ダンジョンに夜天の書があるのは間違ってるだろうか   作:暇人M.MAX

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夜明けに向けて

 世界が夜に覆われ世界が眠ろうとする中、ひとつ眠ることなく夜でも輝く太陽、白夜が光り続ける。

 

「無事なのか?」

 

 夜に飲まれたはずのリヴェリアいまだに自分の意識があることに不思議に思う。ナハトに聞いた夜はすべてを飲み込み覚めぬ夢へ誘い夢に覚めぬまま世界は終わりを告げると言っていた。しかし、自分は眠るどころか意識がいまだにはっきりしてる。

 

「寝てないのはウチとリヴェリアだけやな」

 

 未だに不思議に思っていると隣から声がかけられる。リヴェリアは夜の世界で声をかけられたことにびっくりする。自分以外に意識を保っている存在に驚愕を覚える。

 

「ロキか。フィンとガレスはどうした?」

 

「二人ならそこでいい顔で寝てるで」

 

 リヴェリアはロキが指差した方を見るとそこにはさっきまでの出来事がなかったようなとても気持ちよさそうな寝顔で寝ている自身の仲間二人が眠っていた。

 

「しかし、なぜ私とロキだけ起きているのだ」

 

 リヴェリアはさっきまで疑問に思っていたことをロキに尋ねる。

 

「リヴェリアの懐にあるものの効果やろな、近くにいたウチもその効果のおかげでピンピンしてられるというわけや」

 

 ロキに言われ初めてナハトに貰った魔剣の存在に気づく。

 リヴェリアは懐にしまっていた魔剣を取り出す。白い短刀は太陽のように輝きを発したいた。小さな太陽、それが終わらぬ夜に光を照らしているのだ。

 

「見たところもって一時間やな」

 

 ロキはリヴェリアの持つ魔剣を覗き込むように見る。そして、魔剣がこの小さな太陽が輝き続ける時間を言う。一時間、それが二人に残された時間の数字だ。

 

「どうすればこの夜を止められる」

 

 長寿のエルフと言えどこのような体験は初めてだ。解決方法などわかるはずなく目の前の神たるロキにリヴェリアは尋ねる。神ならばこの何か解決策を知ってるかもしれないと淡い思いを込めて。

 

「簡単や。夜の原因たるリインフォースを殺せばええんや」

 

 ロキはあっけなく答える。

 リヴェリアはロキに言われたことに目を見開く。まず、リヴェリアにリインフォースを殺すことはできない、身近いい時間だったがリインフォースと過ごした時間はリヴェリアにとってリインフォース貴重な存在、家族と認識させるには十分なものだった。そして、リインフォースを殺せない理由はほかにも存在する。

 

「後継者を持たないリインフォースを殺せば世界は滅ぶぞ」

 

 そう、今や夜そのものになったリインフォースを殺せば夜はなくなり沈まぬ太陽に地上は焼かれ続けることになる。

 

「せやな、リインフォースが目を覚ませばどうにかなるかもしれへんな」

 

 ロキはリインフォースがいる方向を見る。そこには小さくうずくまり泣き続けるリインフォースの姿がある。

 目の前で母を亡くした悲しみがリインフォースの心を押しつぶし正気をなくさしている。

 

「リインフォース!」

 

 リヴェリアはリインフォースを確認するとすぐに駆け寄ろうとする。

 しかし、一定の距離を近づくとリインフォース周りから黒い蛇が現れて近づくリヴェリアに襲いかかる。突然の出来事にリヴェリアは反応することができなかった。

リヴェリアには迫り来る蛇がゆっくりと見えた。それはまるで死を知らせるカウントダウンのように思えた。

 

(すまない。ナハト)

 

大切な友にリヴェリアは心の中で謝る。友を亡くしその娘さえ助け出すことができなかった。

この時、リヴェリアは確かに死を覚悟した。

 

「レヴァンティン!」

 

しかし、透き通る声とともに鞭のようなものがリヴェリアに迫る蛇を切り裂いていく。

それでも、蛇はその隙間を通り抜けリヴェリアに迫る。

 

「うぉぉぉぉ!」

 

リヴェリアと蛇の間に強靭の肉体を持った狼人が割り込み蛇を殴る。狼人の一撃は強烈で蛇を粉砕していく。

狼人はすぐにリヴェリアを抱き抱えその場から飛び去る。しかし、蛇はいまだにリヴェリアを追ってくる。

 

「アイゼン!!!」

 

しかし、それらは巨大な鉄槌によって木っ端微塵に砕き散らされる。

狼人がリヴェリアを抱えてロキのいるところにたどり着く頃には蛇は追ってこなくなっていた。

 

「すまん。危険だと思い助けた」

 

狼人は抱えていたリヴェリアを下ろし素直に謝る。

 

「いや、助かった。それより貴様は一体誰なんだ?」

 

リヴェリアは素直に礼を返す。そして、目の前の狼人を見て不思議に思う。自分とロキがこの夜の中意識がある理由はわかったが目の前の狼人は何故動けるのかと。さらにさっきの鞭みたいなものと鉄槌、つまりは最低でも他2人は動けていることになる。

 

「私はヴォルケンリッター、盾の守護獣ザフィーラだ」

 

ザフィーラと名乗る狼人。さらにいつの間にか桃色の髪をした人族の女性や赤髪の少女、金髪の女性が来ていた。

 

「私は烈火の将シグナムだ。すまないが現状の説明を頼めないか?あそこにいる主をどうにか助けたい」

 

桃色の髪をした女性、シグナムが話しかけてくる。どうやらこの4人の代表者らしい。しかし、説明をして欲しいのはリヴェリアも同じだ。それにリヴェリア自身この現象は詳しくない。

 

「ほな、うちが説明するから。先にあんたらが何なのか説明しいや。ただの人ではないやろ」

 

ロキが真剣な眼差しでシグナム達を睨む。

不確認要素の多いシグナム達はロキ達の味方とは限らない。こんな状況なのだ。いくら神とはいえ慎重にならざるえない。

 

「わかった。あなたが言いたいことも理解しているつもりだ。だからあえて言わせてもらおう。あなた方が主の味方である限り私達は敵にはならないと」

 

シグナムはロキが何を思っているのか汲み取り敢えて自分達は味方だと先に宣言しておく。

 

「まず、私達が誰なのか説明しよう」

 

そのあとシグナムは自分らの存在について語った。まず名はシグナム、ザフィーラ、そして赤髪の少女がヴィータ、金髪の女性がシャマルと名乗った。そして、シグナム達は夜天の書の守護騎士システム『ヴォルケンリッター』であることを述べる。自分達が顕現できるようになり外に出たらこのような事態になっていたと。

 

「ちょい待ちいや」

 

ロキはシグナム達の話を聞くとある疑念に差し掛かった。それは何故シグナム達が動けるのか?ということだ。同じ夜の名を持つ本だとしても今現在の夜は世界を夢へと誘う夜、規模が違う。なのに目の前にいるシグナム達は動けてる。それはシグナム達の本体と言ってもいい夜天の書に何らかの白夜の魔剣と同じ効果、もしくはそれ以上の原因があると見た。

 

「あんたらの夜天の書をみせてーな」

 

ロキはシャマルの持つ夜天の書を見る。

 

「えっと、それは・・・」

 

しかし、シャマルはロキに夜天の書を渡すのを躊躇う。夜天の書はシャマル達の本体と言っても過言ではない。夜天の書が破壊されれば夜天の書の守護騎士として造られたシャマル達は消滅する。シャマル達にとって夜天の書とは主の次に守るべき対象なのだ。

 

「シャマル渡せ」

 

「えっ、でも」

 

躊躇っているとシャマルに自分達の将であるシグナムが許可を出す。

 

「この状況を打破せん限り、主の無事も確証できん。何らかの方法を思いつくのは彼女しかいない」

 

シグナムはそうシャマルに言うとシャマルも理解したのか大人しくロキに夜天の書を渡す。

ロキは渡された夜天の書を見る。それはリヴェリアが見たときよりも数多くの文字が記されていた。

 

「あった!」

 

ロキはいつものふざけた口調ではなく真剣な声でそう呟く。

 

「何があったんだ?」

 

リヴェリアは不思議に思いロキに尋ねる。

 

「今説明すんで、まず今のリインフォースの状態やがな。あれは精霊や」

 

精霊、それは神が遣わすった英雄を助ける存在として知れ渡っている。しかし、今のリインフォースにはそのような感じは感じられない。

シグナム達はロキの話を真剣に聞く。

 

「うちらが知ってる精霊とは少し違う存在や。あれは世界が創った唯一無二の精霊、夜の精霊や。うちら神は何らかを司る神や。でもや、神が死んだところで司っていたもんはなくらならへん。でも、夜の精霊はちゃう。夜の精霊は夜そのものと言ってもいいんや。謂わば神すらも超えた存在や。本来はリインフォースの母親であるナハトがその夜の精霊なんやが、夜の精霊は世界が生まれた時から存在するんや。しかし、夜の精霊はそんな長い時間1人で生きとうてたら精神が持たへん。せやから自分の血を引くものにその役割を継がせるんや」

 

ロキは言う、ナハトが死んだことにより夜の精霊はリインフォースとなったと。

 

「夜の精霊と何だ」

 

シグナムはロキに向かって説明を請う。夜の精霊と今の現状に何らかの接点があるのに察しはつく。

 

「夜は1日の終わりや。そして、夜の精霊の特徴は1つや。世界の終わり、世界を眠らすことが夜の精霊の役割となってんわ」

 

リヴェリアはその言葉を聞いて苦虫を噛み締める顔をする。たった5歳の子に世界の命運を握らせてしまった自身の不始末に、不甲斐なさに。何よりもリインフォースの力になれない自身の弱さに。

 

「主は今、世界を終わらそうとしているのか」

 

「せや、世界を眠らすことで世界を終わらす。永遠の夜、それを阻止するには夜の精霊を殺すしかあらへん」

 

その言葉を聞いた瞬間、ヴォルケンリッターはロキに殺意を向けた。世界が終わる、そんなことどうでもいい。まだまたもに会ってもいない主の命の方が大事だ。

 

「ちょい落ち着きいや、リインフォースを殺したところで夜をなくすんだけで世界の終わりは変えられへん」

 

その言葉を聞きヴォルケンリッターは殺意を向けるのはやめなかったが疑問に思う。この永遠の夜、世界の終わりの原因はリインフォースである。なのにその原因を殺したところで世界が終わるとはどういうことなのかと。

 

「夜がなくなることは太陽が静まることがなくなるんや。世界は夜の精霊と人に世界の終わらす鍵をあたってことや」

 

「つまりは手詰まりということか」

 

「いや、それがな。ナハト、リインフォースの母親は打開策を残しといてくれたんや。1つはリヴェリアの持つ白夜の魔剣や。これを使えば夜の中動けるしリインフォースにつき刺せば正気に戻せるん。もひとつはこれや」

 

ロキは手に持った夜天の書を見せる。

 

「この中にな、新たな夜明けてのがあるんや。それを使えれば何とかなるんちゃうかな。ナハトも最初っからこれのことを言っとけっちゅうの」

 

ロキはさっきまでの真剣な声とは違いいつものおちゃらけたような口調で言う。それは希望を見出せたからに違いない。

 

「でも、その魔法は私たちでは使えないわ」

 

シャマルはロキが見せる記された魔法を見て言う。守護騎士権限として夜天の書に記された魔法はいくらか使えるがそれはほんのすこししかない。そして、新たな夜明けはシャマル達には使えない魔法だ。

 

「ならリインフォースを目を覚まさせればいいんだな」

 

話を聞いていたリヴェリアが言う。その目には覚悟が見られた。リヴェリアはナハトとの約束のため何よりもリインフォースを助けたいと、その思いがリヴェリアを奮い立たせた。

 

「せや、リインフォースに新たな夜明けを使わせるそれがうちらの目標や」

 

「だけどあの蛇をどうにかしないと近づけねーぜ」

 

ロキの言葉にヴィータが反応する。さっきまでの話を聞く限りリインフォースを正気に戻すにはリヴェリアの持つ白夜の魔剣を突き刺す必要がある。白夜の魔剣は小さな短刀、かなりの距離に近づかないと突き刺さない。

 

「なら、私達が道を開こう」

 

シグナムがリヴェリアに申し出る。

 

「すまない頼む」

 

リヴェリアはそれを聞き了承する。

 

「なら最初はあたしがいかしてもらうぜ」

 

ヴィータはそう言うとリインフォースの方に向く。前に一歩出る。

 

「アイゼン!」

 

ヴィータは自身の持った鉄槌を掲げる。鉄槌から空の薬莢のようなものが出てくる。すると鉄槌は巨大化する。

 

「轟天爆砕!ギガントシュラーク!!!!」

 

巨大な鉄槌をリインフォースに振り下ろす。しかし、無数の蛇がリインフォースを守る。

 

「くっ、長くもたね。早く行け!」

 

ヴィータの巨大な鉄槌すらも安安と蛇は受け止めるだけではなく押し返そうとする。

リヴェリアはヴィータの声を聞き走り出す。蛇はヴィータの鉄槌を受け止めてるためかリヴェリアの方には気づかない。しかし、

 

「くそッ!」

 

とうとうヴィータが押し切られてしまう。すると蛇達は一斉にリヴェリアに近づこうとする。

 

「鋼の軛!!」

 

無数の蛇に光の軛が突き刺さる。蛇達は軛によってその場に固定され動けなくなる。

しかし、無数の蛇を止めることは出来ず何体かがリヴェリアに向かう。

 

「レヴァンティン」

 

しかし、その蛇達はシグナムの連結刃によって切り捨てられる。そして、連携刃はリヴェリアの道を作るかのように蛇からリヴェリアを守る。

 

「行け!主のことは任せぞ!」

 

リヴェリアは走る、シグナムの連携刃の隙間をぬって出てきた蛇がリヴェリアの足を貫く。しかし、リヴェリアは顔を痛みに歪めながらも持ってる力を持ってリインフォースに近づく。そして、

 

「起きろぉぉぉぉ!」

 

リヴェリアは手に持った白夜の魔剣をリインフォースに突き刺す。




闇の書の暴走をどうしようかと考えてこんな話になりました。
すこし、無理ありすぎるかな?とは思ったんですけど他に考えられませんでした。
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