バトルスピリッツ 輝きのゼクス   作:三龍神

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第11話 思いを胸に

「四魔卿アルティメットのカード、ブラム・ザンドとヴァンディールが無事光輝様の手へと渡りました」

「そう、ご苦労だったわね」

 

此処はとある場所の薄暗い部屋。そこには2人の女性が会話をしている。

 

「すぐにもう2枚、マグナマイザーとイル・イマージョもあの子の手に渡して」

「了解しました」

 

女性の一人は頷き部屋から出て行くと、1人残った女性は正面のモニターに振り返る。そのモニターには1人の少年、赤宮 光輝が写っていた。

 

「究極のアルティメット、四魔卿全てがあの子に渡る・・・。苦労したわ、4枚全てを探し出すのは・・・・・。でもこれで私の望みがもうすぐ叶うのね」

 

女性はモニターに映っている光輝を、まるで壊れ物を扱うような優しい手つきで触れる。そしてその顔には、少しばかりの狂気を纏った笑顔が浮かんでいた。

 

「もうすぐよ・・・もうすぐだわ・・・。私とあの子達だけの世界が完成するわ・・・」

 

その女性は一筋の涙を浮かべ、2枚のカードを手に取る。薄暗い部屋の為あまり見えないその2枚のカードにはどちらも金色の加工が施されており、暗闇の中でうっすらと見えるカード名には、邪神皇という名が書かれていた。

 

「もうすぐに会いに行くわ・・・・・私の愛しい光輝」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・はっ!?」

 

場所は変わって光輝の家。眠りについていた光輝の目が開くが、その顔には少しばかり汗が滲んでいた。時計に目をやると。まだ朝の4時前、いつもより早く目が覚めてしまった。

 

「なんだったんだ・・・?今の夢は・・・」

 

光輝は夢で目が覚めたのだ。だが、その夢は光輝が今まで見たことのない夢だった。

 

「暗い場所で・・・女の人が泣いていた。母さんじゃなかったよな・・・」

 

見たことのない妙な夢に思考を巡らせていると、光輝の腕の中で動きがあった。

 

「ぅ・・・ん、・・・どうしたのお兄ちゃん・・・・・」

 

光輝の腕の中で寝ていた妹の裕香が目を覚ました。だがまだ眠いらしく目が半開きになっている。

 

「あ・・・あぁ、なんでもない。起こしちゃってゴメンな」

 

光輝は右手で裕香の髪を優しく撫でる。

 

「まだ早いからもう少し寝てていいぞ」

「ぅん・・・・・」

 

裕香は小さく呟くと再び目を閉じ眠りについた。光輝は妹を起こさないようにそっとベッドから出ると、机の上にある自身のデッキを手に取る。そのデッキには昨日の小包に入っていたカード達も投入されていた。

 

「ブラム・ザンドにヴァンディール・・・みたことのないカードだけど、強力な効果を持っている。多分三龍神よりも強力だ。でも、誰が何の為に俺にこのカード達を・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わってとある屋敷にて

 

「真也様!赤宮光輝を叩き潰したんですって?さすが!あんなやつ真也様の足下にも及ばないですね!」

「黙れ零」

 

そこにいたのは光輝を破ったバトラー黒宮 真也と、恭賀に敗れた三河 零であった。

 

「俺に断りもなしにカードバトラーからカードを奪い取り挙げ句の果てに恭賀に敗北しておきながらよくそんな口がきけるな」

「ヒィッ!?す、すみません」

 

真也が呆れたように言うと、零は返す言葉もなく謝罪する。

 

「奴もこのまま黙ってはいない。チャンピオンシップでは更に強さを増して勝ち進んでくるだろうが、俺はその上で再び叩き潰すまでだ。玲奈!」

「はっ!真也様」

 

真也はそばに控えている女性、霧島 聖奈の名を呼ぶ。

 

「準備を進めろ。戦いの火蓋が切られる時がきた。今こそ俺の力をすべてのカードバトラーの瞳に刻み込んでやる!そして・・・」

 

真也は部屋の端に目をやる。そこには小さな机に写真が飾られており、そこには幼い少年とその少年のそばで微笑む女性の姿があった。

 

「見ててください、母様」

 

真也はそう呟く。その顔には少しばかり哀しさが表れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カードバトラー達は様々な思いを抱き、戦いに赴く。

 

 

「待ってやがれよ光輝。俺のエグゼシードで今度こそお前に勝つ!」

 

 

 

「俺が見据えるのは光輝、君との戦いだけだ。その為に俺は強くなった。今度こそ決着をつける!」

 

 

 

「よし!出来た!これが俺の今の全部、俺の全てを詰め込んだデッキだ。光輝、俺絶対に負けないからな」

 

 

 

「チャンピオンシップか・・・出てみようかな。せっかく作った私のデッキ、どこまでいけるか試して見なきゃ。それにもしかしたら赤宮君とまた・・・・・って何言ってるのよ私!!」

 

 

「遂に機は熟した、私が動く時!行くぞ、クワガスレイヤー!」

 

 

「ふふふ〜ん、チャンピオンシップ開幕だね〜。楽しみだねカシャネコ」

 

バトラー達はそれぞれの思いを胸に抱き、今頂点を決める戦いへと赴く。

 

その裏で、何者かが動いているかも知らずに・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バトスピチャンピオンシップ、開幕。

 

 

 

 

 

 




皆さん、お久しぶりです。三龍神です。

あれから職場を変え、環境がだいぶ楽になったので、少しずつこの小説の投稿を再開することにしました。
更新停止の間に沢山の新カードが登場しましたが、この小説では基本は神皇編までのカードを登場させる予定です。今回は復帰の報せのつもりなので、物凄く短くて申し訳ありません。最低でも月2のペースで投稿を目指すつもりです。長らく放ったらかしにして申し訳ありませんでした!

次回はちゃんとバトルまで書きます!

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