道化師タクさん感想ありがとうございました。
新年に入ってからの初投稿となりますこの話で、
二章目の清涼祭騒動編は完結します。
11月後半からの約一ヶ月半の間に自分至上過去最高速度の執筆を達成しました。
(本人ですらここまでハイペースで書けたことにびっくりしてます。)
では17話目です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最終問題
『傷病者を発見した場合まず始めにするべきことを答えなさい』
木下優子の答え
『傷病者を安全な場所に移動させる』
教師のコメント
正解です。これは二次災害を避けるために必要なことです覚えて起きましょう。
木村秀頼の答え
『周りを見渡し自分の安全を確保すること』
教師のコメント
傷病者そっちのけで自分を優先しないで下さい。
須川亮の答え
『脈を確認し確実に仕留めたか確かめる』
教師のコメント
ここが日本であることを一瞬忘れていました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
☆1day
「病院って暇だな」
清涼祭最終日。学園解体の危機を救うため教頭室に乗り込んだ俺は明久達が放った花火により入院生活を余儀なくされた。
「秀頼。見舞いに来たぞ」
ノックもせずに病室に入ったのは雄二でその後からいつものメンバーが続いてきた。
「大丈夫かの秀頼?」
真っ先に心配してくれたのは秀吉で気遣いがとても嬉しい。
「それにしても、秀頼が丈夫で良かったよ」
「てっきり俺は一週間は入院してるかと思ったんだがな」
「お前ら3日後覚えてろよ」
退院したら真っ先にグーで殴ってやろうと決意する。
「ほら、そんなコントみないなことしてないでお見舞い品渡しなさいよ」
「そうだな、ほらよメロンだ」
雄二がテーブルの上に置いたのは病院に持ってくる定番の品上位に入ってそうなメロンで、いかにも見舞いという感じなのだが、
「(これが花火に見えるのは気のせいなのか…)」
事故のせいもあってか打ち上げ花火に見えてしまう。
「次は僕だね。暇しないようにDVD借りてきたよ」
なんとも明久らしいチョイスだ。
「で、作品はなんだ?」
「ジブリの名作『ラピュタ』だよ」
よりにもよってなぜこの作品を選んできたのだろうか。
「……俺からはこれ」
ムッツリーニが取り出したのは一冊のアルバムだった。
「……清涼祭ベストショットシリーズだ」
中を開いてみると確かに男のロマンが詰まっていたのだが。その中に俺の姿も混じっていたのは疲れているからだろう。
「ワシからは『Whiteberry』のCDじゃ。これを聞いて元気になってくれるとうれしいのじゃ」
秀吉の言うとおり確かにこの人の声は綺麗で元気がでるが、その中の『夏祭り』には打ち上げ花火という単語がもろにできたはずだ。
「ウチと瑞希からは手作りゼリーよ」
「はい、味は五種類あるので…「なあ、お前たち腹減ってないか」
いくら耐性があるとはいえ五種類もの毒物を耐えきれる自信は無いため分割を試みる。
「いや、俺たちは遠慮…「姫路も沢山の人に味の感想聞きたいよな」
「出来れば聞きたいですけど。良いんですか?」
「ああ、別に遠慮しなくてもいい」
姫路には悪いが利用させてもらう。
「な、なら頂いてくとするか」
「そ、そうだね」
「………感想は任せろ」
そうは言ってはいるが全員手が小刻みに震えている。
「島田と姫路は先に帰っててほしいのじゃ。男だけの大事な話があるのでのう」
「そう、ならウチたちは先に帰るわよ」
「木村くん、お大事に」
病室をあとにする島田たちを見送り、いなくなったことを確認して。
「じゃあ行くぞ。せーの」
ゼリーを一斉に頬張り薄れゆく意識の中、ナースコールのボタンを押し救助が間に合うことを祈った。
☆2day
「昨日は散々な目にあった……」
あの後俺たちは懸命な医師たちの処置のおかげで無事に蘇生された。
コンコン
「どうぞ」
ノックされ俺が今入っても問題ないと告げると扉が開き。
「入るわよ秀頼」
「とんだ災難だったな」
「大丈夫かアニキ」
園芸部のメンバーが訪れてきた。
「ほら、お見舞い品持ってき……なにやってるの」
「何でもない。ただの条件反射だ」
この病室に持ち込まれる物は清涼祭の不幸を連想させるたり、息の根を確実に止めるようなものであったので枕を盾に身構えてしまう。
「アタシたちが作ったプリンよ」
目の前にはプリンが入った6つの瓶が置かれた。
「いろいろと試して確実の一押しを2つづつ持ってきた」
「アニキも帰ってきたらどんなもの作りたいか考えとけよ」
「ああ、勿論だ」
退院してからの部活が一層楽しみになる。
「それで最近のこと何だが…」
そんな感じで和気あいあいとした会話が続き2日目の入院生活は無事に終わった。
☆3day
パリン
「入るぞ」
何の許可もなく深夜0時過ぎ、空き巣の常套手段である窓の三角割りをして入って来たのは黒須だった。
「………帰れ」
「相変わらず連れないね~」
そう言って煙草をふかし始めた。
「未成年が煙草吸うなよ…」
「大丈夫だ。アタイもう24だから」
言われてみれば学園祭の時よりも大人びて見える。
「いやー、若返りメイクとか関節を縮めたり潜入は大変だったんだぞ」
「……………」
そこまでして学校に潜入する裏のボスなんて初めて聞いた。
「やっぱり暗いな」
「当たり前だろ消灯なんだか…あれ、昨日はこんなに暗くなかったのにな」
当たりを見回してみても昨日ついていた明かりまで消えている。
「当然だろ。この部屋を物理的に停電したんだからな」
「…一応聞いておく。何のためにやった」
「煙草」
一発殴ろうかと思ったが後々が怖いので、怒りをそっと枕にぶつける。
「それにしても、打ち上げ花火で怪我とかマジウケるわ」
「…それは良かったですね」
次は少し強めに枕を黒須が見えない位置で殴る。
「あー笑った笑った。それにしても本当に掘り出し物だなお前は」
「いじるための玩具としてか」
「それもあるが、その身体の丈夫さと校舎の壁を上り下りできる身軽さ、まさにこき使うにはもってこいだ」
絶対コイツの部下にはならないと心に強く誓う。
「だけどまだまだ伸びしろがある。だから果実が十分に熟れてからまた正式に勧誘しにくる楽しみにしてな」
これは完全にマークされたパターンだ。
「さて、冷蔵庫漁ったら帰るか」
「本当もう帰って下さい」
そんな言葉に耳を貸すはずもなく冷蔵庫を開け
「プリンか、たまにはアイツを餌付けしてみるか」
プリンの入った箱を取り出し窓から外に出て行った。
「俺の楽しみが…」
翌朝。枕が原型をとどめていなかったのはまた別のお話。