逆に考えるんだ、紅一点とは素晴らしいとっ!!
なお、年末年始は家の都合で忙しくなりそうなのでたぶんこれが今年最後の投稿になると思います。
ではどうぞ!!
追記:改行の行間が多すぎて見ずらいとの意見がありましたので各話の改行の行間を短くしました。
午後二時二十分、E128小隊VSE35小隊の試合が開始された。
「「よしっ!いくぜっ!!」」
「えっ!?ちょっとっ!?」
試合開始と同時にルークとカナタがそれぞれ単独で相手の前衛であるヤマトに向かって突撃して行くのを見たクロエは二人を止めようとするが二人はお構いなしに正面から特攻をヤマトに仕掛けようとする・・・しかし・・・。
「飛び込んで来たわね!くらえっ!!」
ヤマトの後方左側にいるE35小隊の魔砲士がヤマトの約10m手前まで迫って来ていたルークとカナタに向けて砲撃を放った。
「へっ!甘いぜ!」
「こんなんで止められるかよっ!!」
ルーク達から見て砲撃はヤマトの8m左から斜めの弾道で飛んで来たのでカナタは若干下降して砲撃を潜るようにして避けて魔砲剣でヤマトに斬りかかりヤマトはそれを黒い刀身で橙色の刃の魔刀《秋水(しゅうすい)》で受け止めて弾き、カナタとヤマトはそのまま斬り合いを始めた。
一方ルークは砲撃を左側に沿う形で回避し上昇する・・・だがそこに————
「迂闊だな貴様、これで一人目だ!!」
魔双銃戦技————————————魔弾乱舞(クイックトリガー)
試合開始直前までヤマトの後方右側にいたE35小隊の魔双銃士がいつの間にか左側に回り込んでいて今は上昇したルークの正面で魔双銃を伸ばしきった両腕を交差するように構えて魔力弾をルークに乱射してきた。
「・・・・・・」
「なっ!?」
だがルークはそれを最小限の動きで全て躱しそのまま魔双銃士に魔装錬金製の籠手を着けた右拳を叩き込もうとする。
「くっ!」
それに対して魔双銃士は咄嗟に身を翻してルークの右拳を上に躱して綺麗な放物線を描くような軌道でルークの背後の上を取った。
———————貰った!
魔双銃士はそう確信して地面から見て逆さの体勢のままルークの後頭部を狙って一発の魔力弾を撃つ。
「・・・・・ふっ!」
「なんだとっ!?こっちを見ずに!?」
あろうことかルークはそれを振り返らずに頭を左に傾けるだけで避けて見せた、余りにも予想外なルークの躱し方を見た魔双銃士は驚愕する、そしてそれが大きな隙となった。
「おらぁっ!!」
「しまっ!?ぐうっ!!」
その直後にルークはさっきの魔双銃士と同じように身を翻して魔双銃士の方に飛び同じ逆さの体勢で左脚による鞭のように鋭い蹴りが魔双銃士に炸裂しそれを魔双銃士は自分の顔面の前に魔双銃を交差させるようにして受け止めるがチカラ負けして後方に弾き飛ばされた。
「くっ!?なんて重い一撃だ!」
なんとか踏ん張りを効かせて20m飛ばされたところで止まったが魔双銃士は額に汗を掻いていて余裕を失っていた。
「少し奴を見くびっていたようだ・・・私もまだまだだな」
魔双銃士はそう反省して気持ちを切り替えて真っ直ぐ向かって来るルークの迎撃の為に魔双銃を構えるのだった。
闘技場フィールド内、北側戦闘空域——————
「えーいとっとと墜ちんかいっ!」
「そうはいかないよっ!」
「これはなかなか手出しできませんね・・・」
紅と虹色の魔力砲撃が飛び交い至る所で相殺し合い爆炎と爆風が吹き荒れる、まるで戦争でもしているかのような光景でありこの惨状を作り出しているのはE128小隊小隊長のクロエ・セヴェニーとE35小隊の魔砲士による砲撃合戦の所為である。
「それにしてもアッサリ分断されてしまいましたね・・・いや、自分達から勝手に離れたのか・・・」
クロエの前に出て魔力障壁を展開し彼女の盾の役割をしているロイドがそう言って溜息を吐く、分断されてしまった原因は明らかにルークとカナタの個人戦闘(スタンドプレー)の所為だからだ。
「今は過ぎてしまった事を気にしている場合じゃないよ!ロイドはそのまま防いでて!連射で一気に押しきるっ!!」
砲撃の連射速度を上げて勢いをつけるクロエ、ロイドが相手の砲撃を防いでくれているおかげで攻撃だけに集中ができるのだ。
「ぐぬぬぬぬぬぬぬっ!負けるかあぁぁぁぁっ!!」
それに対して相手の魔砲士はクロエの凄まじい砲撃の連射に対抗するように連射速度を上げる、しかし彼女とクロエとでは連射速度では圧倒的にクロエの方が上だ。
「うおっと!?」
撃ち合いの最中にクロエの一発の砲撃が撃ち合いを抜けてきて魔砲士に命中しそうになるが魔砲士は即座に砲撃を止めて間一髪で回避する、そもそも得意戦術が乱砲撃スタイルのクロエに対して彼女は一撃必殺の火力砲撃スタイル故に連射でクロエに勝てる筈がない。
「チャンスですクロエ!!」
「わかってる!はああああああぁぁっ!!!」
「ちょっ!?まって!タンマッ!!」
砲撃を止めてしまったのが運の尽きだった、虹色の砲撃が止んだところをクロエは一気に紅い砲撃の乱射で容赦なく魔砲士を追い撃ちする。
「きゃあああああぁぁぁっ!!」
全弾命中!魔砲士は悲鳴を上げながら砲撃の命中による爆発によって発生した爆炎に包まれた。
「やりましたか!?」
だがロイドがフラグを立ててしまった、爆炎が晴れるとそこには虹色の魔力障壁を展開して無傷だが肩で息をして疲労している魔砲士の姿があった。
「ハァ・・・ハァ・・・まだこんなんで墜ちるアタシじゃないわ!」
口ではこう言っているがかなり辛そうだ・・・あんな高威力の魔力砲撃を防いだのだ、余裕なんてある筈がない。
「しぶといですね」
「でももう一息だよ!迅速に墜としてカナタ達の加勢に行くよっ!!」
この戦場はクロエ達が主導権を握った、このままだとE35小隊の魔砲士を撃墜するのも時間の問題だろう、クロエとロイドは気を引き締めて掛かるのだった。
闘技場フィールド内、中央戦闘空域———————
「はぁっ!」
「ふうっ!」
漆黒の魔砲剣グラディウスと魔刀秋水がぶつかり合い鍔競り合う。
「・・・やるじゃねぇか」
「へっ!アンタもな!」
鍔競り合いから八秒後にお互いにそう言って剣(エモノ)を弾くようにして鍔競り合いを解きその反動を使って空を滑るようにして60m程距離を取って睨み合う。
この二人————カナタとヤマトはこの一分間斬り合いを続けてお互いの力量を計り合っていたらしい。
———————くっ!どうやら純粋な魔剣術の腕は奴の方が上みてーだな・・・
カナタは右肩に痛みを感じた、斬り合いの最中にヤマトの一撃が入ったのだ。ソーサラーフィールドの効力により非殺傷ダメージになるので傷はできないが痛みは感じるのでダメージを受ければ受ける程動きは鈍る。
———————・・・だったら戦術で勝負だ!
カナタはそう考えてヤマトに魔砲剣の切っ先を向けてシリンダー型の魔力縮退炉を一回転させた。
「いくぜっ!!」
魔砲剣戦技——————————————拡散多弾頭射撃(マルチプルバースト)
カナタがそう言い放つと同時に魔砲剣の切っ先からヤマトに向かって大きな漆黒の魔力弾が放たれヤマトに当たる直前で魔力弾が四つに分裂しそれが二回繰り返され、計十六発の魔力弾がヤマトを襲った。
「剣で勝てねぇから遠距離攻撃できたか!・・・だが甘ぇっ!!」
ヤマトは十六の魔力弾の隙間を見切って最小限の動きで躱す・・・だがそこに————
「っておいマジかよ!?」
気が付くとカナタが既にヤマトの眼前に迫って来て右手に持つ魔砲剣をヤマトの首を狙って振り下ろしていたがヤマトは一瞬動揺するもそれに反応して魔刀で受け止めようとした・・・しかし————
「なっ!?フェイクだとっ!?」
魔砲剣と魔刀がぶつかる直前でカナタは魔砲剣を引っ込めていつの間にか左手に逆手持ちで持っていた魔装錬金製のダガーをすぐさま下から斬り上げるように逆袈裟斬りを放った。
「っ!!」
「は!?」
なんとヤマトはそれをあり得ない反射速度で反応して魔刀を傾かせる事によってダガーを受け止めた。
——————おいおい、タイミングは完璧だった筈だぜ?
人間の反射速度は普通0.2秒でどんなに鍛えても限界は0.1秒だ、今のヤマトは0.02秒くらいの速度で反応していて普通人間には不可能な反射速度であった為にカナタは一瞬驚愕した。
そしてヤマトは魔刀で魔砲剣を弾いて離し—————
「ふっ!」
「!?」
なんといきなりカナタの目の前から消えた。
「うおっと!!」
そしてそれから一秒も経たずにヤマトはカナタの背後に現れてカナタに中段斬りを放つが、カナタはギリギリそれに反応して身を翻して躱し放物線を描くような軌道でヤマトから30m程距離を取った。
「・・・これに反応すんのかよ」
「・・・・・・ふーん成程な、これがさっきギドルトが言ってたやつか・・・」
ヤマトは完全に隙をついた筈なのにそれを躱したカナタに対して呆れるように驚き、カナタはヤマトの異常な反射速度と高速移動を見てさっき待機所で仲間になったギドルトが見せた情報の事を思い出した。
脳のリミッターを一時的に外す事によって脳内処理速度を加速させて超高速反応や目視不能の超高速移動ができるというのが今のヤマトのあり得ない一連の動作の正体だ。
「・・・どうやらこれを知っているみたいだな・・・なら慣れる前に速攻でケリをつけるっ!!」
ヤマトはそう判断して意識を集中し再び脳内処理速度を加速させる、その瞬間ヤマトの世界が変わった。
ヤマトの目には今世界の色が白黒に塗り替わり自分以外の動きが超スローモーションに見えていた。
———————これで決めるっ!!勝負あったな!!!
そしてすぐにカナタの後ろに回り込んでカナタの背中めがけて魔刀を振り下ろした——————
それはいつの間にか肩の後ろに右手で縦に背負う様にして位置を移動させていた魔砲剣に受け止められた。
「——————何ぃっ!!?」
流石にこれは驚愕せずにいられなかった、同じように脳内処理速度を加速させてスローモーションの世界に入らなければ反応することは不可能な筈なのにそれに反応したカナタに対して動揺するヤマト。
「そんな馬鹿な!?なんで!?」
「へっ!こういう時は後ろから来るっていうのが常識なんだよっ!!」
カナタはそう言い放つと共に振り返りその勢いと遠心力を利用してヤマトを弾き飛ばす。
「ぐっ!!」
少し上斜め前に50m程飛ばされたヤマトは空を滑るように止まって追撃してくるカナタを迎え撃つ為に魔刀を持った右腕を身体の正面からまわし左側の腰の少し後ろに魔刀を横気味に斜めに下ろすように構えて上半身を大きく捻って剣の間合いに飛び込んで来たカナタめがけて一気に魔刀を引き抜く—————
クサナギ流魔刀術————————————片車輪
鞘の無い抜き身の抜刀術、限界まで腰を捻り腰の回転に合わせて円を描く軌道で魔刀を引き抜き三百六十度を攻撃する全方向(オールレンジ)の抜刀術だ・・・・・だがそれは地上ならの話だ。
「げっ!?」
カナタは魔刀の下を潜るようにして躱してヤマトの懐に入った。今ヤマトは魔刀の勢いと遠心力に振り回されて体勢が崩れている、絶好のチャンスだ。
「くらえっ!」
「っ!!」
ヤマトに袈裟斬りを放つカナタ、ヤマトは脳内処理速度を加速させて無理矢理体勢を正常にして受け止めそのまま鍔競り合いに持ち込むもののこの数秒で脳内処理速度を加速させるのを連続で使用した為負担が尋常じゃなく掛かり肩で息をしていた。
「おしいっ!もうちょっとだったんだけどな・・・アンタやるじゃねーか!」
「はぁ・・・はぁ・・・こいつら本当に予科一年かよっ!!?」
ヤマトはE128小隊の予科一年生離れした戦闘力に舌を巻かずにいられなかった。
各戦闘空域で全てE128小隊が優勢でこの試合は最早E128小隊が主導権を握っていた。
闘技場、北側観客スタンド———————
『E128小隊猛攻が止まらNEEEEEEEEEE!!強いっ!予科一年生だけの小隊ながらもこの実力、これは思わぬダークホースDA★ZE!!』
「凄い・・・ルーク君達こんなに強かったのですか!?」
シグナルエースマンのうるさい実況が響くなかで北側選手入場口の右側にある一階観客スタンドの前の通路にある落下防止の柵の上に右手を着いて左手で記録用のビデオカメラを持って身を乗り出すような体勢で興奮しながら撮影しているギドルトの姿があった。
彼の今の仕事はE128小隊が今後のランキング戦を勝ち抜く為の参考にする為一試合一試合のデータを記録することである、記録したデータを基に小隊メンバーの強化訓練メニューを作成したり弱点を克服する為の考察をしたりするのである。
「そこの生徒!危ないから柵から離れなさい!!」
「あっ!?すいませんなのです!」
通りかかった警備担当の上級生に注意されてしまった・・・ギドルトは警備担当の上級生に謝って柵から身体を離してから撮影を再開した。
「この調子なのです!勝利は目の前なのですよ皆さn・・・・んっ?あれは!?」
闘技場、東側観客スタンド———————
『このままだとE128小隊の勝利は時間の問題!やっぱり雑魚小隊は雑魚小隊だったか!?』
「驚いたな、まだ未熟ではあるけれど彼らがここまでやるなんて」
「あのお馬鹿!チームワークを考えなさいよ!」
「おおっ!まだまだやけどぼちぼち強うなったやん!流石ボウズやで!!」
観客スタンド三階の席でシグナルエースマンの実況に負けないくらいうるさく騒ぐミストガン最強の小隊の三人、レオは予想外のE128小隊の戦闘力に驚きリカは目の前数メートルで個人戦闘(スタンドプレー)をするルークを見て叱咤しソラはルークが入学前に会った時のルークより遥かに強くなっていたことに関心していた。
「それにしてもさっきのルーク君がE35小隊の魔双銃士の子の魔力弾を目視しないで躱したのってもしかしてソラと同じ才能・・・」
「そや、ようわかったなレオ」
レオが言っているのは先ほどルークが魔双銃士に背後を取られて後頭部めがけて撃たれた魔力弾を見ずに躱したことでありそれはソラと同じ才能によるものだというのだ。
「《絶対空気感覚(フィール・ザ・アトモスフィア)》、大気中の空気を感覚で超正確に把握できる特殊スキルやな。さっきボウズがやったのは敵が数ミリでも身体を動かす時、身体の周りに纏わり付く空気が乱れて発生する【風】を感知して相手の動きを把握したんやな、ほんでもって発生した【風】の強さを感じ取ってそいつの速度を計り【風】が発生し弾けた方向を感じ取って進行方向を割り出す、ワイらは例え敵が光の速度で動けたとしても反応できるんやで」
「そしてそれは魔力も同じ、例え目視不能で通常感知できない設置型の魔術でもソラとあの子は大気中に異物が混じっていれば二人には見えているも同じなのよ、まったくとんでもない空間認識能力だわ」
「成程、例え光の速度で動けたとしてもオゾン層より下にいる限り身体中に纏わり付く空気からは絶対に逃れられない・・・空戦魔導士としては恐ろしい才能だね・・・」
空を戦場とする空戦魔導士としての二人の才能は最高レベルだろう、なにせ空気中の敵の全ての行動を一瞬で把握できてしまうのだから。
「と言うてもボウズには欠点があるんやがな・・・」
「欠点?」
そう、しかしルークが絶対空気感覚を持っているにしては腑に落ちない点がある、それは入学式の日の夜の戦闘の時にルークは何度も不意を突かれてピンチに陥っている、絶対空気感覚を持っているならばそれは簡単に回避できた筈なのにだ・・・その理由とは—————
「ボウズは焦ったり気が動転したりして余裕を失くすと感覚が狭うなる欠点がある、そうなれば絶対空気感覚も無いのと同じさかいボウズは無敵やないんやで」
「あの子は昔っから落ち着きがないからね・・・本当にしょうがないんだから」
「ハハハ・・・」
【落ち着きが無い】、これがルークの弱点だった、まあ他にも【乗り物に弱い】とか【苺に目が無い】などの弱点があるのだがこれは気にしなくてもいいだろう・・・たぶん。
「それよりもワイが注目したんはあの黒髪のガキやな」
ソラはそう言ってフィールド内中央でヤマトと戦闘をしているカナタの方を見る。
「奴と戦っとるザコの特殊スキルは一応一級品や、せやけどあのガキはあのザコの高速移動を感覚だけで捉えおった、たぶんあのザコの殺気を的確に感じ取って躱したんやろうな、ワイら程やないけどあのガキも大したセンスを持っとるで」
ソラは腕を組んでカナタを称賛する、彼もまた高レベルの才能を持っているのだ。
「本当に将来有望な子達が集まったものだね・・・・・だけどこの状況は」
「ああ」
「ええ」
ミストガン最強の小隊の三人のE128小隊に対する今の試合状況の感想は——————
「・・・・・アカンわ」
「ヤバイわね・・・」
「危ないね・・・」
三人がいるのとは反対側の西側観客スタンドの前を旋回しているE35小隊の魔銃士を見てそう言った。
闘技場フィールド内、北側戦闘空域——————
クロエ&ロイドVSE35小隊の魔砲士の戦闘は佳境に差し掛かっていた。
「くそっ!まだなの!?」
魔砲士はクロエの砲撃の嵐を回避しながらなにかを待っているように癇癪をあげる・・・その時。
「げっ!?やばっ!!」
紅い砲撃の一発が彼女の魔砲杖にヒットして彼女の手から離れてしまった。
「チャンスですね!これで決めますっ!!」
それを見たロイドが勝利を確信してクロエの前から離れ魔砲士に止めを刺しに行く。
他の戦闘を見てみると東側観客スタンドの前の空域ではルークがE35小隊の魔双銃士の鳩尾に突空崩撃(エアリアルインパクト)を叩き込もうとしている直前であってフィールド中央の空域ではカナタがヤマトに止めを刺そうと魔力縮退炉を五回転させて魔砲剣の切っ先をヤマトに向けて収束魔砲(ストライクブラスター)を放とうと切っ先に巨大な魔力の球が生成されているのが見えていた。
これで勝負あったか?——————————
魔銃戦技—————————————————鋭利射撃(スティンガースナイプ)
一瞬の出来事だった・・・・ロイドがクロエの前から離れた瞬間に二人から見て右斜め前の西側観客スタンドの前の空域から今までフリーだったE35の魔銃士がフリーになったクロエを狙って戦技を放ったのだ。
「・・・・・え?・・・」
先が鋭く尖ったような魔力弾がクロエを貫きクロエはなにが起こったか分からないような呆然とした表情を浮かべて————————
「————————」
そのまま意識を手放して地上に落下した。
闘技場フィールド内、東側空域———————
『・・・・E128小隊の小隊長・・・撃墜!?・・・・何が起こったんDAAAAAAAAA!!!余りにも唐突すぎてなにがなんだが意味不明DA★ZE!!』
「・・・・・はぁっ!!?」
訳が分からず声を上げるルーク、ランキング戦の試合の勝利条件は相手の小隊長が首から掛けている小隊のシンボルマークを奪うか相手の小隊長を撃墜するかである、そして今E128小隊の小隊長であるクロエが撃墜されたということは———————
『試合終了ぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!この試合を制したのはなんと雑魚小隊でお馴染のE35小隊!!去年のランキング戦の一試合目から実に五十二連敗を喫していた雑魚小隊が!TU★I★NI勝利を掴んDA★ZE!!これは大ニュースDAAAAAAAAAAA!!!』
そう、ルーク達E128小隊の敗北を意味していたのだから。
「・・・・・俺達の・・・・・負け?・・・・」
今ようやく負けた事を悟ったルークはそう呟いていた。
「何・・・で?・・・」
E35小隊のメンバーが歓喜の声を上げている中でルークは呆然として地上に降り立って佇んだ。
闘技場、東側観客スタンド————————
「・・・・《啄木鳥の餌取(ハンティングウッドペッカー)》やな・・・」
E35小隊が使った戦術名をソラが呟いた。
「そうね・・・この戦術は囮の空士が派手な戦闘(パフォーマンス)で敵の戦力を引き付けて手薄になったところを本命の空士が隙を突いて敵の大将を仕留める大人数の集団戦向けの戦術よ、本来これは変異種(キメラ)を伴った魔甲蟲の大群を相手に使われる戦術で少人数でやるランキング戦の試合には向かない戦術だわ、それを使うだなんて・・・」
今リカが説明した通りこの戦術はランキング戦には向かない、3~5人の少人数でやるランキング戦ではどう考えても簡単にばれてしまうからだ。
「阿呆やな、E35小隊のザコ共が負け続けたわけやな・・・だがそれに負けたボウズ達はもっと阿呆やで」
ソラはそう評価して北側のフィールド内で気を失ったクロエを介抱するロイドを見た。
「あのウスィー金髪のガキはようやったほうやな、せやけど詰めが甘かったようやが奴が敗因やない」
ソラは次に目の前数メートルのフィールド上で今も呆然としているルークを見やる。
「この失態は個人戦闘(スタンドプレー)に走ったボウズと黒髪のガキのせいやで、いくら優れた才能と戦闘力やろうと行動を誤ってもうたら使い物にならへんねん、しょーもないわ」
ルークとカナタに厳しい評価を下すソラ、だが彼は次に期待するような眼差しでルークを見つめていた。
—————この負けを活かすんも殺すんもお前ら次第やでボウズ共、何で負けたんか気付くかどうか・・・それが奴等の重要な課題さかいそれが分からへんかったら今戦ったザコ共の一年前と同じになるでボウズ・・・
ソラ達は負けたルーク達を心配しながら闘技場を跡にした。
E128小隊ランキング戦第一戦目・・・敗北。
次回予告
ロイド「あ、ありのままに今回起こったことを話します!試合は僕達が優勢で進んでいって勝ったと思ったら負けていた」
カナタ「クロエあれ取って」
クロエ「はい醤油」
ロイド「何を言っているのか分からないと思うけれど僕も何が起きたのか分からないんだ!頭がおかしくなりそうでした!」
ギドルト「熟練夫婦みたいなのですねこの二人・・・」
ロイド「手品だとかイカサマだとかそんなチャチなものじゃ断じてありません!もっと恐ろしいものの片鱗を見ました・・・」
ルーク「このスープ味がウスィーな・・・ま、ロイドのウスィーさには負けるけどな」
ロイド「・・・・他作品ネタをやっても誰もツッコンでくれないんですか!?」
次回、空戦魔導士候補生の情熱『ライバル達との邂逅』
ロイド「翔け抜けろ!最強への翼の道(ウィングロード)!!・・・誰か反応してください・・・」