イアソンに転生しちゃった 作:ぷるぷる
◆2016/3/5 ほんの少し書きなおしました。
街を壊さないため、アルゴナウタイの英雄たちは市外から移動し、人や動物の居ない荒野へと決闘の場所に移し、戦いを始めた。
けれど、それは、あっと言う間だった。
皆が皆、自身の武には誇りを持ち、それ相応の力を有していた。だがしかし、十二の偉業を成し遂げたヘラクレスの前では、無下に等しく太刀打ちする事はできなかった。一瞬で蹴散らされてしまったのだ。ただ一人を除いて。
「どうやら、残ったのは我々だけの様だ。」
「――――その様だな…ヘラクレス…。アレだけの強者に襲われて大きな怪我が一つも無いとは…流石は生きた伝説か。」
「それは此方の台詞だ。貴方の方こそ、
ヘラクレスは自身の振り下ろした斧を
イアーソーンの蹴りによって生み出された衝撃波と灼熱の炎が辺りに飛散し、熱と瓦礫を含んだ烈風が周りに居た者たちを襲う。辛うじて踏みとどまっている者やその衝撃に耐えられず吹き飛ばされた者たちも居た。だがしかし、誰一人としてその事に関して文句を言う事は無かった。いや、眼前で行われている戦いの凄まじさに唖然としていたのだ。
二人は彼らの目では捕捉できない程の速さで戦っている。炎を纏い速度を上げているイアーソーンに関してはあまりの速さに瞬間移動しているかのように見えた。かくいう、ヘラクレスもイアーソーンの姿を捉えられている訳では無い。長年の戦士としての勘を駆使して、彼の攻撃を予測し拳を躱し、斧で受け流していた。二人の戦いぶりは、さながら炎の龍がヘラクレスの咽喉元を食らいつこうとしている様にも見える。
だがしかし、二人の力は拮抗しており、決着が付く様子は無かった。このままでは、延々と続く事になる。そのことを二人は理解していた。どちらかが必殺の一撃を食らわせ再起不能させない限り、決着はつかない。
そうして―――――ヘラクレスが動いた。ヘラクレスはイアーソーンから少し離れると落ち着いた声音でありながらも、意志の強さを秘めた声で言う。
「その強さ―――感服した。故に我が万全の力を貴殿にぶつけよう。」
そうヘラクレスが言った瞬間、イアーソーンの脳裏にあるビジョンが浮かび、戦慄する。竜の形をしたホーミングレーザーが九発同時に放たれ、自分が射殺されている姿が。イアーソーンは目を見開き、すぐさまヘラクレスから大きく距離を取ると、足元に合った巨石を拳で十個に砕き、直ぐに溶けない様に強化の魔術を掛け炎を纏わせ、宙に浮かせる。
そして――――ソレは放たれた。
レルネ沼に住むヒュドラを一時に殺したと言われる竜殺しであり、幻想獣殺しの一撃が―――――。
「―――――『
「―――――ッ!」
ヘラクレスが放った
太陽の如き灼熱が篭った石による強烈な投擲は、十二の偉業を成し遂げたヘラクレスの身でさえ防ぎきる事は出来ず、赤い閃光がヘラクレスの胸を貫き凄まじい爆発音が天地に響く。
そうして、土煙の中からは、イアーソーンの投擲で作られた熱によって溶岩の様にドロドロに溶けた大地の上に胸に風穴が空けたヘラクレスが力なく膝を着き、口や傷口から血を滝の様に吹き出す。だが、暫く立つと胸の風穴が埋まり、静かに呟く。
「――――よもや、ただの一撃で、この身を三度も滅ぼすとはな。驚いたぞ。」
「ふっ……驚いたのは此方の方だ。まさか、あんなものを放つとは…普通に死ぬかと思ったぞ…冒険をする前に死ぬつもりは無かったが…にしても、ヒュドラ達が恐れをなすのも頷ける。」
「それに関しては申し訳ない事をした。熱くなりすぎて本気で貴方の事を殺そうとしていた。この決闘に関しては不本意ではあるが、引き分けで構わないか?」
「別に構わない。謝らないでくれ、それはお互い様だろう。私は貴公を三度も殺してしまったのだ。責めようがないさ。それに、これ以上、続ければ愚かな死体が大地に二つ転がるだけだろうしな。」
「あぁ、全くだ。」
ヘラクレスはそう言うと立ち上がり、イアーソーンに握手を求めた。それに対して、イアーソーンも微笑みながら応じ、ヘラクレスの拳を強く握り締め、互いを称えあった。
そんな二人の姿を見て、遠く離れた場所から見ていた英雄や神々はいたく感動したという。
だがしかし、疲労のあまりイアーソーンが白目を向いて倒れ大騒ぎになったのは言うまでも無い。アスクレピオスの診断により、疲労による気絶であることが分かり、騒ぎは直ぐに収まった。そうして、イアーソーンが目覚めた後、改めて集まり、船長を誰にすべきか話し合う事になった。
「やっぱり、船長はヘラクレスが良いと思うぞ。俺よりも経験があるからな。」
「いえ、船長はイアーソーン…貴方が良いだろ。もとより、この冒険は貴方が始めたものだ。」
「……確かに、言われてみれば…。みんなはどう思う?」
そう尋ねると、一人の人間が声を上げる。アタランテだ。
「私は何方が船長でも文句は無いが、ヘラクレスの言う通りだな。イアーソーン、汝が船長になるべきだろう。」
他の英雄たちも文句は無いと言い争いが起こることなくすんなりと決まった。そうして、船が出来るまで各々の英雄たちはイオルコスで過ごした。
そんな中、鍛治神ヘパイトスがヘラクレスとの勝負を見ていたらしく感動し、イアーソーンのために武器を造った。彼の炎でも溶けず寧ろ反応して、神霊が起こす魔術並みの行使が出来る剣を授けたのだ。イアーソーンは自身の炎で溶けない事を知って、感動と喜びのあまり小躍りした。
そうして、船が完成し冒険の時が来た。
◆
とある冒険者の日記 題名『冒険王に…俺はなる!!!』 天気(晴れ)
ようやく、船も完成し、大勢の人から見送られながら冒険が始まった!
へパイトス神に貰った剣でさっさと試し切りしたいぜ…。
そう思いながら、船で剣を素振りしていたら、燃えるから止めろとカストールとヒュドラに怒られたでござる。
海上でやったら、ポセイドンさんに海水が蒸発するからやめろって…止められるし、何処で修行すればいいんだって悩んでたら、空でやれば良いんじゃねって、感じでポルックスに言われのでカライスとゼテスと一緒に空で修行した。
俺達の冒険はこれからだ!!
□
とある冒険者の日記 題名『美女に陥落する駄目英雄たち』 天気(晴れ)
三日かけ、船はレムノス島へと到着した。この島は昔、美の女神アフロディテの怒りを買って呪いが掛けられている。曰く、島の住民には女性しかいないとか。ちょうど、嵐が起き始めていたためその島にとどまらなければ、船が沈没するのだ。
この時代は海猿が居ないため海難に有ったら死ぬか、ポセイドンや海の神々に助けてもらうしかないのである。
冒険を此処で終えるつもりは無い為、なんとかレムノス島に泊まる事を彼女たちに許して貰おうとしたのだが、一筋縄でいかず彼女たちと勝負する事になった。まあ、勝負の末、此方が勝利して島に入る事が出来てた…が…美女しかいない島である。
ヘラクレスやアタランテを除いて船に乗ってる英雄共の股間は緩い緩い。まぁ、ヘラクレスにはヒュラスにメロメロだからね。
当初の目的を忘れて思い思いに美女漁りに耽っていた…特にカストールとポルクッス…4Pしたと自慢しなくて、どうぞ。
アタランテと一緒にゴミを見る様に英雄たちを眺めていたが、その島の女王に『や ら な い か ?』と誘われたので断ろうとしたが、預言者であるイドモンくんが断ってはいけないとか言って来たので、仕方なく一夜を共にした。
うーん、俺の冒険どうなるんや…もう、これ、もう、わかんねぇな。(困惑)
□
とある冒険者の日記 題名『再び冒険が始まった!!』 天気(晴れ)
いい加減、ゆるゆるに成り過ぎていたのもあるが時間が無い為、一喝して色香に耽った英雄たちを奮い立たせ冒険を再び開始した。
次に行ったドリオニアという国に到着する。其処の国の王は此方を手厚く歓迎してくれた。
王とは酒を飲み交わし、翌日気持ちよく再出発したのであった……がその晩、船はは大嵐に遭い、深夜のドリオニア国に押し流されて戻ってきてしまった。
暗くてよく分からないが、こんな夜更けにやたらデカイ船が国の海岸に近づいてきている。これは敵襲だと、ドリオニア王はアルゴー号と知らず、船を攻撃してきたのだ。
勘違いされていると何となく直感で分かったため、某鉄暗アトムになって王に敵ではないと誤解を解きに飛びに行った。
その間、槍とか飛んできたから怖かった…でも、誤解が解かれたため、どちらも犠牲にが出ず本当に良かった。
嵐が収まるまで、再び酒を飲み交わし翌日、漸く嵐が収まったため、気持ちよくお別れした。
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とある冒険者の日記 題名『令呪を持って命ず、自害しろ。ニンフ。』 天気(晴れ)
今度は水の調達に、キオスと呼ばれる無人の地に停泊した。
ヘラクレスのアレであるヒュラスが取りに行ったが、心配だったので付いて行けば、ニンフに湖に引きずり込まれかけていたので助けたものの、寧ろ、デカい獲物が釣れたみたいなノリで、一緒にひずり込まれそうになった。
おのれ、ニンフ!多勢に無勢とは卑怯だぞ!
なんとか、ニンフを死なない程度に蹴散らし、ヒュラスを助け出して逃げたが、ほんまヤバかった。あと、ヘラクレスに滅茶苦茶、感謝された。
ニンフに引きずり込まれる英雄が居る可能性(ヘラクレスとアタランテ以外は引きずり込まれる)があるため、キオスをさっさと出発しようとしたが、海神グラウコスが船の前に立ちはだかり、船を破壊しようとしたのだ!
口で説得して、なんとか、一騎打ちで勝ったら、壊さないでやると言われたので、へパイトス神から貰った剣でエクスカリバー並みの炎を出して一刀両断した。
恨まれるかと思ったが、海神グラウコスも英雄であったがためか恨み言なく格好く死に海の底に沈んでいった。
敬意を評して、キオスの地に戻り慰霊碑を立てた。
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とある冒険者の日記 題名『ハーピィは遊戯王のハーピィのように可愛いのではないのか?!』 天気(晴れ)
船はキオスから、ベブリュークス人の支配地に、前回補給できなかった水の調達の為立ち寄った。そこの王はガラが悪く、ボクシングで自分に勝てなければ水をやらんと言ってくる。そこに、ケイローン塾のポルックスを投入し、死なない程度にボこらせたあと、さっさと水を頂いてその地を後にした。
その次は、ボスポラス海峡の手前のサルミュデッソス国を訪れた。
この国の王であるピネウスは盲目だが優れた予言者だった。しかしその力を使い過ぎてなんでもかんでも予言してしまう所為で、ゼウスの怒りを買ってしまいとある呪いを受けているのだと言う。
それは、食事しようとすると必ず人面怪物鳥のハーピィが襲ってくる、という呪いであった。なんだその面倒な呪いは…よってピネウスはここずっと食事をしていなくて干からびている。故に助けを求めた。
ハーピィ退治に乗ったのは、踝に羽を持つゼテスとカライスだ。俺も戦うと宣言したが、ハーピィを焼き鳥にするだろ…と皆に止められた。
正直納得しなかったが、渋々、何も手出しはしなかった。そうして、二人がなんだかんだ、ハーピィを追い払ったが…てか、ハーピィって、クソ婆みたいに気持ち悪かったのか!?遊戯王のハーピィめっちゃ可愛かったのに…うーん…日本人の妄想力ヤバ過ぎィ!
そうして、ピネウスは漸く食事にありつけたため、感謝しながらこの先にあるシュンプレガデスの事を話してくれた。
シュンプレガデスとは、この先のボスポラス海峡を挟む形である2つの大岩のこと。
その大岩は海峡の間を通る物を両サイドから押しつぶしてしまうらしい。
解決方法は船の行く手に鳩を飛ばし、岩がその鳩目掛けて閉じた後、それがまた開き始めてる間に通過してしまえばいいのだ…と。
その方法で無事ボスポラス海峡を通過した。
漸くコルキスは目の前だ。
さっさと、アルゴンコイン貰ってイオルコスに帰ろう。大丈夫、メディアさんには関わらないぞ。彼女はコルキスでのんびり暮らすのが望みだろうから。
◆
船から身を乗り出し、イアーソーンは海の向こうに広がる大陸を見てため息を吐きながら呟く。
「やっと、コルキスに着いたな。」
「ええ、やっとですね。」
イアーソーンの飼っているヒュドラの首の一本であるプロトスは主たる彼に同意する。
遠い目をしながらイアーソーンはぼやく。
「此処まで時間が掛かるとは思わなかった。途中で、女神と結婚したり、船酔いで冒険止めたり、飽きて辞める連中が居てどうなる事かと思ったが、なんとかコルキスに着いた…だが、アルゴンコインもそう易々と手に入んないんだろうな。」
「でしょうね。コルキスにとって、アルゴンコインは国宝でしょうから。恐らく、軍神アレスの眠らぬ竜に守られている筈です。ですが、貴方なら容易に倒せますよ。正直、我々よりコルキスの眠らぬ竜は弱い。」
そう自信満々にプロトスは宣言する。自身を完膚なきまで倒したイアーソーンがコルキスの竜に負ける訳がない。負ける姿など想像がつかないと。もとより、海神を倒したのだから。それを聞き、イアーソーンは複雑そうに笑う。そんな彼を見てプロトスは心配そうに尋ねる。
「何か見たんです?」
「いや、千里眼で未来を見てないよ。ただ、少し嫌な予感がするんだけだ。」
そんな何時もの調子では無いイアーソーンの姿をプロトスは不思議そうに眺めた。
◆いあーそーん……テテテーン!イアーソーンのレベルがアップした!
◆へらくれす……いあーそーんとの戦いに熱くなりすぎて、本気で殺そうとした。悪気はなかったが、やり過ぎたため謝った。戦う時以外は紳士である。あれ以上、やっていた相打ちになっていたと予測している。
次回、メディア嬢登場!