ダンジョンに夜天の書があるのは間違ってるだろうか   作:暇人M.MAX

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第13話

団員との不仲を解消したリインフォースは冒険者ライフを満喫していた。ただ1つを除いて。

 

「主、今日はこれぐらいにしましょう」

 

シグナムはリインフォースにやめるに言う。しかし、リインフォースには若干の疲れは見れるがまだまだやり足りない感がある。

 

「まだ「止めるべきです」

 

リインフォースの言葉を遮るシグナム。

シグナムはリインフォースに師事することは喜んでいるが過保護さが働いて優しすぎる鍛錬にしてしまっている。

 

「姐さん、俺らも休憩っすか」

 

「貴様らはやり足りんだろ。まだ、やってろ」

 

シグナムはフィンの提案で他の団員達にも師事をしている。そして、リインフォースとその他の扱いが酷いのである。と言うよりリインフォースに師事するより他の団員に師事する方が生き生きしてるように見える。それはそのはず、シグナムはリインフォースに怪我をさせないように最善の注意を払って師事しているのだ。それはストレスも溜まる。その一方でフィンから好きなように扱いていいと言われてる為に好きなだけストレス発散に使えるのだ。

 

「はぁ〜」

 

リインフォースはここで揉めても他の団員の邪魔になると思い訓練場を後にする。

 

その後リインフォースは1人ダンジョンに潜っていた。

リインフォースはスピード重視の軽装に右手に片手剣、そして左手には父の形見であり母と同じ名を持つ漆黒の籠手に紅い杭のような者がついた武具をつけていた。

冒険者になってから半年と言う月日が過ぎ1人でもダンジョンに潜るのに充分な力をつけたリインフォースはソロでの活動を許されていた。

 

五体のウォーシャドウとの戦闘。

リインフォースは最善の注意を払いながら戦闘をしていた。まず第一に囲まれないこと、確実に敵を仕留めること。様々な注意を払いながら攻撃を躱し受け受け流し、そして的確に攻撃を与える。一体一体と数を減らしていくウォーシャドウ達。

 

「後一体」

 

4体目を倒したリインフォースは最後の一体を倒そうとする。しかし、最後の一体と言うことに油断をしたリインフォースはウォーシャドウの死角からの攻撃に気づきくのに遅れる。

 

「ッ!」

 

ウォーシャドウの攻撃に気づいたリインフォースは咄嗟に片手剣で受け止めるが片手剣を弾き飛ばされる。

 

「クソッ!」

 

左手の武具でウォーシャドウを殴りつける。ウォーシャドウ殴りつけたと同時に紅い杭が発射される。パイルバンカーそれが漆黒の武具、ナハトヴァールの武具としての正体である。

杭に撃ち抜かれたウォーシャドウは見事に吹っ飛ぶ。

 

「はぁはぁ・・・」

 

リインフォースはその場にへたり込む。戦闘での疲れ、一瞬の油断が招いた危機、そして死への恐怖、様々なことがリインフォースに襲いかかる。

 

「帰ろ」

 

リインフォースは気持ちをすぐに落ち着かせる。ここはダンジョン、死と隣り合わせの世界だ。へたり込んでる時間などない。

リインフォースは立ち上がり魔石の回収をして帰路へと着く。

 

 

 

何時もより早くにダンジョンから出てきたリインフォースは暇を持て余していた。

街のなかを歩いてる最中にリインフォースの腹の虫が鳴る。

 

「昼、食ってないや」

 

昼飯を食べずにダンジョンに潜っていたことを思い出したリインフォースは近くにあった酒場に入ることにした。時刻は午後の3時過ぎ、酒場に子供のリインフォースが入るのはどうかと思うが空腹に負けて入ることにする。

 

「いらっしゃいませ〜、お一人様ですね。カウンター席にどうぞ」

 

店に入るとウェイターの少女に言われたカウンター席に着く。その隣には1人の老年の男性が座っていた。

リインフォースはちらっと見るつもりで男性を見た。こんな真昼間から酒を飲む男性を盗み見るつもりだったのだ。しかし、リインフォースは男性をまじまじと見ることになる。

それは男性から感じられる圧倒的な強者の気迫を感じたからだ。

かなりの実力をつけた強者からはオーラや覇気のようなものを感じると聞いたことがあるがリインフォースにはそれが嘘だと思っていた。リインフォースでの現在の最強はフィン達になる。しかし、フィンからは何も感じない。それなりに強さは感じられるがオーラや覇気のようなものを感じることはなかった。しかし、目の前にいる男性からオーラや覇気、恐怖すら感じれる。絶対的強者、それがリインフォースが男性から感じた感想だった。

 

「あっ、なんだ嬢ちゃ・・・」

 

リインフォースに見られたことに気づいた男性はリインフォースの方へ向くがリインフォースを見た瞬間、男性は驚愕し目を見開く。

そして、リインフォースも男性に見つめられ固まる。それは男性の目を見て恐怖により萎縮したからである。

強者の目、絶対的捕食者の目、男性の目は鋭く鷹のような捕食者の目をしていた。

 

「あ・・・」

 

言葉を発しようとするリインフォース。しかし、うまく言葉が喉から出てこない。男性に圧倒され過ぎ呼吸さえできなくなる。

 

「おっと、悪い」

 

男性がそう言うとリインフォースの中にあった恐怖が無くなる。目の前の男性に感じられるのは強者と言うオーラだけ。さっきまでの圧倒的恐怖はなくなっていた。

 

「すまんな。あまりにも知り合いに似てたもんで抑えるのを忘れてたわ」

 

男性がそう言い手荒にリインフォースの頭を撫でる。

手荒ではあるがその手つきは優しくリインフォースがはるか昔に感じた父の手つきと似てる気がしていた。その心地よさについリインフォースも身を任せてしまう。

 

「あんた、何ガキを威圧してるんだい。全く、久々に帰ってきたと思えば真昼間から安酒を飲んでガキを威圧して。で、嬢ちゃんは何にする」

 

リインフォースが頭を撫でられてるとこの酒場の女将がリインフォース達に話しかけてきた。

 

「えっと、オススメで」

 

リインフォースは他人に撫でられてるのを見られて恥ずかしくなりまともにメニューも見ずに答える。

 

「俺はこいつをもう一本」

 

「たく、そんな安酒じゃあうちは儲からないんだがね」

 

女将は文句を言いながらも酒の入った瓶を男性に渡し厨房へと消えてった。

リインフォースは男性の渡された酒を見て驚く。それは子供のリインフォースでも知っているオラリオの中で1番の安酒である。味は薄くアルコールの味は何故かフィンが愛用しているためにリインフォースでもよく知っている。しかし、そんな安酒を目の前の強者が飲んでいることに驚愕したのである。これほどの強者なら金には困らないはずだ。

 

「んっ、こいつが気になるのか?嬢ちゃんにはまだ早いぞ」

 

男性は酒瓶をそのまま直接口にして飲んでいるとリインフォースが酒瓶を見てることに気づく。

そんな時、リインフォースは男性の姿に気づく。正確には左目に大きな傷があり目を瞑っていることから左目が見えないことと左腕が肩から先に無いことに気づいたのだ。

 

「あの、あなたは相当な手練れだと見込んで頼みがあります」

 

「あー、なんだ言ってみろ」

 

「弟子にしてください!」

 

リインフォースは目の前の強者なら自分の求める力を手にするまで導いてくれる。そう確信していた。

 

「ッ!」

 

しかし、リインフォースが言い終わると先ほどまでの威圧それ以上の威圧が襲いかかる。死、それがリインフォースの感じた感情だった。

 

「俺は弟子を取るつもりは無い。誰も守れなかった俺に誰かを師事する資格は無いんだよ」

 

男性はリインフォースを睨みつける。その瞳には怒りと悲しさ、それに虚しさがうつっていた。

 

「だから、小娘を威圧すんじゃ無いよ。それに他の客も萎縮してんじゃ無いか」

 

料理を持ってきた女将が男性に拳骨をお見舞いする。するとさっきまでの威圧が消えてリインフォースは死から解放される。他の客も萎縮していたらしく息苦しさから解放される息を乱してる。

そして、リインフォースを含めた客が女将の拳骨を見て思ったことは『痛そう』であった。

 

「チッ、すまねーな嬢ちゃん。でもな、テメーは見たところ冒険者だろ。それならファミリアの連中に師事を受けろよ」

 

女将の拳骨を受けた男性は何もなかったようにリインフォースに言う。

 

「フィンやリヴェリア、ガレスは忙しいから無理で。他のみんなも優しいから無理はしない範囲しか教えてくれなくて」

 

「・・・」

 

男性はリインフォースの語りを酒を飲みながら聞く。

 

「ロキの所か・・・」

 

男性が呟く。リインフォースはその呟きを聞き男性を見る。男性は何処か懐かしむような顔をしていた。

 

「はぁー、嬢ちゃんそう言えば名前は?」

 

「リインフォース、リインフォース・ヴァールです」

 

「!やっぱりか」

 

リインフォースの名前を聞いて驚く男性。

 

「嬢ちゃん、リインフォースは何のために力を求める」

 

「守るために。もう2度と仲間を家族を失わないために力が欲しい」

 

「それはどんな強敵からも守り抜く力が欲しいということか。倒す力より守る力はどんな力よりも強くなきゃいけない。お前の求むものにたどり着くには修羅の道だ。それでもその道を歩むと」

 

「たとえそれがどんな道だろうと歩き抜いてみせます」

 

リインフォースの言葉を聞き男性はリインフォースを見つめる。否、リインフォースをとうして何かを見ているのだ。

 

「血は争えんか・・・なるほど、リインフォース!」

 

男性はリインフォースの名を言う。

 

「テメーの覚悟、この俺の心に行き届いた。この俺、アレクがテメーを鍛えてやる」

 

そこに居たのはさっきまでの呑んだくれてではなく、さっきよりより一層強いオーラを身に纏った覇者がそこに居た。

 

 

 

これが後に夜天と呼ばれる英雄とかつて最強の剣士、剣帝と呼ばれた英雄との出会いであった。

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