いけにえの復讐   作:追星 翔

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第4話

「ひゃっ!」

「あっ……すまん。驚かせたか」

 

 幽霊ならば驚かせるのが普通なのだろうが、残念ながら俺にはそんな趣味はない。

 つか、趣味だとしても、そんなことをしてる場合じゃねぇよなぁ……。

 

「えっと……君、名前は?」

 

 驚かせといて名前を聞くのもどうなんだろうなぁ、と思いながら聞いてみた。

 意外と、女の子はすんなり教えてくれた。

 怯え顔付きで。

 

「ソ、ソフィア……」

「ふむふむ、ソフィアちゃんか。中々上品そうなお名前で」

 

 何となく、ソフィアって名前はきれいな人ってイメージが付いてるんだよなぁ……何でだろう。

 

「…………」

 

 ソフィアちゃんが、なんか、ものっそい顔が赤いんだが……照れてる?

 可愛いって言われたら照れるのか……?

 あ、照れるわ。俺もかっこいいって言われたら顔を赤くする自信がある。

 そんな日は一生来ないだろうがな! 髪型も顔もぱっとしないし!

 

「んで、えーっと、ソフィアちゃん。俺みたいな人を、普通に皆は見ることが出来るのか?」

 

 聞いておきたい質問をソフィアちゃんに飛ばす。

 この子にしか見えない、ということがあるかもしれないから。

 

「……うん、皆、言っても信じてくれないの。だから、多分、見えないと思う」

「そっかぁ~……幽霊っつったらそんなもんなのかぁ……」

 

 やっぱり、幽霊は幽霊だったようだ。

 ……あーあ、友達増やしましょう計画なんて、夢のまた夢だな。実行する気はないが。

 

「……でも、あなたみたいなゴーストさんは、初めて会ったかも」

「んん? どういう事?」

 

 幽霊じゃなくてゴーストのようです。

 しかし……俺みたいなゴーストに初めて会ったとは、どういう事なんだろ。

 

「だって……他のゴーストさんは、人のパンツを覗こうとしたり、イタズラが大好きなんだもの」

 

 ……それ、絶対おっさん、だよな、ロリコンっつぅド変態の。

 

「うん……ロリコンだな、そいつら」

「ロリコン……って、何?」

「知らなくていいです、ええほんと」

 

 純粋な瞳をこちらに向け、首をかしげるその姿。

 そんなの見たら、教えられないじゃないですかっ!!

 

「そ、それより、俺がド変態っていう可能性が有るのに話しかけたのか?」

「……うーん、話しかけた、と言うより、心配した、かな? だって、何か君が、叫んでたもん」

 

 ……思わず右手の人差し指と中指を、自分の眉間に当ててしまう。

 興奮しすぎ、だったかなぁ……。

 

「あー……まぁ、ゴーストなりたてだし、物に触れるうわーいって感じだったから……」

「……なるほど、ね」

 

 納得してくださって何よりです。

 

 っと、折角今の俺について少し教えてくれたんだから、何かお礼をしなくちゃな。

 

「そういや、何か手伝えることはないか?」

「えっ?」

「あぁいや、こんな森に来るってことは何かやりに来たんだろ? って思って」

 

 そうでもなきゃ、こんな森の中よりは町の方が良いだろ。

 

「……うん、私は、木の実を採りに、来たの」

「よしよしならばお兄さんが手伝っちゃうぞっ!」

「……私だけで大丈夫、だよ」

 

 引き下がらんぞ、絶対手伝う。

 

「いやいや、1人より2人のほうが効率上がるぜ?」

「……まず、どの木の実か分からない、でしょう?」

「あっはっは、そこはソフィアちゃんに教えてもらってだな」

「だから、大丈夫だって……」

 

 こんな感じで互いも譲らぬ会話を続けていたが、結局ソフィアちゃんが折れて、俺が手伝うことになった。

 

 ふっ、粘り強い者が勝利する世界なんだぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、結構集まったなぁ」

「君よりも、私のほうが、いっぱい採った、よ?」

「ぬっ、見た目では確かにソフィアちゃんのほうが多いが、俺はスペースの有効活用でぎっしり詰まってるだけだぜ?」

 

 木の実を採り終えたあと、俺達はソフィアちゃんの住んでいる村に向かいがてら、木の実を採った数の競争をしていた。

 

 確かにソフィアちゃんが背中に背負った籠には、木の実が山になるほど入っているが、俺だってスペースの有効活用でぎっしり詰まってるんだよ!

 

「……絶対それ、中身がすっかすかだよね?」

「何を言うか、俺は悪知恵が働くからぎっしり詰めやすいんです!」

「言ってること、よくわかんないっ」

「ふっ、それが俺とお前の差だっ!」

 

 ドヤ顔で言ってみたかっただけです、後悔はするわけがない。

 

 しりとソフィアちゃんも膨れっ面で、

 

「むっ! 差なんてないもん!」

 

 と言い返してきた。

 

 ……何だか、結構仲良くなってる気がする。

だって、話し方とかリアクションとか、会った頃からすっげぇ変わってるし。

 短時間で変わりすぎだろ。

 

 ……ただ、それは良いことだろうな、と俺は思う。

 まぁ、俺にとって、という話だが。

 

 拐われ、殺され、ゴーストになり、そんな3連続の不幸は、さすがの俺も疲れるレベルだった。

 アルバとかいう奴に対する怒りだけで動いていた、と言っても過言ではないかもしれない。

 

 でも、ソフィアちゃんとの会話は、和やかで平和で、疲れが取れそうなくらいに心地良い。

 

 ……ゴーストにならなきゃ会えなかったのかな、と考えてみると、中々貴重だなぁ。

 

「? どうしたの?」

「あぁいや、ちょっとした考え事だよ」

 

 いけないいけない、考えていて、思いっきり無視するとこだった。

 

 考えると言えば……あれ、俺って他の人に見えないんだよね?

 

「えーっと……ソフィアちゃん、俺、どうすりゃいいんだろうね……?」

「えっ?」

「いや……ほら、俺って他の人に見えないんでしょ? 俺の持ってる木の実、どうすんの?」

 

 ちなみに、籠はどうにかなる。

 どうやら籠は魔力とやらで出来ているらしく、体の中に魔力として収納できるらしい。

 ただ、木の実は天然物なので、収納できない。

 

「あっ……な、なんとかなる……よね?」

「なるのか……?」

 

 なんとかならないと思います!

 

「あっ、そうだ!」

 

 唐突に、ソフィアちゃんがポンッと手を叩いた。

 

「隠れながら私のあとを追えば、誰にも見られないですむよ!」

「……いや、それ難しいんじゃ……行けると思います! だから泣かないでお願いします!」

 

 否定しようとしたら、ソフィアちゃんの瞳がうるっとし始めた為、慌てて賛同する。

 

 ……こりゃあ、早速頑張らなきゃいけないご様子だ……。

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