東方人形録   作:BATTU

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向日葵畑の絵描き会

次の日

 

 

「・・・ん、あら?ちょっと寝坊したかしら?」

 

 

体を起こし、窓から見える外の明るさからいつもより少し遅めに目を覚ましたと気づく

 

ベットから下りて私服に着替え、寝癖がついた髪を整える

 

 

「アリッサはもう起きてるわよね」

 

 

いつも通りとは違い、いま家には客人が泊まっている

私は早歩きで部屋から出ていつもの居間に向かった

 

だが、居間には彼の姿は無い

 

変に思いながら彼が昨日使っていた仮の寝室にも向かったが彼の姿は無かった

 

 

「おかしいわね。ちょっとこの子達に聞いてみましょう」

 

 

居間に飾られている花達に彼の事を聞いてみた

 

 

「・・・外に出て向日葵畑の方に行ったのね。ありがとう」

 

 

花達の話では朝早く起きた彼は何も食べずに居間で数時間読書をした後、外に出て今は向日葵畑の方に居るようだ

 

私は傘を持って彼の下に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

向日葵畑

 

 

「♪〜♪♪〜~♪〜♪♪〜〜」

 

 

鼻歌交じりに右手には筆、左手には様々な色の油絵具がある木製のタレットを持ち、目の前に広がる向日葵の景色をキャンバスに描いている

 

キャンバスは亜麻で作られた物だ

 

これらの道具も全て私の人形を出す時にも使った本から取り出した

個人的な道具やお気に入りの本、出来の良い作品(人形や絵、写真など)は全てこの本の中に保存している。魔法で作られたこの本は私の小さな道具箱、倉庫といった所だ

 

当然ながら何でも入るわけでは無い

保存する物の物質量などによって保存時に必要な本のページを余分に使ってしまう事もあるのだ

 

だが、片手に持って持ち運べる程度の大きさの本で現在でもまだまだページには余裕がある

きっとこれ1冊で小さな家一つでも数ページ余りがあるだろう。館くらいになるとどうなるか知らないけど

 

 

「うーむ。もう少し、花の色を強くしてみるかな?」

 

 

「こんな所で何をしてるのアリッサ」

 

 

「おや、幽香さん。よくお眠りになりましたか?」

 

 

「えぇ、いつもより少し起きるのが遅かったけどね。向日葵の絵を描いているの?」

 

 

「はい。この幻想郷は自然に満ち満ちた豊かな場所だと分かっていましたが今までの景色の中でこの向日葵畑が特に気に入っていましたので是非絵に残したいと思ったんです、写真でも良かったのですが現像するのに手間が掛かるんですよね」

 

 

会話をしながら絵描きの作業を続けるアリッサ

幽香も絵描きをするアリッサの横に並んで見学をする

 

 

「・・・うん、いいですね。ん〜〜ー・・・ふぅ」

 

 

数分後

 

絵描きを終え、背伸びをするアリッサ

 

 

「凄いわね。やっぱり才能のある人はここまで綺麗に描ける物なのかしら」

 

 

「いえ、絵描きに才能の有無はありません。描き続けていけば誰でも綺麗な絵は描けますよ・・・幽香さんもやってみますか?」

 

 

「私?でも、特に描きたい物も浮かばないし」

 

 

「いいんですよ。頭に浮かんだ物を自由に描けば」

 

 

幽香さんに綺麗にした筆とタレットを渡し、新しいキャンバスを取り出して準備をした

 

 

(頭に浮かんだ・・・もうすぐ夏だし、アサガオでも描いてみようかしら)

 

 

とりあえず描く物を決め、筆を動かして描いてみるがやはり今までやった事の無いがゆえ変に力が入ったりしてしまって上手く描けそうにない

 

 

「幽香さん、力を入れ過ぎずリラックスです。こんな感じで」スッ

 

 

「え、ちょ!///」

 

 

「力を抜いて軽く付ける感じで描く方がやりやすいですよ。それと・・・」

 

 

後から幽香の両手首を優しく掴み、アドバイスをするアリッサ

 

背中からぴったりと密着した状態で幽香自身は力を抜こうにも逆に全身に力が入ってしまい、アリッサのアドバイスも耳に入らない状態となっていた

プルプルと震えながら何とか錯乱する自分を落ち着かせるようにする

 

 

「・・・という感じですね。どうです?参考になりましたか幽香さん」

 

 

「ッ!///」

 

 

最後の追い討ちと言わんばかりに耳元での小さなささやき声と吐息に幽香は不意に力が入ってしまい

 

 

ペキッ!

 

 

「あ・・・」

 

 

「おや」

 

 

右手に持っていた筆を折ってしまった

 

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 

「いえいえ、筆の1本どうという事はありませんよ。それよりお怪我はありませんか?」

 

 

「えぇ、大丈夫よ」

 

 

「それは良かった」

 

 

私物の破損というアクシデントがあったが何とかアリッサの助力もありアサガオの絵は完成した

 

 

「本当によろしいのですか?素晴らしい出来ですし、是非ともお部屋等に飾ってみたらどうです?」

 

 

「いい、あなたにあげるわ」

 

 

「・・・分かりました。では大切に保管させていただきますね」

 

 

本に作品と道具を片付けるアリッサ

傍に置いてあったステッキとトップハットを拾う

 

 

「ではそろそろ帰ると致しましょう。昨日はありがとうございます幽香さん」

 

 

「えぇ、私も楽しかったわ。またいつでもいらっしゃい」

 

 

「はい。お暇があればまたお邪魔いたします」

 

 

挨拶を済ませ、アリスの自宅に帰る事にしたアリッサ

 

 

「・・・少しは仲良くなれたのかしら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリス宅

 

 

「・・・あのぅ、アリスさん?」

 

 

「黙って正座」

 

 

「はい」

 

 

ようやく戻って来れたらと思ったら何故か不機嫌なアリスさんが出迎えて目の前に座らせれていた

 

 

「昨日の話では夕方くらいには戻ると言ったのにどうして昼帰りなのかその辺を詳しく聞かせて貰えるかしら?」

 

 

「えぇ、当初はそのつもりだったんですが遅くから外に出ては危険だと言われ幽香さんの自宅に泊まらせて貰う事になりまして。幽香さんのご友人のMis.八雲が変わりにアリスさんに報告してくれると言っていたのですが・・・お会いになりませんでしたか?」

 

 

(八雲・・・式神の八雲藍だとしたら途中からほっぽるなんてしないだろうし、だとしたら紫ね。あのスキマ妖怪なら途中からほっぽる事はありえるわね)

 

 

「・・・申し訳ありません。どのような理由があるにせよご心配させてしまった事には変わりはありません」

 

 

「・・・はぁ、事情は分かったわ。私もごめんなさい、変に不機嫌になっちゃって」

 

 

「いえいえ、アリスさんが謝る事はありませんよ。頭をお上げ下さい」

 

 

とりあえずいざこざは終わりいつも通りに戻った

 

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