お気に入りが徐々に増えていくことに日々喜びを感じている暁魔です。
これからも皆さんが楽しめる展開を書けるよう努力していきます。
では16話目です。
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第六問
以下の問に答えなさい。
『バルト三国と呼ばれる国名を全て挙げなさい』
姫路瑞希の答え
『リトアニア エストニア ラトビア』
教師のコメント
そのとおりです。
木村秀頼の答え
『ラピュタ』
教師のコメント
バルスとでも言えば満足ですか。
須川亮の答え
『バチカン ルーマニア トルコ』
教師のコメント
努力だけは認めます。
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「おや、木村じゃないか。こんな朝早くからこのクラス何の用だい」
清涼祭2日目。まだ学校の門が開いたばかりの頃、俺が真っ先に訪れたのは3-A、黒須遊佐のいる教室だ。
「お前こそ、朝早くから教室に居るなんて俺を待っていたのか」
「さあね。でもアンタはアタイに話があるんだろ、ならこんな所で話すのも無粋だ。屋上まできな」
黒須はそう告げ屋上へ歩き出し、その後を追った。
「さあ、ここなら誰の邪魔も入らない。言いたいことをいいな」
あらかじめ用意されていたソファーにもたれかかり足を組みだす。
「単刀直入に聞く。どこまで知ってる」
一日目の清涼祭終了後、妖怪ババアこと学園長を呼び出し話を聞いたところ。今回の目的は召喚・調理大会での景品『白金の腕輪』の高得点による暴走という欠陥の隠蔽で、もしそのことが公になると学園の存続の危機だということだ。
「どこまでって、全部知ってるけど」
平然とした顔でとんでもない発言をした。
「お前は一体何者なんだ…」
「ちょっとこわいお姉さん」
「………………」
かなりのこわいお姉さんの間違いじゃないかとは口が裂けても言えない。
「そんなにアタイのことが知りたいなら専属のメイドになればいい。安心しなアタイはバイだから」
全くと言っていいほど安心できる要素がない。
「メイドは冗談だ。けどアタイの部下になる気はないかい」
「断る。と言ったらどうするんだ」
どう見ても断って「はい、そうですか」と下がるはずがない。
「昨日みたいなのが頻繁に起こるといったらどうする。それもアンタの知り合いを無差別に」
それを聞いて背筋がぞっとした。昨日は雄二が対策をたてムッツリーニがそれを支えたから何とかなったがそれが頻繁に起こるとなれば脅威は各段にあがる。
「ただ力でねじ伏せるだけじゃあ面白くない。だからゲームをしよう」
「昨日から言ってた調理大会のか」
思い浮かぶのは準決勝での言葉だ。
「そう言うこと、もしアタイが勝ったらアンタは部下になる。アンタが勝ったらアタイの正体と知り合いの安全これでどうだ?」
「わかった、その条件でいい」
「そうかい、交渉は成立だな。今日の決勝は楽しみにしてるよ」
ほとんど一方的な交渉を終えた黒須が軽快に屋上から去っていく。
「これに負けると本当に何もかも失いそうだな……」
ふと頭によぎるのはこの学園に来てからの日常的な光景で、今までの人生の中で一番大切な時間だ。
「……さて、準備に入るか」
そうつぶやき屋上をあとにした。
☆
「………り、…で…り、秀頼!」
「あ、すまん明久。で、どうした?」
「どうしたじゃないよ、もうそろそろ出番だよ」
約束の件もあり深く考え事をしていたせいで呼びかけにも気がつかなかったらしい。
「安心しろ、俺の作戦は完璧だ」
「…そうだな」
昨日の準決勝の調理方は実際は俺が考えた訳ではなく雄二の提案で今回はそのショートケーキバージョンだ。
『では、選手の入場です。まずは青コーナ、村木 陽和選手』
自分の偽名が呼ばれ係に入場を促される。
「いってくる」
「いってらっしゃい!」
「勝利は目前だ、気軽に行ってこい」
自分に大丈夫だと言い聞かせ会場に入場する。
『次に赤コーナ、黒須 遊佐選手』
この大会のラスボスが堂々した姿で現れる。
「さっきぶりだな木…ここでは陽和だったな」
「………………」
言葉を交わしたら相手のペースに飲まれるため無言で返す。
「連れないねぇ、そういえば材料は随分と良い物を使ってるな」
「…それがどうしたの?」
「アタイも使わせてもらったよ」
これで本戦の軽くなった箱の謎が解けた。
「ちなみに今回はケーキを作る。楽しみにしてな」
その言葉は「お前の作戦は分かってる」と言われているようで、冷や汗が止まらない。
「それでは決勝を始めます。今回は商品として店に出すことを基準として採点します。よーい、始め!」
お馴染みの銅鑼が鳴り響き試合開始が宣言される。
『黒須遊佐選手が準決勝の村木陽和選手と同じ方法でショートケーキを作り出しました。これは短期決戦で終わりそうですね』
その解説を聞いた瞬間、冷蔵庫に急いで駆け寄り中身を確認するが、
「無い」
作り置きの物は全てなくなっていた。
『おい、秀頼どうした!』
「作り置きが全部無くなってる…」
あまりにも絶望的だった。今までのことから考えると間違いなくあのケーキは40点満点であり、残りの材料でいまからあのケーキに勝てる物を作らなくてはならない。
「ごめん…俺、負けたよ…」
もしも明久やムッツリーニ並みに料理が作れるなら勝機はあったかも知れないが、残念ながら俺にはそんな高い技術はない。
「でも安心しろ。学校くらいは守ってやる…」
インカムを耳からはずしポケットにしまう。
「さて、潔く負けを認めてアイツの部下になれば…」
このあとの言葉が続かず目頭が徐々に熱くなっていく。
ドス
いきなり腹部に鈍い衝撃が加わり前のめりになったあと地面に膝から崩れ落ち、耐熱ガラスの中に『目を覚ませバカ』と書かれた紙が見えた。
「(こんなことをするのは明久しかいないな)」
バカにバカの称号を返すためにも立ち上がりインカムを耳に当てる。
「ありがとな、おかげで目が覚めた」
『おせえよ。それでお前が作る物だが…「プリンだ。それが俺に作れる唯一の料理と呼べるものだ」全く心配かけやがってあとは任せたぞ』
「ああ、任せられた」
そう告げインカムの電源を切り、食材の準備を始める。
「作る物がケーキでよかった」
幸いなことにプリンの基礎となる卵、牛乳、バニラビーンズの三種で、カラメルは砂糖と水で作れるためケーキに使うための材料でもつくることが出来る。
「まずはカラメルだな」
市販のプリンでもカラメルが一番下にあるのは固体の砂糖を溶かしたため原液のプリンより重いカラメルが混ざらないようするためであり、プリン作りでもまず一番最初に作るものだ。
「(水の分量気をつけないとな)」
カラメルは砂糖単体で作ってしまうと飴になってしまうが、逆に水を多く入れてしまうと味が薄くなってしまうため加減が難しい。
「(最初は沢山失敗したな)」
強火で作るため簡単に砂糖は焦げ付き、焦げた砂糖は鍋などにこびりつき更に苦味が増などの現象が起きるので注意が必要だ。
「よし、カラメル完成」
薄茶色の泡が出てきた辺りで火から下ろし熱湯を少し加え、砂糖が固まらないうちに容器の底に満遍なく注げばカラメルの準備は完了だ。
「(次は原液か)」
プリンの基本でありこの行程で味の方向性が決まり出来が左右される。
「(なんで陽菜は片手で割れるんだろうな)」
そんなことを考えながらも両手でしっかりと卵を割り、濃厚にするため殻を使って黄身だけを取り出し泡をたてないよう慎重にかき混ぜる。
「(この作業だけはアイツも俺任せだったな)」
牛乳を処理したバニラビーンズと一緒に煮るには大きな鍋がどうしても必要となり、この作業だけは1人では出来ず、肩車された状態で監督しながら俺が作業していた頃もあった。
(※肩車しながらの調理は大変危険です絶対に真似しないで下さい)
「(これと卵黄を混ぜてこしせば原液は完成だな)」
沸騰する手前で火を止め温度を下げ卵黄と少しづつ混ぜ、絹などでこしたあとカラメルの入った容器に入れればいよいよ仕上げの焼きの行程になる。
「(オーブンは、よし温まってるな)」
予熱でオーブンが温まっていることを確認し、鉄製の天板に濡らした布巾を敷きその上にプリン原液の入った容器と天板の半分まで熱湯を入れ110℃で約90分焼き上げる。
「(もうそろそろ、熱湯の追加か)」
焼くと言ってもプリンはあくまで蒸して作るものであり、水分が無い状態で焼くと違う食感になってしまうので注意が必要だ。
「(焼きあがったな)」
プリンはここで完成ではなく粗熱をとり冷やしてからが真の完成と言える。
「できました。審査お願いします」
プリンを冷やす仕上げは時間は掛かったが時間切れまでには間に合った。
「わかりました。それでは頂きます」
プリンをスプーンで口に運び一口食べ、スプーンを元の場所に戻す。
「自然な甘さでとてもおいしいです…20点」
船越先生は満点の札を挙げたが高橋先生から点数の発表がない。
「19点…これはまだ完璧ではありませんね」
「…はい」
「ですが、とても作り手の心の感じれ料理でした。ゆっくりで良いので完成を目指して下さい」
努力してきたつもりではあったがやはりまだ完璧では無いのは自分が一番分かっており、納得のいく点数だった。
『では結果発表となります。青コーナ、村木 陽和選手39点。赤コーナ黒須 遊佐選手40点。優勝は赤コーナ、黒須遊佐選手』
あと一歩届かなかったのが悔しいが結果だと割り切るしかない。
『黒須 遊佐選手、壇上にお上がり下さい……黒須選手?』
いくら待っても黒須は一向に現れず時間だけがすぎ、
『………えーと、黒須選手が棄権されたので優勝は村木 陽和選手です』
棄権とみなされた黒須に代わり優勝は俺となった。
☆
召喚大会も無事に明久たちが優勝し、清涼祭のプログラムが終了した頃。俺は黒須がいるであろう場所に向かう。
「遅かったじゃないかい。秀頼」
やはり屋上でソファーにもたれかかっていた。
「なぜ棄権した」
「飽きたから」
そんな理由で棄権したとは思えないがどうせ聞いても濁されるだけなのでここで納得するしかない。
「約束だ。アタイの正体を教えてやる」
黒須の目つきが鋭くなり辺りの空気が変わる。
「街のケーキ屋だ」
「絶対嘘だ!」
ここでツッコミを入れてしまった俺は悪くないはず。
「ああ、ケーキ屋は嘘だ。実はな、ブラックな組織のボスだ」
「…………」
そんな恐ろしいことをさらっと言われても反応に困る。
「ほら、これを受け取りな」
そう言って黒い携帯電話を投げ渡してきた。
「番号はアタイの一つだけ、衛星電話だからどこでも繋がる」
こんな怪しい自称ブラックな組織のボスとの繋がりなんてろくなことに巻き込まれかねないので、家でこっそりと処分する事を心の中で決める。
「それはアンタを表の世界に繋いどく大事なもんだ。処分しようなんてかんがえるなよ」
「なんで携帯電話なんかで俺の生活が揺らぐんだよ」
「あのな、裏世界に片足突っ込んどいて何寝ぼけたこと言ってるんだ。それはアタイの部下の証だ、それをいる限りは闇討ちや誘拐からの拷問は避けれる」
「なるほど裏の住人のだと知りながら話を聞くと肩入れしたって……はめられたぁぁ!」
ということは勝っても負けても黒須にとってはほぼ同じことになる。
「じゃ、裏に来たくなったらいつでも電話しな。あとこれはプレゼントだ、有効に使いな」
ジェラルミンのケースをソファーの陰から取り出し俺の腕に置き屋上から去っていった。
「この中身もどうせまともな物じゃないんだろうな…」
それでも開けたくなるのは人間の性である。
「………………」
出てきたのは暴徒鎮圧用ゴム弾のショットガン。
「なんてもの渡すんだ」
こんな持ち歩いただけでも警察に捕まるような物をどう有効活用すれば良いのだろうか。
prrrrrr!
ポケットに入れていた携帯が無機質な機械音で着信を知らせる。
『秀頼、大変だよ!』
「どうした?」
『教頭と常夏コンビに弱みを握らて、このままだと今までの苦労が…』
「俺が教頭を何とかする。常夏は任せた」
本当は常夏コンビを仕留めたいが人相が分からないため教頭をターゲットにする。
「(確かここら辺に…あった)」
探していたのは横断幕に使われていた縄で、それを柵にしっかりと結びつけ教頭室まで降下し、ショットガンで窓を割り侵入する。
「君が来ましたか。しかし窓から入ってくるとは随分と不作法ですね」
「緊急事態でな。その手に持っているUSBを渡してもらおうか」
一番怪しいのは教頭が俺が入ってくると同時に隠したUSBメモリーだ。
「もし断ったらその銃で私を撃ちますか?」
「最悪の場合はな」
弾は1弾しか装填できず弾の変え方の仕方も知らないためこれはもう武器としては使えないが、脅しの材料としては十分である。
「仕方ありませんね………試獣召喚」
出てきたのは総合科目8000点以上の化け物で形勢は逆転した。
「マジかよ…」
「3分間だけ考え直させてあげます」
「(これってフラグだよな。絶対に狙ってるよな。言えってことなのか。誘ってるのか。いや、でも流石に…)」
「時間です。貴方の懸命な判断を期待します」
自問自答のみで時間を潰してしまったために何も考えが無いまま判断を求められとっさに出た言葉が
「…バルス」
この破滅の三文字だ。
「……貴方。正気で…ドォン
その言葉は近くの爆発音でかき消された。
「………バルス」
試しにもう一度言うと
ドォン
爆発音が少しだが近づいた気がした。
「………望みはこのUSBでいいんだな」
「……ああ」
奇跡が重なりUSBを手に入れたが、無性にもう一度あの言葉を叫びたくなった。
「バル「次に変な動きをしたら分かりますね」
竹原が召喚獣をいつでも飛びかかれるように臨戦態勢にさせる。
「仕方ない、ぶっつけ本番ではあるが…アウェイクン」
調理大会優勝商品の白金腕輪を起動させる。
効果は10点単位の消費によるブロック作成で、10点なら10㎤、100点なら1㎤のの正方形がだせ、強度は点数×10の衝撃にまで耐えれるブロックを自分のイメージしたところに出せる機能である。
「(狙うは相手の召喚獣の腹周り)」
目視で距離を測り100ブロック3つで召喚獣を挟みこむ。
「クッ、なぜ動かないのだ」
これがもしも見えていたら簡単に拘束は解けるであろうが、人は見えない物には力はかけ辛くなかなか解けないのである。
「これで遠慮なく言えるな」
「まて早まるな」
必死に止める竹原の声も気にせず思いっきり深呼吸し、次の呪文に想いの全てをつぎ込む。
「バルス!!」
ズドォン
鼓膜を揺るがす爆音
眼球に写る彩り豊かな光
悟りを開いたかのような浮遊感
その全てを経験しここに誓う。
二度とこの言葉は使わないと。
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公欠許可証
文月学園第二学年
木村秀頼
上記の者を全治3日の
怪我の療養ため公欠を許可する
文月学園学園長 藤堂カヲル