ダンジョンに夜天の書があるのは間違ってるだろうか   作:暇人M.MAX

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母の愛

寒い、まるで極寒地獄にいるみたいだ。

もう、安らかに眠ろう。そうすればこの寒さも感じなくて済むかもしれない。

 

「起きなさいリイン」

 

そうリインフォースが思った時、何かがリインフォースを優しく包み込んだ。

それはとても暖かくてリインフォースの冷めた体を覚ますかのようだ。

 

「母さん・・・」

 

リインフォースは瞑った目を開く。すると目の前に笑顔のナハトの姿があった。

 

「母さん、俺・・・」

 

リインフォースは戸惑う。ナハトは目の前で死んだ。それをリインフォースは自分のせいだと思い込んでいる。自分が弱いから、自分の身1つ守れないからナハトを殺してしまった。

 

「あなたのせいじゃないわ。それより早く起きなさい、リヴェリアがみんなが待ってるわ」

 

ナハトはリインフォースの額に口付けをする。

すると世界は光に満たされる。リインフォースはその眩しさに目を瞑りそうになる。必死に母を見ようと目を細める。

 

「リインフォース、私達はあなたを見守ってるわ」

 

ナハトは笑顔でリインフォースを送り出す。その隣にはリインフォースの幼き記憶にある父の姿があった。

そして、リインフォースはあまりの光量に目を瞑る。

 

 

 

「リヴェリア・・・」

 

リインフォースは目を開けるとリヴェリアが抱きしめていた。リヴェリアの体には血が流れている。

 

「遅すぎだ、馬鹿娘・・・」

 

「ごめん」

 

リインフォースは素直に謝りリヴェリアを抱き返す。小さな体ではリヴェリアを覆うほど抱きしめることは出来ないが力一杯抱きしめる。

そして、リインフォースの前に1つの本が現れる。そして、新たな夜明けが書かれたページが開く。

リインフォースとリヴェリアの周り以外は夜に飲まれ今にもロキやヴォルケンリッターは眠りについていた。

 

「終わらせよう、この夜を」

 

リヴェリアを抱き締めながらリインフォースは呟く。

まだ、母の死は乗り越えれてない。それでも、母が守ってきたこの世界を終わらせることはしちゃいけない。母が守ってきたようにリインフォースもまた世界を守ろうと決意する。

 

【全てを眠りと誘う終わらぬ夜は今ここに終わり。いちじょうの光を浴び闇は拭われ全ての眠りを覚ます。世界は周り動き出し新たな運命を辿る。世界は終わらず繰り返す、回れ回れ、そしてこの世の全てに夜明けをもたらす日の出をここに。そして、今ここに】

 

「【新たな夜明けを】!」

 

 

リインフォースは叫ぶ。母がいなくなった世界、それはきっとリインフォースに悲しみをもたらすだろう。だが、新たな出会いと共に嬉しみももたらす。現に今ここにリヴェリアがいる。リインフォースは母の死を乗り越えてはいない。それでも、明日に向かって一歩を踏み出した。

 

 

そして、世界を終わらす夜は明け日の出共に新たな1日をもたらした。

 

 

 

「ここは」

 

リヴェリアが目を覚ますと知らない天井だった。

 

「やっと目を覚ましたね」

 

リヴェリアの近くに聞き慣れた声が聞こえた。声の方向を見るとよく見慣れたフィンの姿があった。

 

「シャマルさんには感謝しな。あの人がいなかったら危なかったよ」

 

あの後、夜が明けたと同時にフィン達は目を覚ました。そこには気を失ってるリインフォースと傷だらけで倒れるリヴェリアがいた。フィンとガレスはすぐにリヴェリアの手当てをしようとするが思いの外傷は深く打つ手がなかった。そんな時にヴォルケンリッターのシャマルがリヴェリアの傷を一瞬にして直してくれたのだ。

その後、フィン達はリインフォースとリヴェリアをリインフォースの家まで運ぶ最中に一通りの話をロキから聞いた。

 

「そうか、あれほどの傷だ。まさに命の恩人だな」

 

「そうだね。それより起きたなら早く行こう」

 

「?行くとは何処にだ」

 

「決まってるだろ。みんなのとこさ」

 

フィンはリヴェリアにウィンクをしながら言う。

 

リヴェリアはフィンの後に続いて部屋の外に出る。そして、ナハトとリインフォースでよく食事をした部屋につくとそこには食事をするロキ達がいたヴォルケンリッターも一緒に食事をしている。ロキとガレスにいたっては酒まで飲んでいる。

 

「起きたのか」

 

一番にリヴェリアに気づいたのはシグナムだった。

 

「ああ、すまない。心配かけたな」

 

「ふっ、それなら主に言え。主は起きてから寝ているお前のことばかり心配していたぞ」

 

シグナムの示す主とはリインフォースのことだろうと思いリヴェリアはリインフォースに心配をかけたことに落ち度を感じる。

 

「そうだわ。リヴェリアさん、リインちゃんに俺を持って行って。食事を作ってくれたんだけど本人は食べようとしないのよ」

 

シャマルはそう言うとお盆に乗ったリィンフォースとリヴェリアの食事を渡す。

 

「主なら店の方にいる。ついさっき出会った私達よりお前の方が適任だろ」

 

シグナムは背中を押すように言う。

リヴェリアはみんなに礼を言いリインフォースのいるところに向かった。

それを見ていたロキはファミリアの主神(親)として子を見送る目をしていた。リヴェリアがいなくなるとロキの言葉で世界を救った祝杯として酒を浴びるように飲み続けた。最後にはガレスとザフィーラ以外潰れておりそれを見たリヴェリアとリインフォースが苦笑いし2人で片付けをしたのは余談である。

 

 

 

 

「こんなとこで何をしている」

 

リインフォースがナハトがよく座っていた席で外を眺めていると後ろからリヴェリアに話しかけられる。

 

「母さんが見ていた景色を見てた」

 

リインフォースはリヴェリアの方を向かずに答える。

リヴェリアは無言でリインフォースの隣に座り。食事の乗ったお盆を差し出す。

 

「食え、腹が減ってるだろう」

 

「食べる気分じゃない」

 

リィンフォースは拒絶の言葉を言う。

リヴェリアはそれを聞き流しリインフォースの近くにいつでも食べられるように置く。

 

「もっと母さんと過ごしたかった。いつもは母さんに冷たくしてたけど抱きしめられると母さんの温もりを感じられて嬉しかった。母さんと、そしてリヴェリアの3人で過ごした日常が楽しかたんだ」

 

リインフォースの話にリヴェリアは無言で聞く。何かを喋るのは無意味、ここは全てを話させてからの方が得策だと思った。

 

「もっと、母さんの温もりを暖かさを優しさを感じていたかった。でも、神様はいるのに願い事は叶えてくれなかった。どんなに祈っても母さんを生き返らせてくれなかった」

 

世界は残酷だ。神はいる。でも、神は人々の願いを叶えることはしない。神々は己の娯楽のために地上に降りた。神は気まぐれで願いを叶えるかもしれない。だが、それは結局のところ面白いからという理由でしかない。

 

「強くなりたい。もう、何も失わない強さが欲しい。誰かを守るだけの強さが欲しい」

 

リインフォースは涙を浮かべた目でリヴェリアを見つめる。その真剣な眼差しにリヴェリアはある決意を浮かべる。それはリヴェリアも通った茨の道。

 

「なら私のファミリアに入らないか?」

 

リヴェリアはリインフォースにそう言う。

冒険者になる。神の恩恵をもらう。夜の精霊となったリインフォースには無意味のものなのかもしれない。だが、ロキファミリアに入ればリヴェリアがリインフォースの面倒を見れるし鍛えることもできる。

 

「うん、入れさせて」

 

リインフォースはリヴェリアの提案にすぐ答える。リインフォースは転生してからファミリアに入る気は無かった。自ら危険の道を通る必要はない。たが、今は違う。力をつけるために冒険者になろうと自身の意思で決めた。

 

「そうか。なら、強くなるために飯を食え」

 

リヴェリアはそう言いリインフォースは無言で食事を始める。泣きながら、嗚咽を交えながら強くなるために腹を満たす。そんなリインフォースをリヴェリアは優しく撫でた。

 

 

 

 

その後、リインフォースとリヴェリアはロキに頼みこみリインフォースをファミリアに入れさせてもらった。

リインフォースに神の恩恵を与えるとスキル欄に転生するときにもらった特典が書かれてた。それを見たロキは驚いていたが最後のスキルを見て微笑んだ。

ロキは主神(おや)としてナハトを尊敬した。

 

「ほな、これがリインたんのステータスやで」

 

リインフォースは自身のステータスを見て驚いた。

すぐさまにリヴェリアに見せに行った。

 

「リヴェリア、母さんは俺の中にいる」

 

リインフォースは興奮気味にステータスを見せる。

それを見たリヴェリアは驚くとともに微笑みを浮かべる。

 

「お前ってやつは・・・」

 

 

【母の愛(ナハト・ヴァール)】

・効果が続く限り全ての異常から守る

 

簡素な能力。だが、内容はかなりのものだ。毒、麻痺、眠り、はたまた神の魅了からでさえリインフォースを守る力。死してなおリインフォースを守り続ける母の愛。リインフォースの中に確かにナハトは生き続けている。

 

 

この日、リインフォースは冒険者となり強くなるため。もう何も失わないために明日へと一歩を踏み出した。

 

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