バカと農家と召喚獣   作:暁魔

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交渉の基本はギブアンドテイク

この頃、バカテストのネタが湯水のように溢れてくる(質に関しては保証てきない)のは書き続けているからなのかと疑問に思うときがあります。

 

では12話です。

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第二問

以下の問いに答えなさい。

『1860年の日米修好通商条約の批准書交換に際して、勝義邦が艦長を勤め太平洋を横断した日本の軍艦の名前を答えなさい』

 

姫路瑞希の答え

『咸臨丸』

 

教師のコメント

正解です。勝義邦はのちに勝海舟に改名します。覚えておきましょう。

 

吉井明久の答え

『戦艦大和』

 

教師のコメント

君のイメージする江戸がとても気になります。

 

木村秀頼の答え

『五郎丸』

 

教師のコメント

それはラグビー選手です。

 

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「木村、部活の話なんだが入部してもいいか?」

STが終わると同時に須川から勧誘の返事がきた。

 

「ああ、大歓迎だ!早速これを書いてくれ」

みかん箱の上に入部届の用紙とボールペンを置く。

 

「入部届は生徒が持っててもいいものなのか…」

 

「細かいことは気にするな」

普通は顧問が管理するものだが、別にバレなきゃ良いだけのことだ。

 

「お前な……これでいいか?」

 

「ああ、大丈夫だ。あとはこれを提出すればいいだけだな」

 

「いつから活動するんだ?」

 

「明日からと言いたいところだが、畑にいる部員に『今日は俺が用事があるから部活はなし』と伝言だけ頼む」

入部届は書くのは簡単だが手続きが大変であり、顧問兼担任の西村先生、学年主任の高橋先生、学園長のババアから判子を貰わないと手続きが終わらないため時間がからだ。

 

「ああ、わかった」

 

「体操服も忘れるなよ!」

伝言を伝えに行く須川見送り職員室に向かう。

 

 

「まったくお前という奴は、バレないとでも思ったのか」

 

「……すみませんでした…」

入部届を勝手に持ち出したことについて正座をさせられながら説教を受けていた。

 

「今度からは勝手に入部届を持ち出さないよう!」

 

「…はい、失礼しました」

入部届を鞄に仕舞い職員室を後にする。

 

「(高橋先生にも会えたし残りはあのババアだけ…)」

やはり必要なこととわかっていてもあの妖怪を訪ねるのは気が引ける。

 

「はぁ…行くし…」

考え事をしていたせいもあり、誰かとぶつかり鞄を落とす。

 

「悪い、余所…って明久か」

 

「明久かってなにさ!」

明らかに不満な顔をする。

 

「で、こんな所で何してるんだ?」

 

「この先の女子更衣室にようが…ってなんだよその目は!」

 

「堂々と覗きを職員室前で宣言をするバカを見る目だ」

いまさら覗きを否定はしないが、それを堂々とここで言うのはどうかと思う。

 

「違う!誤解だ秀頼!」

 

「別に誤魔化さなくてもいいぞ、早く行って来い」

 

「数秒前の自分が死ぬほど憎い…」

そんな捨て台詞を吐き女子更衣室に向かっていった。

 

「さて、俺も…ん、この鞄やけに軽いな。まさか!」

急いで中身を確認すると坂本雄二の名前が書いてあった。

 

「なぜ雄二の鞄!?…ってそんことよりも俺の鞄」

明久を慌てて追いかけ目的の更衣室に入る。

 

「秀頼か、脅かすなよ…」

 

「それよりも…」

ガチャ

 

「秀頼。用事って覗きの事だったのね…」

更衣室に修羅と化した優子が現れた。

 

「ゆ、優子!ご、誤解だ!」

 

「あと、後ろの問題児コンビ止まりなさい」

後ろにいた明久たちを逃がすはずがない。

 

「や、やぁ奇遇だね…」

 

「ひ、秀吉の姉さんか。奇遇じゃないか…」

 

「………………」

無言がより恐怖を引き立てる。

 

「逃げるぞ!」

 

「「了解っ!」」

更衣室に一つだけある小さな窓から急いで逃げ出す。

 

『吉井と坂本に木村だと!?またアイツらかっ!』

 

「鉄人まで来たよ!」

 

「最悪だ…」

 

「とにかく走れ!」

鞄を持ちながらの上靴はかなりキツい。

 

「見つけたぞ!三人とも逃がすか!」

とても人間だと思いたくないスピードで鉄拳先生が距離を詰めてくる。

 

「どうしよう、逃げ道がないよ」

 

「明久これを持っていてくれ」

明久に雄二の鞄を渡し先頭に出る。

 

「窓を開ける、タイミングを外すなよ」

そう告げ新校舎の雨樋をつたい二階の鍵のかかっていない窓を開ける。

 

「ナイスだ秀頼。行け明久!」

 

「あいよっ!」

雄二が踏み台となり明久が俺の開けた窓に飛びつく。

 

「明久俺の手を放すなよ」

新校舎に入った明久を右手で掴み、壁を蹴って高く跳んだ雄二を左手で支える。

 

「いまだ明久!」

合図と同時に雄二を引き上げる。

 

『お前たち!明日は逃がさんぞ!』

ここまで逃げれば流石に追われることはなかった。

 

「はぁ………また要らない悪評が増えていく…」

 

「悪評だけならまだ良いだろ…俺なんて、俺なんて……」

さっきのことを思い出すと震えが止まらなくなる。

 

「大体なんで女子更衣室なんだよ!」

 

「し、仕方ないだろ!あの翔子から逃げてたんだ!普通の場所なんかで逃げきれるか!」

確かに、相手が霧島なら普通女子が躊躇する場所にでも入っていきそうだ。

 

「さて雄二。そんなキミに朗報ですっ」

 

「そうか。嫌な報せだったら殺すぞ」

目が冗談でないことを裏付ける。

 

「こ、こちらの携帯電話どうぞ」

明久から雄二が渋々携帯を受け取る。

 

「島田か。一体何の真似だ?」

相手は島田みたいだ。

 

「替わる?誰と……おい。もしもし?」

誰と替わるか聞くが返信がないようだ。

 

「人違いです」

そう告げ、一方的に電話を切る。

 

「コロス」

どうやら霧島からだったらしい。

 

「まぁまぁ、ちょっと落ち着いて……ん?」

携帯が鳴りだし折り返しの電話がきた。

 

「もしもし?美波?何かあったの?え、秀頼に替わればいいの?」

次は俺が指名された。

 

「おう、島田かどうした?」

 

『秀頼。明日覚えておきなさい』

それだけを伝えると電話が切られ ツーツー と通話終了の音だけが聞こえる。

 

「サヨナラ…」

 

「何があったの!?と、とにかくお願いを聞いてくれれば悪いようにはしないから」

 

「何でも聞く!何でも聞くから命だけは!」

命に関わることだけに必死に懇願する。

 

「落ち着け秀頼。アイツのお願いはどうせ学園祭の喫茶店のことだ」

 

「なんで分かったの!?」

どうやら図星みたいだ。

 

「やれやれ。こんな回りくどいことをしなくても、お前が『大好きな姫路さんの為に頑張りたいんだ!協力して下さい!』と言えば面倒だが引き受けてやるというのに」

 

「べ、別に、そんなこと…「あー、はいはい。話は分かった。仕方ないから協力してやるよ」

何だかんだ言って雄二は楽しそうな顔をする。

 

「まあ、巻き込まれた感じもするが、俺も手伝ってやるよ」

 

「雄二、秀頼。ありがとう!」

明久が返答に納得しお礼を言う。

 

「気にするな。それより、島田と翔子は親しかったのか」

確かに言われてみると深い接点があったとは考えにくい。

 

「う~ん。聞いても起こらない?」

 

「バーカ。今更怒ってどうするんだ」

明久の見えないところで拳を様子が見えた。

 

「それじゃ、教えてあげよう。実は電話の向こうにいたのは、霧島さんの声真似をした秀吉で…「目をつぶって歯を食いしばれ」

雄二は用意していた拳を構える。

 

「ちょっと待て。なら優子も秀吉の声真似か?」

 

「え、優子って秀吉の姉さんの?」

首を傾げ質問を質問で返してきた。

 

「ああ、そうだ」

 

「いや、予定にはそんなことは無かったけど…」

 

「俺達と一緒だと知ってたんだ。たぶん本物だと思うぞ」

 

どうやら俺はドッキリでは無かったらしい。

 

 

「なるほど、姫路を転校がかかってたから焦ってたんだな」

一旦Fクラスに戻り島田から自称を聞いて納得する。

 

「そうなると、問題は三つだな」

どうやら問題は山積みのようだ。

 

「まず一つ目は、貧相な設備。だがこれは喫茶店の利益でなんとかできる」

みかん箱が机では、とても勉強できる設備とは言えないない。

 

「二つ目は、この老朽化した教室。これに関しては学校側の協力が必要だ」

せめてこの腐りかけの畳くらいは変えたいところだ。

 

「そして三つ目。レベルの低いクラスメイト。これは島田と姫路が対策を練っているはずだ」

 

「ええ、召喚大会でウチと瑞希が優勝してそれは解決するわ。本当は見せ物みたいで嫌だったけど、あそこまで本気で頼まれたら、ね?」

明久が一瞬島田に目を奪われる。

 

「(この優しさを明久が普段から誉めればな…)」

決してこのことは口にせず、胸の奥に閉まっておく。

 

「それで雄二よ、二つ目の問題はどうするのじゃ?」

 

「どうすも何するも、学園長に直訴したらいいだけだろ」

 

「アイツにか…」

 

「学園長をアイツ扱いはどうかと思うわよ…」

島田の発言に俺を除く全員が頷く。

 

「とにかく、学園長に会いに行こうよ」

 

「そうだな。学園長室に乗り込むか」

 

「じゃ、俺もついてくぞ」

学園長には個人的な用事があるため、明久達に便乗する。

 

「なら、秀吉と島田は学園祭の準備計画でも考えておいてくれ」

 

「うむ。了解じゃ。気をつけて行ってくるんじゃぞ」

秀吉の見送りを背に、俺達は学園長室を目指した。

 

 

「いいか、相手は妖怪だ人間と思うな」

学園長室前で最後の確認を取る。

 

「妖怪は流石に言い過ぎだと思うよ…」

明久が苦笑いを浮かべながら言った。

 

「じゃ、さっさと中にはいるぞ」

雄二は学園長室のドアをノックして相手の返事が返ってくる前に中に入って行く。

 

「失礼しまーすー!」

 

「本当に失礼なガキどもだねぇ。普通は返事を待つもんだよ」

言ってることは正しいのに妙に引っかかる言い方をする学園長こと堂々カヲルと、

 

「やれやれ。取り込み中だというのに、とんだ来客ですね」

眼鏡教頭こと竹原先生がいた。

 

「仕方ないですね、この場はそう言うことにしておきましょう。それでは、この場は失礼させて頂きます」

そう言い残すと竹原教頭は去っていった。

 

「んで、ガキども。アンタらは何の用だい?」

 

「今日は学園長にお話があって来ました」

さあ、どこまで仮面をつけたままでいられるかな。

 

「私は今それどころじゃないんでね。それと、まずは名前を名乗るのが社会の礼儀ってモンだ。覚えときな」

 

「失礼しました。俺は二年F組代表の坂本雄二。それでこっちが二年を代表するバカです」

明久を指差しながら雄二がいう。

 

「俺が…「アンタは知ってるから別に要らないよ」

額の血管が少し浮き出た気がする。

 

「気が変わったよ。話を聞いてやろうじゃないか」

まるでその姿はゲームなどででてくる魔女そのものだ。

 

「ありがと…「礼なんか言う暇があったらさっさと話しな、ウスノロ」

 

「わかりました」

雄二の眉が ヒクッ と僅かに揺れる。

 

「Fクラスの設備について改善を要求しにきました」

 

「そうかい。それは暇そうで羨ましいことだね」

何かが完全にブチッと切れる音がした。

 

「今のFクラスの教室は、まるで学園長の脳みそのように穴だらけで、隙間風が吹き込んでくるような酷い状態です」

雄二の仮面に亀裂が入る。

 

「ほらみろ。相手は人外だ、言いたいことだけを簡略的に言うだけでいいぞ」

 

「要するにさっさと直せクソババァ、というワケです」

何か吹っ切れたように丁寧な言葉遣いから遠慮がない罵倒に変わる。

 

「却下だね。設備に差をつけるのはこの学園の教育方針だからね。ガタガタ抜かすんじゃないよ、なまっちょろいガキども」

 

「それは困ります!そうなると僕らは…「と、いつもなら言っているんだけどね」

ババアの口元が緩んだのを見逃さない。

 

「なに企んでいやがる」

 

「何も企んでいないさ、ただ頼みごとを聞くなら、相談に乗ってやろうじゃないか」

大抵この手の頼みごとにロクな物では無い。

 

「その条件ってなんですか?」

 

「清涼祭で行われる召喚大会の優勝賞品『如月ハイランド プレオープン プレミアムチケット』の回収。それが条件さ」

Fクラスには、かなり厳しい条件だ。

 

「で、そのチケットに何があるんだ」

 

「如月グループは如月ハイランドのジンクスを作るため、チケットを使ってきたカップルをコーディネートするつもりらしい。企業として、多少強引な手段を用いてもね」

 

カハァ

 

ババアの発言に雄二が吐血する。

 

「……アイツが優勝したら……俺の将来は…」

虚ろな目で膝を付いていることから、とても深刻な状態だとわかる。

 

「この条件が呑めるなら清涼祭の売り上げで設備を向上させることは目を瞑ってやってもいい」

 

「わかりました。この話引き受けます」

 

「そうかい。それなら交渉成立だね。それとアタシに用があるんじゃないのかい」

入部届のことをすっかりと忘れていたことに気がつき入部届を提出する。

 

「最近小学生が部活に出入りしているみたいだね」

すぐに浮かんだのは陽菜の顔だ。

 

「条件は?」

小学生がいつまでも高校生の部活に無許可だといずれ追い返されると思っていたが、どうやら今回の結果次第で許可が降りるらしい。

 

「話が早くて助かるね。召喚大会と並行して行われる召還獣を使った調理大会の賞品の回収、それが条件さね」

 

「分かった…ただ条件がある」

料理は一朝一夕で上手くなれるはずがない、

 

「食材の持ち込みを許可してくれ」

なら素材のレベルを上げればいい。

 

「別に食材は持ち込みでもかまわないよ」

たかが食材だと思ったのかあっさりと了承した。

 

「なら、俺からも提案がある」

 

「なんだい、お前もかい?」

 

「対戦表が決まったら、その科目の指定を俺にやらせてもらいたい」

俺に便乗するように雄二がそう告げる。

 

「ふむ…。いいだろう。それくらいなら協力してやろうじゃないか」

 

「……ありがとうございます」

頭を下げてはいるが、鋭い目つきで学園長を探る感じだ。

 

「さて。ここまで協力するんだ。当然優勝できるんだろうね」

 

「当たり前だ」

食材さえ入手できれば優勝なんて朝飯前だ。

 

「そっちこそ、約束を忘れないように!」

 

「それじゃ、ボウズとも。任せたよ」

 

「「「おうよ」」」

こうして、一生忘れることのない清涼祭の歯車が動き始めた。

 

 

「木村。今日の食材調達についてなんだが…」

 

「秀頼でいいぞ、俺も亮って呼ぶから」

 

「わかった、これからはそう呼ぶよ」

 

「で、食材調達がどうした?」

 

「放課後畑前に集合してくれ」

 

「それは別にいいが、なぜ目を反らす」

 

「……すまん」

 

「まさか……」

 

「ああ、木下姉だ……」

 

「…………」

 

「逃げない方が身のためだぞ!何をしたか知らないがこれ以上は……」

 

「違うんだ亮。最後に思いを伝えたい人がいるんだ」

 

「……今回は審問会は見逃してやる」

 

「ありがとう、行ってくる」

 

「秀頼よ、そんな真剣な顔でどうしてワシを見つめるのじゃ?」

 

「秀吉。俺と付きハッテ……」

 

「須川君、伝言ありがとね。ちょっとコイツ借りてくわ」

 

『『『…………………』』』

 

「(姉上も素直でないのう)」

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