また、この物語にはソラ達を始め多数の他作品キャラに容姿がソックリのオリキャラが出ていますが中身は別人です。
また、他の二次創作小説ではよく登場キャラが仮面ライダーなどに変身したりガンダムなどの巨大ロボットに乗ったりしているのが見られますが、この作品では少なくとも味方側はその様なことはしません(と言っても自分は特撮ヒーローやロボットアニメの知識は無きに等しいから無理なのだが・・・)。
少なくとも味方側の戦力は全員空戦魔導士です。
エクザイル歴四三六年、五月十七日
学園浮遊都市ミストガン地下通路——————
時刻は午後一時、道先ずっと左カーブが続く螺旋状でその中央にある空戦魔導士科(ガーディアン)指令センターへと続く道をミストガン最強の小隊であるS45特務小隊・・・通称眠りの森(スリーピングフォレスト)のメンバー五人全員が小隊長であるソラ・グローリーを先頭にぞろぞろと歩いていた。
「いきなり緊急の呼び出しとはな・・・どこかのバツ共が何かやらかしたのか?」
S45特務小隊の副小隊長であるキリク・リーヴェルトが不機嫌そうに呟く。
「まあ行けば解るんじゃないかな・・・指令センターに呼び出した時点で大体察せられるけれど」
「アハハハハ!そうだね!」
「・・・・まあ、多分魔甲蟲がらみね」
空戦魔導士科指令センターとは所謂モニタールームだ、外部映像を複数のモニターに映し出してミストガン全域と近くの空域の様子を知る事ができ、ミストガンに魔甲蟲が近づけばすぐに把握できるのだ。
そんなところに呼び出したのだから十中八九魔甲蟲の・・・このミストガンを脅かす存在の話だろうと全員が判断した。
「そうやな・・・せやけど今回はたぶん大事やで、なにせワイらだけやのーてAランク小隊トップクラスの小隊長副小隊長数人が招集されとるようやしな」
「それはただ事じゃないね」
ミストガンの最大戦力は確かにソラ達S45特務小隊だが主力は彼等だけではない、S45小隊が特務小隊(ロイヤルガード)になってから多くの小隊が彼等に追い付こうと必死にその背中を追いかけミストガンの戦力は大幅に向上したのだ、その為Aランク小隊の上位陣はソラ達に匹敵する実力がある。
ソラ達全員に招集が掛かっただけでも大事だというのにそのような連中の小隊長副小隊長まで招集があったとなってはただ事ではないだろう。
そのような会話をしながら歩いて行くうちに正面に指令センターへの入り口である機械仕掛けの扉の前に到着してその扉が自動で開いた。
「来たで~ジョジョ!」
「誰がジョジョだ!?それと遅いぞ、他の奴等はとっくに集まっているぜ」
ソラ達は入室してソラが指令センターの中央に投影されているミストガン全体の立体映像の前にいた空戦魔導士科長(ガーディアンリーダー)であるジョバンニ・ジョルフィードに気さくに声をかけた、指定した時間に三十分も遅れて来たにもかかわらずおちゃらけた態度なソラに対してジョバンニは呆れた。
——————・・・これはまた錚々たるメンツだね。
——————フンッ!まあまあマルな連中が集まったな。
S45特務小隊のメンバーは入室するやすぐに辺りを見回して集まったメンバーを見てそれぞれ感嘆に思った、予想以上に名のある空士ばかりだったからである。
「ん、うまいかスバル?」
「クルックー!」
「ほっ!ほっ!・・・おっと!」
室内右側の段差になっているところを見てみるとそこに腰を掛けて左肩に地上時代に絶滅したマカロニペンギンのトサカの様な黄色い羽根飾りのトサカを持ち翼に雷マークの模様があり身体中から静電気がバリバリと漏れている黒い鳩・・・《サンダーバード》を乗せてそれにポップコーンを食べさせている長身で紫色の天然パーマの髪で垂れ眼のもっさりとした感じの少年と黒髪短髪で雪の結晶のマークが入った青いマフラーをしている何故か六つの小さいアイスキューブでお手玉をしている少年がいた。
—————ミストガン最古の小隊《A1小隊》の現在の小隊長《雷帝(サンダーエンペラー)》の《ラディル・アルベイン》とその副小隊長《氷帝(アイスエンペラー)》の《ノイス・マディン》、二つ名の通り【雷】と【氷】の属性変換付与の達人でその他の小隊メンバーも【風】【土】と異なる属性変換付与の戦技が得意で最近は念願の【炎】の変換付与を使う高魔力持ちの予科一年生が入隊したらしいね・・・多少問題がある新人らしいけど・・・。
彼等の情報を頭の中で整理するレオ、気の軽そうな二人だが彼等はかなりの手練れだ。
「はっ!ふっ!いつでも砲撃を斬れるよう鍛錬は怠らないようにしないとな!」
「ステップ!ステップステップッ!!今日も決まってるぜ!ステップッ!!」
室内左側の大規模通信結晶を操作するオペレーターの一人がいる席の前の辺りを見てみると中央の白い囲いの中に赤い星のマークが入った赤いスポーツキャップを被り黒い長髪を後頭部の頂点で縛ってポニーテール状にしている長身の少年が他人が聞いたら訳が分からないような事を口走りながら自身の身の丈より数センチ程大きい巨大な出刃包丁の様な形の銀色の魔大剣で素振りをしておりその隣で何故かブレイクダンスをしている平均より少し低身長でヘッドホンをしていて自身のサイズより明らかに大きめのダボダボの学生服を着た少年がいた。
—————【魔王すら凌駕する】と言われる《A29小隊》小隊長《魔砲士殺し(バスターキラー)》《テオ・セシル》にその副小隊長で【絶対音感】を持つという《不協和音の響蝶(ディソナンスバタフライ)》《ルーイ・トーイ》か・・・フンッ!まあまあマルだな。
彼等を見て頭の中で彼等を評価するキリク、ソラ達には及ばないもののこちらもなかなかの大物だ。
「アハハハハッ♪みんな集まっていr「リオスきゅぅぅぅぅんっ!!」んぷ!?」
リオスが辺りを見回しながら笑顔を振り撒き小さく手を振っていると突然彼の左から美しい金色の長髪で綺麗な真紅(ルビー)色の瞳のリカにも劣らないプロポーションの少女が興奮しながら危ない眼差しをして駆け寄って来てリオスを抱き上げてその豊満な胸にリオスの顔を埋めさせるように抱きしめた。
「リオスきゅん!リオスきゅん!!リオスきゅぅぅぅぅんっ!!!」
「んぷーーーーーっ!!」
「ちょっ!?リオス!なんっちゅう羨ましい事w痛っ!?」
金髪の少女の豊満な胸の中でもがくリオスを見て興奮しながら羨ましがるソラの右足を無言で思いっきり踏みつけるリカ、彼女である自分以外の女に欲情したことに腹が立ったのだろう額に青筋が浮き出ていた。
「リオスk「ね・え・さ・ん!」ひっ!?・・・アディア」
興奮してリオスを強く抱きしめ続ける金髪の少女の後ろから彼女の右肩にポンッと誰かの手が置かれて声をかけた瞬間、彼女の身体がびくっと強張り彼女がブリキ人形のようにギギギとぎこちなく首を後ろに向けるとそこには彼女と同じ金髪で琥珀(アンバー)色の瞳をした美少年が恐ろしいぐらい笑顔で彼女を威圧していた。
「僕言わなかったっけ?リオス先輩が来ても騒いで迷惑を掛けないようにって」
「ア、アディア・・・これは「姉さん、あっちで少し語り合おうか」イヤアアアアアアッ!!!」
金髪の美少女は手のチカラが緩んだ隙に抜け出したリオスを後目に金髪の美少年に首根っこを掴まれてミストガンの立体映像の物陰に引きずられて行き、その後すぐにそこから断末魔の様な叫び声が聞こえた・・・(合掌)・・・。
——————扱いが魔砲剣より難しい《魔錬装器》を扱う為に世界で三人しかいない《魔錬装士》にして《金色の死神(ゴルデンリーパー)》の二つ名を持つ《A16小隊》の小隊長《フェイト・アストレイ》とその弟で副小隊長にして飛行魔術の上位転成技である【カマイタチ】の達人《黄金の牙(ゴルドネファング)》の《アディア・アストレイ》までいるなんて一体何があったっていうのよ?
こんなに上位ランカーを招集するなんてただ事ではない、リカはそう思わずにはいられなかった。それもそうだろう、ソラ達ミストガン最強の小隊S45特務小隊に加えてAランク小隊の上位陣の小隊の小隊長副小隊長が三組も招集されたのだ、はっきり言って過剰戦力だ、つまりこれほどの戦力がなければ対処しきれない由々しき事態だと推測できる。
恐ろしく厄介な事件が予想される今回の招集、集められたメンバー達に緊張感が————
「やっぱり我慢できないっ!リオスきゅぅぅぅぅんっ!!」
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
「うほぉ♪」
欠片もなかった・・・リオスが驚いて奇声を上げソラが欲情した表情で反応する、なぜなら立体映像の物陰でアディアに折檻されている筈のフェイトが物陰から飛び出して来たからである・・・黒の下着姿で・・・。
「リオスk『スパァァァン!』・・・・あ・・・」
フェイトがそのような変質者的な恰好で再びリオスに飛びつこうとした瞬間、彼女の右肩の数センチ上を見えない何かが通過してその正面にあった台座の上に置いてあった砂時計が真っ二つに切断されて何が起こったのか察したフェイトは恐怖を感じて立ち止まりギギギと首を後ろに向ける。
「まだ懲りていないようだね姉さん、それとその脱ぎ癖を直すよう前から言ってるよね?」
そこにはさっきより恐ろしい笑顔をして黒い刀身で銀の刃の魔双剣《スワロウテイル》を携えたアディアがいた、次々と問題を起こす姉にそろそろ我慢の限界のようだ、相当怒っている。
「我慢できへんっ!!フェイトちゃぁぁぁん!オッパイ揉ませてーなあああっ!!」
しかもフェイトの奇行でただでさえこの場は混乱状態だというのに性欲を制御しきれなくなったソラが恐怖で動けないフェイトにル◯ンダイブを仕掛けようと跳び上がるが————
「ふげっ!?」
「いい加減にしなさいソラ」
リカがすかさず魔術士の宝石箱(マギスフィア)から魔弓ブラッティローズを取り出して魔矢を放ちソラの学生服の後ろ首辺りを引っ掛けてふっ飛ばしソラを柱に貼り付けにした。
「・・・・おい!・・・」
指令センター内は段々と混沌状態になってきてジョバンニはイライラしてきた・・・。
「私の目の前でバツなダンスなどするな!不愉快だ!」
「ハッ!何だ?僕の華麗なダンスに嫉妬か!?ステップ!どうせお前はダンスがヘタクソなんだろ!?」
「なっ!?・・・いいだろう、貴様のダンスなど私の足下にも及ばないことを教えてくれる!!」
あるところではルーイの挑発に乗ったキリクがロボットダンスを始め————
「クルックー!」
「あああああっ!!?通信結晶が三つショートしたぁぁぁぁっ!!」
「ナハハハハハッ!あんまやんちゃすんなよスバル~」
ラディルの友であるサンダーバードのスバルが室内中を飛び回ってその体内に溜めてある電気の放電によって指令センターの設備が次々と故障してオペレーター達が騒ぎラディルはポップコーンを食いながら笑ってその光景を傍観し—————
「・・・負けるもんか、私のショタっ子への愛はこんなんで負けてたまるものかああああっ!!」
「姉さん・・・・・緒が切れる音が聞こえたよ・・・」
「ソラ!貴方って人は!いつもいつも!!」
「かんにんして~なリカ!」
「だああああっ!だめだストレス溜まってきた!どこかにすげぇ砲撃撃てる奴いないか?」
「そんなダサイダンスで僕に勝とうなんて百万年早いよ!!ステップッ!!」
「負け惜しみはほどほどにするんだなバツめ!」
「クルックー!」
「ラディルさん!貴方のペットでしょう!?なんとかして下さいよっ!!」
「スバルはペットじゃないダチだぞ」
「アハハハハッ!!お祭り騒ぎだね!」
————————————ブチッ!!
「やかましいっ!!鬱陶しいぞこのバカ共っ!!!」
収拾がつかないカオスな状態にジョバンニがついにキレて指令センター内に怒声が響いた。
———————しばらくお待ちください———————
「単刀直入に言う、全学園浮遊都市運営会議出席の為に教皇浮遊都市ベベルに出向していた学園統括長が帰りの連絡艇で航行している最中に未確認の新種の《変異種(キメラ)》を伴った魔甲蟲の大群に襲撃にあって亡くなった」
「「「「「「なっ!?」」」」」」
レオとノイス以外頭にデカいタンコブができているというシュールな光景のせいで緊張感が台無しだが、内容は相当重いものだった。
学園統括長とは学園浮遊都市の最高責任者の事である。
「後任の学園統括長は六月中に選定してこちらに出向するとベベルから通達があった・・・学園統括長の死は悔やまれるが今は目の前の危機に対処すべきだと判断してお前達を招集した、まずはこれを見ろ」
正面の巨大モニターに魔甲蟲の中で最も多い【アルケナル級】の大群勢と緑苔の生えた巨大な胡桃に巨大な口をつけて無数の触手を生やした形状の変異種《キメラ・デネブ》十二体、そしてその中心に超巨大で朱いマンタの様な形状でその身体は堅そうな甲殻で覆われていて更に全身の至る所から無数に砲塔らしき突起がある変異種がいた、それはまるで母艦(マザーシップ)のような圧倒的存在感だ。
「なっ!?」
「何なんだこいつはっ!?」
「・・・初めて見る変異種だな」
「それになんて数・・・」
予想以上の敵の規模に招集メンバー達は驚愕した。
「・・・へぇ、これはまたなかなか戦り甲斐のありそうな奴だ」
そんななかでテオは新種の変異種の無数の砲塔を見て不敵な笑みを浮かべてそう漏らす、凄く強力な砲撃を撃ちそうだと思ったのだろう。
「・・・始まったよテオの悪い癖が・・・そんなんだから【砲撃上等系男子】なんて呼ばれるんだよステップ」
そんなテオを見たルーイが自分の額に左掌を当てて嘆く、この癖の所為で彼は昔から碌な目に遭っていないのだ。
「こいつは《キメラ・カペラ》と呼ぶこととなった、こいつらは今このミストガンを中心として螺旋の軌道を描きながらここに近づいて来ている為間違いなくここを標的にしていやがるのが分かる、近いうちに襲撃してくると見て間違いねぇだろう、そこで防衛部隊の編制の為にお前達を招集させてもらったわけだ」
ジョバンニが今回の招集の訳を説明した、するとキリクが納得いかないような表情で口を開いた。
「貴様にしてはバツな対応だな、敵の居所が解っているのならこちらから仕掛けた方が遥かに効率的だ、違うか?」
キリクの言う事はもっともだ、わざわざ敵が準備を整えて攻めて来るのを黙って待っているよりも準備が整う前にこちらから出向き包囲して一気に潰した方が合理的だろう。しかしジョバンニは気難しい表情でそれに答える。
「・・・普通ならそうなんだが最近変異種が高い知性を持っているという情報が入った、全戦力で迎え撃っている間に別動隊がミストガンに攻め込んで来る可能性も否定できねぇ、それに包囲しても潰せないで消耗するだけの可能性の方が高けぇ・・・何故ならこの大群勢の数は——————
———————ざっと約十万だからだ」
「「「「「「なっ!!?」」」」」」
ジョバンニの口から明かされた敵の規模に一同は絶句する、彼等は全員魔甲蟲の群とは幾度も交戦した百戦錬磨の空士ばかりだがここまでの規模の大群勢は今まで見たことが無いからだ。
「俺は下手に打って出て行って消耗するよりここで万全な態勢を整えて迎え撃つ方が勝つ可能性が高いと視て防衛部隊を編成する事にした、その編成についてお前達の役割を説明する」
ジョバンニは毅然とした態度で説明しだした。
「ラディル・アルベイン、ノイス・マディン、テオ・セシル、ルーイ・トーイ、フェイト・アストレイ、アディア・アストレイ、以上六名は敵群襲撃時にそれぞれ自分の小隊の部下を除いたA~Bランク小隊の混成部隊を率いてミストガン手前の空域で迎撃してもらう」
「ちょっと待ってください!何故自分達の部下は除くんですか!?」
アディアが疑問を言う、連携し慣れた自分の部下達を中心に連携した方が遥かに効率がいいからだ。
「それについては今から説明する、グローリー達S45特務小隊はアルベイン達の部下達とC~Dランク小隊の混成部隊を率いて各市街地に展開して待機し侵入を許してしまった場合に備えてもらう」
「・・・成程、万が一の時の為に戦力は残しておくという事か」
「そういう事だ、第一優先は敵を駆逐する事じゃねぇ、ミストガンを護る事だぜ」
戦力を残しておくというのは防衛戦において基本中の基本だ、魔甲蟲と戦うことがこの世界の空戦魔導士の存在意義だがその前に浮遊都市の守護者であるということをジョバンニは忘れてはいなかった。
「俺達はなんとしてでもこのミストガンを護る!この前の連続拉致事件のような犠牲者はもうださねぇっ!!いいなっ!!!」
「「「「「「了解っ!!!」」」」」」
皆の想いは一つ、この戦いに勝利してミストガンを護る事、ミストガンの猛者達は確固たる決意を胸にここに誓うのだった。
三番区郊外—————————
「十万の魔甲蟲の大群な・・・まあどうとでもなる範囲やな」
日もすっかり暮れて満天の星空が見下ろす中、ソラは一人で散歩をしていた。
—————そんだけの数がおろうともワイは墜とされへん自信はある・・・せやけど間違いなく時間が掛かるやろうな・・・そないな間に多少の犠牲が・・・。
ジョバンニが出した魔甲蟲の大群勢討伐の策の事をソラは納得していなかった、確かに勝てる確率は防衛戦の方が高いかもしれないが犠牲者を出さずに討伐するならばやはり打って出て行った方がいいと個人的にはそう思ったからだ。それを成し遂げるだけの自信がソラにはある、だがやはり敵の数が多すぎる為にミストガン内部で戦闘をしたら犠牲者が出る可能性がある事を懸念してしまうのだ。
「・・・・・ん?」
ソラはそんな事を考えながら高さ約50mぐらいの抗呪素材(アンチカーズ)製のドーム壁の前を通りかかったところでその向こう側から何かの音が聞こえてきた。
——————こないな時間にこんなとこで誰が何をやっとるんやろか?
気になったソラはドーム壁の向こう側に通じるドアから向こう側のエリアに足を運ぶ、そこでソラが目にしたのはそのエリアの下層にて筒状の物体がある場所から約10m離れた位置に白い布で目隠しをし耳栓をして立つルークの姿だった。
「・・・あれは、あの時ワイがボウズに教えた・・・」
ソラがそう呟いた瞬間、筒状の物体の中から掌サイズの十個のカラーボールが発砲音と共に上に打ち上げられた。さっきの音はこの発砲音だったのだろう、そしてその瞬間にルークも動き出し万有引力の法則にしたがって落下してくるカラーボールを目隠しをしているにもかかわらず寸分の狂いも無く次々とキャッチして行き一つも地面に落とすこともなく十個のカラーボールを全てキャッチし終えた。
「絶対空気感覚(フィール・ザ・アトモスフィア)を鍛える為の基本訓練法・・・やっぱまだ個人のチカラ不足やと思っとるんやなボウズ・・・」
このエリアの入り口付近から下層で一人自主練をするルークを見下ろしてそう呟くソラ、ルークは昔から負けたり失敗したりすると自らなにがいけなかったのかを模索して自主練を繰り返すというやり方でやってきたということをソラは知っている。
「せやけど今回はそれやとアカンでボウズ・・・小隊というのを理解せえへんとランキング戦は勝てへんで・・・」
小隊戦で大切なのはチームワーク、ミストガンに来るまでずっと一人で自分を鍛え続けていたルークがそれになかなか気づかないのも無理はなかった。
ソラはこれ以上邪魔するのも野暮かと思いこの場を立ち去ろうとしたその時。
「諦めねぇ・・・」
ルークが呟いたその言葉を聞いてソラは立ち止まる。
「次は絶対に勝ってやる!今までに負けた奴等にも絶対いつかリベンジしてやる!俺は・・・負けねぇっ!!」
今度は球数を二十に増やして凄まじい気迫でカラーボールをキャッチして行くルーク、それはまるで全てを吹き飛ばす暴風を錯覚させるような気迫で自主練を続けていた。
「・・・・ハッ!そういえばボウズがワイに魔蹴術を教えてくれと言うてきた時もこないな夜空やったな」
ソラはルークの自主練をしている姿を見て昔の事を思い出していた。
そう、あれは五年前の事だ・・・。
次回予告
ジョバンニ「まったくあのバカ共は自重するって言葉を知らないのか?」
フロン「確かに困ったものです、彼等には上位ランクの空士としての自覚が足らないと思います」
ジョバンニ「・・・素で話しても構わねぇぞフラメル」
フロン「・・・貴方も自分の立場を自覚したらどう?そんな事じゃ部下達が自重しなくても仕方がないわね」
ジョバンニ「・・・・・」
フロン「それに貴方だって昔は素行が悪い不良だったじゃないの」
ジョバンニ「昔の事はいいだろうが・・・」
次回、空戦魔導士候補生の情熱『翼の道への出発点(スターティングウィングロード)』
ジョバンニ「翔け抜けろ!最強への翼の道(ウィングロード)!!」