「い、いらっしゃい」
「こんにちは、Mis.風見。今日は突然の訪問、申し訳ありませんでした。事前にご連絡したかったのですが連絡手段が無かったので」
「い、いえ、こっちこそいつでもなんて言ってごめんなさい・・・えっと」
「あぁ、そう言えば名乗っていませんでしたね、失礼いたしました。私、アリッサと申します。現在は魔法の森のアリス・マーガトロイドのご自宅にて居候をさせていただいてます」
「アリッサ、ね。知ってると思うけど風見幽香よ、それと幽香って呼び捨てでいいわ。立ち話もなんだし、入って」
「はい、お邪魔いたします」
いつものように懐から屋内用の靴を取りだし履き替えてから中にお邪魔した
「あら、お客さんかしら?」
声のする方向を向くとテーブルの席に座って片手にティーカップを持つ金髪の女性が居た
幽香さんのご友人かな?
「これはこれは、先客がおりましたか。どうもはじめまして、アリッサと申します。お見知りおきを」
「ご丁寧なご挨拶、恐縮ですわ。私はスキマ妖怪の八雲紫、と申します」
「八雲紫・・・では、貴女が妖怪の賢者と呼ばれた幻想卿創設者の。こ、これはとんだご無礼を!まさか、このような所でお会い出来るとは思いませんでした。申し訳ありませんMrs.八雲さん」
目の前にいる彼女がかの八雲紫とは思わなかった
話はアリスや霊夢からも聞いていましたが、まさかこんな所で出会うとは思わなかった
「別にそこまで畏まる必要はないわ、普通通りに接してくれてかまわないわよ・・・それと、私は結婚してないわよ」
「おや、そうなのですか?私よりも長く生き、これほどの美貌をお持ちの方だったのでご結婚しているものだと」
「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない」
「・・・どうせ私は可愛いげないわよ」
小声で言う幽香、その言葉もアリッサの耳には届かなかった
「あぁ、幽香さん。昼食はお済ませになりましたか?」
「え?いや、まだよ」
「それはちょうどよかった。実は昼食用にとサンドイッチを作ってきたんです、もしよろしければご一緒にどうですか?」
「あ、ありがとう・・・席に座って待ってて、お茶を淹れてくるわ」
幽香さんは台所に向かい、お茶の準備に向かった
私は席につきサンドイッチが入ったバケットを置く
「一つ、貰ってもいいかしら?」
「あ、はい。どうぞご賞味ください」
バケットの蓋を開けて、中身を見せる
中には一つ一つ違った具が入ったサンドイッチが入っていた
しかし、幻想卿ではハムやローストビーフといった肉類の調理法の技術がまだ発達してないため肉類の具はなく、海も無いため、魚介類も無い
その為、卵や野菜等がほとんどで数個は果物などを挟んだサンドイッチがある
紫さんはシンプルな野菜と卵が具のサンドイッチを手に取り、食べる
「うーん、美味しいわ」
「ありがとうございます。サンドイッチは私の得意料理ですから、喜んで頂けたのなら嬉しい限りです」
「お待たせ、お茶が入ったわ」
「あぁ、どうも・・・おや?この香りは」
ティーカップを受け取り、匂いをかぐアリッサ
いつも飲んでいた紅茶とは少し違った香りが気になり、少しだけ口に運び飲んでみた
「これはハーブティー、この甘くてスパイシーな香りにさっぱりとした味わい・・・アニスヒソップですね」
「正解よ。香りと味だけでそこまで分かるなんて凄いわ」
「元の世界でも色々やっていまして、ハーブを育ててハーブティーを作った経験もあるんです。アニスヒソップには疲労回復だけでなく咳止めや健胃作用もあるんですよね」
「えぇ、魔法の森からここまで来るのに長かったでしょ?だから疲れてるんじゃないかと思って」
「お気遣い、ありがとうございます」
幽香さんも席につき、ハーブティーを楽しみながら昼食をとる
『ほら、幽香。美味しいのはわかるけど何か話なさい』
『な、何か話すって、何を話せばいいのよ!?』
『なんでもいいから、とりあえず話題を切り出すのよ』
『わ、分かったわよ』
アリッサがハーブティーを堪能している間にこそこそと話し合う二人
幽香は呼吸を整えて話を切り出す
「あ、アリッサ」
「はい?なんですか」
「え、えっと、ご、ご趣味とかは?」
(なんでお見合いみたいな感じで言ってるのよ)
「趣味ですか?先程も申した通り、元の世界で色々やっていました。小説の創作や様々な本の朗読、料理に人形製作、人形劇、造園、農業、音楽、釣り、景色や動物の写真撮影や絵描き、えーと・・・まぁ、本当に色々です」
「す、凄い多趣味なんですね」
(多趣味で済むのかしら)
「幽香さんはどのような趣味をお持ちで?」
「わ、私は・・・花を育てたりしてるわ」
「やはり、花の妖怪と言われるだけあって花が好きなんですね」
その後も色々お話をしながら、昼食を楽しんだ三人
気づけば、日が傾きそうなくらいの時間になっていた
「おやおや、もうこんな時間になっていましたか。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいますね」
「えぇ、本当ね・・・所で本当にただ話をしたかっただけなの?」
「えぇ、今日はただ、貴女にとお話がしたくて訪れたんです。特に深い理由はありません、ですが本当に楽しかったですよ。では、そろそろ私も帰りましょう」
「あら、今から帰っては魔法の森につく前に夜になってしまうわ。今日は幽香の家に泊まったらどう?」
「ちょ!紫!?」
「うーん、しかし、一人暮らしの女性の家に私のような者が居るのは落ち着かないでしょう。ご迷惑になるやも」
「大丈夫よ。逆に貴方が妖怪に襲われて怪我をしてしまったら大変よ、魔法の森の人形使いに会わせる顔がなくなってしまうわ」
「わ、私は大丈夫だから、今日は泊まっていきなさい」
「・・・んー、ご厚意を無下には出来ませんね。わかりました、お言葉に甘えさせて貰います」
「じゃあ、貴方の寝る部屋を用意してくるわ」
そう言って、奥の方へ向かった幽香
「もしよければ、私がアリスに伝言を伝えて来ましょうか?」
「いいんですか?」
「大丈夫ですわ。それくらいなら問題ありません、では、行ってきますわ」
スキマを開き、スキマの中へと消えた紫
今日はここで一日を過ごすことになったが、アリスさんの方は問題は無いでしょう
私は少し冷めた、ハーブティーを口に運んだ
その頃
アリス邸
「・・・」
その時のアリスは人形の製作作業の途中で手を休め、新聞の束に目を通していた
この幻想卿では妖怪の山に住まう鴉天狗が新聞を作っており、唯一の情報源なのだがそのほとんどが捏造されていたり想像等が大半な為にあまり信用はされていない
しかし、アリスは文々。新聞という新聞に書かれているある記事の部分を凝視しながら見ていた
そして少ししてから震えながら新聞を持つ手を握りしめ、新聞がクシャと皺が出来る
「あ、あの鴉天狗・・・なんて記事を!」
その記事の一面がこちら
『外来人 大妖怪・風見幽香との怪しい密会!?』
数週間前に幻想卿にやって来たと思われるスーツ姿の外来人、博麗の巫女の情報によると名前はアリッサという名前
現在は魔法の森に住むアリス・マーガトロイド氏の自宅にて居候しているらしい
そんな外来人のアリッサ氏が風見幽香と接触する姿が人里で目撃されており、はたまた魔法の森入口に構える香霖堂でも話をしているところを発見
店主の話によると、アリッサ氏は風見幽香とお話がしたいということで近々、太陽の畑に赴くという情報を入手
かの大妖怪と恐れられた風見幽香の元に自ら向かうこの外来人は一部の人からは風見幽香に一目惚れをしているのではないかとも噂されている
当記者は今後も二人の関係性について追求取材をしていきたいと思います
っと、いう記事になっていた
「どうせ、盛り上げるために捏造してるんでしょうけど・・・どうしてこんなにもやもやすんのよ!」
新聞を持ちながら頭を抱えるアリス
(・・・面白そうだから、ほっとこ♪)