東方無名神 作:shadow
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人間が住まう世界は大昔に一度終わりを告げた。一度どころではない、何度も、何度も繰り返してきた。何故そんなことが解るのかと問われると、こう答えるしかない。これは神の仕業であるからであり、自分自身も神だから解ることだ。もっとも、俺はゼウスやイザナギみたいに名の知られている神とは違い、無名の神でしかない。厳密に言うと、永く生きすぎて名前を忘れ去られた神だ。一応自分の名前だから自分は覚えているが、周りに忘れられているのなら無名と変わらない
話を戻そう、何故崇められている国が違う神の事を知っているのかと問われると、先程と同じことを答えるしかない。神の住まう世界も破滅と再生を繰り返しているからだ。人間の世界でも神の世界でも、一から十まで行われることはまったく同じである。この世に誕生して、進化して、文明を発達させ、争い、産まれて、死んで、滅ぶ、その繰り返しである。故に神も同じ、誰と誰が争い、誰が誰を殺し、誰が何処で何をするのかも、全て。何故そんなことが解り、この世の破滅を耐え凌ぐことが出来るのかと聞かれても…それには答えることは出来ない、企業秘密だ
故に俺は神々の中で最も長く生きている
そんな馬鹿馬鹿しい事柄に何時までも付き合うのは堪えられなくなり、遂に俺は神々に反乱を起こした。それもたった一人で。神々はたかが無名の神と侮っていたが故に油断していた。しかし俺にはある能力がある。それにより次々と神々は殺されていった。長い長い戦いの末、遂に俺は捕らえられ、下界…即ち人間の世界に落とされた。だが俺の反乱は功を成した。これまでの歴史に無かった俺の反乱があったので、人間の世界にも歴史に大きく影響したようだ。そんな世界に落とされた俺は、名を忘れられた無名の神として生きていこうと思った
「さーて、何処からあたりますかねぇ…」
早速落とされた人間の世界にて探索を始めようとしていた
「ふーん、人間を含め動植物の他にも変な奴がいるみてぇだな」
無名とはいえ、仮にも神である。それなりの戦闘には対処することはできるが
グルルルルル…
「無理」
見たこともない恐ろしい異形の怪物が目の前に、これは逃げるしかない
「攻略法も解らない敵とやりあうほど俺は馬鹿じゃないんでね!」ダッ!
ガァァァァ!!
やはり追ってくる
「その程度で俺に追い付けると思うなよ!」
神速の如く駆け出して、瞬く間に引き離し、あっという間に異形の怪物を撒いた
「よし、撒い「きゃああ!」…たけどこれはまずいな」
追い付けないと判断した怪物は標的を変えたようだ。通りすがりの人間の少女に襲い掛かった
「情報が少ないから、と言っている場合じゃないな」
普通なら間に合わない距離、容赦なく襲いかかる敵、だがその程度では無名の神を止めることは出来ない
『この手に来たれ必中の槍、グングニル!』
詠唱と共に現れた槍を投擲すると、今まさに少女に襲いかかろうとした怪物の頭に命中した。槍はそのまま突き抜けると手元に戻り、霧散していった
「大丈夫か?」
「あ、ありがとう」
助けた黒髪の少女は律儀に頭を下げてお礼を言ってきた
「何であんなところに居たんだ?見たところ、ここら辺にはああいうのがウジャウジャ居るんだろ?」
「その…薬の材料を採りに…」
「まったく…そういうときは大人とか戦える奴と一緒に来ないと駄目だろ?」
「ごめんなさい…」シュン
「…仕方ない、俺が住んでいる所まで送っていってやる」
「本当?」
「こんな小さい女の子を放ってはおけないだろう、ほら案内頼むぞ」
そこでふと思い出したように無名の神は聞いた
「そうそう、お前名前は?」
「八意××…あ、発音しにくいわよね。永琳で良いわ。貴方は?」
「俺か?俺は神様だ」
「へー…」ジトー
「あ、お前信じてないな!?」
「さぁ?どうでしょう」
「チッキショー!舐めやがって!ガキの癖に生意気だぞ~!」
「ひゃあぁぁ!頭をグリグリしないで!」
「ここがそうなのか?」
「えぇ、月の神であるツクヨミ様が治める都市よ」
そこは巨大な壁で囲まれた都市だった。これまでの歴史を大きく覆していた事に驚いた
(しかし、早速他の神が出てくるとはな…でもまぁツクヨミだったら俺があそこで何をしたのかを見ていなかっただろうし…)
「どうかした?」
「いや、別に」
「お礼もしたいから私の家に来なさい」
「ほうほう、じゃあお言葉に甘えて…」
「やっぱりやめたわ」
「なんでだよ!」
「ふふっ、冗談よ」
(このガキ、見た目のわりに結構中身が黒いな…)
「へぇ…こりゃ凄い」
広々としたリビングに案内された無名の神は驚きの声をあげた。なんでも永琳は若くして薬学を専門とする研究職に就いているらしく、都市への貢献も多いからこれだけの家を貰えたのだとか
「にしても一人で住むには広すぎねぇか?」
「心配しないで、ちゃんと有効活用しているから」
「有効活用だぁ?」ガチャッ
「あ、そこは…」
別の部屋に通ずる扉を開けてみると、見渡す限り置かれた何かが…
「そこは物置よ」
「部屋を物置にするな」
永琳は片付けが苦手のようだ
「そ、そういえば貴方は何で森の中にいたの?」
露骨に話を逸らしたような気がしたが、あえて突っ込まないでおいた
「んー…絶賛路頭に迷い中だったから?」
「え…その見た目で迷子ってわけ…?」
永琳が呆れたような目で俺を見てくる。仕方ないじゃん、追い出されちゃったんだし
「あーあー聞こえな~い。こんな酷い子の家からさっさと逃げなければ…」
「じゃあ私の家に泊めてあげるわ」
「よし、何でもしてやるから遠慮すんな」
「じゃあ実験台に加えて家事全般よろしく」
「ou…」
どうやら神様は永琳のモルモットになったようです
「永琳さん、マジ勘弁してください」
「あら、これを聞いてもそんなことが言えるのかしら」スッ
永琳が手にしていたのは、なんとボイスレコーダーだった。スイッチを押すと『よし、何でもしてやるから遠慮すんな』という俺の声が流れてきた。どこまでも抜け目のないガキだ
「ナンテコッタイ」
「さぁこれで貴方は事実上、私の奴隷と化したわけだけど」
「黒っ!」
「まずはこの部屋を片付けてもらおうかしら」
「…はい」
従うしかない、だって言質取られちゃったし
「つーか普段から自分で片付けとけよ」
「そ、それは…研究とかが忙しくて…」
「なーる」
ともあれ、なんとか住みやすい家に(奴隷制度が無ければ)転がり込む事に成功した神だった
とりあえずはこんなものですかね
後程キャラ紹介を投稿します