空戦魔導士候補生の情熱   作:蒼空の魔導書

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またまた久しぶり・・・というか約半年ぶりにこっちを更新です!





いざ、朱き母艦が待ち受けし空へ!

空戦魔導士科指令センター—————

 

「三番区にて三体目の【キメラ・デネブ】の消滅を確認!これで都市内部に侵入した中型変異種は全て撃破されました!!」

 

都市内部の監視を担当するオペレーターの一人が告げた吉報に室内が歓喜に包まれる、まだ数百体もの魔甲蟲が都市内部に残ってはいるが、敵部隊を指揮する中型変異種を掃討できた成果は大きい、これで都市内部の敵の統率力は崩壊したも同然なのだから。

 

「そうか、よくやった!これで後は———」

 

『都市下方の【キメラ・デネブ】は経った今撃墜した。やはりつまらん敵だった、これから残りのザコの掃討に移る。これで攻勢に出られるだろう?周辺の掃討が完了次第、俺も【キメラ・カペラ】の攻撃に合流する、俺が来るまで俺の楽しみの分は取っておけよ!?』

 

「・・・フッ、ならなるべく急ぐんだな。お前が来る前に決着が着いてしまっても文句は受け付けねぇぜ」

 

『おっと!ならこうしている暇はないな、忙しいから切るぞ』

 

都市下方の空域で戦闘中のテオからもジョバンニの通信結晶を通じて【キメラ・デネブ】撃破の報告が入り、これによってミストガンは陥落の危機を脱した。今度はこっちが攻める番だ!

 

「よしっ、これより攻勢に出る!東南西の各連隊を指揮する隊長・副隊長全員に告ぐ!防衛空域の敵の掃討を配下の隊員達に任せ、テメェ等は北の空域で待ち受ける敵群の総大将【キメラ・カペラ】を叩きに向かえ!!反撃だっ!!」

 

『『『『『了解っ!!!』』』』』

 

「都市内部のS45特務小隊は配下の隊員達と共に残りのザコ共を排除しつつ、いつでも出られるように備えておけ!万が一という事もあり得るからな。テメェ等はミストガンの切り札で最後の砦だ、いざという時は身体を張ってもらうから覚悟はしておけ!!」

 

『もちろん!』

 

『言われるまでもない』

 

『・・・わかった』

 

『アハハッ!りょーかい♪』

 

ジョバンニは通信結晶を通じて各隊長に指示を送る、だが一人だけ了解を返さなかった者がいた事にジョバンニは不審を抱く。

 

「オイ、グローリー!返事が聞こえねぇぞ!?こんな大事な時に一体何をしてやがる!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十一番区、発着場近くの通学路———

 

『グローリー!ソラ・グローリー、応答しろ!!』

 

「うっさい、やかましいわジョジョ!ちゃんと聞こえとるっつうの!!」

 

人工芝の高台の道に立ち、経ったさっきルークが放った竜巻杭打によって大穴が開いた防護壁の天蓋を見上げていたソラは通信結晶越しに聞こえて来たジョバンニの怒鳴り声を鬱陶しく感じて怒鳴り返している。普通上司の命令に対して返事を返すのは一般常識で当たり前なのだが、自己中なソラに一般常識は通用しない。

 

『聞こえているのなら返事ぐらいしろよ、判断に困るだろうが・・・』

 

「そら悪うございました。こっちは問題あらへんよ、敵さんはそんなに来とらん、ザコ共の相手は部下達に任せてワイは高みの見物しとるくらいやからな♪」

 

『周囲の警戒ぐらいはしろっ!!まったく・・・分かっているんならいい。テメェに言う事じゃねぇが、万が一の備えは怠るなよ』

 

ジョバンニからの通信が切れるとソラは再び天蓋に開いた穴を・・・否、その遥か先の空を見つめる。

 

「ああ、言われんでも分かっとるわい。【その万が一はあの上におる】みたいやしな・・・」

 

ルークが天蓋に穴を開けた時からソラの絶対空気感覚は捉えていた。あの空の向こうより発せられる強大で禍々しい呪力のチカラを・・・。

 

———この襲撃の真の黒幕は【キメラ・カペラ】やない、今あの空の上から都市を見下ろしとる何者かや・・・にしても妙やな、呪力と一緒に魔力も感じるで・・・。

 

ソラはあの空から漂う魔力と呪力が入り混じった空気を不気味に感じていた。魔甲蟲のチカラである【呪力】と人間のチカラである【魔力】、その相反する二つが共存する事など普通はあり得ない。あるとすれば・・・。

 

———んなアホな事があるか、【あのチカラ】は万融錬金士(アルケミスト)共でも解明できへん、存在すらするのか疑わしいブラックボックスやで?人間だろうと魔甲蟲だろうと【あのチカラ】を宿す存在が居るやなんてあり得へん冗談や・・・。

 

ソラはある可能性を考え付き、首を横に振ってその可能性を否定する。【あのチカラ】とは一体何なのだろうか?・・・いずれにしてもミストガンに災いを齎しかねない存在を見過ごすわけにはいかない・・・。

 

「・・・悪いなジョジョ、ワイが行かなアカンようや。今度イチゴパフェ奢ったるから堪忍したってな」

 

親友にして上司の青年に謝罪を入れ、空の王は未知の脅威を取り除くべく空へと飛び立って行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三番区郊外、上空———

 

皆の協力で【キメラ・デネブ】に零距離の竜巻杭打を炸裂させ、見事敵を撃破したルーク。

 

「へへへ、見たか・・・これが俺達の実力だ・・・ぜ・・・」

 

強敵を倒して安堵し、気を緩めた瞬間にルークはとてつもない疲労感に襲われた。そして気を失いかけた所為で飛行魔術が解除され、彼は真上の天蓋に空いた穴から差し込む陽の光を浴びながら重力に引かれて落ちはじめる。

 

「オ、オイッ!?」

 

「ヤベェ!」

 

「ルークッ!!」

 

ルークが落ちて来るのを確認したアッシュ、アスカ、クロエの三人が落下するルークを受け止めるべく落下地点へと慌てて翔け出して行くが、若干距離が遠い為にアッシュ達の飛行速度ではギリギリ間に合わなそうだ。幾ら防護服を着ているとはいえあの高さから地に落ちたら無事では済まないだろう、咄嗟の三人の救出行動も空しくルークが三番区郊外の地に頭から追突しそうになった・・・その時———

 

変則的加速(チェンジオブペース)——————燃焼噴射超加速(アフターバーナー)

 

急行するアッシュとアスカの間を音を突き破る速度で通り抜け、燃え盛る炎と共に現れた空士がルークを抱きかかえて落下を阻止したのであった。

 

「よく頑張ったね。そしてゴメン、また未熟な君達に危ない戦いをさせてしまった・・・」

 

ルークを救出した空士はミストガン最速の【魂の炎(スピットファイア)】レオ・オーバーグであった。

 

「レオ先輩!よかった・・・」

 

「なんだ、誰かと思えば魂の炎か、ったく脅かしやがる・・・」

 

「くぅぅ~、ヒーローであるオレを差し置いてどいつもこいつもいいところ持って行きやがって!」

 

「へへっ・・・真打ち登場ってか・・・」

 

「ですね。他の場所ではまだ戦闘中みたいですが、特務の空士が居るってだけで安心しますね」

 

頼れる助っ人の参上に仲間達は安堵の表情を浮かべながらレオの周りに集まり出した。レオは抱えているルークを優しく地に寝かして彼等を出迎える。

 

「皆、遅れてすまなかった。変異種相手によく頑張ったね、三番区に侵入した魔甲蟲は全て倒したからひとまず安心していいよ」

 

「え、本当ですか!?」

 

「ふぅ~、流石に疲れたぁぁ~・・・」

 

「なんだよミレーユ、だらしないぞ。C140小隊の一員としての気合いが足りないんじゃないか?」

 

「ははは、そう言っているけれど君だってもう限界じゃないか?まだ戦いは終わっていないんだ、休める時に休んでおくといいよ」

 

「オリバー先輩、本当に魔装錬金武装を手放すと性格戻るんですね・・・」

 

レオから三番区の敵は全滅したという報を聞き、安心して張っていた気が抜けた仲間達はへろへろになってその場にへたり込み出した。無理もない、オリバーを除き変異種との戦闘は初めての経験だったのだから。

 

「う・・・うぅ・・・ん?」

 

「あ、ルーク、意識が戻りましたか」

 

「良かった・・・も~、心配かけさせないでよね、手を焼くのはカナタだけで手一杯なんだから」

 

「ひでーなクロエ・・・ルーク、大丈夫か?」

 

「ん・・・あ、あぁ・・・俺達・・・勝ったんだよな?」

 

「ああ、俺達の勝ちだ」

 

「・・・へへ・・・そうか・・・」

 

レオが落下を阻止してくれたおかげで数分で意識が回復したルークはE128小隊の仲間達の顔を見て安心し安らかな笑みを浮かべている。安心させてくれる仲間というのは実に良い、この戦いで得た勝利は彼等をまた大きく成長させたのだった。

 

———へへっ・・・見てたかソラ兄、リカ姉。俺達は入学して一ヶ月で変異種を・・・・・ソラ兄?

 

その時、ルークは自分を覗く仲間達の顔の遥か先————ルークが竜巻杭打で天蓋に空けた穴から外に出て飛んで行く皮の被り物を被った空士の姿を見た。

 

———見間違いじゃねぇ・・・あれはソラ兄だ。いったい何所に行く気なんだ?・・・それに何だ?あの穴の先に見える空からすげぇ嫌な空気が流れ込んで来るのを感じる。うまく言えねぇけれど・・・なんかテレビの雑音を大音量で聴いたかような耳障りな感じ・・・嫌な感じだぜ・・・。

 

都市から出るソラの姿と一緒に冷静になったルークの絶対空気感覚が穴の遥か先の空から感じる謎のチカラを捉えていた。ルークは嫌な予感がしてソラを追い翔けたい衝動に駆られるが、生憎もう疲労で身体が動きそうにない。

 

「・・・ソラ兄・・・」

 

いずれにせよ、ここから先の戦いはルーク達未熟者の出る幕はない。ルークはソラの無事を祈りつつ疲労した身体を休める為に再び眼を閉じるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園浮遊都市ミストガンより3km北の空域—————

 

変異種母体型魔甲蟲【キメラ・カペラ】率いる十万の群はミストガンが誇る精鋭の空士達によって次々と撃破され、残りの戦力はミストガン周辺の空域に展開している数百体の雑兵と都市内部に侵入した中でまだ生き残っている数百体の雑兵、この空域に待機し総大将を護る凡そ六千の小・中型魔甲蟲等雑兵と二体の中型変異種【キメラ・デネブ】・・・そしてこの大群を指揮する総大将である大型変異種【キメラ・カペラ】のみとなった。

 

朱い甲殻に覆われたマンタの様な形状をした【キメラ・カペラ】は遥か下方の海にその影が覆ってしまう程巨大であり、その巨体の至る所に無数に存在する砲塔と下腹部に持つ無数のミサイルポッドが他を威圧する、正面から見える刺々しい頭部の上にある主砲と思わしき巨大な砲塔が前方に見える襲撃中の学園浮遊都市に標準が向けられている。

 

浮遊要塞の如きその姿はまさに母艦(マザーシップ)、一度その火力が撃ち放たれれば前方に浮かぶあの小さな浮遊都市など一瞬で空の塵と化すであろう・・・だが断言しよう、奴がそれを現実にできる可能性は限りなく低いと!

 

「さあ、ケリを着けるぞ。まずは周り敵を一掃する!!」

 

「「「「おうっ!!!」」」」

 

天雷流魔刀戦技—————剛進一雷

 

魔槍戦技—————絶氷の騎兵槍(コキュートスランス)

 

魔錬装器戦技—————三又ノ雷槍(トライデントスマッシャー)

 

魔双剣戦技—————旋魂の円刃(ソウルブラー)

 

魔戦輪戦技—————血染の鎮魂歌(レッド・レクイエム)

 

何故ならばそのような非道な行いなどミストガンを守護する空戦魔導士達が許さないからだ。この戦いの決着を着けにやって来た五人のAランク空士達が最前列を翔けるA1小隊隊長のラディル・アルベインの号令を合図に敵を殲滅すべく戦技を一斉に放つ。魔刀の突き放ちと共に撃ち放たれたラディルの轟雷が一直線状に魔甲蟲の雑兵共を穿ち、ノイスの冷気が魔甲蟲の雑兵共を氷の騎兵槍に閉じ込めて命を奪い、フェイトが撃ち出した三又状の雷閃が左方の【キメラ・デネブ】を貫き、アディアが振るった双剣から放たれた無数の円盤状のカマイタチが右方の【キメラ・デネブ】を細切れに切り裂き、ルーイが投げ放った無数の魔戦輪が空域全体を蹂躙し空を魔甲蟲の体液で染め上げた。なんとミストガンが誇るAランク空士達は総大将以外の敵を全て一瞬にして葬ったのであった。

 

後は敵群の総大将【キメラ・カペラ】を墜とすのみ、それでこの戦いの全てが決着する。果たしてラディル達は【キメラ・カペラ】を倒し、ミストガンを護り通す事ができるのであろうか?

 

「さぁて、残るはこのデカブツだけだな♪とっとと撃ち墜として、皆でこの前三番区にオープンした高級レストランにメシでも食いに行こう、ノイスの奢りで!!」

 

「オイラが奢るのかよ!?誰が奢るかこの天パー小隊長がぁぁあああああっ!!!」

 

護り・・・通せるの・・・だろう・・・か?

 

 

 

 

 

 

 

 




次回予告

ラディル「さーて、リカの弟ら後輩たちはバッチリ決めたんだし、先輩である俺たちがちゃんとシメないとメンツが立たないな」

ノイス「ああ、今度はオイラ達が決める番だぜ!」

フェイト「ハッ!?【キメラ・カペラ】を撃退したらリオスきゅんに【いい子いい子】してもらえるかも!・・・よしっ!気合いを入れて決戦に臨みましょう!!」

アディア「姉さん、気合いを入れるのはその鼻血を拭いてからにしてよね・・・はぁぁ・・・」

ルーイ「お互いに小隊長が問題児で大変だなステップ。溜息を吐きたくなる気持ちもわかるぜアディア、ステップ」

ノイス「アレ?そういえばテオの奴はどうしたんだぜ?見たところアイツだけ合流していないみたいだが・・・」

ルーイ「ちょっと野暮用だとよステップ。まっ、きっとすぐに追い付くさ、テオの奴【キメラ・カペラ】と戦うのを誰よりも楽しみにしていたんだしなステップ」

ラディル「あー、あの新種身体中にあんなに砲塔生やして砲撃撃ちまくりそうだしなぁ・・・」

ルーイ「そ、砲撃を斬るのがテオの生き甲斐なんだ。この砲撃を斬りまくれるチャンスをあの【妖怪砲撃斬らせろ】が見逃す訳ねーよステップ」

アディア「自分の小隊の小隊長を妖怪って・・・」

次回、空戦魔導士候補生の情熱『吼えろ我が戦技ッ!テオ・セシル、魂の魔砲斬り(バスタースラッシュ)』

ラディル「翔け抜けろ!最強への翼の道(ウィングロード)ってか!!よしお前ら、俺に続けーーーーーーっ!なーんてな!!」

ノイス「ちゃんとシメろよアホ小隊長が・・・」

アディア「小隊長が問題児なのはどこの小隊も同じか・・・はぁぁ・・・」


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