――っはっ!?
眠りから覚めたかのように、勢いよく上体を起こし、目を開ける。
目の前には、森のように木々が360度立ち並んでいる。
そして、日の光が刺しているから、昼とか朝とか、それくらいの時間帯のようだ。
……ここが何処か気になるが、今はそれより気になる事がある!
慌てて俺は、腹を見た。
「……うわああああああああっ!?」
穴が、塞がっている。
しかし、もっと驚くようなことがあった。
それは――
――体が、青く半透明になっているのだ。
服装は、学生服のままだ。
ただ、学生服も自分の体も青く光っている。
これは、どういうことなのだろうか……?
「まさか……これ、幽霊ってやつか……?」
腹をぶち抜かれて死にかけ、そして気がついたら知らない場所に。
これって、どう考えても死んで幽霊になった、しかラノベ読んでた俺は思い付かない!
いやいや、待て待て決めつけはまだ早い。
俺は地に足をつけて立ち上がった。
……足は地につく、と。
そして、俺は近くの木に手を伸ばす。
すると、俺の腕は、見事に木を貫通した……何の手応えもなく。
「うわぁ……」
顔の筋肉が勝手に歪む。
そして、腕を横に振ると、すっと木から抜けた。
……うわぁ、俺、まじで幽霊?
幽霊ってのは確か姿が見えない奴等かモンスターとか、大体そんな感じだよな……俺が読んできたものではそうだった。
他の人なら喜んだだろう。女の子覗き放題だから。それは野郎だけだがな。
だが、俺は喜べない。
女の子に興味がないからとか、そんな理由じゃない。
ただ、殺された結果だ、というのが腹立たしいのだ。
何のために殺されたのか? 何か理由があったようだが、相手の都合で殺されるのは非常に苛立たしい。
今すぐにでもあそこに向かって、アルバとかって奴とかに、理由を問いただしたい。
そうするためには、まずあそこに戻らねば。
俺は、適当に木々が並ぶ中を歩き始めた。
……町とかが遠かったら笑うぞ、まじで。
……もう10分くらい歩いている気がするんだが。
「いい加減外出れてもいいんじゃないですかあああああああっ!?」
俺は、未だに木々の中……森の中にいた。
歩いても歩いても、全然景色が変わっている気がしない。
というか、同じところをぐるぐるしてるだけとか……まさか、んなわけあるまい。
……とは言い切れないのが異世界の怖いところ。
「あぁ……疲れた。休もう……」
足が棒のように突っ張ってきた。
中学も高校も部活入ってないからなぁ……運動はしていないお陰で、非力な男子なのだ。
俺は、近くの木に腰かけた……あれ? 何で腰かけられるの?
手では触れないのに、背中は触れるってのは、どういうわけだ?
……そういえば、さっきは恐る恐る木を触ったけど、もしかしたら触れるって思えば触れるんじゃないか?
今度は「触れるんだ」と思いながら触ってみよう。
俺は立ち上がり、背もたれに使っていた木に手を伸ばす。
触れる、触れる、触れる、触れる……。
やがて手は木に届き……確かな木の固さを感じた。
「よ、よっしゃあああああああああああっ!」
「ひわぁああっ!?」
やった! 触れた! 触れたぞ!!
なるほど! 触れられると考えながら触ればいいのか!
で、すり抜けたいときは考えるな、と!
「ど、どうかした、の?」
「木を触れたんだ! 触れたんだよ! ……って待て、誰っ!?」
「え、えっと……」
別の人の声は聞こえてこない。
つまり、誰かが俺に声をかけているってことだ!
俺は、後ろを振り向いた。
そこには、薄い黄色のワンピースを着ている女の子が居た。
青い瞳が印象的な顔で、幼く見えるがかわいい部類に入ると思う。
……子供か? 身長的に見て。
ただ、気になる部分がある。
主に頭の上と腰の部分についてる物体。
「えっと、それ……獣耳と尻尾、ってやつ? しかも二本の角付きぃ!?」
そう、女の子には、俺の知っている人間が持っていない物を持っていたのだった。
わりと偏った知識なのかなぁ、とか、主人公の思考がおかしくね? と思う今日この頃。