――――――
「レイちゃんってパソコン好きなんだねー」
「小さい頃から触ってたからね」
「今も小さいじゃん……」
子供の頃から、ずっとボクと一緒にいたあいつ。気が付いた時には、いつも隣にいた。
「うー……痛い………」
「履き慣れてない靴で遠出するから。たまたま俺がいたから良かったものの」
何があっても側にいてくれて、なんだかんだ言って助けてくれることもあった。そんなあいつに、ボクはいつも頼ってた。あいつを困らせてた。
「だから、授業にはちゃんと出ろって!」
「五月蝿いなぁオマエはボクの母さんか」
口煩くても、ボクにとって大切な幼馴染で親友。
――――――
「…………夢、か」
いつの間にか寝てたみたいだ。伸びをしてから壁に掛けてある時計を見ると、22時を回ってた。どうりでお腹が空くわけだ。それにしても、小さい頃とかの夢を見るなんてね。なんとなくだけど、あいつに電話しよっと。
『もしもし?』
わずか1コール半で出る辺り、相当暇してたのかね。
『レイ?どうした?』
「いや、何でもないよミヤビン」
『何でもないのに掛けてくるのかよ……』
電話越しのミヤビンの声は呆れていた。まあ、こんな時間に電話掛けてきておいて何でもないはアホらしいよな。
「まあ、なんていうかね、ミヤビン何してるかなーって思ってね」
『なんだそりゃ。さっきまで風呂入ってたけど。お前は?』
「ボク?さっきまで寝てたよ。で、今すごくお腹空いてる」
『はぁ……今日の晩のカレー残ってるけど、食う?』
「食べる食べるー」
そう言うとミヤビンは持ってきてくれるらしく、一旦電話を切る。ミヤビンが来るまで暇だな~、とは思うけど、
ピンポーン
あいつん家、ボクの部屋の隣なんだよね。玄関まで行ってドアを開けてやると、ガンッて音がした。やっべ。そ~っと覗いてみると、カレーを持ってきたミヤビンが鼻を押さえてた。
「急に開けるなよ……」
「あはは、ごめんごめん。ほら、上がりなよ」
「ついでに掃除しろってことねって、片付いてるじゃん」
部屋に上がったミヤビンがまず言った言葉がそれだった。いつもぐちゃぐちゃなわけないし、面倒でもボクだってやる時はやるし。で、あったかい内にとミヤビンから渡されたカレーを頬張る。鍋ごと持ってくるんじゃなくお皿に盛ってきたのは、ご飯がないと判断したからだろうね。実際ないし。ご飯炊くの面倒だもん。
綺麗に食べ終った後、ソファにもたれてぼーっとしてるミヤビンに声を掛ける。
「ねぇ、ミヤビン。何かあったか?」
「なんでそう思うー?」
「なんとなく。強いて言うなら、幼馴染の勘かな」
今日のミヤビンはいつもより声に覇気がないというか、やる気がないというか。そう言うとミヤビンは深く溜め息を吐いて、
「そりゃ、寝ようと思ったこんな時間に呼び出されたらな」
「うぐ……悪かったよ。って、本当にそれだけ?」
「………転校、するかもしれない」
そう言った。ボクは最初その言葉が解らず、しばらくフリーズしてた。けど、ようやく理解した時、
「へ……?」
としか言えなかった。それで、
「まだ決まってないし、しないで済むかもしれないけど」
「理由は?転校ってことは、こっからいなくなるかもしれないんだろ?」
「お、おいレイ?」
気が付けば、ミヤビンに迫って肩を掴んでた。ミヤビンは困惑しながらボクの手を離してボクを座らせる。
「親父が仕事の都合で引っ越すからさ。それに、ついていかないといけないかもって」
「そ、んな……」
ショックだった。何年もずっと一緒だったから、側にいるのが当たり前だったからただショックだった。
「じゃあ、俺は帰るよ。明日も早いし、お前も早く寝ろよ?」
「あ…………うん……」
お皿を持って、ミヤビンは部屋を出ていく。ボクは1人残されたままミヤビンがいなくなってしまった時のことを考えた。けど、そんなことはすぐに振り払う。大切な幼馴染で親友、そのままでいいと思ってた。けど、今日、気付かされた。そのままじゃ駄目だって、ボクが、あいつのことをどう思っているのかを。
to be continued...
続き物番外編、《ハッカー少女の心のバグ》です。続き物とは言っても、次回で終りそうですけどね。レイちゃん、主役ですよ主役。