バカと農家と召喚獣   作:暁魔

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清涼祭騒動編
探し物は意外に身近にあるもの


新学期闘争編が終わり、清涼祭騒動編に入りました!

バカテストの回答者を今回は変えてみました。

では、11話目です。

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第一問

学園祭の出し物を決めるためのアンケートにご協力下さい。

『あなたが今欲しいものはなんですか?』

 

木村秀頼の答え

『部員』

 

教師のコメント

最近1人新入部員が増えたようですが、その人数でまともな部活動が出来ているのかと不安に思います。

 

木下優子の答え

『安定して活動できるほどの部員』

 

教師のコメント

まさか貴方が園芸部の新入部員なのですか?もし相談があるのならいつでも言ってください。

 

霧島翔子の答え

『如月ハイランドプレオープンチケット』

 

教師のコメント

一文字一文字それぞれにとても力が込められており、絶対に欲しいというのが目に見えてわかります。

 

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春が終わり初夏を迎える頃、我が文月学園は《清涼祭》の準備のため忙しく生徒が動き回っているが、

その中でもFクラスは異質の空気が漂っていた。

 

「この流れは、俺が変える!」

 

「この流れは変えさせないよ」

極度の緊張に ゴクリと唾を飲み込みこむ。

 

「もらった!」

 

「しまった!」

 

「ファール」

我々Fクラスは清涼祭とは全く関係のない野球をグラウンドで全力で取り組んでいる。

 

「命拾いしたな明久」

 

「危なかった…」

先ほどのボールは距離的にはホームランであったが大きく左にズレ、ファールとなった。

 

「(一点差のツーアウト、ツーストライク、一,二塁か)」

ピッチャーの明久がキャッチャーの雄二のサインを見て頷く。

 

「次で最後だ秀頼!」

 

「望むところだ!」

バットを強く握り直し次の球に向けて気合いを入れ直す。

 

「(ん、あの構えだと狙う場所は…クソ!)」

バッターボックスからでないように身体を曲げ脇腹に飛んできたボールを避ける。

 

「チッ」

後ろから舌打ちが聞こえた。

 

「おまえの差し金だな!」

 

「ホームラン打者の敬遠は常識だ」

敬遠は普通でもデッドボールは無いはずだ。

 

「貴様ら、学園祭の準備をサボって何をしているか!」

 

「げ、鉄拳先生!」

試召戦争騒ぎ以降から問題児の多いFクラスの担任となった鉄拳先生こと西村先生が校舎から全力で駆けてくる。

 

「主犯格は吉井と木村か!」

どうも俺と明久は特に要注意人物に特定されたみたいだ。

 

「「違います、コイツ(雄二)が主犯です!」」

同時にキャッチャーの雄二を指差す。

 

「全員教室に戻れ!この時期になってもまだ出し物が決まっていないなんて、うちのクラスだけだぞ!」

野獣の咆哮のような恫喝が身体の深くまで響き、ボロボロの教室に連行された。

 

 

「さて。そろそろ《清涼祭》の出し物を決めなくちゃいけない時期がきたんだが…」

前回の試召戦争のやる気は微塵も感じられず、

「とりあえず明久。お前に全権を委ねる」

全てを明久に任せ雄二は、昼寝の準備を始める。

 

「さて、俺も寝るか…」

 

「秀頼も興味なしかのう?」

雄二にならい昼寝の支度を始める俺に秀吉が話しかけてきた。

 

「俺は他のクラスを巡るだけでいいな」

 

「そうか…できればワシはお主と一緒に出し物を楽しみたかったのじゃが、残念じゃの…」

秀吉がどこかさみそうな顔をする。

 

「おい明久!今すぐ出し物決めるぞ!」

女子にあんな顔をされて動かないのは男ではない。

 

「わかったから、秀頼落ち着いて!」

 

「それじゃ、ウチが進行やるからアキ、板状お願いね」

 

「ん。了解」

島田が教卓の近くに寄り、明久はボロボロの黒板前で短いチョークを持つ。

 

「まずクラスでの出し物を決めるわよ。やりたいものがあれば挙手してもらえる?」

 

真っ先に手を挙げたのはムッツリーニだった。

 

「はい、土屋」

 

「………写真館」

 

「………土屋の言う写真館って、かなり危険な予感がするんだけど」

島田が嫌そうな顔をするのは無理もないが、ムッツリーニの写真館は俺たちにとってみれば夢の楽園のようである。

 

「アキ、一応黒板に書いてもらえる?」

 

「えーと、写真館『秘密の覗き部屋』っと」

 

「(その名前は駄目だろ!)」

周りは気がついて無いのか明久のネーミングにツッコミを入れる気配がない。

 

「次。はい、瑞希」

姫路が進んで意見を言うのは珍しいと思う一方で、無事クラスに馴染めていることなので安心した。

 

「ウェディング喫茶なんてどうでしょうか?メイド服とかよりもウェディングドレスは斬新だと思いますし」

 

「いいわね。アキ、今の意見黒板に書いて」

 

「えーと、ウェディング喫茶『人生の墓場』っと」

 

「(お前の思考はどうなってるんだ!?)」

確かに結婚は人生の墓場と言う人もいるが、間違っても店につけていい名前ではない。

 

「さて、他に意見は…はい、須川」

 

「俺は中華喫茶を提案する」

 

「中華喫茶?チャイナドレスでも着せようっていうの?」

確かに、ウェディングドレスよりは見劣りはするもののコスト的なことを考えるとチャイナドレスの方がいいのかもしれない。

 

「いや、違う。俺の提案する中華喫茶は本格的なウーロン茶と簡単な飲茶を出す店だ。そうやってイロモノ的な格好をして…」

どうやら須川は服ではなく味で勝負する中華喫茶をしたいようだ。

 

「(後で部活に誘ってみるか…)」

あれだけの料理にこだわるのなら園芸部の向上にも繋がる。

 

「アキ。それじゃ、須川の意見も黒板に書いてくれる?」

 

「え、えーと、中華喫茶『ヨーロピアン』」

 

「(何故そんな名前になった!!!!)」

叫びそうになるのを必死に我慢しているとガラガラと音を鳴らしながら扉が開き鉄拳先生が現れる。

 

「皆、清涼祭の出し物は……補習の時間を倍にした方が良いかもしれんな」

黒板に書いてある提案を見て大きなため息をつきながら言う。

 

『せ、先生!それは違うんです!』

 

『そうです!それは吉井が勝手に書いたんです!』

 

「あんなユニークなネーミング、俺たちが思いつくわけないですよ!」

 

「馬鹿者!みっともない言い訳をするな!」

やっぱり教育者である限りそれは見逃せないのであろう。

 

「先生は、バカな吉井を選んだこと自体が頭の悪い行動だと言っているんだ!」

先生にもそこまで言わせるのは、もはや才能の域である。

 

「まったくお前達は……。少しは真面目にやったらどうだ。稼ぎを出してクラスの設備を向上させる気持ちすらないのか?」

 

クラスのボルテージが一気にあがり、個々がそれぞれのことを言いまとまりがなくなる。

 

「はいはい!とにかく静にして!この三つのうちから多数決で一つに絞るわよ!」

この騒ぎの中、進行の島田が多数決を強行する。

 

「それじゃ、写真館に賛成の人! 次はウェディング喫茶! 最後、中華喫茶!」

俺は個人的にも一番気になる中華喫茶に手を挙げる。

 

「Fクラスは中華喫茶にします!全員、協力するように!」

多数決の結果は中華喫茶になった。

 

「それなら、お茶と飲茶は俺が引き受けるよ」

 

「………(スクッ)」

この発案者である須川は勿論のことだがムッツリーニまで名乗りをあげる。

 

「ムッツリーニ、料理なんてできるの?」

 

「………紳士の嗜み」

煙玉といいコイツはどこまで器用なんだ。

 

「俺だって料理くら…「木村は材料調達班ね」…うい…」

島田から絶対に厨房に入れないとオーラがでている。

 

「まずは厨房班とホール班と調達班に分かれてもらうからね。厨房班は須川と土屋のところ、ホール班はアキのところ、調達班は木村のところに集まって!」

 

「それじゃ、私は厨房班に…「ダメだよ姫路さん!キミはホール班じゃないと!」

明久の判断により姫路を引き止める。

 

(ナイス明久!)

 

(助かったのじゃ)

 

(…………コクコク!)

 

姫路の料理は一般人が口にしていいものではない。

 

「いまいいか?木村」

 

「ん、須川かどうした?」

 

「土屋には後から話をつけるから食材の調達にも参加して良いか?」

やっぱり食へのこだわりは本物らしい。

 

「別に構わないぞ」

 

「わかった、今から土屋に話つけてくる」

 

「その前に一ついいか?」

そのまま去ろうとする須川を引き止める。

 

「なんだ?」

 

「園芸部に入らないか?」

 

「うーん…返事はもう少しあとでもいいか?」

少し悩んだ後、すぐに判断はできなかったらしく入部まではいかなかった。

 

「ああ、いつでもいいぞ」

 

「考えとくよ」

再び須川はムッツリーニの方に向きを変えた。

 

「これで4人になるといいが…」

新たな新入部員が増えることを祈りつつ文化祭の準備を始めた。

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