俺達/私達の関係   作:クロウズ

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8話目

 9月の半ばになると、聖櫻学園では文化祭の準備が始まりいつも以上に賑わう。京のいる2-Cも例外でなく、その準備に追われている。このクラスがするのはメイド喫茶、その為女子は衣装合わせで大変そうだ。そして男子は、一部の生徒が女装をさせられる羽目になっている。その一部の中に、京はいた。

 

 

「はあ、なしておいが女装ばせんといかんと………」

「京ちゃん可愛いんだし、いいじゃんか」

「おいにも………んん、俺にも男としての意地というか」

 

 

 訛りが出るほどショックなのか、美知留に採寸されながら愚痴をこぼしている。

 

 

「それにしても、京ちゃんって細いけど、ちゃんと食べてる?」

「しっかり食べてるよっ、悪かったな細いうえに小さくて!」

「そこまで言ってないよー。でも、これはちょっと心配するくらいだね~」

「ひぅ!?ちょ、くすぐったい!まさぐるな!」

「よいではないかー、よいではないかー」

「この、やめ………やめんか!」

「きゃん!?」

 

 

 あまりにもしつこかったため、拳骨を落とす。美知留は痛がっているが、これはまあ自業自得だろう。京はくすぐられた所為で肩で息をしながら、美知留を睨み付ける。が、京は童顔なので睨んでもそこまで怖くはないという。

 

 

「京ちゃんひどーい……」

「うらめしか、ちかっと反省ばせいっ」

「おーいオマエら、いちゃついてないでさっさとやっちまえー」

「その言葉、そっくりそのままお前に返す」

 

 

 珍しく教室にいるレイに注意されるが、そのレイは雅に膝枕をしてもらっていた。

 

 

「木林も、お前メニュー担当だろ。終ったのか?」

「大体の案は出尽くしたからなぁ。何も思いつかない」

「だからって膝枕は……」

「見てるこっちが恥ずかしいわ……」

 

 

 これではどこかのバカップル3年生と同じだと、典子と由紀恵は呆れていた。特に典子は、同じ風紀委員がこうも緩くなっているため一層深い溜め息を吐く。

 

 

「なあミヤビン、もう帰っていいだろー?」

「せめて何かメニュー案出してくれよ」

「んー、本格ピザで」

「窯が用意できないだろそれだと。まあ、大きめのオーブンで代用するか」

「お、ピザ作るの?」

「はいはい。戸村さんは早く栢嶋君の採寸済ませて、そこの貴方達も喋ってないで準備して、そして見吉さんは起きなさい!」

 

 

 由紀恵の指示が飛び作業が再開され、この日の準備が進んでいく。

 

 

 

 

 

 そして、数日が過ぎた櫻花祭当日。

 

 

「うー、すーすーすっと……」

「まあ、慣れないときついよね」

 

 

 ロングスカートを押さえて、恥ずかしそうにする京。隣では彼と同じく女装をすることになった西紀(にしき)(れん)が、慣れているのかミニスカートにもかかわらず平然とその場でくるりと回る。そんな2人を美知留がすかさずスマホのカメラに収める。

 

 

「いいよいいよー、恥じらう京ちゃんと笑顔の恋くん、これはいいよー」

「そうかな、えへへ」

「止めろっ、撮るなバイト娘!!」

 

 

 手で制すも、その度に別の角度から撮影される。その京とは対照的に、恋はノリノリで撮影を受ける。

 

 

「何で恥ずかしくないんだよ……」

「姉や妹に、何回も女装させられたから」

「ああ、そう……」

「お前ら、そろそろ準備しろー」

 

 

 客が来たので雑談を切り上げ、それぞれの作業に移る。

 

 

 

 

「お、おおお帰りくださいませ、ご主人様」

「ちょっ、帰しちゃ駄目だよ京ちゃん!」

(何この子かわいい)

 

 

 羞恥と緊張のあまり噛んでしまったようだが、好感だったようだ。それから何とか席に案内した京は、逃げるように近くにいた明音の後ろに隠れる。

 

 

「か、栢嶋君?」

「無理無理無理無理ちゃあがつかよこげんこつ……!」

「(かわいい……)うーん、どうしよう戸村さん?」

「ほら京ちゃん、恋くんを見てみなよ」

「ぅ……?」

 

 

 美知留に言われて恋を見てみると、

 

 

「はい、こちらオムライスです」

「お、俺に男の娘属性はなかったはず……!」

「ケチャップで男の娘と書いてください!」

「はい、かしこまりました〜」

 

 

 笑顔を崩すことなく対応していた。それも、端から見れば少女にしか見えないような仕草で。いや、知らない人からすれば近くで見ていても男だとは思わないだろう。

 

 

「しゃ、写真いいすか!?」

「もちろんです♪」

 

 

「あれくらい出来なきゃ」

「女装んちゃあがつかさば知らんからそげんこつ言えっとよ!?」

(栢嶋君、訛り出るくらい恥ずかしいんだ……)

「あっはっは、訛ってるから何言ってるか解んないなー」

「すみませーん、注文お願いしまーす」

「はいはーい。ほら京ちゃん」

「うぅ~………!」

 

 

 半ば涙目になって訴えるも、無慈悲に送り出される。諦めて接客に応じるも、

 

 

「メイドさんの涙目キタコレ!」

「こっち向いて下さいこっち!」

「きょ、許可なく写真ば撮るんは、止め……」

「訛りいい!男の娘なのがなおいい!!」

「下は、下はどうなってますか!?」

 

 

 注文を言うことなく写真を撮ってくる。あまりのしつこさに肩が震えだすも男達は気付かず、好き勝手に撮りまくる。そして1人がスカートの中を撮影しようとした瞬間、スカートの中に手を入れ隠していたモデルガンを引き抜き突き付ける。

 

 

「いい加減にしろよご主人。度が過ぎますよ……?」

「は、はひ………」

「さて、ご注文は?」

 

 

 視線の集まる中注文を取り、キッチンに移動する。

 

 

「ミリタリー系メイド……アリだな!」

「やばい、新しい扉を開きそうだ………!」

「俺もあの子に来てもらいたいぜ」

 

 

 どうやら好評だったようだ。それから何度か、モデルガンを突き付けられたいが為に京を指名する客が大勢いたという。

 

 

 

 

 

 そして、櫻花祭が終りを迎えた時。

 

 

「やーっと櫻花祭終ったっぽい~……」

 

 

 終ると同時にさっさと着替え制服姿に戻り、机に突っ伏す。あれから大勢の男性客や女性客、さらには乙女もやってきては指名され東奔西走の勢いだったため、体力が尽きているようだ。

 

 

「栢嶋君、お疲れ様」

「ぁー、櫻井か……お疲れ」

「大変だったね、あれは」

「まったくだよ……俺ばっかりで」

「でもお陰で大成功だったよ」

 

 

 差し入れとしてラムネを目の前に置き、前の席に座る明音。そのまま京の頭を撫で始める。疲れて払う気がないのか、京はされるがままになっている。

 

 

「撫でるなー……」

「ふふ。ねえ、この後予定空いてる?」

「……?空いてるけど」

「じゃあ、後夜祭一緒に行こ」

「まあ、いいけど」

「じゃあ、そういうことだからよろしくね」

 

 

 撫で終えると、委員会があるからと一度教室から出ていく明音を見送り、疲れきっているので少し寝ることにした。なお、あまりに深い眠りに落ちてしまったために明音との後夜祭に間に合わなくなりかけたのは、言うまでもない。




 ドーモ、クロウズデス。
 今回櫻花祭にしましたが、『カメラと棒付きアメと』の方とネタが被りました。偶然です、偶然ですからね!?てか今回乙女義姉さんが一回も出なかった。こんなこともあるんですね。
 最近めっきり寒くて風邪気味になってしまいました。皆さんも風邪にはお気をつけて。



 今日はこの辺で。気合!入れて!行きます!





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