思い出したかの様にゆっくりと深いため息を吐き、右手で目を覆って天を仰いだ。少し期待を込めた眼差しでユーノとクロノの二人が恭也の様子を見ていると、恭也は天を仰いだまま口を開く。

 

「以前、父さんに恭也殿と呼ばれてからかわれたことがあってな……。あの時はすっかり騙されてしまったよ」

「士郎さんにですか?」

 

 問い返すクロノに短くあぁ、と応えて恭也は話を続ける。

 

「去年のクリスマス商戦の時、ザフィーラさんが一日だけ助太刀に来てくれたんだ。去年はチーフ他数名のウェイトレスさんが諸般の事情により参加出来なくてな」

「デートですかね」

「良いかユーノ君、『諸般の事情で』だ」

「そうだぞユーノ。『諸般の事情で』だ。恋する乙女に刃向っても碌な事にはならないからね」

「あっ、はい」

「……まぁその時の話なんだが、如何にザフィーラさんと言えどウェイトレスは流石に不慣れだったようでね。色々と質問に答えていたんだが……」

 

 ちらり、と恭也はすっかり出来上がっている士郎の方を確認する。ザフィーラの肩に腕を回して浮かれた表情で酒を呷っている士郎の姿を見ると、やれやれと諦めた様に首を左右に振り、また話を続けた。

 

「まぁ、あとは察しの通りあそこの酔っ払いに一日中からかわれたと。本当に別人なのかと疑ってしまう程声が似ていたな。……というか、本当に別人の声なのかあれは」

 

 そんな風に締め括り、上を向いていた首を戻して恭也は緩慢な動作で立ち上がる。恭也は自分の分の持ち込みタオルをしっかりと回収すると、まだ湯船に浸かっているユーノとクロノに顔を向けて三度口を開いた。

 

「さて、俺はそろそろ上がらせてもらうが二人はどうする?」

「ふむ……」

 

 クロノは少し逡巡するも、恭也と共に一足早く温泉から上がることに決めたのかタオルを手に取って立ち上がる。

 

「では僕も上がりますかね。ユーノは?」

「僕は――」

 

 

 

 こんな風にして、野郎共の騒がしい入浴時間は過ぎていく。

 

 この後、完全に出来上がった士郎に捕まって酒を呑まされ、クロノが吐いたり恭也が吐いたりすることになるのだが――それはまた別の話である。




抽選王に全て入れて5分間ほどランダムに選択し続けた結果選ばれたのは男湯でした。
なぜだ。

追記
指摘を頂きましたので形式を短編から連載へと切り替えました。

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