ダンジョンに夜天の書があるのは間違ってるだろうか 作:暇人M.MAX
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リインフォースとリヴェリアは訓練場へと着いた。
ロキファミリアの訓練場はそこそこ広いために数人の団員が訓練をしてた。そのどれもがリインフォースと同じ新米の冒険者だが誰もがリインフォースよりもひとまわり以上年上だ。
「やぁ、おはよう。リインフォース」
そんな中に何故か団長であるフィンがいた。
「いや、今日は書類作業がないからね。たまにはガレスに変わって新人の育成に精を出そうと思ったんだ」
フィンがいることに疑問に思ってたリインフォースにフィンは語りだす。とても生き生きとした笑顔だ。しまいには最近座りすぎで腰が痛くてね〜、などと言う。
「そうだ、どうだい今日は僕と一戦交えないかい?」
フィンはリインフォースに提案をする。そのことに周りにいる冒険者から負の視線がリインフォースに送られる。
副団長だけではなく団長にまで贔屓されてると思われている。さらに女性からは嫉妬の視線まである。フィンはオラリオで最強の片翼であるロキファミリアの団長で見た目は年齢の割に若く見え美少年と言っても過言ではない。そのため、オラリオで恋人にしたい男性冒険者上位だ。一方最強の片翼、フレイヤファミリアの団長オッタルは下位にいる。見た目は筋肉質で美男とはいかないが頼り甲斐がある見た目をしている。しかし、フレイヤのお気に入りであるオッタルに誰も手を出そうとは考えない。
「今回は私が訓練をつける」
フィンの提案を拒否したのはリインフォースではなくリヴェリアだった。
「でも、リヴェリアは魔導師だよね。近接戦の訓練なら僕の方がいいんじゃないかな」
フィンも喰い下がらない。そして、2人が言い争う。それを見て訓練をしていた他の団員から視線がより一層強くなり居心地が悪くなるリインフォース。
「なら、ここにいる他のレベル1の人達の誰かと模擬戦は如何ですか?」
居心地の悪さに耐えきれなくなりリインフォースはある提案をする。それに険悪な雰囲気になってる2人に気後れしたのか何故か丁寧口調になる。
「んー、・・・そうだね。ここいらでリインフォースの実力を知らしめたほうがいいかもね」
「そうだな。愚か者共に痛い目を見させたほうがいいか」
リインフォースの提案を聞いたフィンとリヴェリアは黒い笑みを浮かべる。
2人は他の団員がリインフォースにいい思いを抱いてないのを知っていた。だからと言って自分達が何かを言えば逆効果になる。しかし、その現状を快しとは思えない。かえってそんな連中が同じファミリアにいるのは不愉快とすら思ってる。そして、今回のリインフォースの言葉は好都合となる。リインフォースの実力を知れば幹部のリヴェリア達に贔屓にされることも理解できる。さらには自身の無力さを知ることになると思っている。ロキファミリアに入団した連中は選民意識があるかのように他ファミリアの新人を見下す傾向にある。だが、所詮は新人同士で実力差は皆無に等しい。ここいらで鼻っ柱をへし折るのもいいだろうと2人は考えていた。
(あー、全員と戦わされるのか。わかりましたよ)
リインフォースは2人の考えがわかったのか自身の発言を取り消したいと思っていた。
そして、他の者達はリインフォースにお灸を据えれると思いやる気に満ちていた。しかし、ここにいるフィンとリヴェリア以外の者達は知らなかった。リインフォースがシグナムやザフィーラと言ったフィン達と同等かそれ以上の実力を持つ者達に訓練を受けていたことに。
それから数時間
「はぁはぁ」
息を乱しながらその場に立ち尽くすリインフォースとその周りに倒れている挑戦者達がいた。
最初の内は一対一での模擬戦だったのだがあまりにもあっけなくリインフォースが勝ち続けたためにフィンが一対多の模擬戦に変えたのだ。
「うっ・・・」
地面に倒れてた者達が次々と起き上がる。
「これで、君達もリインフォースの実力を実感できただろう」
フィンはその者達に問いかける。
その言葉に悔しみの色が顔に浮かび、拳を握り締める者、俯向く者等いる。そんな中に冒険者1年以上の者達はよほど悔しいのか目に涙を浮かべる者もいる。
「団長、なんで私達は冒険者になっても間もないリインフォースに負けたのでしょうか」
1人の女性冒険者がフィンに問う。
その者の声は涙で声が震えていた。level1であるがそれでもリインフォースよりも冒険者歴は長く、実力も自身達が上だと思っていた。それなのに冒険者になって数日、しかも年端のいかない少女に負けたのだ。
「それは、経験の差かな」
「経験の差?」
フィンはその問いに答えるが、それを聞いたほとんどの者達は理解できなかった。経験なら自分達の方が上なのだからフィンの差がなんなのかわからないのだ。
「君達は訓練は早朝だけだ。その後は大半をダンジョンで過ごだろう」
「はい」
フィンの言葉に皆が頷く。
「君達は最初の頃は化物に苦戦をしたかと思うけど今は楽に倒せるだろう」
フィンの言葉に誰も答えないが、言われてることは正しい。皆、化物との戦闘など皆無な頃に比べ今では楽に倒せるようになってる。それは経験値が溜まってるからだと思い込んでいる。
「君達が強くなったのもあるけど、君達は化物との戦闘に慣れたんだ。上層の化物は動きがワンパターンだしモーションも均一だから対処法が体に染み付いてるんだ」
「!!」
フィンに言われて初めて気づいた。自分達は常に化物と戦い続けてる。そして、戦闘をする層はほぼ一緒と言っていい。つまりは戦う化物も毎日一緒なのだ。最初は苦戦をするが次第に慣れ、それは作業となんら変わらなくなる。
「でも、それがなんの差になるんですか?」
「リインフォースはダンジョンに入る時間は限られてる。それは僕がまだ幼いリインフォースの命を危険にさらす時間を減らすためだけどね。リインフォースはそれ以外を訓練に費やしてる。それは対人での訓練だから君達よりも対人戦に慣れてくんだよ。さらに、対人戦に決まった戦い方はないからね。常に変化するのが対人戦だよ。そして、化物との戦闘はどうしても力に頼りすぎる。技量はそれほど上がるわけじゃない」
皆がやっと理解する。ここにいる冒険者は探索者。それはダンジョンに潜り化物と戦うことが一般的になる。対人戦など二の次だ。しかし、リインフォースは違う。常にシグナムやザフィーラ等の強者に講師を受けてる。
「俺らは力に溺れて技術を磨けてなかったんですね」
1人が呟く。
全てを理解した。恩恵に頼る一方で力に頼りすぎていたことに。ロキファミリアlevel1冒険者、それは新米からランクアップ間近な者達がまちまち存在する。玄人になればなるほど恩恵の力は増す。力は増しも本人の技量が上がるわけではない。力とは道具でしかないのだ。使う者の技量によって本来の力を発揮できる。その技量が自分達とリインフォースで大きな差ができてたということに。
「すまなかった」「ごめんなさい」
皆がリインフォースに謝り出す。
リインフォースはフィンやリヴェリアに気に入られるだけの実力と努力をしていることを知り。そして、自分達が鍛錬を怠っていたことに情けなさを感じる。
「別に気にしてない。だから、頭を上げろ」
「だが、」
リインフォースがあっさりと許したことにたいして納得のいかない者達が何かを言おうとする。
「だがもでもない。あんたらは謝った、それで俺は許した。それで充分だろう?それに、俺たちは同じファミリアの家族だろ」
リインフォースは無邪気な笑顔で言う。それを見た人達は若干頬を赤くしながら照れくさそうな顔をする。
それをフィンとリヴェリアは微笑ましい光景を見るように見守っていた。
「さて、早朝の訓練にしては時間をかけ過ぎたようだね。さて、君達はこれからどうする。丁度僕は今日暇でね」
『俺たち(私達)に訓練をつけてください』
その場にいたリヴェリアとリインフォースを除いた全員がフィンに頼み込む。それを聞いたフィンは嬉しいくなる。
「あっ、なら俺も「お前はこれから私と座学だろう」
リインフォースはそれに乗じて自分も訓練に参加しようとするがリヴェリアに遮られる。
リヴェリアの言葉を聞いたリインフォースは顔を青くする。リインフォースは新しいことを知れる勉学は好きな部類に入る。しかし、リヴェリアのには限度がない。覚え続けろ、その一言に尽きる。頭がいつパンクしても可笑しくないのだ。
「どんだ、お前達もたまには座学に参加するか」
リヴェリアは他の者達にも目を向ける。それにリインフォースは助けを求めるかのような視線を向ける。
『いえ、結構です』
ここにいる者なら1度は受けたことのあるリヴェリアの座学。その地獄は2度と受けたくない。その気持ちが皆の心を1つにした。
「そうか、リインフォース行くぞ」
顔を青くしてるリインフォースの首根っこを掴み引きずるように連れて行くリヴェリア。リインフォースは引きずられるなか恨めしそうに裏切り者達を睨みつけるのだった。
それを皆が心の中で敬礼をしながら見送る。
「君達って結構薄情者だね」
その光景を見ながら苦笑いを浮かべるフィンであった。
その後、昼食時にリヴェリアに習ったことを廃人のように呟き続けるリインフォースが食堂に居たとか