イアソンに転生しちゃった   作:ぷるぷる

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prologue とある英雄の生涯Ⅲ 王女と英雄

 

 

 

 

 

その日、神殿が何時も以上に騒がしかった。

どうやら、遠方から客人が来たらしく彼らを迎える宴が始まるため、奴隷や召使の女性たちが急いでその準備に追われていた。

そんな忙しい筈の彼女たちだが頬をやけに赤らめ、ひそひそと何かを話し合っている。そんな彼女たちの一人にメディアは不思議そうに尋ねる。

 

「………何かあったのですか?」

「あっ、メディア様!なんと、遠路はるばるイオルコスから彼の名高い英雄たちがやって来たんです!十二の偉業を成し遂げたヘラクレスや素手でヒュドラや英雄殺しの竜たちを殴り殺したイアーソーンも居ます!」

 

嬉々として語る一人の召使の言葉にメディアは目を見開き、驚きの声を上げる。

 

「こんな辺境の国に彼らが態々来たのですか?」

「えぇ、理由は分かりません。でも、噂に聞いていた御仁…ヘラクレスは想像どおりの方でしたが、イアーソーンがあれ程の色男とは思いませんでした。正直、彼の武勇を聞けばヘラクレス並みの大男だと思っていましたもの。それに、彼が率いている英雄たちも、美男美女が多いですよ。今夜、宴が有るので是非、メディア様も彼らの姿を見るべきです。」

 

そう召使に勧められ、メディアは渋々、参加する事にした。

宴に参加するつもりは無かったのだが、召使の女性たちが一際持て囃している男性が気になり参加する事にしたのだ。それに、国で良く語られている英雄たちの姿を見る絶好の機会でもある。

そうして、粛々と宴の準備をしていると時間もたち、夜になり盛大に宴が始まった。

召使が言った通り、イオルコスからやって来た英雄―――アルゴナウタイは、一部を除き本当に美男美女が多く驚きを隠せなかった。

 

宴に参加している貴族たちは、此処にくる間に何があったのか英雄たちに聞こうとせがんでいる。彼らも人々に答えるかのように武勇伝を語っていた。

そんな宴で、父であるアイエテス王が何時も以上に高揚し、楽しげに金髪の美丈夫に話しかけている。金糸の様に長い髪を後ろに一纏めにし、凛々しく整った顔立ち、体は細身なれど、筋肉が引き締まっているのが目に取れた。

 

初めて、その男の姿を見た時、一瞬で時が止まったかのようにメディアは錯覚する。

この胸の高鳴りも、

暫く顔を赤らめボーっと彼を眺めていると、父が此方に気が付き手招きをしてきた。それに気が付き、急いで父の傍に行く。

 

「この子は我が愛娘のメディアです。さぁ、彼に挨拶しなさい。」

「は、初めまして、メディアと申します。」

 

 

「初めまして、メディア様。我が名はイアーソーン、アルゴナウタイを率いている者です。以後、お見知りおきを。」

 

自己紹介を終えると彼はとても優しげに微笑んできた。

柔らかな笑顔に、

 

 

 

 

 

 


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