アリス邸
「・・・」
「はいアリスさん、紅茶が入りましたよ」
「あっ、ありがとうアリッサ・・・もうこんな時間だったのね。ちょっと集中しすぎたわ」
人形の修理を一旦やめてアリッサが淹れた紅茶を口にするアリス
アリスの1日はほとんど人形の製作や点検、修理などがほとんどだ。人形とは意外と繊細で多少の点検などを怠るだけで人形が傷み動きが悪くなる
人形を使って戦う人形使いにとっては大切な作業だ
特にアリスは人形をただの物とは見づ、家族のように大切にしており壊れたとしても最後まで諦めずに修理したりする
しかし、それが原因で気づかないうちに夜から朝になった事もあるそうだ
「あら、今日はミルクティーにしたのね」
「ミルクは紅茶の味をまろやかにしてくれてとても落ち着くんですよ。細かい作業などで疲れた時の一服にオススメです。それに今日のアリスさんは珍しく難しい顔をしていたので」
「や、やだ。そんな顔してた?」
「えぇ、ですが悩むことは悪いことではないです。ただ、お一人で抱え込まないようにしてください。私などで良ければお力添えします」
「・・・ふふっ、ありがとう」
笑顔になりそっと胸を撫で下ろすアリッサ
そして何かを思い出したようにアリスに話をきり出した
「そうでした。アリス、私はこの後、香霖堂に行きたいのですがよろしいでしょうか?」
「霖之助さんのお店に?何か足りない物でもあるの?」
「いえいえ、同じ魔法の森に住まう森近さんと霧雨さんには是非ご挨拶をと思っていたので」
「そう。場所は知ってる?案内するわよ」
「ご安心を。この前人里へ出掛けた時に香霖堂らしき建物は把握してたので問題ありません」
「分かったわ。あ、それとおつかいを頼んでもいいかしら?このメモに書いてあるものがあったら買ってきて欲しいの」
「分かりました、任せてください」
「ごめんなさい。何だが雑用みたいなことさせちゃって」
そう言って、少し罪悪感のあるアリスに対してアリッサは彼女の右手を持ち上げたあと
「・・・」チュ
「ふえっ!?」
右手の指に軽いキスをし、アリスに微笑みながら言う
「大丈夫ですよ、頑張っている貴女が罪悪感に浸る事などないのですから。では、行ってきますね」
いつもの所持品を持って出掛けていったアリッサ
その間、アリスは顔を赤くしながら思考を停止していた
「シャンハーイ♪」
「ホラーイ♪」
そんな今の自分を陰から上海と蓬莱が小さく微笑みながら見ていたのをアリスは気が付く筈もなかった
魔法の森 香霖堂
「お邪魔します」
店の扉を開けて中に入るアリッサ
中に入ると全て商品なのか?様々な物が棚や床に置かれていた
「いらっしゃい。おや、見ない顔だね」
「最近、幻想入りをしましたアリッサと申します。現在は魔法の森在住のMis.マーガトロイドのご自宅にてお世話になっております」
「幻想入りという事は外来人か。僕は森近霖之助、この香霖堂の店主だよ、今日はどういったご用事かな?」
「今日はご挨拶と幻想卿の通貨への換金並びにアリスからのおつかいです。さしあたってはこちらの袋に入っているお金の換金を先に」
そう言って、霖之助の前に半分に減った様々な通貨が入った袋を出す。霖之助は中から数枚の硬貨をじっと見て口を開く
「円、元、$・・・ずいぶん様々な通貨を持っているね。そう言えば霊夢も同じ感じで持ってきてたな、もしかして霊夢の神社にお賽銭した外来人って君だったのかい?」
「えぇ、お賽銭(霊夢から語呂を教わった)にはなんの通貨を使えばよろしいのか分からずその袋に入っていた通貨半分入れました」
「随分と豪快な紳士さんな事だ。分かった、換金とこのメモに書いてある物があるか見ておくよ、少し待っていてくれ」
そう言って、まずは袋からお金を出して通貨を分けていた
これは時間がかかりそうだと思い、一旦私は外に出る。別に中にある物に興味がない訳ではない。しかし、人形の私にしたら不要な物が大半ですから見ても意味がない
「うーん、暇ですね・・・観客はいませんが久々に人形劇でもやってみますか。まぁ、元の世界でもいませんでしたが」
本を開き、数ページ開いた場所に手のひらをのせ魔力を流す
前にアリスにも見せた魔方陣が現れ四体の人形が現れる
そのうち三体は黒い服装に身を包み、それぞれバイオリン、ヴィオラ、チェロを持っている
同じバイオリン属の楽器だがテクニックによって奏でる音色は違ってくる
そして、もう一体は赤いドレスに身を包んだ緑髪の女性の人形。一目見ると人里で会った花屋にいた女性に見えなくもないがこの人形は幻想入りする前から作った人形のためあの人とは特にといった関連性など皆無だ
「では、一曲」パチンッ
カタカタ
指を鳴らすと四体の人形が動きだし、三体は楽器を構えてメロディを奏で始める
アリッサは女性の人形に手を差し出し、人形はその行動に答えるようにアリッサの手に手を乗せる
二人の人形はメロディに合わせるように軽やかなダンスを披露する
自然と言う舞台の上で踊る二人は作られた物とは思わせない動きを見せる
「これはこれは、素晴らしいね」
店の中から出てきた霖之助はアリッサの人形劇を静かに拝見していた
「・・・ふぅ」
数分後、最後の決めをやりとげダンス披露と言う人形劇は終わった
「さす「流石だったわ」おや?」
「ん?」
霖之助が行こうとしたその時、森の方から見たことのある日傘の女性がやって来た
見間違えるはずはない、彼女は人里の花屋にいた風見幽香だ
「おやおや、まさか見られてしまうとはお恥ずかしい限りです」
楽器を持つ人形をしまい女性の人形をしまおうとした時、幽香が指摘した
「その人形、私を模したのかしら?」
「いえいえ、これは幻想卿に来る前に製作した人形でして。私も最近貴女に似ていると気づきましてね」
「ふーん・・・まぁ、いいわ」
そう言って幽香はその場から去ろうとする
「おや、幽香さん。この前探していた品があるけど買ってかないのかい?」
「・・・今日はいいわ。まだ今度にするわね」
「お待ちをMis.風見。ちょっとよろしいですか?」
「何?あまり暇じゃないんだけど」
振り返り、少し険しい表情を見せながら聞いてくる幽香
「そちらがよろしければ今度、貴女のご自宅へ赴いても宜しいでしょうか?是非、貴女とお話したい事があるんです」
「あら、私の事は聞いてる筈でしょう?なに、飼われたい願望でもあるの?」
「どうでしょうね。で、どうですか?」
「・・・いいわよ。いつでも来なさい」
そう言って彼女は今度こそ、その場から去っていった
「・・・あぁ、アリッサくん。これは品と通貨だよ、代金は君のから引いておいたから」
「ありがとうございます。それともう一ついいですか?」
「?」
霖之助さんにもう一つ品を頼み、今日の1日は終わった
おまけ
「ただいま戻りました」
「・・・」
「アリスさん?」
「・・・」ポー
「・・・おやおや、夕食は私が用意しましょうか」
何故かテーブルの前でボーと座っているアリス
どうしたのでしょうか?