空戦魔導士候補生の情熱   作:蒼空の魔導書

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序章の最終話です!

今回少し流血描写があるので【R-15】と【残酷な描写】をタグに追加します。

この物語ではこの時点でのクロエはまだ【収束魔砲(ストライクブラスター)】を習得していません。


そして少年たちは大空を目指す

砲撃と竜巻によって壁に大穴が空いた薄暗い三十層構造耐魔シェルターの倉庫の中で緊迫した空気の中、【連続拉致事件】の犯人であるモンド・スミーは身体変態(メタモルフォーゼ)の魔術を使い暴食鬼(グール)となり、四人の幼き空士の卵達は今それに相対する。

 

「ワシを倒すだと・・・冗談を言うならもっと面白いギャグを考えるんだな、ウヒヒヒヒッ!」

 

「冗談かどうかは!」

 

「やってみてから言いやがれっ!!」

 

余裕そうに挑発するモンドに向かって一直線に弾丸の様な勢いで突撃するルークとカナタはまずルークが跳躍しモンドの顔面を狙って飛び蹴りを繰り出し、同時にカナタがモンドの鳩尾目掛け逆袈裟斬りを繰り出してそれぞれの部位に見事命中する・・・しかし————

 

「何っ!?」

 

「ちょっ!?硬てぇっ!」

 

今のモンドの皮膚はあまりにも強固であった為に二人の一撃はモンドに傷一つ付けられる事ができずに止められた。

 

「痒いなぁ、蚊でも留まったか?ねぇっ!!」

 

「「うああっ!!」」

 

すぐさま丸太の様に太い左腕を振るって二人を薙ぎ払うモンド、ルークは埃まみれの空の棚に突っ込み、カナタはクロエとロイドがいる場所の後方の壁に叩き付けられた。

 

「カナタッ!このぉっ!!」

 

すかさず紅い魔力砲撃をモンドに向かって放つクロエ、だが単調に真っ直ぐ一直線の弾道で飛ぶ砲撃はあっさりと見切られて躱された。

 

「おっと危ない、ウヒヒヒヒッ!惜しかっt「まだまだぁっ!!」ひょっ!?」

 

余裕で砲撃を躱して気味の悪い笑いをしながらクロエの方を向くとモンドの目の前には既に次に発射された砲撃が迫っていて更にその後方からも紅い魔力砲撃が何発も飛んで来ていた。

 

「ぐほぅっ!!」

 

そして命中する。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!」

 

連射・連射・連射、休むことのない怒濤の連射砲撃が次々とモンドを襲い、粉塵が舞い、砲撃の直撃によって発生する爆発による爆炎が辺りを覆った。

 

実はクロエは射撃が得意というわけでは無く射砲撃の命中精度はそこそこである、砲撃の威力と手数で敵を圧倒する乱砲撃スタイル、それがクロエ・セヴェニーの戦い方だった。

 

「すげぇ・・・やったか?」

 

倒れた棚の山から今這い出て来たルークがそれを見て呆気にとられながらそう言う・・・だがそれはフラグだ。

 

「ウヒヒヒヒッ!今のは少し痛かったよ、でも残念でしたあぁぁぁぁぁっ!!」

 

「ひっ!?そんな嘘だよね!?」

 

爆炎の中から大口を開けて物凄い勢いでクロエを喰そうと突撃してくるモンド。

 

「危ねぇクロエッ!!」

 

「カナタッ!?」

 

その間にカナタが割って入り魔砲剣をつっかえ棒の様にモンドの口に縦に挟み込み抑え付けるが、純粋なチカラは暴食鬼(グール)となっているモンドと十代前半の年齢の子供であるカナタでは勝負にならない。

 

「ウヒヒヒヒッ!無駄無駄ァッ!!」

 

「くっ!」

 

「男のガキを喰うのは趣味じゃないが仕方ない、このまま二人まとめて喰ってくれる!!」

 

「カナタッ!」

 

ミシミシと軋む音がするカナタの魔砲剣グラディウス、今のモンドの顎のチカラはどうやら魔装錬金(ミスリル)すらも砕く程強靭だ。このままではカナタとクロエはモンドに喰われてしまうだろう。

 

「クソッ!!間に合え!!!」

 

今まで這いつくばったまま呆けていたルークはそれを見てやっと我に返って二人の窮地を救う為にモンドへと特攻をかける、だが距離が遠い。

 

「ウヒヒヒヒッ!終わりだあぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕を忘れないで下さい」

 

魔剣戦技————————————————魔洸V字斬(バーチカルアーク)

 

「グホウッ!?」

 

「「・・・・・・えっ!?」」

 

絶体絶命のその時、いきなりモンドの右脇腹がV字に斬り裂かれその反動で左側に倒されてそのまま砂煙を巻き上げながら30mスライドして行って静止した。

 

「危ないところでしたね、大丈夫ですか?」

 

戦技を放ったのはロイドだった、魔剣を携えたロイドは涼しげな表情でカナタとクロエに声を掛ける。

 

「「・・・・・・・・・・誰?」」

 

「え!?」

 

だが、返ってきた返事はロイドにとって予想外の答えだった・・・更に—————

 

「ロイド!テメェ今までどこほっつき歩いてたんだよっ!?」

 

「ええっ!?ずっといましたよ一緒に!!」

 

ルークにもこう言われる始末・・・どうやらカナタとクロエに存在を認知されていなかった挙げ句にルークにも途中から存在を忘れられていたようだ・・・。

 

「クソッ!このウスィーガキ!どこから出てきた!?」

 

「もう僕泣いていいですか!?」

 

敵にまでこんな事を言われる始末、憐れロイド、ウスィー・・・。

 

「ガキ共がもう許さんっ!塵にしてくれる!!」

 

怒り狂ったモンドは腕を交差させて身体を丸めると身体が不気味に紫色に光りだす。

 

「なっ!?魔力が膨張している!」

 

「ここは危険だ!空に逃れんぞ!」

 

「わかったぜ!ハアッ!!」

 

魔蹴術戦技———————————————竜巻杭打(パイルトルネード)

 

この場は危険だと感じたルーク達は天井をルークの戦技でブチ抜いて全員飛行魔術を発動して倉庫から飛び出して満天の星空へと飛んで倉庫の方を見る、すると倉庫から魔力のエネルギーがドーム状に広がり倉庫から約半径120mの周囲を覆いつくしてから消滅する、そこには空に舞うルーク達を紅く鋭い眼で睨みながら佇むモンド以外なにも無かった。

 

「あそこにいたら終わってましたね」

 

「ああ、だけどこれで・・・・・・やっぱりこんな展開かよ!」

 

気が付くとモンドが紫色の歪な形の両翼を生やして下から向かって来るのが見えた、まさにデジャヴ。

 

「さっきの戦闘でわかったことだが、アイツはどうやら戦技じゃねーと効かねーみてーだな」

 

「だったら全員で全力の戦技をぶつけてやろうぜ!!」

 

あくまで推測に過ぎないが今のモンドには戦技じゃないと通用しないという事で策とも言えない作戦が決まった。

 

「へっ!んじゃまずは俺達からだぜ、クロエ!合わせろよ!!」

 

「うんっ!わかったよカナタ!!」

 

カナタが不敵な笑みを浮かべてクロエの隣に並び二人は約300m先から向かって来るモンドにそれぞれの魔装錬金武装(エモノ)を向け戦技を放った。

 

魔砲剣戦技————————————————拡散多弾頭射撃(マルチプルバースト)

 

魔砲杖戦技————————————————拡散多弾頭射撃(マルチプルバースト)

 

放たれた漆黒と紅の魔力弾が四つに分裂したあとそれぞれ更に四つに分裂して漆黒と紅の魔力弾が十六発づつになり合計で三十二発の魔力弾がモンドを迎撃すべく飛んで行った。

 

「グヌゥ!?こしゃくn「隙ありです!!」なにぃ!?」

 

飛んで来た三十二発の魔力弾を防御する為丸太の様に太く面積の広い両腕を前に交差させて身を屈めて身構えるモンド、魔力弾の群は容赦なくモンドに襲いかかり次々と命中して起爆した。それによりモンドの周囲が爆炎による煙に覆われてモンドは視界を封じられて困惑しその隙をついてロイドが煙の中からモンドに近づき戦技を繰り出した。

 

魔剣戦技————————————————魔洸四連斬(バーチカルスクエア)

 

魔剣に魔力を纏わせ飛び込みの前斬り、真下からの斬り上げ、上から下への垂直斬り、後方に大きく振りかぶっての上段斬りの四連撃がモンドの腹を斬り裂いた。

 

「グガボッ!!おのれクソガキ!!」

 

四角を描く様に斬り裂かれた腹部の深い傷から血を流しそれを右手で押さえながら苦痛と憤怒の表情でロイドを睨みつけるモンド、そしてロイドの後方から彼と入れ替わる様に突撃して来たルークがモンドに決定打を与えるための戦技を繰り出した。

 

「これでフィニッシュだ!くらえぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

魔蹴術戦技———————————————突空崩撃(エアリアルインパクト)

 

「ぐぼがあああああああああああっ!!!」

 

左足の裏に高圧力の空気を魔力によって生成して小さな球体状に圧縮しそのまま敵に踏みつけるようにして蹴りつけてその圧力によって金剛石崩壊レベルの一撃を敵にくらわせる戦技がモンドの鳩尾にクリーンヒット、モンドの身体中の至る所に穴が空きそこから血が噴出してモンドは強烈な激痛により大声で悲鳴を上げてうずくまった。

 

「よしっ!こいつでとどめだぜっ!!」

 

勝負を決めようと今度は右脚で突空崩撃を叩き込もうとうずくまったままのモンドに突撃するルーク・・・だが。

 

「・・・・・調子に乗るなよ・・・クソガキ共がああああああああぁぁぁっ!!!」

 

「なっ!?・・・うがっ!!」

 

「ルーク!!」

 

突如モンドが顔を上げて憤怒の表情で咆哮を上げ、戦技を繰り出すモーションの途中だったルークの首をモンドは右手で掴みルークを吊り上げた。

 

「ぐあ・・・あ・・・」

 

「今助けます!」

 

「鬱陶しい!!」

 

「ぐはぁっ!!」

 

捕まったルークを救出しようとモンドへ攻撃を仕掛けるロイドだがモンドの左腕での薙ぎ払いによって弾き墜とされて地上の廃棄されたビルの窓ガラスを割りビルの中に突っ込んだ。

 

「ロ・・・イド・・・」

 

「よくもワシをコケにしてくれたな!このまま絞め殺してくれる!!」

 

「ぐうぅ・・・・ぁぁぁ・・・」

 

ルークを絞め殺さんとルークの首を絞める右手のチカラを更に加えるモンド、首を絞められる圧迫によりルークは強烈な苦しみを感じ喘いでいた。

 

「クソッタレめがっ!今思い出してもむかっ腹が立つわあの青二才が!ワシの楽しみをよくも邪魔しおって!!」

 

「・・・・・・?」

 

何かを思い出して怒りの表情で吐露するモンドをルークは苦しみながらも疑問を浮かべた表情で睨む。

 

「思えばあの青二才も貴様のような眼をしとったわ、ワシは一人でも多くの幼女を醜く老いていくのを防ぐ為に不老の薬を作る研究をしていた、その為に大勢の幼女を保護して実験をする必要があった」

 

モンドは思い出すままに語りだした、かつて【幼女誘拐・監禁の罪】で拘束された日の話を。

 

「ワシは楽しかった、幼女達に触れ幼女達の恐怖で脅えた愛くるしい泣き顔をみるのが!【助けてママ】なんて事を言って涙目の顔なんて最高だったねウヒヒヒヒッ!」

 

「・・・テメェ・・・」

 

目も当てられないような下劣で卑劣な話を実に愉快そうに語り笑うモンド、この男の性根は腐りきっているのが非常によくわかる程屑みたいな内容だ。

 

しかしモンドは急に冷めた表情で話を続ける。

 

「だが、とうとう不老の薬の試作品が完成し保護した幼女数人を使って投与実験を決行しようとしたある日、教皇浮遊都市ベベル防衛部隊の・・・確か《蒼天の光鳥(シャイニングブルー)》とかいうエース部隊だったな、そやつらがワシの研究所に押し入って来てワシを拘束したのだ」

 

どんどんと怒りの感情を現しながら語り続けるモンド。

 

「この実験は世の幼女達が醜く成長するのを防ぐ為に必要だというのに、クソッ!あの青二才が!!なにが【お前の欲望の為に子供達を陥れた事を後悔しろ】だ!これはこの世の幼女達を救う崇高なる目的の為の実験だったというのにそれを【欲望の為】などと侮辱しおったあの青二才だけは絶対に許さん!!」

 

自分勝手な物言いをして他者の所為にして罪の意識すらないこの男はもはや人として破綻していた。

 

「だからワシは心に誓ったのだ、ワシの崇高なる行いを侮辱したあの青二才に復讐すると!その為にはチカラが必要だった、だからワシはこのような魔術を習得しチカラを蓄えていたのだよ、高い魔力を持った幼女達を捕らえて喰してなぁっ!!!」

 

「!!!」

 

ルークはモンドの身の毛も弥立つ下種な発言を聞いた瞬間、彼の中の何かがキレた。

 

「そんな事の為に・・・この空を護る空士達の命を奪ったっつうのか・・・テメェ!」

 

ルークは激怒した、自分の欲望の為に夢に向かって飛ぼうとしていた奴等の命を奪いそして————

 

「そんな事だと!?ふざけるなよガキがっ!!ワシの崇高なる目的の前には空士の一人や二人の命など軽すぎてどうでもいいわいっ!!!」

 

空士の命をどうでもいいなどと暴言を吐いたこの男に対して。

 

「絶対に許さねえ!この外道ロリコン野郎がっ!!!」

 

怒りのあまり吼えるルーク、しかしそれを聞いたモンドはどうでもよさそうな表情で再びルークの首を掴んでいる右手にチカラを加えて締め付けた。

 

「ぐがぁぁぁぁぁ!!」

 

「ウヒヒヒヒッ!威勢がいいのはいいが今の自分の立場が分かってんのかガキ、貴様はできる事などなにもないわい!おとなしくくたばれっ!!」

 

「がぁぁぁ・・・・・・ぁぁ・・・」

 

ルークはもう限界寸前だった、圧倒的に絶望的な状況・・・だが。

 

「諦め・・・るか・・・」

 

「ぬ?」

 

ルークの眼は死んでいなかった、チカラを振り絞ってモンドの丸太の様に太い右腕を両手で掴むルーク。

 

「俺は・・・自分を・・・【俺達】を信じている・・・【俺達】が勝つと信じてい・・る・・・【俺達】はテメェなんかに・・・絶対に負けねえ!!」

 

空戦魔導士が【空士の回廊】を歩む為に必要な【不屈の心】、それは今一人の大空に情熱を燃やす空戦魔導士候補生の胸に宿っていた・・・・・それに彼は・・・・・一人じゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔剣戦技——————————————————魔洸V字斬(バーチカルアーク)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐほぉっ!なにぃ!?」

 

さっき撃墜された筈のロイドが不意をついて後ろからモンドの背中を戦技でV字に斬り裂いた。モンドは急な激痛に襲われた事により誤ってルークを右手の拘束から解放してしまった。

 

「このガキ!いつの間に!?」

 

ロイドは額から流血していたがどうやら傷は浅い様であり平然とした笑みをしていた。

 

「余所見していていいんですか?」

 

「は?」

 

魔砲杖戦技——————————————————複数同時射撃(マルチショット)

 

「ぐほぉっ!?」

 

モンドが不意打ちして来たロイドの方(後方)を振り向いた瞬間に四発の紅い魔力弾が飛来して来てモンドの両脚と後頭部とロイドが傷つけた背中のV字傷に命中、それによりモンドはよろめいて体勢を崩し辺りは魔力弾が命中したときの爆発によって発生した煙に覆われた・・・そして——————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっ!ここまで狙い通りだぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

不敵な笑みを浮かべて魔砲剣のシリンダー型魔力縮退炉を五回転させながらカナタが煙の中からモンドに向けて飛び出してきた、なにを隠そうここまでの戦闘の流れは全てこの黒髪痩躯の少年の策だったのだ。カナタとクロエが弾幕でモンドの視界を封じルークとロイドが時間差をずらして攻撃して翻弄しそして最後にカナタが隙をついて煙に紛れて突撃して高火力零距離砲撃でとどめを刺す、倉庫から空に逃れてモンドが追って来る合間にカナタはそういう作戦を立てて全員に伝えていたのだ。

 

「このガキ共があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「とっとと消えろよ!ここは空戦魔導士(俺達)の空だ!!」

 

カナタはさっきルークが突空崩撃を叩き込んだモンドの鳩尾に魔砲剣《グラディウス》の切っ先を突き立て戦技を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔砲剣戦技—————————————————収束魔砲(ストライクブラスター)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数ある戦技の中でも特に強力だがその分負担が掛かり一日に使う回数を制限せざるを得ない戦技を《制限戦技(リミットスキル)》と言う、砲撃系の戦技は殆どがそれに該当し今カナタが撃ったのもそれなのだろう、その証拠に撃った瞬間に反動が強すぎて衝撃波が発生し広範囲に亘って充満していた煙が全て吹き飛んで消えた。

 

「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

漆黒の暴力の塊の様な巨大な魔力砲撃に押し飛ばされてゆくモンド・・・これで決着かと思われたが約120m程押し飛ばされたところでモンドが砲撃を丸太の様に太い両腕両脚で掴み執念で押し返そうとしているのが見えた。

 

「おいおい、嘘だろ・・・」

 

「これは流石にもう厳しいかもしれませんね、もう魔力がこうやって飛行している分しかありませんよ」

 

モンドの執念に舌を巻き驚愕と動揺の声を上げるカナタとロイド。

 

「ワシは負けん!世界中の幼女達を醜い老いから救う為にも!ワシの崇高なる目的を侮辱したあの青二才に復讐を果たす為にも!!ワシは負けるわけにはいかんのだああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

徐々に砲撃を右にずらして弾き飛ばそうとするモンド、カナタが一日に収束魔砲(ストライクブラスター)を撃てるのは現時点では三発までだ、カナタは今日【人工魔核】を破壊するのに一発、倉庫の耐魔シェルター三十層を壁抜きするのに一発、そしてたった今一発で合計三発でありこれ以上撃てば成長途中のカナタの身体は無事では済まないだろう・・・いや、それよりももう魔力が底を尽き掛けてきているのが問題だろう、これでモンドが砲撃をやり過ごせばもうルーク達に勝機は無い。

 

——————————クソッ!こんなんで諦めてたまるか!何か・・・何か手は!?

 

最早万事休すかと思われた・・・その時————————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

首を絞められていたことにより意識が朦朧としていたルークは確かに見えた。

 

——————こいつは!?・・・・・道?

 

彼だけが見える空に敷かれた道が——————

 

「・・・・・へっ!」

 

自分から敵までの空に敷かれた勝利への道がそこにある。

 

「見えたぜ」

 

あとは———————

 

「勝利への《翼の道(ウィングロード)》」

 

その道を————————

 

「翔け抜けるっ!!!」

 

突っきるだけだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルークはすっ飛んで行った、倒すべく敵に向けて弾丸のように。

 

「なっ!?おいルーク!!」

 

仲間の制止を振り切って一直線にモンドへと突撃する。

 

「がはあっ!・・・ハァ・・・ハァ・・・ウヒヒヒヒッ!やったz「モンドォォォォォォォッ!!」何だ?」

 

たった今漆黒の砲撃を右に弾き飛ばしたモンドに向かって突撃しながらルークは雄叫びをあげた。

 

「このくたばり損ないがぁっ!」

 

モンドは向かって来るルークに巨大な右拳をチカラいっぱい繰り出す。

 

「くらえぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔蹴術戦技————————————————螺旋空襲脚(スカイドライヴ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルークはモンドの10m程手前で右脚を軸にするように突風が発生する程超高速で三回横回転をしてその遠心力と魔力強化した左脚による必殺の飛び回し蹴りがモンドの繰り出した右拳と正面から激突した。

 

「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!」

 

「ぬううううううううぅぅぅぅぅ!!」

 

ルークの魔装靴とモンドの拳は衝突し互いのあまりの威力のチカラの衝突だったために強烈な衝撃波が発生した。

 

「くっ!」

 

「なっ!?なんて衝撃波だ」

 

「これだけ距離が離れていてこんなに強い衝撃なんて!」

 

カナタとロイド・・・そして更に後方にいたクロエにもその衝撃波は届いていた。

 

「負けん!負けんぞおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

「ぐぅっ!!?」

 

金属同士がぶつかっているわけでもないのに火花が散り押し合うルークとモンド、だが徐々にモンドの拳がルークの魔装靴を押し返していた、モンドの執念は計り知れない・・・だが。

 

「俺だって・・・負けねぇ!俺は最強の空戦魔導士になるんだ!!こんなところでテメェなんかに負けている暇はねぇんだ・・・・・・だからっ!!」

 

「なっ!?なんだとっ!!?」

 

ルークにだって負けられない夢がある、ルークはその一心でモンドの拳を一気に押し返す。

 

「全力全開(フルバースト)だ!!邪魔すんなっ!!!」

 

ルークはそのまま一気に左脚を振りぬきモンドを斜め下四十五度の角度の軌道で地上にブッ飛ばした。

 

「ぐおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉっ!?馬鹿なああああああぁぁぁっ!!!」

 

モンドは悲鳴を上げながらさっきいた倉庫に激突して倉庫が崩壊する、それにより粉塵と砂煙が舞いその辺りを覆い隠し、それが晴れたところで見えたのは巨大なクレーターとその中央でうつ伏せに倒れ伏す元の中年男性の姿に戻ったモンドの姿だけだった。

 

「・・・へっ!・・・やった・・・ぜ・・・」

 

魔力が尽きて飛行魔術が解除されて落下しそうになるルーク。

 

「ようやったなボウズ、せやけどこの様(ざま)やと及第点ってところやな」

 

「まったく!初日からこんな無茶をしてこの子は・・・」

 

「・・・ソラ兄・・・リカ姉・・・」

 

だけどそこへ魔装靴《ワールドストライカー》を履いたソラと魔弓《ブラッティローズ》を携えたリカが地上から飛んで来てソラがルークの腹を右腕で抱えるようにして落下を阻止した。

 

三番区の噴水広場の近くでルークがハヤテの脚に括り付けた手紙をハヤテは急いでソラ達のもとへと届けそれを見て二人は急いで駆けつけたのであった。

 

「ホンマに無茶しおって、リカなんぞ錯乱寸前ってレベルで焦っとったで」

 

「スマ・・・ン・・・」

 

「謝らなくていいわ、こうして無事だったんだもの・・・それに」

 

「おーいルークー!無事かー?」

 

「あの二人は誰なんだろう?」

 

「空の王(アトモス)のソラ・グローリーと茨の女王(ヴィターニア)のリカ・スカイウィンドですね」

 

「へぇーあれがミストガン最強の小隊、眠りの森(スリーピングフォレスト)の小隊長とその部下か」

 

「えっ?カナタ!?何で知っているの!?」

 

「んっ?言ってなかったか?お前がグースカ寝ている間に一回起きてエキシビションマッチ見に行ってたんだよ」

 

「そんな事言ってないよ!!なに一人だけ勝手に見に行ってるの!?」

 

「・・・約束もちゃんと守ったみたいだし大目に見てあげる」

 

後ろを見てみれば一緒に戦った三人の空士達がくだらないやり取りをしながらこっちに向かってゆっくりと飛んで来ているのが見えた。

 

【自分の信頼できる仲間を見つけて共に立ち向かう事】、ルークはもうその仲間達を見つけたのだ、彼らとなら共に大空のテッペンを目指せるとルークはそう感じていた。

 

「お疲れさんなボウズ、後始末はまかせな!」

 

ソラのその一言でルークは安心して二人に後をまかせ、ルークは新たな仲間達と共に三番区の噴水広場へと向かうのだった。

 

なお、このあとモンドはレイブンネストによって拘束され教皇浮遊都市ベベルの都市警察へと引き渡され【連続拉致・大量殺人の罪】で処罰される事となった。

 

こうしてルーク達の最初の戦いは終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三番区噴水広場————————

 

「それで?話ってなんだ?」

 

現在午前零時三十分であり深夜だ、当然ここには今ルーク達四人以外見当たらず満天の星空が見下ろすこの時間帯に話があるとここに連れてきたルークに他の三人を代表してカナタが問う。

 

「単刀直入に言うぜ、俺達で小隊を組まねぇか?」

 

ルークの話はこのメンバーで新規に小隊を創設することだった。

 

「予科一年生だけで小隊を・・・ですか?でもそれは明らかに不利だと思いますよ?」

 

そう、普通新規に小隊を創設する時は空戦魔導士科長(ガーディアンリーダー)が他の小隊の解散などであぶれた学生に辞令を出して組ませたり、実力者同士の上級生が組んで創設したりするのが主流だ、未熟にも程がある予科一年生はどこかの小隊に新規で入隊するのが普通であり負け続けるのがほぼ確定しているような予科一年生だけで小隊を組む輩など滅多にいない。

 

「へっ!困難上等だぜ!空は高いからこそ飛び甲斐があるんだ!それに俺はこのメンバーならどこまでだって飛んで行けると思う、どんな困難だろうと乗り越えて行けるとな!・・・お前等はどうなんだ?」

 

ルークはそれでもこのメンバーがいいと言い、三人に返事を求めた。

 

「・・・へっ!いいじゃねーか!気に入ったぜその理由」

 

「うん、そうだね!元々わたしはカナタと同じ小隊に入る予定だったし」

 

「やれやれ、じゃあ僕も付き合いますか、その最強になるという無謀な夢に」

 

三人の返事はYESだった、この満天の星空の下でルーク達は円になるように集まってこの先苦楽を共にする仲間達と向き合った・・・そして。

 

「改めてよろしくね!わたしはクロエ・セヴェニー、《魔砲士》だよ」

 

「ロイド・オールウィン、《魔剣士》ですよろしくお願いします」

 

「カナタ・エイジ、魔砲剣なんてロマン武器を扱う《魔砲剣士》なんてやっている、よろしくな!やるからには最強の小隊目指そうぜ!!」

 

「俺はルーク・スカイウィンド、将来最強の空戦魔導士になる《魔蹴闘士》だ!」

 

四人は全員で右手を重ねて自己紹介をする、大空の頂点を目指す為の情熱を秘めた空士が集まった小隊が今、結成された。

 

「ハッ!おもろい奴等やないか!そう思うやろリカ?」

 

「フフッ!そうね、これからが楽しみな子達ね」

 

すぐ近くの木の陰にはレイブンネストにあとを引き継いでルーク達の様子を見に来て小隊の結成を祝福するかのように見守っていた。

 

「やってやろうぜ!俺達はまずこのミストガンのテッペンを取る!!そして目指すは世界最強だっ!!!」

 

ルークが左腕を勢いよく上に挙げて星空の一番明るく光る星に向けて左手の人差し指を指して自らに秘める情熱を言い放った。

 

その後、ルーク達は翌日朝一番で新規小隊設立の書類を書き空戦魔導士科長に提出してジョバンニは渋ったが彼等の熱意を受けてこれを承諾した。新規に小隊を創設する場合与えられる番号は今空いている番号のなかで一番若い数字が与えられてランクは一番下のEランクから始まる、ルーク達の小隊にあたえられた番号は———————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

E128小隊、これがルーク達の小隊の名前だった。

 

 

 

 

 

そしていよいよ始まる、彼等の・・・空戦魔導士候補生の情熱の物語が!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これにて序章終了!!

次回から《予科一年生の章》《初めてのランキング戦編》が始まります!

一つストックを作ってから一つ作る毎に一つずつ投稿するので次回の投稿は大分遅れると思います。

また、序章に出たキャラクター紹介も一緒に投稿します。

ではまた次回新章でお会いしましょう。
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