文明の利は使えて初めて便利なもの
文月ハイランド編は後日に回し本編から進めていきますがご了承下さい。
それでは第三章『合宿反乱編』になります。
これからもよろしくお願いします。
では18話目です。
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第一問
『次の文の一節からこの作者名と作品名を答えよ』
黒い風のように走った。野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴けとばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。一団の旅人と颯さっとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。「いまごろは、あの男も、磔にかかっているよ。」ああ、その男、その男のために私は、いまこんなに走っているのだ。その男を死なせてはならない。
姫路瑞希の答え
『作者名 太宰治
作品名 走れメロス』
教師のコメント
正解です。太宰治の代表する作品なので覚えておいても損はないと思います。
土屋康太の答え
『作品名 走れエロス』
教師のコメント
そうくると思ってました。
木村秀頼の答え
『作者名 菅原道真』
教師のコメント
それは大宰府に奉られている人です。
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明日からの学習合宿に行くための許可をもらうため今日は学校を休み、清涼祭の時にお世話になった病院に最後の検診を受けていた。
「どこにも異常ありませんね。あの爆発の怪我をこんな短期間で完治するなんてとても丈夫な身体ですね」
「まあ、俺の取り柄は丈夫なことぐらいですから…ハハハ」
村では全員がこのぐらいの速度で治るため当たり前のことで気にかけていなかったが、やはりあの怪我の治り方は驚異的らしく笑ってごまかすしかない。
「ところで木村君。ノーベル賞に興味は無いかい?」
先生や周りの看護士の目つきが一瞬鋭くなった気がしたようたが、再び確認した時にはメスなどの手術道具を多く用意している以外はいつも通りの仕事をしていた。
「ノーベル賞ですか…興味は無いですけど。それがどうしたんですか」
「いや、君の再生力なら簡単に受賞出来ると思うのだが」
どうやら俺を研究して医学部門を狙うらしい。
「そこでだ、君の腕を一本提供しては貰えないだろうか?」
※病院はこのような怖い場所ではありません。
怪我や病気の時はためらわず病院に行きましょう。
「誰が渡すか!!」
病院内は静かにしないといけないのは分かっているが今のは叫んでも誰も咎められないはず。
「…仕方ない。なら、左肘から指先までで手を打とう!」
主治医は苦渋の決断と言わんばかりの表情をするが全く自重する気が無いのではと思ったのは俺だけでは無いはずだ。
「断る!!今日までありが…」
勢いに任せ退院許可証を奪い取り、すぐにこの部屋を去ろうとするが
「逃がすな!!」
簡単に出してくれるほど甘くはなく、合図を聞くとベッドの下や天井裏などから病院のスタッフが一斉に飛びかかって来た。
「これぐらい日常以下の出来事だな」
普段から追われているFFF異端審問会に比べ捕まえ方が素人のためスタッフの動きを見切り人と人の隙間を縫うように走り抜け廊下に転がり出る。
『あれは生きたノーベル賞章だ!絶対に逃がすな!』
『『『はい!』』
後ろの狂気地味た声を背に、病院の廊下を全力で走りながら出口を目指した。
(※危険ですので絶対に真似しないで下さい)
※病院(以下略)
☆
「ーと言うわけだ。あとは頼んだ」
病院を抜け出すことに成功はしたが追われる身になってしまい。不本意ではあるが清涼祭の時に渡された衛星電話で事情を説明し、黒須に後処理を任せ通話を一方的に終える。
「次からは絶対に病院は行かん…自宅療養で充分だな」
疲労困憊でマンションに帰った頃には辺りは夕焼けに照らされオレンジ色に染まっていた。
「ただいま。ん、手紙か珍しい」
郵便受けには手紙らしきものが一通届いており、取り出す際に中から写真が一枚こぼれ落ち視線が自然に写真へと向けられ。
『メイド服着崩し&明久床ドンversion』
グファ
吐血しながらも不幸の手紙を確認するべく震える指で中の紙を抜き取り内容を読み始める。
『即刻園芸部を解散しなさい。さもなくば同封した写真で社会的に抹殺します』
確かにこの写真を使えば俺を社会的には抹殺できるであろうが、部活に恨みがあるとしたら文月学園関係者である確率が高く、この写真はまだなかったことにできることを確信し。
「……とにかく専門家に協力を頼むか…」
助っ人に連絡を取るため固定電話を使おうとした時、留守電を示すランプの点滅を見つけ再生ボタンを押す。
『要件一件。『もしもし秀頼。今日の通院で最後だったね、完治おめでとう』
「ありがとな」
録音ではあるが明久の気遣いにお礼が口からこぼれる。
『あれ、秀頼聞こえてる?まあいいや。明日の集合場所は絶対に間違えちゃだめだ ブツン』再生が終わりました』
「…………」
どうやら留守番電話という機能を知らないばかりか電話のサービスまで滞納して話の途中で切れるという始末に呆れ言葉を失う。
「集合場所か…そういえばしおり無いな。まぁ学校につけばどうせ騒いでるんだろうし、すぐ見つかるよな」
いつもの光景を思い浮かべると良くも悪くも明久達の行動は目立つ。
「さて、それよりも相談だな」
再び電話に向かい番号を入力して専門家であるムッツリーニの家に繋ぐ。
『もしもし、土屋です。ご用件はなんでしょう?』
電話に出たのはムッツリーニの妹である陽向だ。
「もしもし、木村ですが康太います?」
『少々お待ち下さい。 (お兄ちゃんに木村先輩から電話!)』
電話の向こうで呼びかけるが、電話に出るまでに少し時間がかかった。
『……用事がある。手短に頼む…』
どうやら急ぎの用があるらしくいつもより少し焦っている口調だ。
「わかった、要件だけ言うと。俺に届いた写真付き脅迫状の相手を捜して欲しい」
『……明久達と同じ境遇』
既に学校にも脅迫騒ぎがあったらしい。
「なら話は早い。秘蔵コレクション一つで頼む」
『早急に取りかかる』
ムッツリーニは短くそう告げ電話を切りツーツー と鳴り続ける受話器を元の場所に戻す。
「さて、後はムッツリーニに任せて俺は自分の準備にかかるか」
カバンに入れた荷物を床に広げ、あらかじめ必要なものをメモした紙を見ながら明日から始まる学力強化合宿に向けて最後の確認を始めた。
この行事が抱える闇を疑わないまま。