次の日 昼前
「さて、これでいいですかね」
台所に立って何かを作っているアリッサ
彼が作っていたのは元の世界でも毎日食べていたサンドウィッチである
好きだから食べていたのではなく、ただ単に何かをしてながら食べられるからという事と作るのが簡単だからである
だが、適当というわけではない。パンに挟む具材の相性などもしっかり考えて作っており、こだわっている
「さてと、身だしなみはよし。自分から他者の自宅に行くのは初めてだからワクワクしますね」
「・・・楽しそうね」
「あぁ、アリス。申し訳ありません、私の我が儘を聞いていただいて」
「別にいいわよ。案内くらい、いくらでもしてあげるわ・・・でも物好きね、自分から太陽の畑に行くなんて外来人貴方が初めてじゃないかしら?」
「心配症ですね。ただお話をしてくるだけですよ、それに風見幽香が危害を加えるのは花を傷つけるときでしょう?誰でも大切な物を傷つけられたら怒るものです」
喋りながら手作りのサンドウィッチをバケットにつめて準備を終えた
(それにしても・・・あの烏天狗、現れるのが遅いわね。彼が霊夢と出会った辺りからやって来るんじゃないかと思ってたんだけど)
「では準備もできましたし、行きましょうアリス」
「えぇ、行きましょう(まぁ、来て面倒になるよりはましね)」
太陽の畑
「おぉ~素晴らしい場所だ」
目の前に広がる向日葵の黄色い絨毯
人間の手だけでは簡単には出来ない芸術とも言っていい景色が今私の目の前に広がっているのだ
「この先に幽香の棲んでいる家があるわ。私は戻るけど本当に大丈夫?」
「はい。道はしっかり覚えていますから問題はないでしょう」
「分かったわ」
アリスは飛んで魔法の森へと戻っていき、私はアリスの教えてくれた方向に向かって歩いていく
数分も経たぬうちに木製の建造物が見えてきた、どうやらあれが風見幽香の自宅のようだ
私はドアの前に立ち四回ノックをする
数分前
幽香ハウス
幽香視点
「・・・」ソワソワ
鏡の前で髪をいじったり、服装に汚れなどがないか必死に見る幽香
「・・・・はぁ」
なにをやってるんだろう、私
そう思いながら昨日の事を思い出す。また私はひどい事を言ってしまった。私なんかに飼われたいとか誰が思うのよ
しかも、ちゃっかりいつでも来なさいと言ってしまった。いつ来るか分からないのにこんな事をしてて意味があるのだろうか
「何がはぁ、なのよ?(耳にふー)」
「みゃあああああ!!?」
ドゴッ!
不意に耳に掛かる生暖かい息吹に反応して、後ろから囁いて来た奴を壁にめり込ませた
「・・・ご挨拶じゃない。いきなり壁にめり込ませるなんて」
「こっちの台詞よ!・・・何しに来たのよ紫」
ボコッと壁から脱出した女性
彼女は八雲紫、スキマ妖怪で妖怪の賢者とか呼ばれてる不法侵入が得意な面倒な奴
ちょっとした知り合いでもある
「あら、普段おめかしなんかしない貴女がどうして今日は気にしているのか気になって来たのよ」
「貴女に関係ないわよ」
どうせ、面白半分で来ただけ、相手なんかしてられないわ
「うーん、長年の女性の勘で言うなら・・・男、かしら」
「ッ!どうして分かっ・・・・・・ッ///」
(本当に当たったわ・・・)
「・・・分からないのよ。名前も知らない彼が何故あれほど私の事をきにかけるのか、私の噂なんて人里とかで普通に知っている筈なのになんで微塵も偽りのない笑顔を見せてくれるのか」
「・・・これは思ったより重症ね。でも、いい機会じゃない?貴女だって人間と友好を築きたいと思ってたのでしょう」
「それは今でも考えてるし、やろうと頑張ってるわ。でも、彼だけはなんか違うの・・・ただ友好を築きたいだけじゃない気がするの」
「ふーん。ん?・・・あ~、幽香グッドニュースよ」
「何が?」
気味の悪い声を出した後、なんか焦った感じで声を掛けてきた
本当になんなのよ
「多分名前の知らない彼らしき人がこっちに向かって来てるわよ」
「!?」
私は窓から少し顔を出して外を見た。そこには確かにこっちに向かってくる彼の姿があった
ちょ、ちょっと!確かにいつでも来なさいって言っちゃったけどまさか次の日に来るなんて誰も思わないわよ!
「じゃあ、後はお若い者同士で」
スキマを開いて退散しようとする紫
「ちょっと待って紫!今回だけはどこにも行かないで!!」
「これは貴女の問題でしょう!私にどうしろと・・・はっ!」
その時、八雲紫の普段使わない脳に電流が走る!
(そうよ、その人間は幽香を気に掛けてるって事は少なからず好意を持っているはず!此処で二人の仲を親密にすれば熱い夜で幽香のあられもない姿を・・・ふふふふふ///)
「分かったわ幽香!数少ない親友の私に任せなさい!」
「・・・(何故鼻血を垂らしているのか気にしたら駄目かしら)」
若干引きながらとりあえず部屋を少しだけでも綺麗にする
コンッコンッコンッコンッ
遂に来た。私は深呼吸をしてドアノブに手を伸ばす