ダンジョンに夜天の書があるのは間違ってるだろうか   作:暇人M.MAX

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永遠の夜に眠れ

あれから暫くの月日が経った。

リヴェリアはあれから頻繁にナハトとリインフォースに会いに来ており。リインフォースとはよく買い物や料理を一緒にし仲良くなっていった。そんな2人を見てナハトは最初は微笑ましく見ていたがどこか疎外感を覚えだし2人の間に乱入してくることも多々あった。

前世では何も無い退屈な人生を送ったリインフォースもここ最近、こんな日常も悪く無いと思えるようになっていた。

しかし、そんな日常は崩れ去ることとなる。

 

 

 

「ええ〜と、これで全部だよな」

 

リインフォースは今、1人で買い出し中だった。

今日はリヴェリアの他にリヴェリアの仲間が来ると言われたのでいつもより豪勢にしようと思い足りない食材を買い出していたのだ。

 

「よし、これで全部だ。はやく帰って準備しなきゃ」

 

最近よく笑うようになったリインフォースは早く帰って食事の用意をしなきゃと思い笑顔でその場を駆け出そうとする。

 

「きゃっ!」

 

しかし、何者かによってそれは阻まれ後ろから口を塞がれる。何かの匂いを嗅がされて意識が遠のいていくことを実感する。

 

 

 

 

 

「リインたら遅いわね」

 

リインフォースが誘拐されているなど知らず、いつも通り店のカウンターに座り店の外を眺めていた。

 

「邪魔するで」

 

帰りが遅いリインフォースを心配していると誰かが店の中に入ってきた。

 

「あら来るのが速いのね、ロキ。それにフィンとガレスも久しぶりね」

 

ナハトはリヴェリアと見知った3人に挨拶をする。

ロキファミリアの主神ロキとその団長のフィン・ディムナと幹部の1人であるガレス・ランドロックである。

 

「久しぶりだね。うちの主神が速くリインフォースに会いたいとうるさいくてね」

 

ナハトの疑問にフィンが代表して答える。

大の女好きなロキはリヴェリアから聞いたリインフォースの話を聞きいてもたってもおられずに来たのだ。

 

「そや、速くうちのリインたんに合わせ〜な」

 

「リインは私のよ。それにまだ帰ってきてないわ」

 

「なんやて、この時を楽しみしてたのに」

 

その言葉を聞きロキは項垂れる。

ロキはまさにリインフォースと会うことを楽しみにしてた。リヴェリアからの話によるとリインフォースは父譲りの髪と母譲りの瞳と美貌を受け継いだ美幼女だと聞いていた。ナハトは女神にも匹敵する美しさを持っている。そんなナハトの娘はロキのお眼鏡に叶うのは間違いなしだ。そして、あわよくば自身のファミリアに入れようと考えていたのだ。

 

「ナハト、あれだけリインフォースには1人でで歩かせるなと言ったのに」

 

リヴェリアはナハトを責めるように言う。

 

「仕方ないじゃ無い。あの子があなた達が来たら困るからって言うから仕方なく。ええ、仕方なく!リヴェリアとは買い物行く癖に私とは行きたがらないのよ!どう思うフィン、ガレス」

 

リヴェリアに責められたナハトだが何か黒いオーラがナハトにまとわりつく。ここ最近、リインフォースはリヴェリアとばかり仲良くするせいで少し変なテンションになりがちなナハトなのである。

 

「いや、僕に聞かれても」

 

「なんじゃ、反抗期かもしれんの」

 

「反抗期ッ⁉︎」

 

フィンはそんなナハトのテンションについていけず、ガレスは適当に答える。しかし、ナハトはガレスの言葉を聞き固まり出す。

 

「反抗期、反抗期ってあれよね。ママなんか大っ嫌いとかいって家出するやつよね。中には2度と帰ってこないとも聞くやつよね」

 

何か独り言を始めたナハトに4人は触らぬが祟りと思いその場から少し離れる。

 

「リイン〜、今探しに行くわ!」

 

何か盛大の誤解をしているナハトは店を飛び出そうとする。しかし、店を出ると何かを踏んだ感じをして下を向く。

 

「あら、何かしら」

 

下を向くと封筒が置いてあった。

 

 

 

 

 

「うぅ、」

 

リインフォースは酷い頭痛を感じながら目をさます。頭痛は無理やり眠らされたせいか頭がギンギンする。

 

「おや、お嬢ちゃんお目覚めかい」

 

ぼんやりとした視界をよく凝らすとそこにはこの前店に押しかけてきた小太りの男性が立っていた。周りには何にもの男がいる。男性以外全員武装しており、リインフォースは誘拐されたことに気づくと同時に簡単には逃げ出さないと理解した。

 

「・・・」

 

リインフォースは無言で男性を睨む。

 

「そんな怖い顔しなくていいじゃ無いか。何、おじさんはお前さんの母親と話がしたいだけだ」

 

「・・・」

 

リインフォースは男性の話を聞きながら思考を巡らす。

周りを見渡せばここがどこかの教会だとわかった。そして、神が地上に存在する現在では神を祀る教会は無いに等しい。そして、つい最近まで使われてた様子は無い。それらの情報から導き出しここが旧郊外の廃教会だとわかる。

そこから逃げながら頼れるものへの導く道順を導き出す。

 

「お嬢ちゃん、旧に黙りとは酷いじゃ無いか。おじさんが優しく話してるというのに」

 

「・・・」

 

男性が顔を近づけて話しかけてくる。それに嫌悪感を覚えるが思考を巡らすことを止めることはしない。

人通りの多い道からも民家も遠いここでは子供の自分には逃げ続けることはできない。ましてやこの人数の目を掻い潜るのは至難の技だ。

男性の話からすると男性はここに母を呼び寄せてる可能性が高い。そして、今日はリヴェリア達が来るはずだ。オラリア最強の一角ロキファミリアの幹部達がここにいるならず者に遅れをとるはずは無い。

それらを踏まえた上でリインフォースはある方法を導き出す。リヴェリア達が来て人質にされる可能性もある、つまりは人質にされる前に自信を助け出してもらわなければいかない。

つまりはここにいる全員の意識を1つに集中する必要があると。

 

「あは、あははは。あんた馬鹿。あー、腹痛い」

 

唐突に笑い出したリインフォースにその場にいた皆がリインフォースに注目する。

中にはこの状況で気でも狂ったんじゃ無いかと思い出す者もいる。

 

「お嬢ちゃん、わしの何が馬鹿なんだ」

 

男性はいきなり馬鹿呼ばわりされたことに少し腹を立てながらも問いただす。

 

「いやー、あんたの狙いは魔導書。常識的にたかが娘にそんな価値のある魔導書を犠牲にすると思えるのか?あんたならどうだ。自身の肉親か一生かかっても手に入らない金どっちを取る」

 

男性はその問いには答えないが間違いなく金を取る。

男性はいまや金の亡者、様々な者を蹴落としてきてここにいる。様々な人を不幸の奈落に突き落としてきたのは間違えない。

男性は動揺していた。こんな年端のいかない小娘にまるですべて見透かされてるような感覚に陥る。そして、あることに気づく。

 

「あんたなら金を選ぶね。気づいたんじゃ無いか」

 

男性は気づいたのだ。もし、同じ立場ならどうするかと。自分なら子供を見捨てる。役に立つかもわからない子供に自身のすべてを投げてまで助ける価値などないと。

 

「あんたの今やってることは無意味。母さんはここには来ないよ」

 

そう、すべてが無意味。その言葉が男性の頭の中でこだまする。計画が水の泡とかすそんな感覚に陥ってしまう。

しかし、ある音とが室内にこだまする。

 

「リインフォースは無事でしょうね!」

 

ナハトは怒鳴るようにドアを蹴破り入ってくる。

それを見た男性は笑いを堪えるのに必死だった。来たじゃないか、とリインフォースに内心つっこむ。

 

「ええ、娘さんはこのようにご無事ですよ」

 

「ッ!」

 

男性はナハトに見せつけるようにさっきまでの仕返しの意味も込めてリインフォースの髪を掴み上げ持ち上げる。リインフォースはその痛みに顔を歪める。

 

「リイン!」

 

ナハトはそんなリインフォースを見て今にも飛び出しそうになる。

 

「おっと、あまり近づかないでください」

 

男性はナハトに制止の声をかける。リインフォースは貴重な交渉材料。近づかれて奪われてしまっては意味がない。リインフォースが男性側にいることは男性にとって絶対安全を意味する。

そう思い男性はリインフォースを近くの用心棒に投げつけナハトに近づく。

 

「リイン!」

 

投げ飛ばされたリインフォースを見てナハトは男性を射殺さんばかりに睨む。

 

「おお、怖いですね。それより魔導書は持ってきましたか」

 

「ええ、持ってきたわ」

 

ナハトは燃え上りそうな頭を一旦冷まし冷静に夜天の書を見せる。夜天の書は魔導書以上に何らかの力を発している。迂闊に偽物を出してバレるよりはこちらの方が安全性は高い。

 

「おお!それをこちらに渡していただきましょう」

 

男性は魔導書を見たことにより周りが見えていなかった。それはほんの一瞬の出来事だ。

 

「ええ、これはあなたに渡す必要はもうないわ」

 

ナハトはそう言うと夜天の書をしまう。

 

「な何を言ってる⁉︎こちらには貴様の娘が、なっ⁉︎」

 

目の前でお預けをくらった男性は火が出るように顔を真っ赤にし激怒し、リインフォースの方を向くがそこには自分が想像する光景とは離れてるものだった。

 

「やぁ、リインフォースは返しもらったよ」

 

リインフォースの近くには自身の用心棒は地に倒れており隣に立つのは金髪の美少年の小人族、さらには他の用心棒はハイエルフの女性とドワーフの男性に倒されていた。

一瞬さえあればリヴェリア達には雑魚を蹴散らすなど容易いものだ。

 

「なかなか、肝の座ってる嬢ちゃんやな。わざと狂った演技をしてうちらがばれずにベストの位置につけるよう皆の意識を集中させるとわな」

 

教会の入り口から赤髪の女性が入ってくる。

その存在は圧倒的で男性にはまるで目の前の女性の手の中で踊らされてるような感覚に陥る。目の前の女性は超越者、すなわち神だ。そして、ハイエルフと小人族、ドワーフのファミリアなどこのオラリア広しと言えど1つしか存在しない。

ロキファミリア、そして目の前の女性は神ロキ。

悪神ロキ、まるでこれらはロキによる茶番劇だったかのような笑みをロキは浮かべる。

 

「さて、お前をギルドに連行させてもらう」

 

ハイエルフの女性、リヴェリアが男性に近づく。

 

「は、ハハッ!ここでは俺の夢が費える。そんなことあってはならない」

 

男性は狂ったかのように叫び出す。そして、懐から1本の剣を取り出す。懐に隠せる最高の長さの剣は少し歪な形をしておりそれが何なのか冒険者ならすぐに気づいた。

 

「魔剣ッ⁉︎」

 

フィンがその正体の名を口にすると同時に魔剣の中にある魔法が発動された。

 

轟音と共にリインフォースを含めたすべての人が業火に包まれる。

 

 

 

リインフォースは死を覚悟した。しかし、いまだになっても死の痛みは来ない。痛みすら感じずに死んだのかと思ったが目を開けるとそれは違った。

 

「母さん」

 

目の前に口から血を流している母の姿があった。リヴェリア達には何らかの障壁が張られており4人とも無傷だ。

 

「へへ、ヘマしちゃったな。4人には障壁は貼れたのに私とリインには無理だったみたい」

 

ナハトは弱々しく喋り出す。肉を焦がす匂いがリインフォースの鼻に入る。

 

「何で⁉︎何で、俺のために母さんが!」

 

「何でって、子を守るのが母親よ」

 

ナハトはリインフォースを弱々しく抱きしめる。弱々しいのにどこか力強く。まるでこれが最後だと感じさせるよに抱きしめる。

 

「ごめんね、いつもだらしないお母さんで」

 

「そんなのいい。だらしなくていいからこれからも一緒にいてよ」

 

リインフォースもナハトの抱き締め方にナハトは助からないと理解する。されど、理解しれど納得は出来ない。母親に縋るリインフォース。

 

「大丈夫よ。私はあなたと一緒だから。愛してるわ私の可愛い

 

 

祝福の風(リインフォース)

 

 

ナハトがそう言うと光の粒子となり消えて行きその粒子はリインフォースに吸い込まれるように消えていく。

 

「うわゎゎゎゎーーー!!」

 

リインフォースは泣き叫ぶ。

 

「貴様!」

 

一部始終の結末を見ていたリヴェリアは元凶たる男性に飛び掛る。

 

「ひっ!」

 

男性は鬼形相に迫られたことに気を失う。リヴェリアは男性を殺そうとするがロキによって止められる。

 

「リヴェリア待ちいや。そんなことよりやばいことになったわ」

 

ロキはいつも細めてる目を見開きリインフォースを見つめていた。リヴェリアもそれに続くようにリインフォースを見る。

 

「ッ⁉︎」

 

それはリヴェリアとナハトが恐れてた現象が起きていた。

リインフォースの背中に漆黒の翼が現れる。

 

「永遠の夜に眠れ」

 

リインフォースの口からリインフォースの声とは思えない冷めた声が発しられる。

それと同時に世界は終わらない永遠の夜に染まった。

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